これを読んで下さっている方の中には、配偶者と離婚しようと離婚調停まで行ったものの調停が不成立となってしまい、いよいよ裁判を行わざるを得ない状況にある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
しかしながら、いざ裁判となるとどのように進めたら良いのか分からない方もいらっしゃると思います。
そこで今回は、離婚裁判について説明したいと思います。
ご参考になれば幸いです。
※この記事は2017年3月30日に加筆・修正しました
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目次
1.離婚裁判とは?
そもそも、離婚裁判とはどのようなものなのでしょうか。
まずは離婚裁判について説明していきます。
(1)離婚には大きく分けて3種類ある!
そもそも、離婚の仕方には大きく分けて以下の3種類があります。
- 本人同士の話合いによる「協議離婚」
- 家庭裁判所における話合いでの「調停離婚」
- 訴訟による「裁判離婚」
(2)離婚裁判とは?
離婚裁判と一般に言われるのは、夫婦の一方が家庭裁判所に対して離婚を求めて訴えを提起して相手方と離婚及びこれに関連する問題を争う場合のことを言います。
なお、裁判で離婚する割合は離婚全体の1~2%程度あり、3組に1組が離婚すると言われている昨今においては決して少なくはないです。
(3)離婚裁判で争われる内容は?
では、離婚裁判となった場合にはどのようなことが争われるのでしょうか。
協議離婚や調停離婚では、夫婦の合意さえあれば理由を問わず離婚することが可能ですが、離婚裁判の場合は裁判所が判断を示すものなので、まず法定の離婚原因がなければ離婚できないことになっています。
そのため、争われる点としては、まずは「法定の離婚原因があるかどうか」が挙げられます。
その他に離婚裁判で争われる点は以下の通りです。
- 慰謝料を支払うか、支払うのであればいくらか
- (子供がいる場合)親権はだれがもつか
- 財産分与はあるか、あるのであればいくらか
など。
上記については下記リンクでも詳しく解説しています。
2.離婚裁判の条件って?
では、離婚裁判を起こすにはどのような条件が必要なのでしょうか。
具体的に離婚裁判をするための条件について見ていきましょう。
(1)先に離婚調停をしなければならない
夫婦間の問題はまず当事者の間で話し合うことが好ましいという考えから、離婚裁判を行うためには原則として「調停を経なければいけない」とされています。
そのため、いきなり離婚裁判を起こすことはできず、まずは家庭裁判所に調停を申立てなければなりません。
(2)法律が定めた離婚原因が必要
また、前述のように裁判離婚となれば法律が定めた離婚原因がなければ離婚できないため、調停申立ての段階で話し合いが決裂した後の訴訟を見据えるのであれば、法定の離婚原因があるかどうかも検討しておく必要があります。
そこで、具体的な法定の離婚原因について見ていきましょう。
具体的には以下の通りです。
- 相手に配偶者以外と性的関係を持つ「不貞行為」があった
- 相手に同居や夫婦生活の協力を拒否したり、扶養義務を怠ったなど「悪意の遺棄」があった
- 相手が3年以上「生死不明」である
- 相手に回復の見込みのない「強度の精神病」がある
- その他DVや長期間の別居、性格や性的な不一致等婚姻を継続しがたい「重大な事由」がある
になります。
3.離婚裁判にかかる費用
では、離婚裁判となった場合にどのような費用がかかるのでしょうか。
訴訟をする場合、まず裁判所に納める収入印紙や郵便切手が必要になります。
(1)印紙代について
印紙代は、離婚だけを求める場合は1万3,000円、その他に財産分与や慰謝料等を求める場合、それに応じた額に増加されます。
(2)郵便切手代について
郵便切手代は、裁判所によって異なりますが東京地方裁判所であれば6,400円になります。
その他にも、弁護士を代理人とする場合には弁護士費用もかかります。
離婚裁判の費用をより詳しく知りたい方は「離婚裁判はどのくらいの費用がかかるの?弁護士費用の相場や依頼メリットについて」をご参照ください。
4.離婚裁判は弁護士に依頼するべきか?
離婚裁判は、弁護士に必ず依頼しなければならないわけではありません。
しかし、調停のような話し合いの手続きと異なり、訴訟となれば法律の知識が必要になるので弁護士に依頼することも視野にいれた方が良いこともあります。
そこで、弁護士に依頼した方がよいかを判断して頂くにあたり弁護士に依頼するメリットとデメリットについて説明していきます。
(1)弁護士に依頼するメリット
弁護士に依頼する場合には以下のようなメリットがあります。
離婚を成立させるために的確な主張をしたいのであれば、専門家である弁護士に依頼した方が良いでしょう。
- 必要な書面を作成してくれる
- 弁護士の専門知識や経験で訴訟を進めてくれる
- 代行で裁判所に行ってくれる
(2)弁護士に依頼するデメリット(弁護士費用)
一方で、弁護士に依頼した場合のデメリットとして費用はどれくらいかかるのでしょうか。
最近では、費用の見積もりをきちんと出してくれる弁護士が多いです。
一般的には、費用の内訳として、「相談料」「着手金」「成功報酬」となっていますが、おおよその相場は以下の通りです。
- 相談料 無料
- 着手金 30万円
- 成功報酬 30万円
となっています。
複数の弁護士に無料相談をした上で比較検討してみるのもいいでしょう。
今や弁護士もセカンドオピニオンを気軽に聞く時代です。
費用で悩んだら「法テラス」に相談するという手もあります。
弁護士をどうやって探したらよいのかお悩みの方のために、弊社では離婚問題に強い弁護士をご紹介しております。
5.離婚裁判の流れ
では、離婚裁判となった場合の流れはどのようになるのでしょうか。
ここでは離婚裁判の流れについてみていきます。
(1)離婚裁判の必要書類は?
離婚裁判をするにあたっては以下の書類が必要となります。
なお、この際に裁判所に納める印紙や郵便切手代も必要となってきます。
- 訴状(2通)
- 調停が不成立と証明する「夫婦関係調整事件不成立調書」
- 夫婦の戸籍謄本
(2)離婚裁判の訴状の書き方は?
離婚裁判の訴状には、離婚を求める旨や離婚原因を記載します。
もし、弁護士に依頼せずご自身で作成する場合には、以下の裁判所の雛形と記載例をダウンロードして作成される際の参考にして頂ければ幸いです。
(3)訴えた後の流れは?
訴状の提出がされた後は、当該訴状に対して被告側が答弁書を提出することになります。
その後、おおよそ月に1回裁判所の期日が開かれます。
この間で、原告被告の間で主張書面や証拠が相互に提出されます。
また、尋問は双方の主張から争点が絞られた後に行われることになっており、原告側の弁護士と被告側の弁護士が質問する時間がそれぞれに設けられていて、これが終わると裁判官が気になった点について質問するといった流れになっています。
そして、尋問が終われば判決が下されることになります。
もっとも、判決になる前に和解で解決が図られることもあります。
6.離婚裁判の期間の相場
次は、離婚裁判の期間について説明していきます。
相手方の争い方や財産関係の複雑さ等によって長期化する場合もあればあっさり終了することもあるため、一概には言えませんが相場の期間としてはおおよそ1年程度と考えて頂くのがよいでしょう。
7.離婚裁判で勝つためには?
では、離婚裁判に勝つためにはどのようにしたら良いのでしょうか。
裁判官は証拠に基づき判決を下すことになるため、何よりも証拠の存在が大きいです。
例えば、配偶者が不倫をした場合には不貞行為を裏付けるような「ラブホテルから出てきた写真」や、「不倫相手とのメールのやり取り」が挙げられます。
また、もしDV被害に遭っている場合には「医師の診断書」が証拠となります。
また、相手方に財産分与や慰謝料を求めるのであれば、相手方の財産を把握しておく必要もあるでしょう。
浮気の証拠を集める方法に関しては、RCL探偵事務所が運営する情報メディア「探偵はミタ」の「浮気の証拠を集める方法と集めた後の5つの選択肢」のコンテンツがとても参考になります。
8.判決確定後について
では、判決が下された場合には、すぐに離婚することができるのでしょうか。
離婚を認める判決が下された後、2週間以内に相手方が控訴、つまり高等裁判所に対して不服申立てがされなければ、判決が確定します。
判決の確定によって離婚は成立しますが、判決確定後10日以内に役所に判決書の謄本等を届け出ることが必要であるので注意が必要です。
ちなみに、提出先は全国どこの役所でも可能です。
まとめ
今回は離婚裁判について説明しましたが、いかがでしたでしょうか。
今回の話が離婚裁判を行う場合の参考になれば幸いです。