遺言書の効力は?遺言書を書く前に知っておきたい5つのこと

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多くの人が頭を悩ませる相続トラブル。
このトラブルを未然に防ぐ有効な手段が遺言です。

そこで今回は遺言について解説していきます。ご参考にしていただければ幸いです。

目次

1、遺言を書くメリットは?

2、遺言書の効果は?

3、遺言書に書いても効果がないことは?

4、その他の遺言書作成時のポイントは?

1、遺言を書くメリットは?

(1)相続トラブルの防止

遺言の何よりも大きなメリットが、相続トラブルの防止です。

遺言がなければ、相続が開始した後、遺産の分割方法について相続人全員の意見をまとめなければなりません(遺産分割協議)。この協議では、感情的な面を含めトラブルになることが多いです。また、相続人全員の合意が必要なので時間もかかります。

他方、遺言があれば予め遺産分割方法を指定しておけるので、こうしたトラブルを未然に防ぐことが可能なのです。

(2)相続人以外にも財産を遺せる

遺言がなければ、遺産は法律で定められた法定相続人に相続されることになります。

しかし、被相続人(相続される側)としては、内縁の妻や長男の嫁、長男の孫など、法定相続人以外の人間に遺したいということもよくあります。
こうした場合に遺言を書いておけば、法定相続人以外にも遺産を遺すことが可能なのです(珍しいところだと、学校や公益法人等に寄付する、ということも可能です)。

(3)相続に被相続人の意向を反映させられる

また、被相続人としては「妻には遺したいが、子には遺したくない」など、誰に多く遺産を配分したいという意向があることも多いです。

こうした場合でも、遺言がなければ基本的には法定相続分に従って遺産は分割されてしまいます。
しかし、遺言を予め書いておけば被相続人の意向通りに遺産を分けることが可能になります(但し、後述するように「遺留分」による制限があります)。

2、遺言書の効果は?

(1)遺言事項の限定

このようにメリットがある遺言書ですが、何を書いても効果が生じるとして、むしろ遺言による権利関係が不明確になりトラブルを生じさせてしまうおそれがあります。そこで法律では、以下の事項についてのみ遺言の効力が生じるとしています(遺言事項の限定)。

①遺産の処分に関する事項

例えば、以下のとおりです。

  • 遺贈
  • 相続させる旨の遺言
  • 遺言信託

②相続の法定原則の修正

例えば、以下のとおりです。

  • 相続人の廃除
  • 相続分の指定
  • 分割方法の指定
  • 特別受益の払戻し免除

③身分関係に関する事項

例えば、以下のとおりです。

  • 認知
  • 未成年後見人の指定

④遺言の執行に関する事項

例えば、以下のとおりです。

  • 遺言執行者の指定
  • 指定の委託

⑤その他

例えば、以下のとおりです。

  • 祭祀主催者の指定
  • 生命保険金受取人の指定、変更

(2)遺言によっても侵せない利益「遺留分」

上述したように、遺言では相続の法定原則を修正することが可能です。

例えば、配偶者の法定相続分は2分の1ですが、これを0として子に全部の財産を遺す、という遺言をすることも可能なのです。

しかし、一定の法定相続人については、「遺留分」という遺言によっても侵せない利益が認められています。

例えば、配偶者については法定相続分(2分の1)の2分の1、つまり遺産に対して4分の1の割合で遺留分が認められます。
そのため、上に挙げたように配偶者の取得分を0とし、子が全部とする遺言があったとしても、配偶者が子に対して遺留分侵害の効力を奪う意思表示をすれば(これを、「遺留分減殺(げんさい)請求」という)、結局は遺留分を侵害する限度(4分の1)で遺贈は失効して、受遺者である子が取得した権利はその限度で当然に減殺請求をした遺留分権利者に帰属することになるのです。

なお、遺留分減殺請求については「遺留分の計算方法は? 遺留分減殺請求をするために知っておきたいこと」をご参考にしてみてください。

3、遺言書に書いても効果がないことは?

このように、遺言によって効果が生じる事項は限定されていますが、効果が無いことを書いても遺言自体が無効になるわけではありません。その記載事項について効果が生じない、というだけです。

それでは、「効果がないことを書く意味は無いのか?」と言われれば、決してそうとも言い切れません。法的に意味はなくとも、事実上意味を有することはあります。

例えば、長子相続の伝統が強い家において、長男以外の子が遺言によって遺留分よりも少ない取り分しか得られなくするという遺言はよく見られるところです。
この場合に、被相続人が長男に多くの財産を遺した理由や、家を存続させることへの想いなどを遺言に記載し、他の子に遺留分減殺請求をしないで欲しいとお願いをする「付言事項」を書くことは、実務上よく見られることです。実際これに心を動かされ、取得分が少ない子が遺留分減殺請求を控えることもあり得ることです。

また、葬祭場や埋葬方法の指定なども法的に意味のある事項ではありませんが、それに従って相続人が葬儀や埋葬を行うことはよくあります。

このように、法的に効果が生じない事項であっても、遺言に書いてはいけないわけではないし、むしろ書く方が一般的とさえ言えるのです。

4、その他の遺言書作成時のポイントは?

(1)公正証書遺言がお勧め

遺言書と一口にいっても、主に

  • ①自筆証書遺言
  • ②秘密証書遺言
  • ③公正証書遺言

の3種類があります。

①自筆証書遺言

このうち、自筆証書遺言は、遺言者が遺言書の全文、日付及び氏名を自分で書き、押印して作成する方式のものです。
誰にも知られずに簡単に作れるし、費用もかかりませんが、方式不備で無効とされる危険性が高く、偽造や変造される危険性も大きいです。
また、相続開始後は家庭裁判所による検認を受けなければ効力を生じません。

②秘密証書遺言

秘密証書遺言とは、遺言者が遺言内容を秘密にした上で遺言書を作成し、公証人や証人の前に封印した遺言書を提出する方式のものです。
この方式であれば遺言者は自筆する必要がないし、遺言内容を極力秘密にすることが可能ですが、方式不備の可能性は存在するし、結局家庭裁判所による検認が必要なので、実務上あまり利用されていません。

③公正証書遺言

公正証書遺言とは、遺言者が遺言内容を公証人に伝え、公証人がこれを筆記して公正証書による遺言とする方式です。
公証人とは、法律に基づき書類の認証を行う公務員(元裁判官や元検察官が多い)のことです。このことから、方式に不備があることはおよそ考えられないし、遺言意思も公証人によって確認されているので、相続開始後に無効主張されるおそれも少ないでしょう。
また、公証人が原本を保管することから、破棄・隠匿されるおそれもないし、相続人による検索も容易です(全国の公証人役場から検索可能)。

さらに、家庭裁判所の検認を経ずして効力が生じます。公証人費用等のコストがかりますが、きちんとした遺言を作成したいという場合は公正証書遺言がお勧めです。

(2)内容は明確に

遺言の最大のメリットが相続トラブル防止にあることは前に述べたとおりですが、遺言の内容が不明確では、結局相続開始後に揉めてしまうことになります。

例えば、遺言で「法定相続分通りに」とだけ書いては、結局どの財産を誰が取得するのか分からないので、相続開始後に相続人間で協議しなければならず、トラブルの種は残ってしまいます。

相続開始後のトラブルを避ける点を重視するならば、なるべく詳細かつ明確に、遺産分割方法について記載すべきでしょう。

また、トラブル防止のためには上述した遺留分についてもケアした方がいいでしょう。予め遺留分相当額を計算し、それに相当する財産を相続させる、といった方法です。

とはいえ、トラブル防止策については素人の方だと難しい部分が多分にあります。よって、護士等の専門家に遺言書の作成を依頼するというのも一つの手でしょう。

まとめ

遺言についてご理解頂けましたでしょうか。トラブルのない相続のため、本記事を参考にしていただければ幸いです。

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