これを読んで下さっている方の中には、離婚に向けた話し合いが上手くまとまらず、このままでは離婚調停になってしまうという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ところが、実際に離婚調停がどれくらいの期間を必要とするのかを知っておられる方は少ないと思います。
そこで、今回は離婚調停にまつわる内容について説明させていただきます。
※この記事は2017年10月11日に加筆・修正しました。
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目次
1、離婚調停の期間の相場
まず、離婚調停の期間の相場についてお知りになりたいのではないでしょうか。
結論として、離婚調停の申立てから解決までの期間の相場は約半年と考えて頂ければと思います。
ただ、あくまでも相場ですので、早ければ1ヶ月くらいで終わるものもあれば、長ければ1年以上かかることもあります。
以下では具体的に短期間で解決する場合と長期間かかってしまう場合について例を挙げていきます。
(1)離婚調停が短期間で解決する場合
まずは離婚調停が短期間で解決する場合をみていきます。
具体的な事例は以下の通りです。
お金の問題で争っているのであれば短期で終わる傾向が強いです。
①財産分与の金額で争っている場合
まずは、財産分与の場合です。
離婚する夫婦は、お互いの財産状況をよく知っているはずなので、あまり無茶な要求をしていても払えないため金額の折り合いがつきやすく早期解決が望めます。
②慰謝料の金額で争っている場合
次に、慰謝料の場合です。
相手が不倫の事実を認めているのであれば、慰謝料には相場があり、その相場を参考にして金額が決められるため早期解決が望めます。
ただし、不倫の証拠がなく相手が不倫の事実すら否定している場合には、長引いてしまうこともあり得ます。
③養育費の金額で争っている場合
さらに、養育費の場合です。
相手の収入や子供の人数でおおよその相場があり、その相場を参考にして金額が決められるため早期解決が望めます。
④調停が不調に終わって早々終了する場合
そして、夫婦の言い分があまりにも食い違っていて、話し合いでは折り合いがつけられなくなって、調停が不成立(不調)で早々終了する場合です。
(2)離婚調停が長期化する場合
一方、長期化する場合についてみていきましょう。
①そもそも離婚するかどうかで揉めている場合
まずは、夫婦の一方は離婚したいと思っているが他方は離婚したくないと思っている場合です。
この場合は、当然協議離婚はできないから離婚するか否かを調停委員の仲裁の下で話し合うことになります。
しかし、夫と妻のどちらかが離婚したくないと主張していたとしても、一概に離婚調停が長引いてしまうわけではありません。
判例に従って最終的に離婚調停で離婚が認められる可能性があると思った時は離婚調停が不調に終わってしまっても、裁判で認めれれる可能性が高く早期に離婚調停が成立することがあります。
判例の具体例としては有責配偶者からの離婚請求が挙げられます。
有責配偶者とは、簡単に言えば、不倫をした方の配偶者のことで、有責配偶者からの離婚請求の場合には、原則として離婚できないことになっています。
ただ、当該夫婦の同居期間と対比して別居期間が長期で、高校生以下の子供がいないような場合には例外的に認められることがあります。
このような場合には、たとえ離婚に反対しても裁判で離婚という結論が変わらない可能性が高いため、調停で早期に決着できる可能性があります。
ちなみに意外と思われる方もいらっしゃるとは思うが、不倫した配偶者からでも離婚調停はできるのです。
また、必要に応じて「協議離婚についての解説と慰謝料を確実に得る方法」と「有責配偶者が離婚するにはどうすればいい?解決方法を詳しく解説」も併せてご参照ください。
②子供がいる場合
次に、子供がいる場合です。
子供がいる場合、親権をどちらが持つのかという問題や養育費は支払うのかという問題があるため、長期化の要因になっています。
親権で揉めている場合にはより長期化しやすいです。
特に子供が未成年だと離婚届に親権者を明示する必要があるため、離婚する前に親権者を決めておかなくてはなりません。
そのため、親権で揉めていると調停が長期化してしまいます。
これに対し、養育費で揉めている場合は、支払う方の年収や子供の人数でだいたいの相場があるため相場に従って決められることもあります。
また、必要に応じて「離婚後の親権者の決め方と親権を確実に得る方法」と「養育費算定表以上の養育費を獲得することは可能?交渉方法や注意点を解説」も併せてご参照ください。
2、実際に離婚調停を短期間で終わらせるためにはどうしたらいい?
次は離婚調停を短期間で終わらせる方法について説明していきます。
(1)調停委員を味方につけよう!
調停委員は、離婚調停において仲裁する役割があります。
離婚調停で自分たちの主張を通す場合は調停委員を味方につけることがとても重要です。
調停委員にいかに「同情」してもらえるかが重要なポイントになるため、第一印象は重要です。
(2)離婚調停申立書の記載内容に注意せよ!
次に、離婚調停の時に書くことになる申立書に書く内容も重要です。
調停委員は、申立書を調停の前に読むから書かれている内容で調停委員の第一印象が決まることになります。
結婚生活中に嫌な思いをした場合、過去の出来事を事実に基づいて書いていきましょう。
ただし、経緯を書く時に悪口のようなことを書くのはやめましょう、一般的に悪口を言う人は良い印象をあまり持たれないからです。
(3)弁護士を活用すべきか?
離婚調停は、話し合いの手続きであるため代理人をつけている場合でも本人が出席するのが望ましいです。
そうすると、本人が出席するのであるからわざわざ高い弁護士費用を出してまで弁護士に依頼するメリットはなさそうにも思えます。
しかし、離婚調停においても弁護士を利用するメリットはあります。
離婚するかしないかで調停をしている場合、離婚を希望する側に弁護士がついていると調停委員は「この人本気で離婚したがっている。離婚の意思は固そうだ。」と思ってくれるのです。
なぜならば、高額な弁護士費用を出してまで弁護士をつけて調停に臨んでいるのであれば、調停委員は「この人本当に離婚したいんだな」という第一印象を持たせることができるからです。
したがって、弁護士に依頼することは重要なのです。
(4)証拠もきちんと出そう!
さらには、自分の主張を根拠づけるような証拠があれば、きちんと提出することが望ましいです。
証拠を提出しておけば、主張の根拠になるため相手方が争いづらくなる上、調停委員に有利な印象を持たせることができます。
証拠としては、例えば以下のものが考えられます。
- 浮気や不倫の場合には、「相手がラブホテルに出入りしている写真」や「不倫をしていると思わせるようなメールのやりとりの画像」
- DVを受けた場合には、「医師の診断書」
- 婚姻費用を請求する場合には、生活費を入れてもらえなかったことを実際に示す「通帳のコピー」や「家計簿」
(5)その他
調停をする際には、前もってメモを書いておきましょう。
人生で離婚調停を何度も経験するわけではないですし場所も家庭裁判所という非常にお堅い場所で行われるので、ある程度緊張してしまうと思います。
そのような場合に、調停委員に伝え漏れが起こらないように前もってメモを書いておいて、そのメモを見ながら伝えることをお勧めします。
3、離婚調停を終了させる方法
離婚調停の最中に離婚をやめたいと思った時は、取下書を提出することで、いつでも離婚調停を取り下げることができます。
この際には、相手の同意は不要で一方的に取り下げることができます。
まとめ
今回は、離婚調停を短期間で行うための方法について説明しました。
皆様のご参考になれば幸いです。