駐車場内での当て逃げ!バンパーやミラーに擦られた後や傷がある場合の対処法

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駐車場に車を置いていると当て逃げされることがあります。

当て逃げされたら相手に損害賠償請求することも可能ですが、そのためには当て逃げ犯人が明確になっている必要があります。

また、駐車場内のトラブルは「交通事故」として取り扱われないケースもあるので、問題がより複雑になりやすい問題があります。

今回は、駐車場内で当て逃げ被害に遭った場合の対処方法について解説します。

1.当て逃げは、犯罪になる

(1)そもそも当て逃げとは

駐車場に車を置いていて戻ってくると他の車両が車に接触するなどして車両が傷ついていることがあります。

また、自分の見ている目の前で他の車両が自分の車に接触して、そのまま逃げてしまうケースもあります。

このように、他人の車に接触しておきながら、その場にとどまらずに逃げてしまうことを当て逃げと言います。

当て逃げとひき逃げの違いは人が傷つくかどうかということです。

人が傷ついたり死亡したりするとひき逃げになりますが、人が傷つかず、車などのもののみが傷ついたら当て逃げです。

(2)当て逃げは、犯罪

通常の物損事故の場合、犯罪には該当しません。

しかし、道路交通法には事故の報告義務を定めています。

そこで、車をぶつけたにもかかわらず、逃げてしまったら道路交通法違反による犯罪が成立します。

当て逃げの刑罰は、1年以下の懲役または10万円以下の罰金です(道路交通法117条の5)。

また、通常の物損事故では運転免許の点数は加算されませんが当て逃げをすると危険運転措置義務違反として、運転免許の点数も5点が加算されることになります。

2.当て逃げされたときの対処方法

それでは、当て逃げされてしまった場合、どのように対処したら良いのでしょうか?

(1) その場にいた場合

まず、当て逃げ現場に自分もいたケースでは、相手の車両の情報をできるだけ多く控えておくことが重要です。

車両のナンバーと車種、車の色や特徴を覚えましょう。

写真を撮影しておくことも役立ちます。

ナンバーについては、写真にはっきり写らないことがあるのと記憶があいまいになってしまうことがあるので、メモをとっておくことをお勧めします。

相手の情報がわかったら、後に警察に申告して比較的簡単に相手を特定することができます。

(2)その場にいなかった場合と共通の対処方法

その場にいた場合でもその場にいなかった場合でも、必ず警察を呼びましょう。

当て逃げの場合「どうせ相手は見つからない」「ケガしなかったからいいや」などと考えて警察を呼ばないで済ますことがあります。

しかし、当て逃げは上記で説明したように立派な犯罪ですし運転免許の加点もある悪質な行為です。

当て逃げを警察に申告することにより、相手が発見されることもあります。

当て逃げ犯人を特定するためには車のナンバー照会や監視カメラの確認などの作業が必要になりますが、こういった作業を個人の力で行うことには限界があります。

警察による捜査力を発揮してもらうと犯人が格段に見つかりやすくなります。

また、当て逃げを警察に申告しておかないと事故扱いしてもらうことができず、保険会社が対応してくれなくなるおそれもあります。

(3)保険会社に連絡する

次に、保険会社にも連絡を入れましょう。

当て逃げ被害に遭ったときには、自分の自動車保険の「車両保険」を利用できる可能性があります。

車両保険を使うと当て逃げによって発生した車の修理費用等を保険会社に出してもらうことができます。

犯人がしばらく見つからず、とりあえず自分で車の修理費用を負担する場合には車両保険を使うことによって負担を軽減することができます。

(4)証拠を探す

当て逃げ被害に遭ってしまったら、とにかく事故の証拠を探すことが大切です。
当て逃げの証拠として有効なものとしてはドライブレコーダーの画像や目撃者、監視カメラなどがあります。

自車にドライブレコーダーを搭載していたケースでは、その画像を確認すると当て逃げされたときの画像が写っていることがあります。

それを見ると、相手の車両を特定できて犯人検挙につながる可能性があります。

また、駐車場内に事故の目撃者がいる場合には、目撃者から情報を得ることにより相手を特定できることがあります。

当て逃げに気づいたら、周囲に人がいないかを見渡してみて人がいたら当て逃げ犯人を見ていないか確認しましょう。

見たという人がいたら、どのような車であったかを聞き出してメモをとり目撃者の連絡先も控えておきましょう。

さらに、近年各種の犯罪の検挙に効果を上げているのが監視カメラです。

駐車場には、監視カメラが設置されていることが非常に多いです。
そこで、駐車場の管理者に連絡を入れて監視カメラを確認させてもらいましょう。

もし、管理者が任意では協力してくれない場合には、警察に申告して警察から調べてもらうと良いでしょう。

また、「交通事故の証拠にも使える?ドライブレコーダーの種類と活用方法!」も併せてご参照ください。

3.当て逃げの検挙率


当て逃げ被害が起こったとき、実際に当て逃げ犯人が見つかって検挙されるのはどのくらいの割合なのでしょうか?

当て逃げの検挙率は30%程度です。

この数値は、他の交通事故と比べると低いです。
死亡事故の場合には90%以上の高い数値となっており、重傷の事故でも60%以上にはなっています。

警察も事故の結果が重大になるにつれて力を入れて捜査をしているということです。

ただ、検挙率が低いからといって警察に申告しなくても良いということではありません。
申告したら3割は相手が見つかるということですが申告しなければその可能性は0に近づいてしまうからです。

4.駐車場内のトラブルは交通事故にならないケースがある


駐車場内で当て逃げに遭ったとき、もう1つ知っておくべき重要な問題があります。
それは、駐車場内のトラブルは、交通事故扱いされないケースがあることです。

道路交通法が適用されるケースは、基本的には「道路」上での出来事に限られます。

公道であれば問題なく「道路」となりますが、私有地である駐車場は「道路」ではないため道路交通法が適用されず、警察を呼んでも対応してもらえないことがあります。

ただし、私有地であっても道路交通法が適用されることはあります。

道路交通法は「一般交通の用に供するその他の場所」にも適用されるからです。
つまり、駐車場であっても不特定多数の車両が横行する場合には道路交通法上の「道路」と認められます。

たとえば、多数の車両が往来するショッピングセンターの駐車場、ラーメン店などの飲食店の駐車場、コンビニの駐車場などの場合、道路交通法が適用されると考えて良いでしょう。

これに対し、月極駐車場の場合には限られた車両しか利用しないこともあり、道路交通法が適用されない可能性が高くなります。

5.相手が発見された後の対処方法


当て逃げ被害に遭い相手を発見できたら、その後どのように対応したら良いのかを説明します。

(1)相手に対し、損害賠償請求をする

この場合、相手に対し損害賠償請求をすることができます。
具体的には、以下のような費用の請求をすることが可能です。

①車の修理費用

当て逃げによって車が傷ついた場合には、車の修理費用を請求することができます。
修理工場で車の修理費用の見積もりを出してもらい、その金額を相手に支払ってもらえます。

②車の買い換え費用

車が全損状態となり、修理が不可能な場合や車の修理費用が車の時価を上回る場合には、買い換え費用を請求できます。

この場合の買い換え費用は、事故前の車両価格の時価となります。
新車購入価格をそのまま支払ってもらえるわけではありません。

③代車費用

車の修理中などには、代車が必要になることがあります。
その場合、代車費用を請求することができます。

代車費用は、通常レンタカー代を基準にして計算します。
公共交通機関の利用料やタクシー代を請求することも可能です。

④評価損

当て逃げされて傷がついたことにより車の評価額が現存してしまった場合には、相手に対しその評価損を請求することも可能です。

評価損を請求できるのは、車が新しい場合や走行距離が短いケースに限られます。

⑤休車損害

車を営業用に使っていた場合には、車を修理に出したり買い換えをしたりすることにより休車損害が発生してしまいます。
これについても、相手に対して支払い請求することができます。

(2)損害賠償請求の相手

相手が任意保険の対物賠償責任保険入っている場合、加害者の保険会社と示談交渉を進めていくことになります。

これに対し相手が無保険の場合(自賠責保険に加入している場合を含む)には、相手本人と示談交渉をしなければなりません。

自賠責保険には物損に対する補償がないので、当て逃げの場合、相手本人から全額の支払いを受けるしかありません。

相手に支払い能力が無い場合には、賠償を受けられない危険性も高まります。

(3)示談が決裂した場合、裁判をする

相手や相手の保険会社と示談交渉をしてもお互いの意見が折り合わず、示談が決裂することがあります。

その場合、訴訟によって対応するしかありません。
交通事故の訴訟は「損害賠償請求訴訟」です。

まず、相手が保険会社の場合には、通常の訴訟手続きを利用することをお勧めします。

これに対し相手が本人で、賠償金の請求金額が60万円以下なら「少額訴訟」という手続きを利用すると良いです。

少額訴訟は、非常に簡略化された訴訟手続きであり、すべての主張と証拠の審理、判決までが1日で終わります。

弁護士に依頼せず、被害者が自分で進めることもできます。
小さい物損事故で弁護士に依頼すると足が出るケースでの利用に向いています。

どちらの裁判の方法でも裁判所が判決を出してくれたら、その内容に従って相手から支払いを受けられます。

6.相手が見つからないときの修理費用について


相手が見つからない場合には、車をどのようにして修理すべきかが問題です。
この場合、自分の車両保険を利用して、車を修理する方法が考えられます。

ただし、車両保険にはコース設定があり、当て逃げ被害の場合には適用されない場合が多いので利用できるかどうか確認しなければなりません。

また、車両保険を利用すると保険の等級が3等級ほど下がってしまいますし、5万円の免責金額(最低限自分が負担しなければならない額)が設定されていることも多いです。

車の修理費用が安い場合には、車両保険を利用しない方が得になるケースもあるので、利用する際には、本当に車両保険を使った方が良いのかを慎重に検討しましょう。

まとめ

以上のように、駐車場で当て逃げ被害に遭った場合、いろいろと困難な問題があります。
困ったときには、交通事故問題に強い弁護士に相談してみると良いでしょう。

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