これを読んで下さってくれている方の中には、現段階で離婚をするために討論の真っ只中という方もいるのではないでしょうか。
すでに離婚を考えている相手との同居をやめて、別居生活を送っていて、生活費に困っている方もいるのではないでしょうか。
そのような場合に利用して頂きたい制度が、相手方に対して「婚姻費用分担請求」することです。
婚姻費用分担請求すれば、相手方から生活費をもらうことが可能です。
そもそも婚姻費用とは、夫婦が日常生活を送るために必要な費用のことで、具体的には衣食住に使う費用だったり、医療費、さらには子供がいれば子供の養育にかかる費用も含まれます。
今回は、婚姻費用について書いていきます。
※この記事は2017年4月27日に加筆・修正しました。
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目次
1.婚姻費用の金額は決まってる?相場は?
まず、そもそも婚姻費用が決まっているのか、相場などについて書いていきます。
結論からいうと、婚姻費用は夫婦の話し合いで自由に決めることができるので、いくらもらえるかは一律には決まっていません。
しかし、ある程度の目安がないと夫婦も婚姻費用を決められないでしょう。
なので、実際には婚姻費用算定評を用います。
婚姻費用算定表とは、家庭裁判所が夫婦の年収や子供の人数に応じた形で婚姻費用の額をまとめたものです。
実際に婚姻費用を決める際は、婚姻費用算定表が用いられます。
2.婚姻費用の計算方法は?
次に、婚姻費用はどうやって計算するのかについて順を追って見てみましょう。
(1)婚姻費用利用手順について
まずは、婚姻費用算定表を用いた婚姻費用の計算方法だが、以下の1~4の流れで進めていくことになります。
- 子供の人数・年齢を確認して利用すべき婚姻費用算定表を選ぶ
- 支払う側の年収を確認後、婚姻費用算定表の縦軸で該当する金額を確認し、右に線を引いていく
- もらう側の年収を確認後、婚姻費用算定表の横軸で該当する金額を確認し、上に線を引いていく
- 両者の年収(2本の線)が交わるポイントが婚姻費用の金額
以下では具体的な方法について説明していきます。
(2)子供の人数と年齢から婚姻費用算定表を選ぶ
まず、現在の子供の人数に応じて自分に合った婚姻費用算定表を用いることになります。
婚姻費用算定表とは、婚姻費用の算定をするために使う資料のことです。
以下の文字をクリックすると裁判所のサイトからダウンロードできるので試してみて欲しいです。
例えば、3歳の子供が一人いる場合15P目の表12を利用することになります。
(3)支払う側の年収を確認する
次は、婚姻費用の支払いをする相手の年収を確認しましょう。
ここで注意をすべきは、支払いをする側が自営業か給与取得者のどちらかで婚姻費用算定表の見方が変わります。
給与所得者の場合、縦軸の「給与」の方を見ることになります。
年収の確認方法としては源泉徴収票を利用することをお勧めします。
一方、自営業者の場合は、縦軸の「自営」の方を見ることになります。
こちらの方の年収の確認方法は、確定申告書を利用して年収を確認するとよいでしょう。
(4)支払われる側の年収を確認する
次は、先程と逆で、支払われる側の年収を確認することになります。
ここでも支払う側と同様に給与所得者か自営業者かで表の見方が異なり、給与所得者の場合、横軸の「給与」の方を見ることになります。
年収の確認方法としては源泉徴収票を利用するとよいでしょう。
一方、自営業者の場合は、横軸の「自営」の方を見ることになります。
こちらの方の年収の確認方法は、確定申告書が適しているでしょう。
(5)婚姻費用額の決定
以上の作業によって年収の線が2本交差したのではないでしょうか。
その交差点の額が実際に受け取ることが可能な婚姻費用です。
例えば、夫の年収が600万円で妻の年収が400万円のサラリーマン夫婦に3歳の子供が一人いる場合は、以下の通り月額2万~4万円が婚姻費用の相場になります。
3.婚姻費用分担請求の流れは?
婚姻費用が確定したら、次は実際に相手が方に婚姻費用分担請求することになります。
ただし、相手方が素直に受け入れて支払ってくれるとは限りません。
直接話し合って支払ってもらう約束ができればよいですが、実際に話し合うことすら難しいこともあります。
ここでは、そのような場合に婚姻費用分担請求をする流れについて書いていきます。
具体的な流れとしては、まずは内容証明郵便を送ることになります。
それでもダメなら、婚姻費用分担請求調停をすることになります。
ここで注意したいことは、別居した場合にはすぐに請求するようにしましょう。
以下、実際に婚姻費用分担請求する流れについて説明していきます。
(1)内容証明郵便で婚姻費用を請求する
そもそも内容証明郵便は、郵便局が「誰に対して、いつ、どのような内容の書面を出したか」を証明する郵便のことです。
効果としては、相手に心理的プレッシャーを与えることにあります。
費用としては、1,000円から2,000円程度であります。
そして、同じ書面を3通用意することも忘れないでください。
婚姻費用分担請求をするにあたって、今回内容証明郵便に記入する内容として以下の通りです。
- 別居の事実
- 婚姻費用を請求する意思と金額
- 婚姻費用の支払い期限
- 婚姻費用を振り込んでもらう口座
- もし婚姻費用を支払ってくれない場合には、調停を起こす意思表示
今回は、簡単に準備できるように内容証明郵便の雛形を用意したので、ぜひダウンロードしていただきたいです。
その他、内容証明郵便の送り方はこちらで詳しく解説しています。
(2)婚姻費用分担請求調停
最後に、婚姻費用分担請求調停についてです。
①必要書類は?
まず、調停をするためには、婚姻費用分担請求調停を申し立てる必要があり、婚姻費用は2,000円程度です。
用意すべき書類は以下の通りです。
- 婚姻費用分担請求調停の申立書
- 夫婦の戸籍謄本
- 申立人の収入関係の資料(源泉徴収票、確定申告書、給与明細等)
- 相手方の収入関係の書類(お持ちであれば)
②婚姻費用分担調停の申立書の雛型と記載例
具体的に雛形をダウンロードしてみましょう。雛形は裁判所のホームページからダウンロード可能です。
詳しい書き方は同じく裁判所の記載例を参考にしていただきたい。
まとめ
今回は婚姻費用にまつわる内容について書いてみたが、いかがだったでしょうか。
離婚の話し合いを進めていく中で、婚姻費用を請求して生活費を確保しておくことは非常に重要といえます。
ぜひ今回の話を参考にして自らで婚姻費用を請求して頂ければ幸いです。