交際相手からプロポーズされていよいよ結婚に向けて準備を進めていた矢先、その交際相手の浮気が発覚しその上婚約を破棄された。
親族や友人への紹介を終え、結婚式の日取りまで決まっていたのに許せない。
今回は、婚約破棄された場合の慰謝料及びその請求方法についてご説明いたします。
ご参考になれば幸いです。
※この記事は2017年3月30日に加筆・修正しました。
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目次
1.婚約破棄を理由に慰謝料請求が認められる場合とは
そもそも「婚約」とは、婚姻予約のことです。
将来結婚しようと定めた両者で決めた約束です。
そのため婚約も契約の一種ですので、正当な理由なく一方的に婚約を破棄した場合には契約に違反したとして損害賠償責任が生じることになります。
以下では、婚約破棄された場合に慰謝料が認められる条件についてご説明していきます。
(1)婚約の事実があること
まずは、婚約の事実があることが必要です。
婚約自体は、何か特別な方式が求められているものではないため書面でのやり取りがなくとも当事者の口約束だけでも成立します。
しかし、「ただ単に交際していただけであり、婚約まではしていない」などと反論されてしまうケースも多々あるため、婚約が成立したいえるような客観的な事実や証拠が必要となってきます。
婚約の事実があったといえるような事実としては、
- 既に結納を交わした
- 婚約指輪を渡した
- 両親や親族などへの紹介を済ませた
- 新居の契約をした
- 結婚式場の手配を済ませた
- 結婚を前提として職場を退職した
などが挙げられます。
なお、ただ単に同棲しているだけでは婚約の事実があったとは言えないので注意してください。
(2)婚約を破棄したことについて正当な理由がないこと
前述のように、婚約は一種の契約であるから婚約破棄が認められるためには正当な理由が必要です。
つまり、金銭の請求が可能なのは「正当な理由がないのに一方的に婚約破棄された」場合です。
ですので、「正当な理由」について知ることが必要です。
下記でご紹介いたします。
①正当な理由として認められるもの
- 両者どちらかに不貞行為があった場合
- 両者どちらかから虐待や重大な侮辱を受けた場合
- 合理的な理由もないのに挙式や婚姻届の提出を大幅に延期された場合
- 両者どちらかに社会常識を逸脱するような言動があった場合
- 両者どちらかが婚約後精神病や身体障害者になった場合
- 両者どちらかが失業し、収入が大幅に減少した場合
- 両者どちらかに前科や借金、元恋人との関係が清算されていなかった場合
など
②正当な理由として認められないもの
- 相性・性格の不一致
- 当事者以外が婚約を認めない
- 家柄が合わない
- 年回りが悪い
など
2.婚約破棄の慰謝料の相場は?
もちろんケースバイケースではあるが、婚約破棄の慰謝料の相場は約100万円です。
基本的な金額の幅としては約50万円から200万円です。
3.より高額の慰謝料を獲得できる場合とは
「2.婚約破棄の慰謝料の相場は?」でご説明したように、相場自体は50万円から200万円ほどです。
しかし、相場はあくまで相場であるため場合によっては相場以上の慰謝料を獲得できることもあります。
下記が挙げられます。
- 婚約破棄の理由が、別の異性と交際をするためという悪質な場合
- 婚約成立後長期間が経過しており、今後他の異性と交際・結婚・出産(女性の場合)が困難な場合
- 女性(妻となる予定の者)が妊娠又は出産している場合
- (特に女性の場合)結婚を理由に、キャリアアップを諦めたり、退職した場合
4.婚約破棄されて慰謝料請求する全手順
実は弁護士に依頼せずに、自身で婚約破棄を理由とした慰謝料を請求することができます。
(1)慰謝料請求の具体的方法
一般的によく利用される方法が、内容証明郵便を利用した請求です。
他にも、一般的な郵便や電子メールでも請求ができます。
(2)内容証明郵便に記載すべき事柄
内容証明郵便は法律的には一般の郵便物と変わりません。
ですが、郵便局が書面の内容を証明してくれるので証拠になります。
また、相手に対して精神的な圧力を与えることができます。
また、内容証明郵便は文字数が決まっています。
1枚520字以内で、縦書きの場合には1行20字以内、1枚26行以内、横書きの場合には1行20字以内、1枚26行以内です。
そして、上記字数制限の範囲内で、
- 婚約の事実
- 婚約破棄に正当な理由があること
- 慰謝料を請求する旨
- 請求金額
等の内容を記載します。
(3)慰謝料請求のための内容証明郵便の雛形ダウンロード
上記(2)で述べたところからお分かりのように、内容証明郵便を作成するのは一苦労です。
そこで今回は、婚約破棄された場合に慰謝料請求するための内容証明郵便の雛形を用意しました。
ぜひ、ご活用ください。
内容証明郵便を簡単に送る方法はこちらで詳しく解説しています。
(4)慰謝料請求をする裁判の方法
相手が慰謝料を支払ってくれない場合には、裁判を起こす必要があります。
ここでは裁判について説明していきます。
①裁判に必要な費用及び書類
- 訴状2部
- 証拠(「1.婚約破棄を理由に慰謝料請求が認められる場合とは?」で述べたもの)
- 収入印紙(請求する内容によって異なるので,訴状を提出する裁判所への確認が必要)
- 郵便切手(訴状を提出する裁判所への確認が必要
②裁判の流れ
裁判は、下記の順番で行われます。
- 訴状の作成
- 訴状の提出
- 相手方へ訴状の送達
- 第一回口頭弁論期日の決定
- 数回の口頭弁論を繰り返す
- 判決
状況によって裁判の途中で和解が成立することがあります。
信頼できる弁護士をお探しの場合はこちらをご参照ください。
まとめ
今回は、婚約破棄された場合の慰謝料について説明してきましたが、いかがでしたでしょうか。
婚約破棄は残念なことですが、新しい生活のためにこの記事をご参考にしていただければ嬉しいです。