誰もが当事者になり得る「交通事故」。
被害に遭ってしまった場合、何となく保険会社からお金が貰えることは知っているけど何がどのように貰えるのか知らない方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、交通事故の際に保険会社から支払われるお金(保険金)についてご説明いたします。
※この記事は2017年3月30日に加筆・修正しました
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目次
1.交通事故の際の保険金は、どんな費目に支払われるのか?
交通事故の際、保険会社は交通事故被害者の「損害」に対して保険金を支払うことになります。
それでは、交通事故で発生する損害にはどのようなものがあるのでしょうか。
(1)物損と人損
まず、交通事故で生じる損害は大きく「物損」と「人損」に区別されます。
物損は、車の修理費用など物の損害のことです。
他方、人損は怪我など人の身体に生じた損害のことです。
(2)物損の内訳
物損は更に、①積極損害と②消極損害に分類されます。
①積極損害
積極損害とは、交通事故によって被害者が支出を余儀なくされる損害のことです。
例えば、車の修理費用や車両の買替差額、代車費用等がこれに含まれます。
②消極損害
消極損害とは、交通事故がなければ得られるはずだった利益のことです。
例えば、営業車が稼働不可能になったことによる営業損害等がこれに含まれます。
(3)人損の内訳
人損では、物損同様に①積極損害、②消極損害、③慰謝料が発生します。
①積極損害
例えば、入通院費用や死亡した場合の葬儀費用や後遺症が残った場合の将来の介護費用等がこれに含まれます。
②消極損害
例えば、休職中に得られたはずの収入に相当する休業損害や交通事故がなければ得られていたであろう逸失利益等がこれに含まれます。
③慰謝料
交通事故の被害にあい、入院や通院で被った精神的苦痛に対する賠償です。
物損事故と人身事故との違いについてはこちらで詳しく解説しています。
2.交通事故に遭ってしまった際にできるだけ多くの保険金をもらう方法は?
交通事故に遭ってしまった場合、相手方の任意保険会社の担当者から保険金がこのくらいと提示されます。
しかし、交渉次第で保険会社が当初提示した額よりも多くの保険金が支払われることは少なくありません。
その理屈は、交通事故の際に生じた損害に対する賠償額の基準には自賠責基準、任意保険基準、裁判基準の3つがあるとされています。
(1)自賠責基準
自賠責基準とは、法律上の強制保険である自賠責保険の支払基準のことをいいます。
(2)任意保険基準
任意保険基準は、各損害保険会社が保険金支払のために用いる内部基準のことをいいます。
(3)裁判基準
過去の交通事故裁判の判例が蓄積してできた基準です。
賠償額は(1)から(3)の順に高くなると言われています。
そして、保険会社は営利企業ですので自賠責基準または任意保険基準で解決を図ろうとすることが多いです。
そのため、交渉によって裁判基準に近づけることで支払われる保険金額の増額を図ることが可能なのです(ただし、この交渉については、弁護士に依頼した方が良いです。詳細は後述します)。
(1)〜(3)については「交通事故の慰謝料を計算するために知っておきたい6つのこと」に詳しく記載いたしましたので、是非ご参考にしてください。
3.保険金を受け取るための手順
保険金受け取りの手順は、以下のとおりです。
(1)事故発生時
交通事故に遭ってしまったら、まずは警察に連絡しましょう。
保険金の支払いは、原則として警察の事故証明が必要だからです。
怪我人がいる場合は、救急車も忘れないようにしましょう。
落ち着いたら、当事者双方共に自分の加入する任意保険会社へ事故があったことを連絡しましょう。
事故対応についてアドバイスが受けられます。
(2)保険会社による調査
事故後、保険会社による事故の調査が行われます。
事故状況の把握や車両等の損害のチェック、怪我の状況確認等が行われます。
(3)保険会社からの保険金額提示、支払い
保険会社は、保険の契約内容と事故の内容を照らし合わせ「支払い対象となる保険金」を案内します。
そして、損害額についての協定や示談交渉が行われそれが終了して必要書類が揃った後に保険金が支払われることになります。
4.保険金獲得のための交渉は弁護士に依頼すべき?
(1)弁護士に依頼するメリット
もちろん、交通事故時や相手方任意保険会社との交渉は自分自身で行うことも可能です。
しかし、交通事故は様々な法的トラブルの中でも弁護士に依頼するメリットが大きいと言われています。
中でも、次の2点は大きなメリットです。
①賠償額の増額が相当程度期待できる
上述したように、交通事故時の賠償額には3つの基準があります。
相手方任意保険会社に対して、裁判基準にしてほしいと言うのは容易いです。
しかし、素人の方の意見はあまり聞き入れてくれないことも多いです。
細かな議論をされてはお手上げ、ということもあるでしょう。
他方で、弁護士が入った場合や専門家の意見として多くのケースで増額要求に応じているといいます。
さらに、保険会社との間に弁護士が入ると相手方の態度が変化することが多いので早い段階で解決が出来る可能性が高いです。
さらに、示談交渉で解決が困難な場合には訴訟を提起して増額を求めることも可能です。
このように、賠償額の増額は相当程度期待出来るのです。
②面倒事から解放される
交通事故時、保険会社に請求する内容は物損や怪我の治療費であったり入院や通院の慰謝料など様々あります。
交通事故の怪我が原因で後遺症になった場合は、自賠責保険会社による後遺障害等級の認定を申請した上で慰謝料を請求しなければなりません。
ですが、もし治療を受けている途中だったり仕事をこなしながら不慣れな書類関係のやり取りをするのは大変だと思います。
個人で全ての手続きや作業をこなして交通事故を解決することはとても難しいでしょう。
上記に対して個人で解決を目指すのではなく、弁護士を雇うことにより不慣れで大変な作業を代行してもらえます。
面倒事を代行してもらえるのは、大きなメリットです。
(2)弁護士に依頼するデメリット(弁護士費用)
デメリットとして、やはり弁護士に依頼する時に必要になる費用面だと思います。
下記にて、弁護士に依頼する時に必要な費用に関してご説明いたします。
①任意保険に弁護士特約がある場合
任意保険に弁護士特約がある場合、弁護士を雇う時に必要になる費用を最大300万円まで補償してくれる特約です。
ですので、自身が加入している任意保険に弁護士特約があるのであれば費用面に関して心配する必要がないのでデメリットではなくなります。
②弁護士特約がない場合
加入している任意保険に弁護士特約がない場合は、弁護士費用は自分で支払うことになります。
弁護士費用の参考として、弁護士会の旧報酬規定があります。
下記のとおりです。
経済的利益 | 着手金 | 報酬金 |
300万円以下の部分 | 8% | 16% |
300万円~3000万円の部分 | 5% | 10% |
3000万円~3億円の部分 | 3% | 6% |
3億円を超える部分 | 2% | 4% |
たとえば後遺障害等級14級の認定に基づいて、110万円の後遺症の賠償請求を依頼するとします。
この基準によれば、300万円以下の訴訟事件着手金(依頼時に支払う金額)は請求額の8%、報酬金(事件解決時に支払う金額)は得られた額の16%だから着手金が8万8000円、報酬金が17万6000円になる(いずれも税抜)。
合計26万4000円です。
ですが、現在は料金体系が自由化になっています。
ですので、事務所によっては上記の旧報酬規定より前後する場合もあります。
相場として、下記の完全成果報酬型が多くなっています。
- 着手金 無料
- 成功報酬 回収金額の10%+20万円
詳しくは個別の法律事務所に確認されるとよいでしょう。
また、弊社では交通事故問題に強い弁護士をご紹介しておりますので、是非ご活用ください。
まとめ
以上、交通事故時の保険金についてご説明いたしました。
ご参考になれば幸いです。