かなり前から継続的に警察等に対していわゆる「ワンクリック詐欺」の被害相談が数多く寄せられているといいます。
そこで今回は、
- ワンクリック詐欺とは
- ワンクリック詐欺への対処法
- ワンクリック詐欺の予防法
などについてご説明していきます。ご参考になれば幸いです。
※この記事は2017年10月26日に加筆・修正しました。
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1.ワンクリック詐欺とは?
(1)ワンクリック詐欺とは
厳密な定義があるわけではないが、
「Webサイトや電子メール等に記載されたURLを一度クリックしただけで、一方的に、サービスへの入会などの契約成立を宣言され、多額の料金の支払いを求められる詐欺」
のことです。
※ちなみに「詐欺」と呼ばれているのは、後述するように、法的に契約が成立しないことを分かっているにもかかわらず、相手の無知につけこみ、料金を請求しているからです。
(2)このような場合がワンクリック詐欺!
以下、代表的な事例をご紹介いたします。
①いわゆる迷惑メールを利用したワンクリック詐欺
最近では多くの方が見知らぬアドレスから、卑猥な単語の並んだメールが送られてきた経験があるのではないでしょうか。
そこに記載されたURLをクリックすると、「ご入会ありがとうございます」という画面が出現、IPアドレスや、端末情報、個体識別番号等が表示され、お金を振込むように求められます。
そして、期限内に振込まなければ法的措置を講じる、警察が出てくる、脅迫的な文言が送られてきます。
これが典型的なワンクリック詐欺と呼ばれている手口です。
②動画を再生する時を狙った手口
大人のサイトを見ていた時に、映像を見ようと動画を再生させるところを押した時に「月額~円を振込め」との表示が出ます。
このような場合も「ワンクリック詐欺」にあたります。
③スマホアプリのダウンロードによるワンクリック詐欺
最後は最近増加しているのが類型です。
スマホアプリの公式マーケットで紹介されていたアダルト関連のアプリをダウンロードして、アプリを起動したところ、アダルトサイトが表示されました。
スマートフォンの公式市場で見つけたアダルト系のアプリをダウンロードして起動したところ年齢確認をされました。
「18歳以上ですか?」と表示されていたので「はい」を選択しました。
すると「登録が完了しました」と画面が表示され、料金を請求されました。
これもまた、「ワンクリック詐欺」である。
2.ワンクリック詐欺に遭ってお金を請求されても支払わなくていい?
ワンクリック詐欺とはいっても、実際にクリックしてしまったし法的に支払義務を負うのではないか、と不安を持たれた方もいると思います。
しかし、心配はいりません。
以下の理由で、支払義務は生じないと言ってよいです。
(1)そもそも契約は成立していない
契約は、当事者間における申込みと承諾の意思が合致しなければ成立しません。
これは、契約成立の大原則です。
しかし、大半のワンクリック詐欺の事例では、単にURLをクリックしただけであったりして、申込みの意思もなければ、申込みの意思表示とされる行為も全く行っていません。
したがって、そもそも契約が成立するわけがないのです。
(2)契約の無効
では、「無料だと思って」登録したのに有料だった場合などはどうでしょうか。
こうした誤解を法律用語で「錯誤」といいます。
誤解した意思表示は、誤解いしたことについて重過失(著しく注意が欠けていた場合)がない限り、無効だと言い張ることができます(はじめから契約がないことになる)。
さらに、電子商取引に関しては、「電子消費者契約法」という法律が民法の特例を定めています。
それによれば、事業者が、申込みの内容を確認できる画面を表示し、かつ、その意思表示を訂正できるような措置をとっておかないかぎり、たとえ勘違いしたことに重過失があったとしても、意思表示の無効が主張できます。
(3)個人情報も知られていない!
上述したように、ワンクリック詐欺の事例で、法的に支払義務を負うことはありません。
けれども、IPアドレスや端末情報等が表示されて、「個人情報が盗まれたのでは…怖い人が来たらどうしよう」と不安になってしまう方もいるのではないでしょうか。
けれども心配はありません。
これらはWebサイトを閲覧するときにこちらが相手に見せなければいけない情報を、そのまま表示しているだけですので、名前や住所、電話番号といった個人の情報が漏れることはありえません。
むしろ、相手はこちらからの連絡があって初めて個人情報を特定出来るのです。
連絡を寄越した人間に対して、名前や住所、電話番号等を根堀り葉堀り聞いて逃げられなくするのがやり口です。
3.ワンクリック詐欺の対処法は?
(1)なにより、無視!
上述したように、ワンクリック詐欺の事例で、法的に支払義務を負うことはありません。
個人情報も、特定されることはまずありません。
したがって、一番の対処法は「無視」です。
「解約はこちら」などという文言に惑わされ、連絡をとってもいけません。
個人情報を得ようとしている相手の思うつぼです。
落ち着いて、画面上の登録画面や請求画面を削除しましょう。
(2)怖くなったらちゃんと相談
もし、個人情報を教えてしまったりして支払いを督促されているような場合は、先に総務省電気通信消費者相談センター、消費生活センター、警察、弁護士等に相談をしましょう。
場合によっては、相手方が刑事罰に問われる可能性すらあります。
それぞれ、適切に対処してくれるはずです。
4.ワンクリック詐欺の予防策は?
(1)インターネット閲覧時の注意点
不用意にWebサイトにアクセスせずに、そこに書かれている文面をきちんと読んで利用しましょう。
特に、長文の利用規約が書いてある際には注意してください。
利用規約が長文で読むのを面倒くさがりることを利用してクリックを誘発させるサイトもあります。
何よりも、怪しいサイトはアクセスしない、というのが最大の予防法です。
(2)メールに関する注意点
ワンクリック詐欺は、いわゆる迷惑メールなど、知らない人から送信されるメールが発端になる場合が多いです。
迷惑メール対策を設定したり複雑なメールアドレスにしたりして、迷惑メールが送られてこないような環境を整えましょう。
(3)アプリに関する注意点
最近増加中のスマホアプリのダウンロードによるワンクリック詐欺。
無料の動画アプリは特に危ないです。
「無料」という謳い文句にも注意が必要です。
ダウンロード前によく考えましょう。
(4)セキュリティソフトを導入すればより安心
PCにせよ、スマホにせよ、最新のセキュリティソフトを導入しておくのが望ましいです。
信頼性の低いサイトを識別してくれたり、有害サイトへのアクセスを防いでくれたりします。
まとめ
今回はワンクリック詐欺について書いていったが参考になったでしょうか。
以上を参考に、安全で快適なネット生活を送っていただければ幸いです。