沖縄県で活躍する弁護士や弁護士事務所の現状
1.沖縄県の弁護士数は263人で全国第19位
日本最西端に位置する沖縄県。
沖縄本島と多くの離島で構成され、県民の9割は沖縄本島に住んでいます。
明治維新以前は琉球王国として独自の文化を持っていましたが、維新後は沖縄県として日本に組み込まれ、第二次世界大戦では日本で唯一の地上戦の舞台に。その後、アメリカによる占領を経て、1972年に返還されました。
日本屈指のリゾート地として多くの観光客が訪れる一方、アメリカ軍基地が多く存在し、さまざまな問題を抱えています。
日本弁護士連合会によると、2017年11月1日現在、全国の弁護士数は38,843人となっています。
このうち、沖縄県で活動する弁護士数は263人。
全国で19位の数であり、全国の弁護士の0.68%に相当します。
後述するように、沖縄県の人口は全国で25位。
人口に対して弁護士数は多めといえるかもしれません。
2.原発避難者への支援を行っている沖縄弁護士会
沖縄県で活動する弁護士は、沖縄弁護士会に所属しています。
沖縄弁護士会は、那覇随一の繁華街・国際通りからほど近い那覇市松尾にあります。
周辺には沖縄県庁や那覇市役所、福岡高裁那覇支部、福岡高等検察庁那覇支部といった沖縄の官庁街が広がっています。
戦後、「琉球法曹会」を経て1968年に「琉球弁護士会」が設立されましたが、アメリカの統治下にあったという状況から、他の都道府県の弁護士会のような弁護士自治が認められませんでした。
1972年、沖縄は日本に復帰しましたが、復帰前の状況を反映して「沖縄県弁護士会」ではなく、「沖縄弁護士会」と称しているということです。
沖縄弁護士会は他の多くの弁護士会同様、学校への出張講座や各種法律相談を行っていますが、沖縄弁護士会に特徴的な活動として「原発避難者のための無料相談」があります。
東日本大震災による原発事故の影響で、沖縄県に避難している人を対象に、無料で原発損害に関する相談に乗っています。
ところで、沖縄県にはどれぐらいの女性弁護士が活動しているかごぞんじでしょうか。
県下で活動する女性弁護士は40人。
県下の全弁護士の中の女性比率は15.2%です。
本弁護士連合会によると、全国で活動する女性弁護士は7,172人となっていて、女性比率は約18.5%。
沖縄県の数字は全国平均を下回っており、女性比率のランキングで全国19位です。
弁護士の救済を必要とする人には、DVやシングルマザーなど社会的に立場の弱い女性も少なくありません。
今後、沖縄県における女性弁護士のさらなる増加が待たれます。
続いて、沖縄県の弁護士費用について見ておきましょう。
かつては、弁護士会で報酬に関する規定が定められていたようですが、現在は各事務所が独自で報酬を決めています。
沖縄県の弁護士費用の相場は全国平均並みといわれています。
全国的に見ても県民所得や物価がさほど高くない沖縄県ですが、弁護士費用との相関性はあまりないようです。
3.沖縄県の刑事事件の件数は20位
ここからは、警察や検察、裁判所などが関与する刑事事件について、沖縄県の傾向を見ましょう。
裁判所が発表している司法統計によると、平成28年度の高等裁判所・地方裁判所・簡易裁判所の刑事事件新受総数は以下のとおりです。
まずは高等裁判所から。
全国に8か所ある高等裁判所の刑事事件新受総数は10,211件です。
沖縄県で起きた事件を管轄する福岡高等裁判所の刑事事件新受総数は1,101件で、8つの高裁の中で3番目に多く、全体の10.7%に相当します。
次に、各都道府県にある地方裁判所の刑事事件新受総数は、270,955件です。
沖縄県内の事件を管轄する、沖縄地方裁判所の刑事事件新受数は1660件。
全国の地方裁判所のうち、31位の数字となっており、全体の約0.61%にあたります。
最後は簡易裁判所についてです。
全国の都道府県にある簡易裁判所の刑事事件新受総数は712,247件。
沖縄県には、那覇や沖縄など5つの簡易裁判所があり、簡易裁判所全体の刑事事件新受数の合計は11,451件です。
これは全国で16位、全体の約1.61%にあたります。
全国の地方裁判所と簡易裁判所の刑事事件新受数合計は983,202件。
沖縄県の地方・簡易裁判所の刑事事件新受数合計は13,111件です。
これは全国20位の数字で、全体の1.33%にあたります。
それでは、刑事事件と人口について見てみましょう。
総務省が発表した、平成28年10月現在の日本の人口は126,933千人。
沖縄県の人口は1,439千人、全国25位で日本の人口に対する割合は約1.1%です。
全国の地方・簡易裁判所の刑事事件受入総数に対し、沖縄県の地方・簡易裁判所の総受入数の割合は1.33%となっており、人口の割合よりも少し高い数字になっています。
沖縄は日本有数の観光県であり、県外から多くの人が訪れます。
そのため、県人口に対し、刑事事件の発生率が高めになっていると思われます。
今後も県外、さらには海外から多くの観光客が来ることになると、刑事事件の発生率が上がることが懸念されます。
4.沖縄県の弁護士が受けた家事事件の件数は、民事事件より223件多い
沖縄県の弁護士が受けた法律相談には、どんな事件が多いのでしょうか。
弁護士に依頼をする事件として、おもに民事事件と家事事件があります。
民事事件とは、個人同士の間で起きる法律がらみの争いのことです。
交通事故や金銭の貸し借りのトラブルなどが該当します。
家事事件とは、家族や親族間で起きるトラブルを指し、離婚や養育費、相続問題などが該当します。
2016年版『弁護士白書』では、全国の弁護士会ごとに2015年の1年間に新たに受け入れた民事・家事事件の件数や、弁護士1人当たりの事件数などが公表されています。
沖縄県弁護士会で1年間に受け入れた民事事件は1,639件、家事事件は1,862件となっており、家事事件のほうが223件多い結果になりました。
民事事件の数は全国で17位、家事事件の件数は全国で24位。
全国の弁護士会で2015年に受け入れた民事事件は143,816件、家事事件は140,830件となっていて、民事事件が少し多い傾向にあります。
これに比べ、沖縄県のケースでは家事事件のほうが少し多くなっており、民事事件の約1.1倍にのぼっています。
大都市圏以外の地域では、家事事件が民事事件よりも多く起きており、家事事件が民事事件の約1.5倍にのぼるところが多いようです。
沖縄県は家事事件の割合がそこまで多いわけではなく、大都市圏に近いタイプといえるかもしれません。
弁護士1人当たりが担当する事件の件数をみると、沖縄県では弁護士1人に対して民事事件が6.6件、家事事件が7.5件となっています。
全国で民事事件は11位、家事事件は32位です。
弁護士1人当たりが担当する民事事件の件数が、特に多くなっています。
5.沖縄県で弁護士や法律事務所をお探しですか?
以上、沖縄県における弁護士や事件の傾向について考えてきました。
沖縄県でも、1年間に相当数の民事・家事事件が発生しています。
特に、民事事件については、弁護士の数の割りに多くの事件が持ち込まれるため、1人の弁護士が多くの案件を抱えている状況です。
県内には260人余りの弁護士がいますが、いざ弁護士に相談しなければならなくなった時、どの弁護士に依頼すればよいか迷うのではないでしょうか。
弁護士費用には決まった基準がなく、事務所の裁量に拠るところが多いため、弁護士に相談や依頼をするときには、どれぐらいの費用が必要になるか知っておく必要があります。
当サイトでは、沖縄県の事情にくわしく、さまざまな問題に対して相談や依頼を受けた実績のある、また費用面もきちんと表示している弁護士だけを紹介しています。
沖縄県にお住まいの方で、弁護士に法律相談やご依頼を考えておられる方は、当サイトで紹介している弁護士を訪ねてみてはいかがでしょうか。
きっと、あなたのお力になれるでしょう。