最近、ドライブレコーダーがにわかに注目を浴びています、もともと交通事故対策を主眼としていましたが、最近では多機能なものも増えており多彩な楽しみ方も可能になっています。
また、ドライブレコーダーの単価も下がってきているので、これまではなかなか手が出なかった人でも購入しやすくなってきています。
このように話題となっているドライブレコーダーですが、詳しいことはまだ一般的に知られておらず、そもそも、いったいどのようなものなのでしょうか? ドライブレコーダーの種類や単価、利用方法を知っておきたいところです。
また、実際に交通事故に遭った場合、ドライブレコーダーを証拠として利用することはできるのでしょうか?
今回は、ドライブレコーダーについて解説します。
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目次
1.ドライブレコーダーとは
最近世間で注目を集めているドライブレコーダーですが、これは自動車にカメラや記録媒体を設置することによって、自動車の運転状況の画像を記録してくれる機器です。
ドライブレコーダーを自動車に設置すると、交通事故が起こった前後などの自動車の前方や後方の画像を残すことができます。
交通事故発生時以外の場面や車内の様子を撮影できるものもあります。
現在、ドライブレコーダーは交通事故の予防や交通事故が起こった場合の事故状況の記録装置として注目されており、徐々に普及がすすんでいます。
2.ドライブレコーダーの機能
ドライブレコーダーにはさまざまな機能があります。
まずは、自動車の前方の様子を映像で記録できることです。
このことにより、交通事故が起こった場合の証拠に利用出来る可能性があります。
これが最低限のドライブレコーダーの機能です。
これに足して音声が入る機能があったりGPS機能がついていて走行軌跡を記録できたり、ディスプレイ内蔵型で、その場で映像を見ることができる機能がついているものもあります。
また、カメラが1つのものは前方しか撮影できませんが、カメラが2つついているものは、後方や車内の様子も撮影する機能があります。
カーナビ機能やワンセグ機能がついているものもあります。
どの程度の機能がついているものを選ぶかについては、お財布と相談して決めると良いでしょう。
ただ、交通事故対策のための運転状況の録画のためには、前方の映像録画ができれば最低限の用は足せます。
できれば後方の画像も記録できるものを選ぶとより安心です。
また、ドライブレコーダーの映像をフラッシュメモリなどに保存して取り出せるタイプのものもあり、これを利用すると映像を自宅のパソコンなどで確認することができます。
たとえばドライブ時の映像を録画しておいて、その様子を自宅で鑑賞して楽しむことなどができるようになります。
このように、ドライブレコーダーの機能はさまざまで、機能に応じて価格も変わります。
3.ドライブレコーダーの種類
ドライブレコーダーには、いくつかの種類がありますので、以下でご紹介します。
(1)衝撃感知型(トリガータイプ)
ドライブレコーダーには衝撃感知型のものがあります。
トリガータイプとも呼ばれます。
衝撃感知型とは、自動車が何かに衝突するなどしてレコーダーが衝撃を感知した場合に作動して映像を撮影するタイプのドライブレコーダーです。衝撃がない場合にも録画したいときには、録画ボタンを押せば録画ができる機能がついたものもあります。
交通事故に無関係な無駄な映像が録画されないメリットがありますし、録画のための容量も少なくて済むので、比較的安価です。
かつてはドライブレコーダーの主流だったので、機種もたくさん出ています。
(2)常時録画型
常時録画型のドライブレコーダーがあります。
これは、交通事故が起こったかどうかとは無関係に、常に録画を続けるタイプの機種です。
常に録画を続けるため、メモリーが大きくなり、高額になることが多いですが、近年ではメモリーの価格が低下してきたため、比較的安価で入手できるようになっています。
実際にドライブレコーダーの主流は衝撃感知型から常時録画型へ移ってきている傾向があります。
常時録画型は録りこぼれがない点にメリットがあります。
衝撃感知型では、衝撃がないと録画されないので、たとえば車を壁にすっただけのケースなど、あまり衝撃がなかった場合には録画されないおそれがあります。
この点、常時録画型であれば、そのような録りこぼしは起こりません。
ただし、交通事故の画像や録りたい画像とは無関係のどうでも良い画像まですべて録画されてしまうというデメリットがあります。
(3)ミックス型
最近では、上記の衝撃感知型と常時録画型を組み合わせたタイプのドライブレコーダーも発売されており、このミックス型のドライブレコーダーは、基本的に常時録画をしていますが、衝撃が感知された場合には、その前後の映像を取り出して、独立したファイルの形で保存します。
このように、事故前後の映像を独立させることによって、誤操作で映像を消すおそれが低くなりますし、事故前後の映像を検索しやすくなります。
(4)多機能型
ドライブレコーダーには多機能型のものもあります。
たとえばカーナビやワンセグ、レーダー探知機などのさまざまな機能がついているものです。
一台で必要なカー用品の機能をこなせるので、自動車内がすっきりして使いやすいです。
また、個別にいろいろな機器を購入するよりも、結局費用が安くなることも多いというメリットもあります。
4.ドライブレコーダーの取り付け方
次にドライブレコーダーの取り付け方をご紹介します。
ドライブレコーダーには一体型と分離型があります。
一体型は、カメラ部分と本体部分が一体になっているタイプです。これに対して分離型は、カメラ部分と本体部分が分かれています。
まず、一体型の場合には、本体を両面テープでフロントガラスに取り付けて、電源をシガーソケットにつなげるだけです。
分離型の場合には、カメラ部分をフロントガラスに取り付けて、本体部分は足元やダッシュボード、トランクルームなどにおきます。
この場合も電源はシガーソケットからとります。
ドライブレコーダーの設置は難しくないので、自分でもできます。
5.ドライブレコーダーの単価
ドライブレコーダーの単価は機種によってさまざまですが、全体的に低額化してきています。
かつてはかなり高価で、常時録画型のものなどは5万円を超えることも多かったです。
しかし近年では価格が下がってきており、だいたい2~3万円程度のものが主流になっています。
また、衝撃感知型の安価なものだと1万円以下で購入できるものもあります。
交通事故対策としては、衝撃感知型の安価なものでも最低限対応可能ですので、資金に余裕がない場合には、このような安価なものを試してみることも考えられます。
6.裁判の証拠に使えるか?
ドライブレコーダーは交通事故対策として注目されていますが、実際にこれを交通事故の証拠に利用することができるのかという問題があります。
これについては、意見が分かれるところですので、以下で見てみましょう。
(1)事件との関連性があれば証拠利用出来る
ドライブレコーダーの証拠価値については、いろいろなところで議論されています。
参考程度にしかならない」という意見もあります。
確かに、ドライブレコーダーはデジタル記録なので、修正を加えるなどの変造のおそれがないとは言えません。
しかし、改ざんのおそれがあるからといって、何の証拠能力もないということにはなりません。
たとえば、携帯電話のメールなども改ざんのおそれはありますが、裁判の証拠として用いられています。
また、民事裁判では刑事裁判ほど厳格な証拠能力が求められません。
事件との関連性があれば証拠として採用されて裁判所の心証形成に使われます。
この場合、どのくらいその映像に価値があるかについては裁判官による評価になるので、どのような映像も同じように証拠価値があるわけではありません。
たとえば明らかに主張内容に一致したはっきりした画像が残っていればそれは有力な証拠になりますし、そうでない場合にはあまり高く評価されない可能性もあります。
このように、どのくらいの証拠価値を持つかという問題はありますが、少なくとも事件との関連性があれば最低限の証拠能力自体はあり、裁判で証拠として利用することができます。
(2)一部を切り取って証拠利用する場合
ドライブレコーダーの映像を交通事故の証拠として利用する場合、映像の一部を切り取って証拠提出することがあります。
このように、一部を切り取って証拠提出すると、改ざんなどのおそれがあるので有効かどうかが問題です。
まず、ドライブレコーダーを利用する場合、特に常時録画型の機種などの場合には、全体の録画量は膨大になります。
よって、それらをすべて裁判所に提出することは通常はしません。
必然的に、事故前後の一部の画像を取り出して提出することになります。
しかし、そうなると相手方から「改ざんしているかも知れない」「自分の都合良く編集して提出している」などと言われてしまうおそれがあり、裁判所からもそのような評価を受けてしまうことがあります。
そこで、ドライブレコーダーの一部の画像を切り取って証拠提出する場合には、合わせて映像全体の記録も提出すると良いでしょう。
このようにすれば、「都合のよい箇所だけ切り取っている」と言われることもありませんし、改ざんしていると言われることもありません。
(3)ドライブレコーダーの証拠としての利用方法
ドライブレコーダーを証拠として利用する具体的な方法をご紹介します。
たとえば、信号が赤か青かが争われているとします。
この場合、ドライブレコーダーにははっきりと信号の色が映っていることが多いでしょう。
すると、ドライブレコーダーの映像を提出することにより、どちらの主張が正しいかが明らかになります。
また、交通事故では警察による実況見分調書が重要な証拠として取り扱われます。
ところが、実況見分の際には、交通事故の一報当事者の話しか聞かないで作成されることがあります。
たとえば交通事故で自分が重大な傷害を負って、病院に搬送されてしまったようなケースです。
このような場合、相手方の言い分に従って実況見分調書が作成されてしまうので、被害者である自分にとって不利な内容になっている可能性があります。
この場合にもドライブレコーダーが役立つ可能性があります。
ドライブレコーダーに事故当時の状況がはっきり映っているため、相手方の説明と違った内容が録画されていると、実況見分調書の内容にかかわりなく相手方の主張を崩すことができます。
このように、ドライブレコーダーを利用すると交通事故裁判で大変有利に働くことがあります。
(4)ドライブレコーダーの証拠利用事例
ドライブレコーダーの実際の証拠利用事例を見てみましょう。
① ケース1
タクシーと乗用車の衝突事故の事例です。
タクシー会社は乗用車に対して、乗用車による信号無視があったとして損害賠償を請求しましたが、乗用車がこれを認めなかったため、裁判になりました。
裁判において、タクシー会社からドライブレコーダーの画像が提出されました。
ここに信号の色が映っていたため、乗用車がタクシー会社に対して損害賠償をする内容で和解が成立しました。
② ケース2
タクシーと乗用車の追突事故の事例です。
タクシーが片側2車線の右側車線道路を走行中、左側の車線に車線変更をすると、タクシーの後方から乗用車が追突しました。
この事例では、乗用車側が、タクシーが無理に左側に車線変更したことが原因で事故が起こったのだと主張したため、争いになり裁判になりました。
ドライブレコーダーが提出されて明らかになったのは、乗用車もタクシーの後を着いて右側車線を走行していたということでした。
乗用車もタクシーと同時に左側に車線変更をしたため、追突したというのが真相でした。
このようなことも、ドライブレコーダーなしでは明らかにならなかったことです。
ドライブレコーダーの証拠としての価値がいかに高いかということがわかります。
7.ドライブレコーダーを証拠に利用するメリット
ドライブレコーダーを証拠として利用すると、さまざまなメリットがあります。
まず、自分の主張に沿った事実を明確に立証できることが挙げられます。
先ほどご紹介した事例のように、たとえばどちらが信号無視をしていたかが争われるケースでは、ドライブレコーダーの画像なしに明確に判断することは難しいです。
この点、ドライブレコーダーの映像記録があると、明らかに信号の色を証明することができます。
また、十分な車間距離をとっていたかや、無理な横断や進路変更があったかなどの事実もドライブレコーダーの画像から判断できることが多いです。
いかに正しい主張をしていても、それを立証できなければ裁判では勝てません。
ドライブレコーダーを利用すると、自分の主張する事実の明確な証明資料として利用出来るので、裁判を有利にすすめられることがあります。
8.ドライブレコーダーを証拠に利用するデメリット
ドライブレコーダーを利用するデメリットもあります。
それは、ドライブレコーダーには自分にとって不利益な映像が記録されてしまう可能性があり、たとえば自分の側が信号無視をしていることもありますし、無理な運転をしていたケースもあるでしょう。
この場合、ドライブレコーダーの提出によって、自分に不利益な事実が証明されてしまうことがあります。
この点、自分に不利な部分の画像を切りとって他の映像だけ提出しようと考えるかも知れませんが、裁判の相手方から「一部を作為的に提出している」とか「映像の全部を提出するように」と言われたら、結局全部の映像を提出せざるを得ません。
すると、結局自分にとって不利益な事実が明らかになってしまいます。
このことはドライブレコーダーを証拠に利用するデメリットです。
このデメリットを避けるには、ドライブレコーダー自身の提出をしないことですが、その場合には自分にとって有利な部分の利用もできない事になります。
まとめ
今回は、交通事故対策や交通事故裁判の証拠資料として注目を浴びているドライブレコーダーについて解説しました。
ドライブレコーダーとは、自動車の前方に設置されたカメラによって、自動車の前方や後方などの映像を録画できる機器のことです。
常時録画型や衝撃感知型などの種類があります。最近では価格も安くなっており入手しやすいです。
ドライブレコーダーは交通事故の裁判の証拠に利用することもできます。
自分にとって有利な事実を明確にすることができますが、反面自分にとって不利な事実も証明されてしまうデメリットがあります。
交通事故の防止や裁判になった場合の対処としては非常に有用なので、自動車を運転するなら、ぜひとも設置しておくと良いでしょう。