離婚に向けて離婚届を貰ってきたものの「正しい離婚届の書き方が分からない・・・」という方は多いかと思います。
分からないまま作成してしまうと、記載の不備とされ不受理になる可能性もあります。
とは言え、人生で何度も書くことがない書類ですから書き方をマスターしているという人は専門家以外にいないかと思います。
今回は「離婚届の正しい書き方」と「失敗しないためのポイント」を詳しく解説します。
参考になれば幸いです。
※この記事は2017年3月30日に加筆・修正しました
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目次
1.離婚届を書く前に事前に確認しておきたいこと
離婚することが決まり、離婚届を書く段階になっているにもかかわらず事前の準備ができていないと後日トラブルになりかねません。
ですので、下記を確認しましょう。
(1)離婚後のことを事前に決めておく
- 離婚後の戸籍(双方について)をどうするか
- 不倫やDV等があった場合には賠償額をいくら支払うか
- 財産分与をいくら支払うか
- 夫と妻のどちらが親権者となるか
- 子供がいる場合には養育費をいくら支払うか
- 年金分割はどうするのか
などです。
事前の決め事がまだの場合は、下記を参考にしてください。
- 離婚すると住民票や戸籍はどうなるの?変更方法や期日などを解説
- 離婚慰謝料請求できる金額の相場と請求方法
- 離婚時財産分与で多額の支払いを受ける方法!注意点や請求手続きも解説
- 離婚する前に知っておきたい親権と監護権の違いとは?
- 養育費の相場と計算方法
- 年金分割とは?離婚時の年金分割制度の手続きについて一から教えます
(2)協議した内容について離婚協議書を作成する
話し合いだけだと、「言った言ってない」と後々トラブルになる場合があります。
ですので、(1)で決めた事項に関して、離婚協議書を作成しましょう。
(3)証人を2人探す(協議離婚の場合)
証人が必要になりますので、予めお願いできる人を探しておきましょう。
詳しくは、後述の「3-(18)証人(協議離婚の場合のみ)」を参考にしてください。
2.離婚届を書くにあたっての注意点
(1)消えにくいペンを使う
離婚届を作成するにあたっては、基本的にボールペンなどを使用してハッキリと書きましょう。
(2)間違えてしまった場合
書く内容を間違えてしまった時の訂正方法は、間違えた箇所を二重線で消して横に訂正したことを証明するために「訂正印」を押しましょう。
※修正ペンや修正液は使いません。
(3)その他
基本的に離婚届けを書くときは、注意事項をしっかりと確認して記入をしましょう。
3.離婚届ダウンロード
もちろん、近くの役所でも取得することができますが、こちらより離婚届をダウンロードできますので、有効に活用してください。
※クリックすると新しいタブでpdfが開きます。
下記に注意しましょう。
- 自身でプリントした用紙だと受け取ってくれない役所もあります
- サイズは「A3」でプリントします
4.記入例を参考に実際に離婚届を書いてみよう
それでは、実際に離婚届を間違えの無いように書いていきましょう。
まずは、法務省のページに掲載されている記載例の画像を掲載したのでご参考にしてください。
では、各記載項目について詳しくご説明していきます。
(1)氏名
まずは、氏名です。
氏名は戸籍に記載されているもので、離婚前の氏名を記載することになります。
そのため、離婚届作成の段階では夫婦の氏は一緒になるはずです。
(2)生年月日
次は、生年月日です。
雛形では和暦を用いて記載していますが、西暦で記載しても和暦で記載しても問題ありません。
(3)住所
住所は、現在住民登録をしている住所を記載することになります。
住民登録をしている住所とは、住民票が実際に存在する住所のことです。
(4)世帯主の氏名
ここでは、「離婚後」の住居の世帯主を記載することになるので注意しましょう。
(5)本籍
離婚をする前の本籍地を記入します。
本籍がわからない場合は戸籍謄本を取得して確認しましょう。
そして、そこに記載されている本籍をそのまま記載するようにしましょう。
なお、ここで注意したいのは雛形のように「1丁目1番地」という形で記載することです。
くれぐれも、「1-1」という形では記載しないようにしてください。
(6)筆頭者の氏名
ここには、夫または妻の氏名を記載します。
(7)父母の氏名
実の父と母の氏名を記入します。
もし、父母が離婚している場合や既に死亡している場合であっても記載を省かず正確に記載することになります。
(8)父母との続き柄
ここでは、離婚する当事者と(7)で記載した実父母との続き柄を記載します。
雛形では、当事者双方が「長男」「長女」であるため、そのような記載になっています。
なお、ここで注意したいのは長男・長女以外の場合は必ず漢数字を用いた記載にすることです。
すなわち、「次男・次女」ではなく「二男・二女」と書くようにしましょう。
「三男・三女」以降も同様、漢数字で記載することになります。
(9)離婚の種別
調停離婚や裁判離婚等の時には、それぞれ調停成立日、判決確定日を記載します。
(10)婚姻前の氏にもどる者の本籍
元の戸籍に戻る場合には、元あった戸籍を確認の上本籍及び筆頭者の氏名を記載します。
(11)未成年の子の氏名
ここでは、未成年の子がいる場合のみ、その氏名を記載することになります。
おそらく離婚の話し合いの段階で夫婦のどちらが子供の親権を持つのかを決めているはずなので、親権を持つことになる側に子供の氏名を記載します。
雛形では、夫が親権者となっています。
(12)同居の期間
ここでは、同居を始めたときと別居したときをそれぞれ記載します。
①同居を始めたとき
結婚式の日付や一緒に暮らし始めた日付を記載します。
雛形では、「平成19年1月」となっています。
②別居したとき
別居した時期の日時を記載します。
雛形では、「平成24年2月」となっています。
(13)別居する前の住所
別居をしている場合は別居前の住所を記入しましょう。
夫婦が同居している場合は、空欄のままで良いです。
(14)別居する前の世帯の主な仕事
該当する箇所にチェックをします。
(15)夫妻の職業
夫婦の具体的な職業を記載する体裁になっていますが、記載するのは5年ごとに行われる国勢調査の時期だけで良いので、離婚届作成時が国勢調査の年でなければ記載しなくて構いません。
ちなみに、今年は国勢調査の年であり、今後は平成32年が予定されています。
(16)届出人の署名・押印
ここでは、必ず本人が署名・押印するようにしましょう。
代筆は不可です。
なお、ここでの印鑑は認印は使えますがゴム印は不可です。
(17)面会交流・養育費の分担
面会交流及び養育費の分担について、それぞれ該当する方にチェックを入れることになります。
これらの事項は、離婚と同時に届出をする必要はなく離婚後の協議によって定めても構いません。
すなわち、これらの事項が決まっていなくても離婚届は受理されることになります。
ただし、後々のトラブルを防ぐためにも離婚届作成時までには決めておいた方が良いでしょう。
(18)証人(協議離婚の場合のみ)
雛形にも注意書きがされているように、協議離婚の場合だけ証人が2名必要となります。
ここでは、証人は20歳以上である必要があります。
そして、証人に以下の内容を記載してもらった上で押印してもらう必要があります。
- 署名
- 生年月日
- 住所
- 本籍地
なお、もし証人が見当たらないという方は、離婚届証人代行サービスを行っている業者も存在するようなので一度ご検討されてみても良いのではないでしょうか。
5.その他必要書類について
では、離婚届以外に必要書類はいるのでしょうか。
この点については、離婚の形式によって異なります。
(1)協議離婚の場合
基本的に必要な届け出は離婚届だけです。
しかし、本人確認を求められるので運転免許証やパスポートなどを持参しましょう。
(2)調停離婚の場合
離婚届と一緒に下記の書類等が必要です。
①戸籍謄本
本籍の市区町村の役所に届出をする際は必要ありません。
②申立人の印鑑
相手方の署名捺印は必要ありません。
③調停調書の謄本
離婚調停が成立してからもらえます。
調停離婚の場合は、調停が成立した日から10日以内に届け出をしましょう。
これを過ぎると過料(罰金)の制裁が科される場合があるので注意しましょう。
(3)裁判離婚の場合
裁判離婚の場合にも、離婚届とともに以下の書類等が必要となります。
①戸籍謄本
本籍の市区町村の役所に届出をする際は必要ありません。
②申立人の印鑑
相手方の署名捺印は必要ありません。
③調停調書の謄本
離婚調停が成立してからもらえます。
④判決確定証明書
判決が確定した後に、判決確定証明申請書を裁判所に提出するともらえます。
判決が確定し、離婚が成立してから10日以内に届け出をしましょう。
10日を過ぎてしまうと調停離婚の場合と同様、罰金の制裁が科される可能性があるので注意しましょう。
6.費用について
協議離婚の場合には、役所で離婚届が受理されれば離婚成立となるため基本的には費用はかかりません。
離婚協議書を公正証書にする場合に費用がかかります。
詳しくは「公正証書にするためにかかる費用」をご参照ください。
7.書き終わったら役所に離婚届を提出する
書き終えた離婚届は、全国どこの役所に提出することも可能です。
ただし、戸籍のない役所に離婚届を提出する際には夫婦の戸籍謄本が必要となるので、この点には注意しましょう。
まとめ
今回は、離婚届の書き方について詳しく解説しました。
何度も書く書類ではないため慣れている人はほとんどいません。
本記事の記入例や注意点を参考にしていただき、記載漏れがないようにして提出してください。
前述しましたがダウンロードし自ら印刷した離婚届では認めてもらえないケースがあるので、お住いの役所に問い合わせた上で記入してください。