配偶者のDVを理由に離婚できる?DVをされたら知っておきたい6つのこと

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結婚前は優しかったのに、結婚したらまるで別人になって、私に手を上げるようになった。もうこれ以上耐えられない。離婚したい。このような想いをされている方は少なくない。

DVを理由に離婚する場合、被害を最小限に離婚するためにはおさえておきたいポイントがある。これから離婚したいと考えている場合には是非。

今回は、配偶者のDVを理由に離婚する際におさえておきたいポイントを説明していきたい。ご参考になれば幸いだ。

目次

1、増えているDVの現状

2、配偶者のDVを理由に離婚できる?

3、DVを理由に離婚する場合に特に気をつけておきたい3つのこと

4、DVを理由に離婚する場合の慰謝料の相場は?

5、DVを奮う配偶者から身を守る5つの方法

6、離婚が成立したら知っておきたい!離婚後に注意すべきこと

1、増えているDVの現状

近年DV被害が増えていることをご存じだろうか。

警視庁の発表によると、平成26のDVに関する相談件数が、4,107件で、前年に比べ約1.5倍増となり、2000年の統計開始以来最多だった。

これらの数値から近年のDV件数が増加していることをお分かり頂けるだろう。

2、配偶者のDVを理由に離婚できる?

次は、配偶者のDVを理由に離婚できるかについて説明していこう。ここでは、(1)協議離婚・調停離婚の場合と、(2)裁判離婚の場合に分けて説明していこう。

(1)協議離婚・調停離婚の場合

当事者双方が話し合って離婚することに同意すれば、離婚することについて明確な理由がなくても離婚することができる。この場合の離婚のことを協議離婚と言う。

もし、当事者の一方が当初離婚することに反対していた場合で、家庭裁判所に離婚調停を申立てた場合でも、調停の場で当事者双方が離婚することに同意すれば、離婚することができる。この場合の離婚のことを調停離婚と言う。

要するに、離婚の理由を問うことなく、当事者双方が合意に至れば、協議離婚か調停離婚かの形に違いはあるにせよ、離婚することができる。

したがって、協議離婚・調停離婚いずれの場合でも、配偶者のDVを理由に離婚することはできる。

(2)裁判離婚の場合

当事者の一方が離婚することに反対している場合には、協議離婚・調停離婚はできない。この場合には、裁判離婚によってしか離婚できない。すなわち、裁判によって当事者に法定離婚事由(民法に規定されている離婚原因)があると認めてもらう必要がある。

裁判離婚の場合には、法定離婚事由があるかどうかを裁判官が判断することになる。そして、以下の離婚事由があれば離婚できるが、無い場合には離婚できない。

  • 相手方に不貞な行為があった場合
  • 配偶者から悪意で遺棄された場合
  • 配偶者の生死が三年以上明らかでない場合
  • 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがない場合
  • その他婚姻を継続し難い重大な事由がある場合

そして、配偶者のDVを理由に離婚しようする場合には、「その他婚姻を継続し難い重大な事由」があること、すなわちDVによって夫婦関係が修復不可能でこれ以上夫婦関係を維持していくことが困難であることを裁判所に認めてもらう必要がある。

では、具体的にどのような場合が「その他婚姻を継続し難い重大な事由」とされるだろうか。これは、暴力の程度(被害者のケガ、障害の程度を踏まえて判断)、暴力の期間、暴力の方法(言葉による暴力のみか、身体に対する暴力か、はたまた性的な暴力もあるのか、など)等を踏まえて裁判所によって、判断される。

3、DVを理由に離婚する場合に特に気をつけておきたい3つのこと

DVを理由として離婚する場合、相手が冷静ではない可能性が高いことから、他の離婚の場合と比較して注意しなければならない点がある。ここではそのような気をつけておきたいことを説明していきたい。

(1)DVを受けていることを示す証拠を集める

2、配偶者のDVを理由に離婚できる?」で説明したように、当事者双方が離婚することに同意しない限りは、裁判によって離婚をするしかない。そのため、裁判でDVを理由とする離婚が認められるように、DVの証拠を集めておくようにしよう。具体的には、以下のような証拠を集めたい。

  • あざや傷などを写した写真
  • 医療機関の診断書
  • 暴言を吐いている様子を録音したデータ
  • 警察や各種相談所で相談したことがある場合にはそこでの相談記録
  • DVをふるわれた日時や場所、具体的な経緯や暴行内容を記録した日記やメモ

など

(2)別居する場合には連絡先を教えない

DVをふるう配偶者の場合には、とりあえず別居しようとしても別居先の住所は絶対に教えないようにしたい。もし教えてしまうと、新たな住所に配偶者がやってきて、そこでDVをふるう可能性が高いからである。

やはり、DVの場合には、別居理由を告げるとさらなる暴力をふるわれる危険性が高いので、何も言わずに家を出た方が安全だろう。

(3)必ず第三者をいれて話し合う

DVが離婚の原因の場合、当事者間のみでの冷静な話し合いは期待できない。もし、相手に「離婚したい」などと言おうものなら、どんな暴力をふるわれるか分からない。やはり自分の身を守ることを優先し、第三者を絡めて話し合うようにしたい。

もし離婚する意思が固まっているようであれば、弁護士に依頼すると良いだろう。弁護士は、感情に流されることなく法的な観点から冷静に話し合いを進めてくれるはずである。

4、DVを理由に離婚する場合の慰謝料の相場は?

慰謝料の金額は、慰謝料請求が可能となった原因によって様々であるが、DVを理由に離婚する場合の慰謝料の相場としては、100万円前後で、幅としては50万円から200万円ほどと言われている。もっとも生死に関わるようなDVが行なわれている場合にはそれ以上の金額の可能性も十分有り得る。

なお、金額を決定する要素は以下の通りだ。

  • 婚姻期間(長いほど慰謝料が高額の傾向)
  • 相手の年収(高いほど慰謝料が高額の傾向)
  • DVの回数(回数が多いほど慰謝料が高額の傾向)
  • DVによるケガ、障害などの程度(重いほど慰謝料が高額の傾向)

5、DVをふるう配偶者から身を守る5つの方法

配偶者からDVをふるわれていている場合には、ご自身の身を守るために裁判所に保護命令を出してもらうことが可能である。

保護命令とは、配偶者(ここでは、現在の配偶者のみならず、元の配偶者や内縁関係も含む。)からの身体への暴力を防ぐため、暴力をふるったあるいは生命または身体に対する脅迫をした配偶者に対して被害者である配偶者に近寄らないよう裁判所が命じる決定のことを言う。具体的には、以下の5種類がある。

(1)接近禁止命令

接近禁止命令とは、6か月間、申立人(被害者のこと)の身辺につきまとい、またはその通常所在する場所の付近を徘徊してはならないことを命ずる保護命令のことを言う。

(2)電話等禁止命令

電話等禁止命令とは、被害者への接近禁止命令の期間中、次に掲げるいずれの行為も禁止する保護命令のことを言う。

  • 面会を要求すること
  • 行動を監視していると思わせるような事項を告げ、または知り得る状態に置くこと
  • 著しく粗野または乱暴な言動をすること
  • 無言電話、または緊急やむを得ない場合を除き、連続して、電話をかけ、ファクシミリ装置を用いて送信し、もしくは電子メールを送信すること
  • 緊急やむを得ない場合を除き、午後10時から午前6時までの間に、電話をかけ、ファクシミリ装置を用いて送信し、または電子メールを送信すること
  • 汚物、動物の死体その他の著しく不快または嫌悪の情を催させるような物を送付し、または知り得る状態に置くこと
  • 名誉を害する事項を告げ、または知り得る状態に置くこと
  • 性的羞恥心を害する事項を告げ、もしくは知り得る状態に置き、または性的羞恥心を害する文書、図画その他の物を送付し、もしくは知り得る状態に置くこと

(3)子への接近禁止命令

子への接見禁止命令とは、申立人への接近禁止命令の期間中、申立人の同居している子の身辺につきまとい、またはその通常所在する場所の付近を徘徊してはならないことを命ずる保護命令のことを言う。この命令は、相手方が申立人と同居している子を連れ戻す疑いがあるなどの事情があり、子の身上を監護するために申立人が相手方と面会せざるを得ない事態が生じるおそれがある場合に、申立人の生命または身体に対する危険を防止するために発せられる。

なお、子が15歳以上のときは、子の同意がある場合に限られる。

(4)親族等への接近禁止命令

親族等への接近禁止命令とは、申立人への接近禁止命令の期間中、申立人の親族その他申立人と社会生活において密接な関係を有する者(親族等)の身辺につきまとい、またはその通常所在する場所の付近を徘徊してはならないことを命ずる保護命令のことを言う。この命令は、相手方が親族等の住居に押し掛けて著しく粗野または乱暴な言動を行っていることなどから、申立人がその親族等に関して相手方と面会せざるを得ない事態が生じるおそれがある場合に、申立人の生命または身体に対する危険を防止するために発せられる。

なお、親族等が申立人の15歳未満の子である場合を除き、当該親族等の同意があるときに限られる(当該親族等が15歳未満または成年被後見人である場合には、その法定代理人の同意がいる。)。

(5)退去命令

退去命令とは、申立人と相手方が生活の本拠を共にする場合において、2ヶ月間、申立人と共に生活の本拠としている住居から退去すること及びその住居の付近を徘徊してはならないことを命ずる保護命令のことを言う。

(6)保護命令の申立て方法

①申立て前に必ずすること

申立て前に必ず、以下のうちいずれかをしておく必要がある。

  • 各都道府県にある配偶者暴力支援センターで相談
  • 警察で暴力について相談
  • 公証役場で暴力を受けた状況を供述し宣誓供述書を作成

②必要書類

申立てに必要な書類は以下の通りである。

  • 申立書2部(正本・副本として)
  • 法律上または事実上の夫婦である場合にはそれを証明する資料1部(例えば、戸籍謄本や住民票など。当事者双方のものが必要)
  • 生活の本拠を共にする交際相手である場合に相手方と生活の本拠を共にする事情を証明する資料2部(申立人及び相手方の住民票や生活の本拠における交際時の写真、メールまたは手紙の写し、住居所における建物の登記事項証明書または賃貸借契約書の写し、電気・水道・電話の支払請求書の写し、本人や第三者の陳述書など)
  • 暴力や脅迫を受けたことを証明する資料として2部(例えば、診断書や受傷部位の写真、本人・第三者の陳述書など)
  • 相手方から今後身体的暴力をふるわれて生命や身体に重大な危害を受けるおそれが大きいことを証明する資料2部(例えば、本人や第三者の陳述書、メールまたは手紙の写しなど)

なお、子への接近禁止命令を求める場合や親族等への接近禁止命令を求める場合には、必要な書類が別途必要になる。

③申立てにかかる費用

申立てには、1,000円分の収入印紙と2,000円程度の郵便切手が必要になる。

なお、郵便切手代については申立先の裁判所によって異なるので、実際に申立てをする裁判所に直接確認して頂きたい。

ちなみに、東京地方裁判所に申立てをする場合には、2,500円分の郵便切手(内訳:500円×2枚、280円×2枚、100円×5枚、50円×5枚、10円×17枚、1円×20枚)が必要になる。

④申立先

申立先は、

  • 相手方の住所の所在地(日本に住所がないとき又は住所が不明なときは居所)
  • 申立人の住所又は居所の所在地
  • 当該申立てに係る配偶者からの暴力・脅迫が行われた地

を管轄する地方裁判所になる。

⑤申立書の雛形の入手方法

申立書は、実際の申立先の裁判所でももらうことができるが、裁判所のホームページでもダウンロードすることができる。

そこで、例えば、「東京地方裁判所 保護命令申立書」や「大阪地方裁判所 保護命令申立書」といった具合に、申立先の裁判所名と保護命令申立書を掛け合わせて検索して頂くと申立書の雛形をダウンロードすることができる。

ちなみに、

⑥申立書の記載例

申立書を記入するにあたっては、福岡地方裁判所の「保護命令申立書の記載等要領」が参考になるので、こちらをご参考にして頂きたい。

(7)保護命令に違反した場合

相手方が保護命令に違反した場合には、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科される。

6、離婚が成立したら知っておきたい!離婚後に注意すべきこと

無事に離婚が成立したにもかかわらず、依然として元配偶者からのDVに悩まされている方も少なくない。しかし、そのような場合には、以下のような対策を取ることが可能である。

(1)離婚前からDVを受けていた場合

①裁判所への保護命令の申立て

まずは、裁判所に対して保護命令を申立てることが可能である。

なお、この点については、「5、DVを奮う配偶者から身を守る5つの方法」で説明したので、こちらを参考にして頂きたい。

②損害賠償を請求する

元配偶者からのDVによって怪我をしたり精神的な損害を被った場合には、治療費や慰謝料を請求することができる。

(2)離婚後にDVをふるい始めた場合

①ストーカー規制法に基づく対応

離婚後に元配偶者がDVをふるい始めた場合には、(1)で説明した裁判所への保護命令の申立てをすることができない。なぜなら、この保護命令は、離婚後にDVが始まった場合を対象にしていないためである。

そのため、離婚後に元配偶者がDVをふるい始めた場合には、ストーカー規制法に基づく対応を警察に求める必要がある。警察に相談をすれば、元配偶者に対して警告や場合によっては禁止命令が下されることになる。

②刑事告訴

元配偶者からDVを受けて怪我をした場合には、刑法上の傷害罪が成立することになる。また、所有物を壊された場合には器物損壊罪が成立することになる。そのため、これらにあたる行為がなされた場合には、警察に刑事告訴をすることもできる。

まとめ

今回は配偶者のDVを理由に離婚できるかどうかについて説明してきたが、いかがだっただろうか。今回の話が、配偶者のDVを理由に離婚しようか悩まれている方のご参考になれば幸いだ。

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