熊本県で活躍する弁護士や弁護士事務所の現状
1.熊本県の弁護士数は273人で全国第18位
九州の中央に位置する熊本県は、九州3位、全国7位の農業産出額を誇る農業県です。
トマトやスイカ、メロン、イチゴといった商品作物のほか、畳の材料であるい草の生産が有名です。
日本有数のカルデラである阿蘇山や熊本城など、観光資源にも恵まれ、さらに近年はハイテク産業などの企業誘致を積極的に行っています。
日本弁護士連合会によると、2017年11月1日現在、全国の弁護士数は38,843人となっています。
このうち、熊本県で活動する弁護士数は273人。
全国で18位の数であり、全国の弁護士の0.68%に相当します。
2.震災支援の無料相談を行う熊本県弁護士会
熊本県で活動する弁護士は、熊本県弁護士会に所属しています。
熊本県弁護士会は熊本市中央区京町1丁目、熊本城の北東に位置します。
すぐそばには熊本地方裁判所や熊本地方検察庁があり、県の司法の中心となっており、周囲には多くの法律事務所が集まっています。
熊本県弁護士会では、通常の法律相談のほかに、2016年に発生した熊本地震に関する無料法律相談を継続的に行っています。
また、会報誌「ひまわり」を定期的に発行し、公式サイトからもダウンロードできるようにするなど、市民の身近な存在として活動しています。
ところで、熊本県にはどれぐらいの女性弁護士が活動しているかごぞんじでしょうか。
県下で活動する女性弁護士は43人。
県下の全弁護士の中の女性比率は15.8%です。
本弁護士連合会によると、全国で活動する女性弁護士は7,172人となっていて、女性比率は約18.5%。
熊本県の数字は全国平均を下回っており、女性比率のランキングで全国17位です。
弁護士の救済を必要とする人には、DVに遭っていたり、シングルマザーとして懸命に暮らしていたりと社会的に立場の弱い女性も少なくありません。
熊本県の女性弁護士率は、九州で福岡に次いで2位の数字です。
今後、熊本県における女性弁護士のさらなる増加が期待されます。
続いて、熊本県の弁護士費用について見ておきましょう。
かつては、弁護士会で報酬に関する規定が定められていたようですが、現在は各事務所が独自で報酬を決めています。
熊本県の弁護士費用の相場は全国平均並みといわれています。
都市部に比べて県民所得や物価は低い熊本県ですが、弁護士費用はそうした動きとは相関性がないようです。
後述するように、熊本県では交通事故や金銭トラブルといった第三者間での争いよりも、相続や離婚などの問題で弁護士に相談をする人が多い傾向にあります。
いわば「お金を持っている人」を顧客とすることが多いため、弁護士費用も全国平均並みになるのではないかとも考えられます。
3.熊本県の刑事事件の件数は26位
ここからは、警察や検察、裁判所などが関与する刑事事件について、熊本県の傾向を見ましょう。
裁判所が発表している司法統計によると、平成28年度の高等裁判所・地方裁判所・簡易裁判所の刑事事件新受総数は以下のとおりです。
まずは高等裁判所から。
全国に8か所ある高等裁判所の刑事事件新受総数は10,211件です。
熊本県で起きた事件を管轄する福岡高等裁判所の刑事事件新受総数は1,101件で、8つの高裁の中で3番目に多く、全体の10.7%に相当します。
次に、各都道府県にある地方裁判所の刑事事件新受総数は、270,955件です。
熊本県内の事件を管轄する、熊本地方裁判所の刑事事件新受数は2,347件。
全国の地方裁判所のうち、25位の数字となっており、全体の約0.87%にあたります。
最後は各都道府県にある簡易裁判所についてです。
全国の簡易裁判所の刑事事件新受総数は712,247件。
熊本県には、熊本や玉名など13の簡易裁判所があり、簡易裁判所全体の刑事事件新受数の合計は7,692件です。
これは全国で28位、全体の約1.08%にあたります。
全国の地方裁判所と簡易裁判所の刑事事件新受数合計は983,202件。
熊本県の地方・簡易裁判所の刑事事件新受数合計は10,039件です。
これは全国26位の数字で、全体の1.02%にあたります。
それでは、刑事事件と人口について見てみましょう。
総務省が発表した、平成28年10月現在の日本の人口は126,933千人。
熊本県の人口は1,774千人、全国23位で日本の人口に対する割合は約1.3%です。
全国の地方・簡易裁判所の刑事事件受入総数に対し、熊本県の地方・簡易裁判所の総受入数の割合は1.02%となっており、人口の割合よりも低い数字です。
こうした数字から、熊本県は人口の割に刑事事件が発生する割合が低いといえるでしょう。
しかし、観光や就労をきっかけに県外から人の流入が進むと、今後は刑事事件の発生率が上昇する可能性もあるでしょう。
4.熊本県の弁護士が受けた家事事件の件数は、民事事件より612件多い
熊本県の弁護士が受けた法律相談には、どんな事件が多いのでしょうか。
弁護士に依頼をする事件として、おもに民事事件と家事事件があります。
民事事件とは、個人同士の間で起きる法律がらみの争いのことです。
交通事故や金銭の貸し借りのトラブルなどが該当します。
家事事件とは、家族や親族の間で起こる争いのことで、離婚や養育費、相続などをめぐる問題が該当します。
2016年版『弁護士白書』では、全国の弁護士会ごとに2015年の1年間に新たに受け入れた民事・家事事件の件数や、弁護士1人当たりの事件数などが公表されています。
熊本県弁護士会で1年間に受け入れた民事事件は1,429件、家事事件は2,041件となっており、家事事件のほうが612件多い結果になりました。
民事事件の数は全国で21位、家事事件の件数は全国で19位。
全国の弁護士会で2015年に受け入れた民事事件は143,816件、家事事件は140,830件となっていて、民事事件が少し多い傾向にあります。
一方、熊本県のケースでは家事事件のほうが多くなっており、民事事件の約1.42倍にのぼっています。
熊本県では、離婚や相続問題など家族間のトラブルで弁護士に依頼する人が多いことを示しています。
弁護士1人当たりが担当する事件の件数をみると、熊本県では弁護士1人に対して民事事件が5.4件、家事事件が7.7件となっています。
全国で民事事件は29位、家事事件は30位です。
弁護士数の全国順位に比べ、これらの順位が低くなっていることは、県下で活動する弁護士全体が引き受けている民事・家事事件の数に対し、弁護士数が足りているということなのかもしれません。
5.熊本県で弁護士や法律事務所をお探しですか?
以上、熊本県における弁護士や事件の傾向について考えてきました。
熊本県でも、1年間に相当数の民事・家事事件が発生しています。
特に、民事事件については、弁護士の数の割りに多くの事件が持ち込まれるため、1人の弁護士が多くの案件を抱えている状況です。
県内には270人余りの弁護士がいますが、いざ弁護士に相談しなければならなくなった時、どの弁護士に依頼すればよいか迷うのではないでしょうか。
弁護士費用には決まった基準がなく、事務所の裁量に拠るところが多いため、弁護士に相談や依頼をするときには、どれぐらいの費用が必要になるかあらかじめ知っておく必要があります。
当サイトでは、熊本県で起こるさまざまな問題に対して相談や依頼を受けた実績のある、また費用面でもきちんと表示している弁護士だけを紹介しています。
熊本県にお住まいの方で、弁護士に法律相談やご依頼を考えておられる方は、当サイトで紹介している弁護士を訪ねてみてはいかがでしょうか。
きっと、あなたのお力になれることでしょう。