レンタカーで交通事故を起こしてしまった、どうしたらいいのだろう・・・?
この記事をお読みの方には、そのようにお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
生活を送っている中で、車をレンタル(レンタカー)する場合もありますよね。
ですが、レンタカーを利用している時に交通事故に遭ってしまう可能性もありますよね。
この場合、気が動転してどう対応すれば良いかわからなくなりそうですが、まずは初期対応としてどのような行動をとるべきか知っておく必要があります。
さらに、自動車保険に加入していない場合、多額の金銭を負担する可能性があります。
では、レンタカーの自動車保険に関してはどのようになっているのでしょうか。
加えて、レンタカーの自動車保険を上手に利用する方法などもあれば、知っておくと役に立ちます。
そこで今回は、レンタカーの自動車保険の仕組みとその利用方法についてご説明いたします。
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目次
1.レンタカーで交通事故を起こした場合の初期対応
レンタカーの運転中に交通事故に遭ってしまったら、まずはどのような対応をすべきでしょうか。
交通事故を起こした場合、交通事故直後の最初の対応が非常に大切です。
初期対応を失敗すると、後に様々な不利益が起きる場合があります。
ですので、下記で交通事故直後の初期対応に関してご説明いたします。
(1)まずは気持ちを落ち着けて車を停める
交通事故を起こした直後は、パニックになってしまいその場から逃げてしまいそうになったり、今起こった事故に対して現実味がなく、そのまま運転を続けて去ってしまいそうになることもあるでしょう。
しかし、交通事故を起こしたら、必ず停車して必要な措置をとらないといけません。
負傷者がいる場合など、そのまま走り去ってしまったら、ひき逃げになってしまい、後にとても重い刑罰を科される可能性があります。
例えば、「15年以下の懲役刑」といった重罪になります。
ですので、交通事故を起こした場合、絶対に事故現場の近くに車を停車させましょう。
(2)負傷者の確認と救護措置
車を事故現場の付近に停車し、すぐに負傷者がいないかどうか確認する必要があります。
交通事故の場合、怪我人が出ることが殆どです。
例えば、「相手方の中に負傷者がいるかどうか」、「歩行者の中に負傷者がいるかどうか」、「自分が運転していた場合、同乗者は負傷しているかどうか」を必ず確認しましょう。
交通事故が原因の負傷者がいた場合、急いで救急車を呼びましょう。
逆に、自身が負傷している場合は、同乗者や周囲の人に助けを求めましょう。
そん場合、救急車を呼んでもらいましょう。
(3)警察へ連絡する
交通事故に遭ったら、必ず警察に連絡して事故現場に来てもらう必要があります。
相手方が「警察を呼ぶのはやめてください。」「警察を呼ばず示談で済ませたい。」などと言ってきても、絶対に応じてはいけません。
警察を呼ばないと、その交通事故が正式に交通事故として認められなくなるおそれがあります。
たとえば、「交通事故証明書」に関してですが、警察に実況見分を行ってもらわないと作成してくれません。
保険会社に対して保険金を請求する時に「交通事故証明書」がないと請求ができない可能性があります。
加えて、相手方と争いになった場合に「実況見分調書」がないと交通事故の状況を証明することが困難になってしまいます。
よって、交通事故が起こった場合には、警察を呼ぶことが極めて重要なのです。
交通事故後警察を呼んだ場合には、警察が車での間や警察が実況見分をしている間に相手と自分の連絡先を交換しておきましょう。
もし目撃者がいた場合、現状の確認と連絡先の交換をしておくと良いでしょう。
(4)勝手にその場で示談しない
絶対に、事故現場で勝手に示談をしてはいけません。
交通事故の場合ですと、交通事故直後は痛みが全然ないとしても時間が過ぎてから症状が現れてくることがよくあります。
例えば、「むち打ち」などが、時間が過ぎてから痛みが出る場合が殆どです。
ですが、「全然痛みとかもないし、大丈夫。」だと思い込んで、勝手に示談をしてしまったら後に発生した痛みなどの治療費や慰謝料については請求出来なくなってしまいます。
むち打ちの症状が出て病院通いしたとしても、その治療費はすべて自分持ちになって通院慰謝料も請求出来ません。
また、むち打ちで後遺障害が残る可能性もありますが、そのような後遺障害慰謝料などもまったく請求出来ないことになってしまいます。
ですので、交通事故の際は絶対にその場で示談をしてはいけません。
(5)レンタカーの店舗へ連絡する
負傷者の救護を行って警察も呼んだら、レンタカーの店舗に連絡を入れましょう。
交通事故が起こってしまったことを告げて、店舗から指示を受けます。
そして、その指示内容に従って行動しましょう。
後に説明しますが、レンタカーを利用する場合にはレンタカー会社が自動車保険に加入しているので、その自動車保険を利用することになるのが通常です。
自分の自動車保険を利用出来ることもありますので、ケースバイケースで対応しましょう。
(6)保険会社へ連絡する
レンタカー会社の自動車保険ではなく自分の保険で対応する場合には、自分が加入する保険会社に連絡を入れましょう。
そして、交通事故を起こしてしまったことを告げて、どのように対応すればよいのか保険会社の指示を仰ぎます。
もし、自身の自動車保険を利用することが出来るのかわからない場合、自動車保険会社に問い合わせてみましょう。
(7)すぐに病院を受診する
先ほども説明しましたが交通事故が起こると、その場でははっきりした痛みがなくても後になって痛みが出てくることが多いです。
そこで、自分では特に怪我をしていないと思っても事故直後に病院を受診しておくことが重要です。
交通事故の時に、痛みがなく放置していた場合、数日後に痛み出して病院にいったとしても、相手の保険会社から「その痛みに関しては、交通事故とは無関係だ。」と言われる可能性があります。
その場合、相手の保険会社から治療費や通院慰謝料、後遺障害慰謝料などの金銭の支払いを受け取ることが不可能になる可能性もあります。
そこで、痛みが交通事故によって発生したことを後に証明するためにも、交通事故後はすぐに病院を受診しておくことが重要なのです。
交通事故の場合、基本的に健康保険を利用することができます。
病院によりますが「健康保険を利用することは出来ません」と言われる場合もありますが、「制度上・法律上」制限は存在しません。
もしどうしても健康保険が利用出来ないと主張してくる病院があれば、そこで診療を受けるのは辞めて、別の健康保険が利用出来る施設に行くと良いでしょう。
また、健康保険の自己負担分は相手方に支払い請求ができますので、病院で支払をした領収証類は必ずすべてとっておきましょう。
2.レンタカーで自動車保険に加入しておく必要性
レンタカーで交通事故を起こした場合の初期対応については上記のとおりですが、交通事故を起こした場合、自動車保険に加入していないと大変なことになってしまいます。
このことは、レンタカーの場合でも全く同じです。
しかし、具体的にどのような意味で大変なことになってしまうのか正確にわからないという人も多いでしょう。
そこで、以下では、レンタカーで自動車保険に加入しておく必要性についてご説明いたします。
(1)交通事故を起こすと多額の損害賠償金が発生する
交通事故を起こした場合、その事故が軽微なものであれば損害はそれほど重大なものにはなりません。
しかし、交通事故にはいろいろなものがあります。
相手方の車が大破して相手の身体が不自由になるような大事故が起こることもありますし、自分や同乗者が大けがをすることもあります。
死亡者が出る可能性もありますし、店舗などに突っ込んで店主に大損害を加えてしまうおそれもあります。
このように、交通事故では、どのようなことが起こるかわかりません。
そして、自分が交通事故を起こした場合には、これらの交通事故にもとづく損害賠償は、すべて自分が責任をもって負担しなければなります。
損害賠償金に関しては、重度の後遺障害が残存する事故や死亡事故の場合は「1億円」以上の金額になる可能性もあります。
自動車保険に診未加入の場合、上記のような多額の損害賠償金を自腹で支払わないといけないのです。
そんなことになってしまっては、到底支払はできないでしょうし、一生支払に追われることになります。
最終的には自己破産するしか道はなくなってしまうでしょう。
よって、そのような目に遭わないよう、自動車保険に加入する必要があるのです。
(2)自賠責保険だけでは不十分
このうち、「自賠責保険」に関しては、自賠責法により強制加入が義務の保険で、未加入の場合は罰則があり、各車両ごとの加入が必要です。
よって、車を購入する場合には必ず自賠責保険に加入します。
レンタカーの場合にも、必ず自賠責への加入が必要です。
しかし、自賠責保険は、最低限の補償しかできない保険です。
たとえば傷害に対しては120万円までしか損害金が支払われません。
それ以上にかかった治療費や入通院慰謝料などの損害賠償金は、すべて自腹で支払わないといけなくなるのです。
交通事故では損害賠償金が数千万円以上になることも多いので、自賠責だけでは到底対処できません。
ですので、任意保険があります。
任意保険に関しては、法律上加入の義務はありません。
自身の判断で契約内容を選んで任意保険の契約を行います。
レンタカーの場合にも、任意保険に加入しておく必要があります。
そこで、レンタカーの場合において誰がどのような任意保険に加入しているのか、またはしていないのかが大変重要な問題になってくるのです。
3.レンタカー会社の自動車保険
(1)レンタカー会社が自動車保険に加入している
日本のレンタカーの場合には、レンタカー会社が自動車保険(任意保険)に加入していることがほとんどです。
このレンタカーの自動車保険の料金は、レンタカー代に含まれているので、別途負担する必要はありません。
自分でレンタカー用に自動車保険にわざわざ加入する必要もありません。
レンタカーを運転する場合に「この車が自動車保険(任意保険)に加入していないかも知れない」などと考えて不安を感じながら運転する必要は基本的にはないということです。
もし心配なら、レンタカー契約をする際に、レンタカー会社に対し任意保険に加入しているのかどうか確認すると良いでしょう。
(2)レンタカー会社が加入している自動車損害保険の内容
レンタカー会社がレンタカーの自動車保険に加入しているとしても、どのような内容の自動車保険に加入しているのかが問題になります。
自動車保険の任意保険の中には、たくさんの種類があるからです。
また、それぞれの保険について、限度額も選ぶことができます。
以下では、レンタカー会社が加入している保険の内容を説明します。
①レンタカー会社が加入している任意保険の種類
レンタカー会社がよく加入している任意保険の種類としては、代表的で重要なものに、対人賠償責任保険と対物賠償責任保険があります。
このうち対人賠償責任保険とは、交通事故を起こして相手方やその同乗者などが傷害を負ったり、死亡してしまった場合など(相手方の人身損害の場合)にその損害賠償金についての支払いが受けられる保険です。
交通事故では、相手方の人身損害に対する賠償金額が最も高額になるので、対人賠償責任保険は特に手厚くしておく必要があります。
対物賠償責任保険に関しては、相手の車や物に損害を与えてしまった場合、物損対して金銭が支払われれます。
交通事故では、相手方の車が壊れてしまうこともありますし、それ以外にも道路上の電柱などに衝突して壊してしまったり、道路脇の商店に突っ込んで損害を与えてしまうケースなどもあります。
このような物損の場合、金銭が高額になる可能性があり、対物賠償責任保険に加入していると、上記の金銭に関しての補償を受けることが可能です。
上記の他にも「車両保険や人身傷害補償保険、搭乗者傷害保険」があります。
車両保険とは、自分の側の車両に発生した損害を賠償する保険のことです。
たとえばレンタカーの場合には、自分が運転していたレンタカーが破損した場合に車両保険から保険金が支払われます。
人身傷害補償保険とは、自分の側に発生した人身損害に対して賠償金が支払われる保険のことです。
たとえばレンタカーを運転している場合に自分や同乗者が怪我をした場合に保険金が支払われます。
搭乗者傷害保険も人身傷害保険と同様、自分の側に発生した人身損害に対して保険金が支払われます。
②レンタカー会社が加入している任意保険の限度額
レンタカー会社は上記のようにそれなりにきちんと自動車保険に加入していることが普通ですが、任意保険には限度額があります。
限度額とは、1つの事故でどこまでの保険金の支払いをするかという限度の金額のことです。
1つの事故で、限度額以上の損害が発生しても、その限度額を超える部分の損害については、保険から支払いを受けることはできません。
限度額を超える部分については自己負担になってしまうのです。
よって、レンタカーがどこまでの限度額の保険に加入しているかはとても重大な問題になります。
レンタカー会社が任意保険に加入する場合、レンタカー会社によっても異なりますが、その限度額はだいたい以下のようになっています。
具体的には対人賠償責任保険については無制限にしていることが多く、対物賠償責任保険では限度額が1,000万円~2,000万円程度または無制限、人身傷害補償保険や搭乗者傷害保険が1,000万円~3,000万円程度になっていることが多いです。
車両保険については、車両の時価となっていることが普通です。
このことからすると、対人賠償責任については多くのレンタカー会社で無制限なので、レンタカーのドライバーが自己負担することはあまりないですが、「対物賠償責任保険」や「車両保険」に関しては、限度額が設定されている場合、それを超える物損が発生した場合にはドライバーが自身で負担しなければならない可能性があるということになります。
レンタカー会社の加入する自動車保険の限度額がどのくらいになっているのかについても、レンタカー契約時にレンタカー会社に確認しておくと良いでしょう。
4.レンタカーで交通事故を起こした場合に負担する可能性のある費用
レンタカー会社は自動車保険に加入していますが、それでも交通事故を起こすと、レンタカーのドライバー自身が負担しなければならない費用が発生します。
そこで、以下ではレンタカーで交通事故を起こすと、どのような費用を負担する可能性があるのかについてご説明いたします。
(1)対物免責額
レンタカーで交通事故を起こした場合に負担する可能性のある費用として、まずは対物免責額があります。
対物免責額とは、相手方に発生した物損のうち対物賠償責任保険でカバーされない自己負担分のことです。
対物賠償責任保険では、損害額の一定部分についてドライバーの負担となります。
これを「免責」と言います。
たとえば、免責額が5万円の場合には、相手方の物損が5万円までの部分についてはドライバーが自己負担する必要があるのです。
免責金額が高いほど、自動車保険の金額は低くなります。
そして、レンタカー会社もこれと同様、免責制度を採用しています。
対物賠償責任保険を2,000万円や無制限としていても、最低限の免責額まではドライバーに負担を求めてくるのです。
よって、レンタカーで交通事故を起こした場合に相手方の車を毀損した場合など、この免責額まではドライバーが自己負担しなければなりません。
多くのレンタカー会社で、対物免責額は5万円となっています。
ただし、後の5(2)の項目でも説明しますが、レンタカーを契約する際に特約をつけることによって、この免責額を無くしてもらうことは可能です。
(2)車両免責額
レンタカーで交通事故を起こした場合に自分が負担する可能性のある費用の2つ目として、車両免責額があります。
車両免責額とは、交通事故で自分の側の車両(レンタカーの車両)が毀損した場合に、最低限自分が負担しなければならない費用のことです。
任意保険の中で車両保険があり、車両保険によってレンタカー自身の破損については保険金が支払われますが、車両保険にも対物賠償責任保険と同様免責額が定められていることが多いです。
そして、レンタカー会社は、対物賠償責任保険の場合と同様、この免責部分についての負担をドライバーに求めているのです。
よって、レンタカーを運転していてレンタカー自身が毀損した場合、この免責額まではドライバー自身が自腹で支払をしないといけなくなります。
多くのレンタカー会社では、車両免責額の金額は5万円です。
ただし、対物免責額が車両によって異なることもよくあります。
具体的にはバスと大型貨物車については免責額が10万円となっていることが多いです。
また、対物免責額と同様、この車両免責額についても、レンタカー契約をする際に特約をつけることによって、0にしてもらうことができます。
このことは、後の5(2)の項目で詳しく説明します。
(3)営業補償料
レンタカーで交通事故を起こした場合にドライバーが自己負担する可能性のある費用としては、営業補償料があります。
営業保証料に関しては、レンタカーの事故や盗難、故障、汚損等が起こってしまい、レンタカー車両の修理や清掃等などが必要な場合、修理や清掃期間中の分の営業補償の一部として支払わなければならない費用のことです。
営業補償料は、レンタカー車両の損傷の内容や程度、修理にかかる期間などとは無関係に一律に科されることが多いです。
また、これは上記の免責額とは異なる費用なので、レンタカー会社との契約の際に特約をつけることによっても、支払を免れることができません。
また、ほとんどのレンタカー会社で下記の基準があります。
具体的には
- レンタカーが自走可能な状態で、予定営業店に返却された場合には2万円
- レンタカーが自走不能な状態で、予定営業店への返却がなされなかった場合には5万円
となります。
この場合、レッカー代は実費負担となります。
また、レンタカーが自走可能な状態でも、店舗に返却されなかった場合にはやはり5万円がかかります。
たとえば路上放置などのケースです。
(4)保険金が下りない場合の損害賠償金
レンタカー会社自体が保険に加入しているので、運転者が自身で損害賠償金の負担する部分はとても少なくなります。
しかし、交通事故の事情によっては保険がおりないケースもあります。
また、自動車保険に加入していても、その限度額を上回る損害が発生する可能性もあります。
このように、保険金がおりない場合や保険の限度額を超える損害が発生した場合には、交通事故の損害賠償金をドライバーが自己負担しなければならなくなります。
たとえば、対物責任賠償保険が1,000万円になっている場合にその限度額を超えた物損が発生したら、その限度額を超えた部分は全額ドライバーの自己負担になります。
また、以下のようなケースでは、自動車保険がおりなくなるので、損害賠償金額については全額ドライバーの負担になる可能性が出てきます。
自動車保険がおりないケースの例
- 自動車保険の補償限度額を上回る損害
- 交通事故を警察に届けなかった場合(事故証明がない場合)
- レンタカー会社に無断で示談した場合
- 自動車保険の約款の免責事項に該当する場合
- 契約者以外の運転者(レンタカー会社に届出のない運転者)による損害
- 無免許運転による事故の場合
- 酒酔い運転や酒気帯び運転による事故の場合
- 契約時間の無断延長の場合
- 又貸しなど、賃貸約款の違反があった場合
- パンクやタイヤの損傷、ホイールキャップの紛失、チェーン・キャリアの取扱いや装着不備によって発生した損害、レンタカー車内の汚損や飛び石による損害、レンタカーの装備品の紛失、カギをつけたままレンタカーを駐車して盗難被害に遭った場合の損害
- 故意による事故
- レンタカーの管理上の落ち度があった場合
- (例:車内装備品への損害/駐車禁止場所に駐車してあて逃げに遭った/セルフ給油所で油種を間違った/キー閉じ込みや紛失、盗難など)
上記のような場合には、発生した損害に対する賠償はドライバー自身の負担になるので注意が必要です。
5.レンタカーの自動車保険を賢く利用する方法
レンタカーを利用する場合に、自己負担分を少なくして賢くレンタカーを利用する方法があります。
下記で、その方法をご説明いたします。
(1)免責補償制度を利用して免責額の負担をなくす
レンタカー会社が自動車保険に加入しており、その自動車保険から損害賠償金を支払ってもらうことができますが、その中でも免責額(対物免責額、車両免責額)はドライバーの自己負担となってしまいます。
ここで、この免責額をなくす方法があります。
それは、免責補償制度という制度です。
免責補償制度とは、レンタカー契約の際にドライバーが一定金額を上乗せすることによって、免責額をなくしてもらえる制度のことです。
多くのレンタカー会社で、免責補償制度が採用されており、その費用はだいたい24時間(1日)で1,000円程度となっています。
いざというときに免責によって5万円、10万円の負担をする可能性があることを考えれば、免責補償制度を利用して1,000円程度を支払、免責補償をつけておいた方が安心だと言えるでしょう。
営業補償料は免責補償料を支払っても負担が必要です。
免責補償制度を利用する際に、一点注意点があります。
それは、免責補償制度を適用しても、上記の4(3)の営業補償金(NOC)については負担しなければならないということです。
営業保証金は、免責とは全く別の問題になるので、常に負担が必要になります。
(2)自分の保険を利用する
レンタカーを利用する場合、レンタカー会社の加入している自動車保険の適用があり、「対人賠償」や「対物賠償」はレンタカー会社が加入している保険から支払われます。
ですが、レンタカー会社が加入している保険には「限度額」が定められている場合も多いです。
上記の場合、限度額を超える損害部分については、ドライバーが自己負担で支払をしなければなりません。
レンタカー会社が対人賠償に制限をつけている場合などには、重大な交通事故が起こると数千万円以上が自己負担になってしまう可能性もあります。
上記の場合、自身が加入している「自動車保険」が利用できる可能性があります。
自動車保険の中には、「他車運転特約」が存在します。
他車運転特約に関しては、保険の契約者が自分の所有している車両以外の車両を運転し、交通事故を起こしたとしても、保険金が受け取れるという内容の特約です。
「他車運転特約」を付けていれば、レンタカーの運転中に起こした交通事故の場合でも、自身の任意保険から支払を行うことが可能です。
自分の任意保険の賠償限度額が無制限なら、自腹を切る必要はなくなります。
よって、レンタカーで交通事故を起こして損害賠償額が限度額を超える場合には、自身の自動車保険を使う方法を検討するようにしましょう。
ですので、「他車運転特約」に自身が加入しているのかどうかを確認しましょう。
レンタカーを頻繁に利用する人や、レンタカーを利用する予定のある人は、自分の契約している自動車保険(任意保険)に他車運転特約をつけておくと安心です。
レンタカーでの交通事故に関するまとめ
レンタカーで交通事故に遭ったら、まずは車を停車して負傷者を救護して、警察を呼びましょう。
そして、レンタカー会社に連絡をして相手方と連絡先を交換します。
必ずすぐに病院を受診することが重要です。
レンタカーを運転する場合でも、「任意保険」に加入しておくことは重要です。
レンタカー会社は、「任意保険」には基本的に加入しています。
運転手が自分で「任意保険」に加入する必要はありません。
ただし、レンタカー会社の自動車保険には限度額があります。
また、最低限の免責額があり、その免責額まではドライバーの自己負担になります。
さらに、レンタカーを借りて交通事故を起こした場合には営業補償料の支払が必要になることもあります。
自動保険がおりない事情がある場合や、自動車保険の限度額を超える損害が発生した場合にもドライバーの自己負担になります。
レンタカーの自動車保険を賢く利用するには、免責補償制度を利用すると良いです。
レンタカーの契約時に1,000円程度契約金を上乗せすれば、免責額が0になって自己負担額がなくなります(ただし営業補償料は支払が必要です)。
さらに、レンタカー会社の自動車保険の限度額を超える損害賠償額の場合は、自分の加入する「自動車保険」に「他車運転特約」に加入しておけば、これを利用することが出来ます。
レンタカーを頻繁に利用する人やレンタカーを利用する予定のある人は、自分の任意保険に他車運転特約をつけておくと良いでしょう。
今回の記事を参考にして、賢くレンタカーを利用して快適にドライバー生活を送りましょう。