勾留から裁判までの流れと起訴された際の対処法を解説

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刑事事件の被疑者になってしまったら、どのような流れで手続きが流れていくのか不安に感じることでしょう。

まずは逮捕されて、起訴されて、刑事裁判にかかり判決を受けることになります。

その間、どのくらいの期間がかかるのか早めに身柄を解放してもらう方法がないのかなど押さえておくべきです。

今回は、刑事事件の被疑者が疑いをかけられて判決を受けるまでの流れについて解説します。

1.刑事事件の手続きの流れ一覧


まずは、どのような流れで、刑事事件の手続きが進んでいくのか流れを一覧で確認しましょう。

  • 任意捜査
  • 逮捕
  • 検察官送致と勾留決定
  • 勾留延長
  • 不起訴処分または起訴決定
  • 略式命令または通常の刑事裁判
  • 判決

何らかの犯罪の嫌疑をかけられて被疑者となっても、そもそも逮捕されなければ身柄拘束されませんし逮捕されても勾留決定が行われなければ釈放されます。

さらに、勾留されたとしても不起訴処分となれば釈放されますし在宅起訴される場合にも身柄拘束は受けません。

刑事事件の被疑者となっても必ずしも身柄拘束されるとは限らないのです。

身柄拘束を受けるといろいろな不利益が及びますから、なるべく避ける方向で手続きをすすめましょう。
以下では、手続きの流れを順番に確認していきます。

また、「刑事事件の流れについて最低限知っておきたいこと」も併せてご参照ください。

2.任意捜査


捜査機関から何らかの嫌疑をかけられるとまずは任意で捜査が開始されることが普通です。

任意捜査とは、被疑者が強制を受けない捜査です。
室内を強制的に捜索されることはありませんし呼出を受けても断ることは可能です。

ただ、捜査を拒み続けていると嫌疑が高まって逮捕されてしまうおそれもあります。

任意捜査の段階で適切に対応していたら逮捕されない可能性もあるので、弁護士に相談しながら最も適切な対処をしましょう。

3.逮捕


任意捜査によって嫌疑が固まったら、警察は裁判所に申請をして逮捕状を取ります。
逮捕状が発布されたら、それにもとづいて逮捕されることとなります。

この方法による逮捕は通常逮捕ですが犯罪現場を現認されたときには、現行犯逮捕されることもあります。

逮捕されると警察の留置場に身柄を拘束されることとなります。
留置場では、外部との接触も非常に制限されます。

電話やメールなどはもちろんできませんし、手紙も警察によるチェックを受けることとなります。
「接見禁止」という処分をつけられると、弁護士以外の人とは一切接触できなくなります。

この場合、家族であっても面会したり手紙のやりとりをしたりすることができません。
なお、警察が逮捕によって被疑者の身柄を拘束できる期間は48時間だけです。

また、必要に応じて「留置場の身内や知人と面会したい!接見するための方法を解説」も併せてご参照ください。

4.釈放


逮捕されても微罪などの場合には、検察官に送致されずに釈放されることがあります。

よく、「留置場で1泊2日を過ごした」などと言っている人がいますが、そうした人は逮捕されて48時間以内に釈放された人です。

また、必要に応じて「刑事被告人の保釈手続きとは?いつどのようなタイミング方法で認められる?」や「家族や友人、知人が逮捕されたら?釈放のためにできること」も併せてご参照ください。

5.検察官送致と勾留決定


被疑者を逮捕したら警察は48時間以内に検察官に被疑者の身柄を送致する必要があります。

そして、検察官は被疑者の身柄受取後、24時間以内に「勾留決定」を受ける必要があります。
勾留決定がないと被疑者の身柄を解放しなければならないためです。

そこで、検察官は被疑者の身柄の送致を受けると速やかに裁判所に対し「勾留請求」をします。
すると、裁判所で「勾留質問」が行われます。

このとき、裁判官から逮捕事実を読み上げられて「この事実について、何か言いたいことはありますか?」などと聞かれます。
たいてい、被疑者が何を言っても勾留決定されてしまいます。
勾留期間は10日です。

また、「勾留質問とは?どのような流れで何を聞かれるのかを解説!」も併せてご参照ください。

勾留決定が行われると被疑者は引き続き、警察の留置場内で身柄拘束され続けることになります。

勾留決定の際にも「接見禁止」がつけられることがあります。
逮捕時に接見禁止がついていた場合には、引き続き、接見禁止処分をつけられることが非常に多いです。

この場合、最低10日は被疑者は家族を始めとして誰とも面会、接触できなくなるので大変大きな不利益が及びますし、不利な自白をしてしまうおそれも高くなります。

弁護士なら、接見禁止処分がついていても制限時間なく面会ができますし手紙のやりとり等もできるので、接見禁止がつけられた場合には、特に弁護士に対応を依頼する必要性が高いです。

また、「留置場の身内や知人と面会したい!接見するための方法を解説」も併せてご参照ください。

6.在宅捜査について


検察官送致後、勾留されずに在宅のまま捜査が継続することがあります。
このような手続きを在宅捜査や在宅事件と言います。

在宅捜査になった場合には、自宅で普通に生活することができますが、おとがめなしになったのではなく後日起訴されるおそれもあるので安心してはいけません。

7.勾留中の取り調べと捜査


勾留期間中は、被疑者は警察によって取り調べを受けたり実況見分に立ち会ったりすることになります。

取り調べ時に話した内容は「供述調書」という書面にまとめられます。

供述調書は、後に刑事裁判になったときに利用される可能性がある重要な書類なので、不利な内容や虚偽の自白をしないよう注意が必要です。

警察に脅されたりなだめられたりして、自分の意図していなかったような内容の供述を行い供述調書にとられてしまうこともあります。

そのようなことを防ぐには、弁護士についてもらって接見に来てもらいアドバイスを受けたり励ましてもらったりするべきです。

また、「刑事事件で作成される供述調書とは?作成方法や注意点を解説!」と「刑事事件の取り調べとは?手続きの進み方を解説!」も併せてご参照ください。

8.勾留延長または起訴、不起訴


勾留期間が10日になると検察官は、被疑者を釈放するか引き続き勾留し続けるかあるいは起訴するかを選びます。

犯罪の嫌疑がないと判断したら勾留の延長を行わずに不起訴決定をして釈放します。
もし、10日の捜査で犯罪の嫌疑と証拠が十分そろったということであれば、この時点で起訴されることもあります。

検察官が、10日ではまだ捜査が十分でないと判断したら勾留延長の請求を行います。
これを受けて裁判所が勾留延長の決定をしたら、それに従って引き続き勾留され続けることとなります。

実際には、勾留延長が行われるケースが多いです。
延長された場合の勾留期間の日数は10日ですから、当初の勾留期間と合わせると最大20日間勾留が続くことになります。

逮捕時からカウントすると最大23日間身柄拘束を受ける可能性があるということです。

9.検察官による処分決定


勾留期間が満期になったら、検察官は被疑者の処分を決定します。
このとき、再度の勾留延長はできません。

検察官が決定する可能性のある処分は、以下の4種類です。

(1)通常起訴

被疑者を正式な刑事裁判にかけて、裁判所で有罪無罪や適用する刑罰を決めてもらうことです。

(2)不起訴処分

不起訴処分とは、犯罪の嫌疑がない場合や事件が微罪その他の理由により被疑者に刑事罰を与える必要がないとして、起訴しないで事件を終了させる決定です。

この場合、おとがめなしとなり無罪放免と考えて良いです。

(3)略式命令

略式命令は、刑事裁判の1種です。

ただ、実際に裁判所における審理は開催されず、書類上だけで審査が行われて判決が出ます。
罰金刑のケースのみに適用される方法です。

(4)処分保留(起訴猶予)

処分保留(起訴猶予)とは、勾留期間内に適切な処分方法を決められないので、いったん被疑者を釈放する処分です。

この場合、捜査は続行されるのでおとがめなしというわけにはいかず、後日あらためて刑事裁判になる可能性もあります。

上記のうち、処分保留や不起訴処分、略式命令となった場合には身柄が解放されます。

不起訴処分なら完全に無罪放免ですし、処分保留となった場合にも後日不起訴処分がなされることが多いです。
略式命令の場合にも、一応刑事手続は継続しますが在宅で裁判が続行します。

これに対し、通常裁判が選択されると起訴後勾留の手続きにより、身柄拘束が続くことが普通です。

10.略式命令


略式命令が選択された場合には、被疑者は釈放されるので自宅に戻ることとなります。

また、勾留されずに在宅で捜査が続いていた場合にも、略式起訴されることがあります。

この場合、検察官から事前に「略式でいいですか?」と聞かれるので「いいです」と答えてサインをすると略式手続きが選択されることになります。

略式起訴された場合には、被疑者に対して裁判所から呼出状その他の書類が届くことはありません。

しばらくすると裁判所から起訴状と罰金の納付書が送られてきます。
そこで、罰金を納付したら刑を終えたことになり、すべての手続きが終了します。

略式命令となった場合、被疑者は「刑罰を受けた」という意識があまりないことが多いのですが、実際には刑罰を適用されていますし前科としてデータも残ることになります。

11.通常の刑事裁判

(1)起訴後勾留と通常裁判の流れ

通常裁判検察官が通常の裁判を選択した場合には、起訴前に勾留されていた場合、引き続き身柄拘束が続くことが普通です。

この場合の勾留のことを、起訴後勾留と言います。
起訴後勾留の期間は原則2ヶ月です。

ただ、2ヶ月で刑事裁判が終わらない場合には、さらに1ヶ月ごとに期間を延長することができます。
また、起訴後勾留期間中は原則として取り調べが行われることがありません。

身柄拘束場所も近いうちに「拘置所」に移されることになります。
拘置所は、裁判中の被告人を収容するための専用施設です。

刑事裁判が始まると被疑者は被告人となります。
そして、検察官から裁判所に提出された起訴状を受けとります。

通常の刑事裁判には、被告人本人が必ず出席する必要があります。
留置場や拘置所に収容されているときには、警察や拘置所の車で裁判所に連れて行かれることとなります。

刑事裁判の期日のことを「公判日」と言いますが、第一回の公判日は、起訴後1ヶ月くらいしてから行われることが多いです。その後は、だいたい月に1回くらいのペースで公判が続いていきます。

(2)保釈について

刑事裁判は、最低でも2ヶ月、長いと1年以上かかることもあります。
起訴後も身柄拘束が続く場合、その間ずっと外に出られないのは大きな不利益となります。

そこで、起訴後の被告人には「保釈」という権利が認められます。

特に逃亡や証拠隠滅の恐れ、住所不定などの問題がない場合には、起訴後の被告人は基本的に保釈申請をして身柄を解放してもらうことができます。

起訴前に勾留されていた人でも、保釈をしたらたいていは外に出て元のような生活を送ることができるのです。

そこで、起訴されたら速やかに裁判所に対し保釈申請を行いましょう。
このとき、弁護士に手続を依頼した方が的確にスムーズに手続きできるので、刑事事件を特異とする弁護士に依頼しましょう。

裁判所が保釈決定をして、保釈金を納めたら身柄を解放してもらうことができます。
保釈された後は問題を起こさず、慎重に生活する必要があります。

また、刑事裁判は続いているので公判日には必ず出頭しなければなりません。
裁判所に行かないと保釈が取り消されて保釈金も没収されてしまうおそれがあります。

また、「起訴されないと請求できない、保釈手続の流れと保釈金の相場とは」や「保釈金とは?保釈金にまつわる問題についてイチから教えます!」も併せてご参照ください。

12.判決

刑事裁判で、必要な審理を終えると判決が下されます。
懲役刑や禁固刑、罰金刑などが言い渡されます。

これにより刑事事件は終了します。

13.控訴・上告

一審の判決に不服がある場合には、14日以内に高等裁判所に控訴することもできます。

控訴の場合は高等裁判所で高等裁判所の判断にも不服がある場合、最高裁判所に上告することも可能です。
こうして最終的に刑が確定します。

14.刑の執行

刑が確定したら、その刑の執行を受けます。
懲役刑が選択されたら刑務所に行くことになりますが、執行猶予がついていたら刑務所には行きません。

禁固刑や罰金刑が選択されることもあります。

まとめ

刑事裁判の被疑者被告人となった場合、頼りになるのは弁護士です。
困ったときには刑事事件が得意な弁護士を探して、早めに相談をしましょう。

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