離婚したい、慰謝料請求できるのだろうか・・・?
夫婦が離婚する場合、離婚に際して慰謝料請求できるケースがあります。
もっとも、離婚慰謝料はいつでも請求できるわけではありません。
では、具体的にはどのような場合に請求できるのでしょうか。
不倫やDV、モラハラやセックスレスなど、事情はさまざまですが、今回はそれぞれの場合にどのくらい慰謝料を請求できるのかをご説明いたします。
また、それぞれの場合になるべく高額な慰謝料を請求する方法や慰謝料請求をするための具体的な方法に関しても併せてご説明いたします。
皆様のご参考になれば幸いです。
※この記事は2017年4月25日に加筆・修正しました。
- 交通事故
- 過払い
- 離婚問題
- 刑事事件
- 企業法務
- 遺産相続
- 労働問題
- B型肝炎
ホウツウがオススメする法律事務所が安心!
目次
1.離婚慰謝料とは
そもそも離婚慰謝料とはどのようなものでしょうか?
(1)離婚慰謝料とは
夫婦が離婚する場合、一方の当事者が相手方に対して金銭を請求出来る場合があります。
離婚慰謝料は、離婚に対して婚姻関係の破綻について責任のある当事者が相手方当事者に対して支払わなければならない慰謝料です。
離婚の原因である相手に対して慰謝料請求が可能です。
(2)離婚慰謝料請求できるケースとは
実際に「離婚慰謝料請求」が可能なケースはどういった場合なのでしょうか。
典型的な例が、不倫(不貞)をした場合です。
不貞(不倫)によって夫婦関係を破綻させた者に対して、もう一方の当事者が離婚慰謝料を請求することができます。
そのほかにも、たとえばDV(家庭内暴力)やモラルハラスメント、悪意の遺棄(夫婦の同居義務や扶助義務などに反して夫婦の相手方を見捨てること)、理由もなく性交渉を拒絶し続けた場合(セックスレス)などの場合にも被害を受けた側は相手に対して離婚慰謝料請求することができます。
※離婚慰謝料請求できる場合について詳しくは次の「2.離婚慰謝料を請求できる場合」の項目をご参照下さい。
離婚慰謝料に関しては、夫と妻の一方に「婚姻関係破綻」についての責任がある場合にのみ金銭が必要です。
ただの「性格の不一致」など、夫と妻がどちらが悪いのかわからない場合、金銭は発生しません。
離婚慰謝料の基礎知識としては、どのような離婚でも請求できるわけではないことを覚えておく必要があります。
2.離婚慰謝料を請求できる場合
先ほどは、そもそも離婚慰謝料とはどのようなものか、ということをご説明してきました。
「離婚慰謝料」を請求できる主なケースは下記です。
(1)不倫(不貞)があった場合
まずは、先ほども例に挙げたように夫婦の一方が不倫(不貞)をした場合です。
不貞行為はは、「離婚原因」に含まれています。
配偶者に対する深刻な裏切りです。
不貞によって婚姻関係が破綻した場合には、不貞行為をされた側は相手方に対して慰謝料請求をすることができます。
(2)DVがあった場合
婚姻中にDVがあった場合にも慰謝料請求が可能です。
そもそもDVとは「ドメスティックバイオレンス」の略で家庭内暴力のことです。
DVは、身体的な暴力には限られません。
たとえば、言葉の暴力など精神的な暴力もDVの1つであるし、妻にお金を渡さないなどの経済的な圧迫や暴力もDVに含まれます。
このようなDVの被害に遭った場合にも、相手方に対して慰謝料請求が可能です。
(3)モラハラ(モラルハラスメント)行為が行われた場合
婚姻中にモラハラ(モラルハラスメント)があった場合にも離婚慰謝料が発生します。
そもそもモラルハラスメントとは、相手方に対して人格攻撃などをする嫌がらせや精神的な暴力のことをいいます。
よくあるケースとしては、夫が妻に対して独占支配しようとするものです。
モラハラはDVの一種とも考えられています。
モラハラが離婚原因になった場合、離婚慰謝料請求をすることが可能です。
(4)悪意の遺棄があった場合
悪意の遺棄とは、配偶者の片方が相手を見捨てる行為です。
具体的には、特に理由もないのに配偶者との同居を拒否したり、一方的に家出をして相手方の生活の面倒を見ないケースです。
悪意の遺棄は、法律上の離婚原因にも規定されている(民法770条1項2号)。
そもそも夫婦には、法律上同居義務や協力義務、相互扶助義務が定められています。
つまり、夫婦であれば同居しなければならないし、生活においては互いに助け合わなければなりません。
ですが、夫が突然家を出て行って妻に生活費もまったく渡さないような場合、理由無く相手を見捨てたという悪意の遺棄と評価されて、妻側は夫に対して慰謝料の請求が可能となります。
(5)セックスレスの場合
そのほか、セックスレスの場合にも慰謝料請求が可能です。
もっとも、ただ単にセックスレスというだけでは慰謝料請求はできません。
慰謝料請求できるのは、単に性交渉を拒絶したというだけではなく、拒絶に理由がないことなども必要となります。
たとえば病気で体調が悪かったり、EDであるなどの事情がある場合には、性交渉を拒絶したとしても慰謝料は発生しません。
以上の通り、離婚慰謝料が発生する場合はさまざまです。
ただ、どちらかの配偶者に婚姻関係を破綻させる原因があるという点では共通しています。
3.離婚慰謝料の金額の相場は?
先ほどは具体的に離婚慰謝料請求できる場合についてご説明いたしました。
次は、離婚慰謝料の金額の相場についてお伝えしていきます。
この点、離婚慰謝料の金額に決まりはありません。
金額に関しては両者の話し合いで自由に決めることが可能です。
そのため、当事者双方が納得していれば、たとえば1000万円でも50万円でも問題ありません。
ただ、そうは言われても、請求する側はなるべく多く支払って欲しいですし、払う側はなるべく少なくしたいと考えるので、多くのケースでは相場に基づき慰謝料の金額が決定されます。
離婚慰謝料の相場は、それぞれの離婚原因によっても異なるので、以下ではそれぞれのケースにおける離婚慰謝料の相場を見ていきましょう。
(1)不倫(不貞)の場合
不倫(不貞)行為があった場合の慰謝料の金額の相場は、約100万円~300万円です。
高額な事案では500万円くらいになることもあります。
不貞の場合の慰謝料の金額は、以下のような事情が金額に影響します。
- 不貞期間の長さ(長いほど高額の傾向)
- 不貞行為の態様(例えば不倫相手が妊娠したような場合には高額に)
- 婚姻期間(婚姻期間が長いほど高額の傾向)
- 未成年の子どもの有無(夫婦間に子供がいる方が高額の傾向)
などによって異なってきます。
慰謝料の金額が高額になる、より具体的な事情について詳しくは「4.離婚慰謝料が高額になる場合」をご参照下さい。
(2)DV、モラハラの場合
DVやモラハラ行為の場合、慰謝料の相場は、約50万円~200万円です。
高額な場合には300万円程度になることもあります。
DVやモラハラの金額は、以下のような事情により決定されることになります。
- DVの頻度や程度(頻度が多いほど高額の傾向)
- モラハラの内容や程度(モラハラの程度が
- 被害者に後遺症が残ったかどうか(後遺症が残るような場合には高額の傾向)
- 婚姻期間(婚姻期間が長いほど高額の傾向)
- 未成年の子どもの有無(夫婦間に子供がいる場合には高額の傾向)
などによって異なります。
慰謝料の金額が高額になる具体的な事情について詳しくは「4.離婚慰謝料が高額になる場合」をご参照下さい。
(3)悪意の遺棄の場合
夫が妻に生活費を渡さないなどの悪意の遺棄の慰謝料の金額は約100万円~300万です。
悪意の遺棄の慰謝料も婚姻期間の長さや別居期間の長さ、生活費不払い期間の長さや未成年の子どもの有無などによって変わってきます。
慰謝料の金額が高額になる具体的な事情について詳しくは「4.離婚慰謝料が高額になる場合」をご参照下さい。
(4)セックスレスなどの場合
セックスレスの場合の離婚慰謝料の相場は、50万円~200万円程度です。
セックスレス期間が長いほど高額の傾向があります。
なお、セックスレスがある場合、それが単独の離婚原因ではなく不貞などの他の離婚原因が絡んでいる場合も多いが、その場合にはさらに多額の慰謝料が認められることになる。
4.離婚慰謝料が高額になる場合
先ほどは離婚慰謝料の相場についてご説明致しました。
請求する場合、「できるだけ高額もらいたい」と思う方もいらっしゃいますよね。
離婚慰謝料が高額になる場合に関してご説明いたします。
(1)一般的に慰謝料が高額になる理由
一般的に、離婚慰謝料が高額になるケースは、以下のような事情がある場合です。
- 婚姻期間は長ければ長いほど離婚慰謝料は高額になります
- 慰謝料を求める相手方の年収や社会的地位が高いほど慰謝料の金額は高額になります
- 相手方の年齢が高い方が慰謝料も高額になります
- 未成年の子どもがいる場合にも慰謝料の金額が高額になります
これらは、どのような慰謝料請求原因の場合であっても共通している基準です。
さらに、具体的な慰謝料の発生原因それぞれについて、個別に高額になる事情があります。
次は個別の事情に関してご説明いたします。
(2)不倫(不貞)慰謝料が高額になる場合
まずは、不貞慰謝料が高額になる場合を見てみましょう。
下記の場合が考えられます。
- 不貞関係が3年以上など長期になっている場合
- 不貞が原因で夫婦が別居してしまった場合
- 配偶者が不貞相手と同居している場合
- 不貞相手が子どもを妊娠したり出産した場合
- 不貞された配偶者が不貞によってうつ病などの精神病にかかった場合
などです。
上記のような場合には不貞による慰謝料は高額になる可能性が高くなります。
(3)DV、モラハラの慰謝料が高額になる場合
DVやモラハラが原因の離婚慰謝料が高額になるケースを見てみましょう。
DVやモラハラでの慰謝料が高額になる場合には、以下のようなケースがあります。
- 暴力の態様が激しい場合
- モラハラの態様や拘束方法が激しい場合
- 暴力やモラハラ行為が頻繁に行われた場合
- 暴力やモラハラが行われた期間が長い場合
- 暴力によって受けた怪我の程度が酷い場合
- 暴力によって後遺症が残った場合
- 暴力やモラハラによって被害者がうつ病などの精神病にかかった場合
上記のようなケースには、DVやモラハラによる慰謝料は高額になる可能性が高くなります。
(4)悪意の遺棄の慰謝料が高額になる場合
次に、悪意の遺棄による慰謝料が高額になる場合を見てみましょう。
悪意の遺棄による慰謝料は、以下のような場合に高額になります。
- 配偶者が一方的に家出をしてからの別居期間が長い場合
- 家を出て行かれた方の配偶者に特に落ち度が無い場合
- 家での回数や頻度が多い場合
- 夫が専業主婦の妻に対して生活費を支払っていない場合
- 生活費不払い期間が長い場合
上記のようなケースでは、悪意の遺棄による慰謝料が高額になる可能性が高くなります。
(5)セックスレスの慰謝料が高額になる場合
最後に、セックスレスの慰謝料が高額になる場合を見てみましょう。
下記のような場合です。
- 結婚してから一度も性交渉をしていない場合
- 3年以上など、長期にわたって性交渉を拒絶し続けた場合
- 夫婦間の性交渉を拒絶して、不貞相手と性交渉していた場合
上記のようなケースでは、セックスレスによる慰謝料が高額になる可能性が高くなります。
セックレスの事情に加えて不倫(不貞)という事情もある場合には、より高額な慰謝料が認められる傾向があります。
5.離婚慰謝料の請求方法
先ほどは高額な慰謝料が発生する場合についてご説明いたしました。
次は、具体的に相手方に対して離婚慰謝料を請求する方法に関してご説明いたします。
(1)まずは証拠を集める
離婚慰謝料を請求する場合、まずは事前に証拠を集めることが大切です。
相手に対して具体的に請求を行う前に、可能な限り多くの証拠を集めましょう。
以下では、それぞれの慰謝料発生原因ごとに、証拠の集め方をご紹介いたします。
①不倫(不貞)の証拠の集め方
不倫(不貞)慰謝料を請求する場合には、不貞の証拠が必要です。
不貞の慰謝料としては、興信所(探偵社)による報告書が有効です。
興信所に張りこみをしてもらって、配偶者と不貞相手が一晩を共にしたことなどが明らかになります。
その様子について記した報告書を入手できれば、不貞行為の証拠として認められる可能性が高いです。
もっとも、興信所は利用料金が高額になることが多く、各興信所によってサービス内容がまちまちなので、良心的な業者を見つける必要性があることに注意が必要です。
証拠は以下の通りです。
- 配偶者が保存している写真や動画
- 不貞相手とのメールや手紙、メモ、ブログ、SNSやツイッターなどの画面
- プレゼントを買ったり2人で食事をした際の領収証
- 2人でホテルに宿泊したり旅行した際の領収証やクレジットカード記録
などです。
これらについては、見つけたらコピーをとったり写真に写すなどして、大切に保管しておきましょう。
②DVの証拠の集め方
次に、DVの証拠の集め方です。
DVを証明するための証拠は以下の通りです。
- 暴力を振るわれて怪我をした際の診断書や病院の明細書
- 怪我の様子を撮影した写真
などです。
また、
- 暴力を受けた際にその様子の詳細を記録した日記やメモ
なども証拠となります。
③モラハラの証拠の集め方
モラハラの証拠としては、
- 相手方から頻繁に電話があった場合の着信記録や束縛的なメールの内容
- 相手方が渡してきたメモや指示書類
などがあります。
- 相手方が怒鳴ったり説教をしている際の録音記録
なども証拠となります。
さらに、相手方のモラハラ行為について詳細に日記に書き留めておくと、後に証拠として利用出来る。
④悪意の遺棄の証拠の集め方
悪意の遺棄の証拠としては、
- 相手方が別居していった経緯を記したメモや日記
- 生活費不払いの場合に相手方の給与振込通帳
などがあります。
生活費不払いの期間中に自分がどのようにして生活してきたかを説明する文書や資料、相手方がアパートなどに住んでいる場合にはその賃貸借契約書やアパートの写真なども証拠となります。
⑤セックスレスの証拠の集め方
セックスレスを証明するための証拠としては、相手とのやり取りや性交渉を拒絶された際の記録を残したメモや日記、録音記録などが挙げられる。
(2)夫婦間で話し合いをする
証拠がそろったら、次はどのような手続きを採ればいいのでしょうか。
①自分から離婚を切り出してもかまわない
慰謝料請求の証拠がそろったら、まずは夫婦間で離婚の話し合いをしましょう。
この場合、当方から離婚を考えていることを切り出すと良いでしょう。
離婚して金銭の支払いを請求をするなら、自分か離婚を話しても問題ないでしょう。
そして、相手に対して、それぞれの慰謝料の発生原因があることを言って慰謝料の支払いを求めるとよいでしょう。
②証拠の呈示方法
慰謝料の支払いを求めた際、相手方が素直に応じて支払いの話し合いができれば一番ですが、相手方が慰謝料の発生原因を認めないこともあります。
たとえば不貞の場合には、不貞の事実を否定する方も多いでしょう。
この場合には、証拠があることを告げたり、興信所の報告書などの証拠のコピーを呈示しましょう。
ただこのとき、証拠の原本を出してはいけません。
原本を出すと、相手方が興奮して取り上げたり破損したりするおそれがあるからです。
また、対策を練られるおそれがあるのでコピーを渡してもいけません。
あくまで呈示するにとどめるようにしましょう。
③協議離婚書を作成する
離婚協議を行う場合、金銭の発生原因を考慮して金額に関して協議を行いましょう。
話がついたら、離婚届を提出して慰謝料の支払いを受ける流れで進めましょう。
話がまとまった際には、協議離婚に際して協議離婚書を作成しておきましょう。
そして、慰謝料支払いについてはきちんと協議離婚書に書き込んでおくようにしましょう。
金銭の支払いが分割払いの場合は、協議離婚書を「公正証書」にしておきましょう。
「公正証書」にしておくと、相手方が金銭の支払いをしなくなった場合、「強制執行」(給料等を差し押さえる)ことが可能です。
④DVやモラハラ事案では話し合いは危険なこともあるので、いきなり調停をしたり弁護士に相談した方がベター
相手方が話し合いによって慰謝料請求をする場合、DVやモラハラの事案では注意が必要です。
これらの場合、離婚に関して話を出したり金銭の請求を行うと、相手が逆上してこちらに被害が及ぶ可能性があります。
そのような場合には、話し合いのステップは飛ばして、次の離婚調停の手続を利用して慰謝料の請求をする方が得策ですので、弁護士に相談してもよいでしょう。
また、DVやモラハラの相手方と離婚して慰謝料請求をする場合には、同居したまま話し合いを継続することは困難なので、調停前に家を出ておくことをおすすめします。
(3)離婚調停を利用する
相手に慰謝料請求を行う方法として、協議をしても互いに同意が困難なことがあります。
また、そもそも相手方が話し合いには全く応じないケースもあります。
この場合には、離婚調停を利用しましょう。
先ほどのように、DVやモラハラの事案の場合には、話し合いのステップを飛ばしてすぐに離婚調停を利用することが得策です。
離婚調停に関しては、家庭裁判所で行います、
夫と妻の間に調停委員が立って、「離婚条件」について協議を行います。
相手方と直接顔を合わせないので互いに感情的になることがなく、冷静に離婚条件について話し合いをすすめることができることが当事者間での話し合いと比較したメリットといえるでしょう。
DV事案などであっても、相手方に暴力を振るわれるおそれがありません。
さらに、第三者による調停委員が意見を述べたり当事者を説得してくれるので、自分たちだけでは譲歩できない当事者の事案であっても、妥協点を見つけることができます。
離婚調停を利用したい場合には、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所に夫婦関係調整調停(離婚)を申し立てます。
このとき、戸籍謄本が必要になるので、一通用意しておくとよいでしょう。
離婚調停では、月に1回程度家庭裁判所に通って話し合いを継続することになります。
同意が完了したら調停が成立します。
調停調書には強制執行力があるので、相手方が調停で決まった慰謝料を支払わない場合、調停調書を使って相手方の預貯金や給料などの財産を差し押さえすることが可能です。
(4)離婚訴訟を申し立てる
相手方に「離婚慰謝料請求」を行う場合、何をしても合意が出来ない場合があります。
上記の場合ですと、「離婚訴訟」を申し立てることが必要です。
離婚訴訟に関しては、裁判官が「離婚原因」と「慰謝料」の金額に関して判断します。
つまり、離婚原因と慰謝料の発生原因があれば、相手方に対して慰謝料支払い命令を出してくれるのです。
離婚訴訟を申し立てる先の裁判所は家庭裁判所となります。
ただ、離婚裁判で慰謝料を認めてもらうには、証拠が必須です。
裁判では、証拠がないことは認められないからです。
よって、上記で説明したような、慰謝料発生原因別の証拠類が非常に重要になってきます。
離婚訴訟を申し立てる場合には、弁護士の助力が必須になるので弁護士に手続を依頼することになりますが、集めた証拠を依頼した弁護士に渡して、使い方を相談すると良いでしょう。
きちんと証拠がそろっていれば、離婚訴訟の判決で離婚と慰謝料支払いが認められます。
これにより、離婚できるし、相手方からの慰謝料支払いも受けられます。
判決が確定した場合、「判決書」が作られます。
判決書には、「強制執行力」があるので、相手が金銭の支払いを行わなかった場合、やはり相手方の財産に「強制執行(差し押さえ)」を行うことが可能です。
また、判決の場合には、慰謝料の支払い方法は一括払いとなります。
6.離婚後3年間の間なら慰謝料請求できる
離婚慰謝料が発生していると考えられる場合でも、離婚の際には慰謝料請求しない場合があります。
たとえばDV事案などで、とにかく早く離婚したい場合です。
この場合、裁判などをして問題が長期化することを避けて、とにかく相手方に協議離婚届だけを書いてもらって役所に提出してしまうことがあります。
他にも、離婚時にはあまり深く考えずに慰謝料についての取り決めをすることなく、離婚届だけ提出してしまうことがあるかもしれません。
上記の場合、慰謝料を離婚後に請求することは可能なのでしょうか。
実は、離婚慰謝料の請求は離婚後も可能です。
具体的には、離婚後「3年間」は離婚慰謝料の請求が可能です。
離婚後に慰謝料を請求する場合には、まずは相手方に話し合いを持ちかけてもよいでしょう。
話し合いができる状況でない場合や、話し合いでは解決しない場合には、時効の問題もあるので早期に調停・裁判を提起することをおすすめします。
離婚後の慰謝料請求訴訟を申し立てる先の裁判所は、地方裁判所です。
裁判では、やはり証拠の有無や評価が問題になります。
離婚前に集めていた証拠などによって慰謝料発生の根拠になる事実が証明されれば、相手方に対して裁判所が慰謝料支払い命令が出て、さらに、判決書が作られるので、相手が命令を受けた慰謝料の支払いを怠った場合、相手の財産に対して「強制執行(差し押さえ)」をすることが可能です。
離婚慰謝料請求に関するまとめ
今回は、離婚慰謝料が請求出来る場合とそれぞれの慰謝料の金額の相場、慰謝料が高額になる場合や、慰謝料請求の方法などについてご説明いたしました。
現在配偶者との離婚を考えていて、相手方に対して慰謝料請求することを検討している方にとって、今回の記事が参考になれば幸いです。