交通事故の点数計算の方法は?反則金や罰金との違いも解説!

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交通事故を起こしてしまうとどのくらいの点数がつけられるのだろう

何点でどんなペナルティがあるのだろう・・・

この記事をお読みの方にはそのようにお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

交通事故を起こしてしまったら、点数がつけられていきます。

点数がたまると、免許停止にされたり、場合によっては免許停止されてしまうこともあります。

この免許の「点数」はいったいどのような仕組みになっているのでしょうか。

点数の計算方法や、どのくらいの点数が溜まったらどのような処分になるのかも知っておく必要があります。

これらの交通事故の点数や反則金、罰金の制度は非常に複雑でややこしくなっているのでなかなか理解が難しいところですが、正しく理解しておくと運転をする際に安心です。

そこで今回は、交通事故の点数計算方法や反則金、罰金との違いについてご説明いたしました。

1.交通事故や交通違反の点数とは

交通事故を起こしたり、交通違反を犯すと免許に点数が加算されていきます。
この場合の点数とはどのようなものなのでしょうか。

(1)点数とは

「交通違反」や「交通事故」の場合に点数が加算され、点数が累積すると「運転免許」に関する行政罰を受ける制度のことです。

基本的に、点数制度は免許の停止や取り消しなどに関する行政処分に関するものであり、罰金などの刑事罰に関するものではありません。
点数は反則金とも直接の関係はありません。

行政処分とは、免許の取り扱いなどに関する行政による処分のことであり、刑事罰とは、裁判所によって罰金などが科される処分のことです。

反則金は刑事罰ではありませんが刑事罰に関する処分です。
点数の問題は、上記のうち、免許の取り扱いについての行政処分に関する問題です。

ただ、重大な交通違反がある場合や重大な事故を起こした場合には、行政処分だけではなく刑事罰も問題になります。

刑事罰が適用されるような重大な交通違反や交通事故を起こした場合には、点数が加算されると同時に刑事罰を可能性も出てくるということです。

(2)点数の4種類

点数には、以下の4種類があります。

1つ目は、一般違反行為につけられる基礎点数です。
これは、信号無視や放置駐車違反等の道路交通法違反があった場合に加算されます。

2つ目は特定違反行為につけられる基礎点数です。
これは、酒酔い運転・ひき逃げ等の重大な道路交通違反があった場合に加算されます。

3つ目は人身損害のある交通事故を起こした場合の付加点数です。

4つ目は、あて逃げ事故を起こした場合の付加点数です。

運転免許の点数を考える場合には、この4種類の点数が問題になります。

2.点数は加算されていく

点数について、まず抑えておかなければならないことは点数は「累積方式」であることです。
累積方式とは、点数計算は加算方式であるということです。

違反があるたびに、その違反内容によって一定の点数が加算されていき、その点数が一定の数値になると免許の停止や取り消しが行われるのです。

この累積方式の逆の考え方が減点方式です。
減点方式では、もともとの点数があり、そこから違反があるたびに減点していく方法のことです。

「日本は累積方式ですので、免許を取得したときは、点数は0点」です。

3.点数の加算期間

点数は、交通違反や交通事故があった場合に加算されていきますが、その場合、一生の間加算され続けるわけではなく「加算期間」が存在します。

点数計算期間は基本的に「3年」に設定されています。
違反や事故の時に問題になる点数は「違反」や「事故」の日から起算して「過去3年以内」の点数だからです。

また、以下の場合には点数がリセットされて、それ以前の交通違反や交通事故の点数が加算されなくなります。

  • 無事故かつ無違反で、1年間が経過した場合。
  • いったん免許を取消されたり停止されたけれども、その後は無事故かつ無違反でその処分の期間(取り消しや停止)がおわったとき。
  • 軽微な交通違反があった場合(3点以下)には、それ以前の2年間には交通違反をしていないことと、さらにその違反した後3ヶ月間、別の交通違反をしなければ点数がリセットされます。(上記の期間を計算するとき、運転免許が停止されている期間や運転免許が有効切れになっている期間を含めることはできません)
  • 軽微な交通違反の行為(1点から3点)が何度かあったため、点数が累積されて6点になってしまった場合には、違反者のための講習を受講すると点数がリセットされます。ただし、交通事故の場合は1回で6点となった場合も同じです。

4.どのような行為にどのような点数がつくか

点数計算の概要は以上のとおりですが、具体的にどのような行為がある場合にどのくらいの点数がつくのでしょうか。

以下では、具体的な点数が加算される場合について見てみましょう。

(1)道路交通法違反があると点数加算される

運転免許の点数が加算されるのは、道路交通法違反の行為があった場合です。
そして、どのような交通違反があった場合にどれくらいの点数が加算されるかについては、各違反行為によって細かく定められています。

例えば、「お酒を飲んでの運転や無免許運転などの場合、非常に重い処分になり、35点や25点など大きく加算」されます。

これに対して、信号無視の場合には2点の加算になります。
このように、交通違反の場合の点数は、それぞれの行為の内容によって大きく異なります。

具体的には、以下の表のとおりになります。

違反行為の種別 点数 酒気帯び点数
0.25以上 0.25未満
酒酔い運転 35
麻薬等運転 35
共同危険行為等禁止違反 25
無免許運転 25
大型自動車等無資格運転 12 25 19
仮免許運転違反 12 25 19
酒気帯び運転 0.25以上 25
0.25未満 13
過労運転等 25
無車検運行等 6 25 16
無保険運行 6 25 16
速度超過 50以上 12 25 19
30(高速40)以上50未満 6 25 16
25以上30(高速40)未満 3 25 15
20以上25未満 2 25 14
20未満 1 25 14
積載物
重量制限超過
大型等10割以上 6 25 16
大型等5割以上10割未満 3 25 15
普通等10割以上 3 25 15
大型等5割未満 2 25 14
普通等5割以上10割未満 2 25 14
普通等5割未満 1 25 14
放置駐車違反 駐停車禁止場所等 3
駐車禁止場所等 2
保管場所法違反 道路使用 3
長時間駐車 2
警察官現場指示違反 2 25 14
警察官通行禁止制限違反 2 25 14
信号無視 赤色等 2 25 14
点滅 2 25 14
通行禁止違反 2 25 14
歩行者用道路徐行違反 2 25 14
通行区分違反 2 25 14
歩行者側方安全間隔不保持等 2 25 14
急ブレーキ禁止違反 2 25 14
法定横断等禁止違反 2 25 14
追越し違反 2 25 14
路面電車後方不停止 2 25 14
踏切不停止等 2 25 14
しゃ断踏切立ち入り 2 25 14
優先道路通行車妨害等 2 25 14
交差点安全進行義務違反 2 25 14
横断歩行者等妨害等 2 25 14
徐行場所違反 2 25 14
指定場所一時不停止等 2 25 14
駐停車違反 駐停車禁止場所等 2 25 14
駐車禁止場所等 1 25 14
整備不良 制動装置等 2 25 14
尾灯等 1 25 14
安全運転義務違反 2 25 14
幼児等通行妨害 2 25 14
安全地帯徐行違反 2 25 14
騒音運転等 2 25 14
携帯電話使用等(交通の危険) 2 25 14
携帯電話使用等(保持) 1 25 14
消音器不備 2 25 14
高速自動車国道等措置命令違反 2 25 14
本線車道横断等禁止違反 2 25 14
高速自動車国道等運転者遵守事項違反 2 25 14
高速自動車国道等車間距離不保持 2 25 14
車間距離不保持 1 25 14
免許条件違反 2 25 14
番号標表示義務違反 2 25 14
混雑緩和措置命令違反 1 25 14
通行許可条件違反 1 25 14
通行帯違反 1 25 14
路線バス等優先通行帯違反 1 25 14
軌道敷内違反 1 25 14
道路外出右左折方法違反 1 25 14
道路外出右左折合図車妨害 1 25 14
指定横断等禁止違反 1 25 14
進路変更禁止違反 1 25 14
追い付かれた車両の義務違反 1 25 14
乗合自動車発進妨害 1 25 14
割込み等 1 25 14
交差点右左折方法違反 1 25 14
交差点右左折等合図車妨害 1 25 14
指定通行区分違反 1 25 14
交差点優先車妨害 1 25 14
緊急車妨害等 1 25 14
交差点等進入禁止違反 1 25 14
無灯火 1 25 14
減光等義務違反 1 25 14
合図不履行 1 25 14
合図制限違反 1 25 14
警音器吹鳴義務違反 1 25 14
乗車積載方法違反 1 25 14
定員外乗車 1 25 14
積載物大きさ制限超過 1 25 14
積載方法制限超過 1 25 14
制限外許可条件違反 1 25 14
牽引違反 1 25 14
原付牽引違反 1 25 14
転落等防止措置義務違反 1 25 14
転落積載物等危険防止措置義務違反 1 25 14
安全不確認ドア開放等 1 25 14
停止措置義務違反 1 25 14
初心運転者等保護義務違反 1 25 14
座席ベルト装着義務違反 1 25 14
幼児用補助装置使用義務違反 1 25 14
乗車用ヘルメット着用義務違反 1 25 14
大型自動二輪車等乗車方法違反 2 25 14
初心運転者標識表示義務違反 1 25 14
最低速度違反 1 25 14
本線車道通行車妨害 1 25 14
本線車道緊急車妨害 1 25 14
本線車道出入方法違反 1 25 14
牽引自動車本線車道通行帯違反 1 25 14
故障車両表示義務違反 1 25 14
仮免許練習標識表示義務違反 1 25 14

(2)物損事故だけでは点数加算されない

運転免許の点数は、基本的には道路交通法違反による行政罰に関する処分です。
よって、交通事故があっても、それが物損だけであれば基本的に点数は加算されません。

たとえば、運転が下手で何かに車をぶつけて破損したとしても、それだけで点数加算されることにはならないのです。

点数が加算される場合には、あくまで道路交通法違反の行為があることが基本になっているからです。

ただし、物損の場合にも安全運転義務違反や当て逃げなどがあると、道路交通法違反になるので点数が加算されます。

安全運転義務違反があると点数が2点加算されますし、当て逃げがあると5点が加算されます。
もちろん、飲酒運転や酒帯運転などの道路交通法違反がある場合にも、点数は加算されます。

物損事故の場合でも、道路交通法違反の要因があると違反内容に応じた点数が加算されるということです。

(3)人身事故を起こすと点数が加算される

点数に関しては、「道路交通法違反」の行為に対して加算されます。
よって、単なる物損の交通事故を起こした場合には加算されないことも説明しました。

ところが、道路交通法違反の行為があり、交通事故の中でも人身事故を起こした場合には、その交通事故の程度や内容に応じて点数が加算されてしまいます。

人身事故の場合の具体的な交通事故の種類と加算される点数は、以下の表の通りになります。

交通事故の種別 交通事故が専らその違反行為をした人の不注意によって発生した場合の点数 左記以外の場合における点数
人の死亡に係る事故 20点 13点
傷害事故のうち、負傷者の治療に要する期間が3ヶ月以上で後遺障害が残るもの 13点 9点
傷害事故のうち、負傷者の治療要する期間が30日以上3ヶ月未満の場合 9点 6点
傷害事故のうち、負傷者の治療に要する期間が15日以上30日未満の場合 6点 4点
傷害事故のうち、負傷者の治療に要する期間が15日未満であるもの又は建造物損壊の交通事故 3点 2点

(4)ひき逃げ、当て逃げをすると点数が付加される

交通事故を起こした場合、加害者には道路高越法上救護義務が課せられます。
きちんと車を停めて被害者を救護して、応急措置をしたり救急車を呼んだりしなければならないのです。

この救護義務を怠ってそのまま走り去ると、ひき逃げになってしまいます。

交通事故を起こしてひき逃げをすると、大幅に点数が加算されます。
具体的には、基礎点数が35点加算されます。

また、物損事故の場合にも、他人の車を毀損してそのまま走り去ってはいけません。
このような行為は、当て逃げとして禁止されています。

もし、当て逃げをしてしまったら、点数とて5点が加算されてしまいます。
このように、交通事故を起こした場合、ひき逃げや当て逃げをすると大きく点数が加算されてしまうので注意しましょう。

5.点数が加算されるとどうなるのか

交通違反や交通事故を起こして点数が加算されていくと、具体的にどのような問題があるのでしょうか。

免許が停止されたり取り消されるイメージがありますが、具体的に何点になるとどのような処分があるのかを知っておく必要があります。

また、これらの行政処分と反則金、罰金との違いも知りたいところです。
そこで、以下では、まず運転免許の点数が加算されていくとどのような処分を受けることになるのかについて、確認しましょう。

(1)点数が累積すると、免許停止や取り消しになる

累積した点数に応じて免許停止になったり取り消されたりします。

たとえば点数が6点になったら免許停止30日になるなどです。
ただ、点数と免許停止、取り消しの関係は、単純に「点数がいくら」というだけでは決まりません。

その交通違反以前の過去3年以内の運転免許停止処分の処分前歴があるかどうか、その前歴が何回あるかどうかによっても、受ける処分が変わってくるのです。

処分前歴があるかないかで、同じ点数でも免許停止期間が変わってきますし、処分前歴があると、同じ点数でも免許取り消しになってしまうこともあります。

このように、点数計算による行政処分には、その交通違反の前歴が大きく影響します。
何度も交通違反を繰り返している人に対しては、厳しい処分が行われるようになっているのです。

よって、運転免許を取得して運転をする場合には、くれぐれも交通違反をしないように注意する必要があります。
交通違反を重ねていると、点数が加算されて最終的には免許が取り消されてしまうことになります。

(2)点数と処分前歴、免許に関する処分の表

具体的に何点になるとどのような処分を受けることになるのかについては、以下の表のとおりです。
前歴が多いと、同じ点数でも受ける処分が厳しくなっていることがわかります。

 

免許停止日数と免許取り消し
点数→ 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15
処分暦↓
0回 30日 60日 90日 取消
1回 60日 90日 120日 取消
2回 90日 120日 150日 取消
3回 120日 150日 取消
4回以上 150日 180日 取消

なお、免許停止が終了してから「1年間」無事故無違反だと、処分前歴は「0」になります。

6.点数と罰則の関係は?

交通違反を行うと、「反則金」や「罰金」が発生する可能性があります。

点数とこれらの反則金、罰金などの罰則にはどのような関係があるのでしょうか。
点数が加算されると罰則が科されることになるのでしょうか。

以下では、点数と罰則の関係を説明します。

(1)行政処分と刑事処分

点数と罰則とはどのような関係にあるのでしょうか。
点数が加算されることによって反則金や罰金が科されるのでしょうか。

一般的には、点数が加算されると反則金や罰金が科されると考えられていることが多いです。
しかし、実は点数と罰則との間に直接的な関係はありません。

点数が加算されると反則金が課されるという関係にはないのです。
つまり、交通違反の「行政処分」と「刑事処分」の2種類の処分が存在します。

行政処分とは、行政が免許の取り扱いに関して行う処分です。
これに対して刑事処分とは、検察庁や裁判所が交通違反の犯罪に対して行う処分のことです。

点数や免許の停止、取り消しの問題が行政処分であるのに対し、罰金の問題は刑事処分に関する問題です。
反則金は、この中間的な位置づけになります。

点数と罰則は性質が異なるものであり、直接的な関係はないのです。

(2)行政処分と刑事処分が同時に科されることが多い

点数と罰則には、直接的な関係はありません。
しかし、一般的には点数が加算されると反則金や罰金が科されると思われている傾向が強いです。

なぜ、そのようなイメージを持たれるのでしょうか。

このことは、行政処分が科される場合と刑事処分が科される場合が重なることが多いことによります。

たとえば酒酔い運転をすると、道路交通法上点数が加算されて運転免許が取り消されたりする行政処分を受けることになりますが、同時に道路交通法違反の行為として、5年以下の懲役又は100万円以下の罰金刑を科されることになります。

つまり、酒酔い運転をすると行政処分として点数加算もされますが、同時に刑事罰として罰金の支払い命令も出ることがあるということです。

同じようなことは、速度超過違反などの他の道路交通法違反行為でも起こります。
このように、行政罰が適用される場面と刑事罰が適用される場面というのは重なってくることが多いのです。

このことにより、あたかも「交通違反、交通事故→点数加算→反則金、罰金」というイメージにつながり、一般的には点数が加算されると反則金や罰金が科されると思われているのです。

しかし、実際にはそうではありません。

単に点数が加算される場面と罰則が科される場面が重なることが多いと言うだけのことであり、この両者は全く異なる制度です。
点数が加算されたから反則金や罰金が科されるという関係にはならないのです。

(3)行政処分と刑事罰の違い

点数は行政処分の問題で罰則は刑事罰の問題ですので、両者は全く異なります。
具体的に、どのような違いがあるのか以下で確認しましょう。

①刑事罰は前科がつく

点数や免許に関する処分は行政処分ですが罰金などの罰則は刑事処分です。

刑事処分を受けると基本的には前科がついてしまいます。
つまり、懲役刑や禁固刑が科された場合と同じく、有罪となって前科がある人という扱いになるということです。

このようなことは、その後の社会生活でも極めて不利益になります。
ただし、前科がつくのは刑事裁判になって罰金を支払ったり懲役刑、禁固刑などになった場合です。

反則金を支払った場合には、裁判を免除されて有罪判決を受けることもないので前科がつくことはありません。
この意味で、反則金は「刑事罰」や「刑事処分」ではないのです。

反則金によって刑事処分を免れる制度については、以下の7の項目で詳しくご説明いたします。

②刑事処分では裁判になることもある

悪質な交通違反をしたり交通事故を起こすと刑事裁判になることもあります。
この刑事裁判は、その違反者や事故者に対して刑罰を科すための手続きです。

よって、裁判は刑事罰に関する問題であり、行政罰(行政処分)とは無関係です。

交通違反が重なって点数がかさんできても、そのことによって刑事裁判にかけられることはありません。

また、刑事裁判になったことによって点数が加算されるということにもなりません。

刑事裁判は、あくまでも違反者や事故者に対してその違反行為や犯罪行為があったかどうかを判断し、どのような刑罰(罰金や懲役刑など)が適切であるかを判断するための手続きです。

以上のように、刑事罰を科される場合には刑事裁判を受ける事になる可能性がありますが、単に点数が加算されて行政処分を受けるだけの場合には裁判になることはありません。

この点でも、行政処分と刑事処分は大きく異なります。

7.反則金と罰金

道路交通法違反の行為をしたり交通事故を起こした場合には、罰金などの刑事罰を科される可能性があります。
この刑事処分は点数とは直接の関係がないことも説明しました。

この刑事処分を理解する際に、反則金と罰金のことを正しく知っておく必要があります。

(1)反則金と罰金の違い

反則金と罰金はよく混同されますが、この両者にはどのような違いがあるのでしょうか。

反則金とは、軽微な「道路交通法違反」の場合に、金融機関でそれぞれについて定められた金額を納付することで刑事処分を回避するために必要な金銭です。

これに対して罰金とは、刑事裁判を受けた結果、裁判所から支払い命令を受けたお金のことです。

このように「道路交通法違反」に反した場合、「反則金制度」がもうけられているのは、以下のような理由によります。

道路交通法違反にはさまざまな類型があります。
とても軽微な違反行為も多いです。

ところが、このような軽微な違反行為にまですべてを起訴して刑事裁判にかけていると大変な手間になりますし、違反者にとっても不利益が大きくなりすぎます。

そこで、軽微な道路交通法違反については、反則金と言うお金を支払うことによって刑事処分を免れることとしたのです。

よって、反則金の支払いは刑事処分とは違います。
ただし、点数計算とも直接の関係はありません。

このことがあるので、先に反則金は点数などの行政処分と罰金などの刑事処分の中間的な位置づけであると説明しました。

重大な道路交通法違反を行った場合、反則金を支払うことによって刑事処分を回避することはできません。
その場合には、刑事裁判になって罰金の支払いをしなければならなくなります。

重大な交通事故を起こした場合には、懲役刑などを科されて交通刑務所などに行かなければならないケースもあります。

以上のように、反則金は、軽微な道路交通法違反の場合に刑事処分を免れるためのお金であり、これは刑事処分とは異なります。

これに対して罰金は、正式に刑事処分を受けた場合の刑罰として科されるお金です。
これが反則金と罰金の最も大きな違いです。

(2)反則金の一覧表

具体的に、どのような道路交通法違反があるとどのくらいの反則金が課されるのでしょうか。
以下では、反則金の一覧表を掲載しますので参照しましょう。

反則行為の種類
(略号)
車両等の種類及び反則金額
(単位 千円)
大型車 普通車 二輪車 小型特殊車 原付車
速度超過 高速道路35以上40未満 40 35 30 20 20
高速道路30以上35未満 30 25 20 15 15
25以上30未満 25 18 15 12 12
20以上25未満 20 15 12 10 10
15以上20未満 15 12 9 7 7
15未満 12 9 7 6 6
積載物重量制限超過 普通等10割以上 * 35 30 25 25
5割以上10割未満 40 30 25 20 20
5割未満 30 25 20 15 15
信号無視(赤色等)違反 12 9 7 6 6
信号無視(点滅)違反 9 7 6 5 5
整備不良制動装置等違反 12 9 7 6 6
整備不良尾灯等違反 9 7 6 5 5
しゃ断踏切立入り違反 15 12 9 7 7
通行区分違反 12 9 7 6 6
高速自動車国道等車間距離不保持違反 12 9 7 6 6
追越し違反 12 9 7 6 6
踏切不停止等違反 12 9 7 6 6
交差点安全進行義務違反 12 9 7 6 6
横断歩行者等妨害等違反 12 9 7 6 6
安全運転義務違反 12 9 7 6 6
携帯電話使用等(交通の危険)違反 12 9 7 6 6
本線車道横断等禁止違反 12 9 7 6 *
高速自動車国道等運転者遵守事項違反 12 9 7 6 *
法定横断等禁止違反 9 7 6 5 5
路面電車後方不停止違反 9 7 6 5 5
通行禁止違反 9 7 6 5 5
歩行者用道路徐行違反 9 7 6 5 5
歩行者側方安全間隔不保持等違反 9 7 6 5 5
急ブレーキ禁止違反 9 7 6 5 5
優先道路通行車妨害等違反 9 7 6 5 5
徐行場所違反 9 7 6 5 5
指定場所一時不停止等違反 9 7 6 5 5
積載物大きさ制限超過違反 9 7 6 5 5
積載方法制限超過違反 9 7 6 5 5
幼児等通行妨害違反 9 7 6 5 5
安全地帯徐行違反 9 7 6 5 5
免許条件違反 9 7 6 5 5
通行帯違反 7 6 6 5 5
路線バス等優先通行帯違反 7 6 6 5 *
道路外出右左折合図車妨害違反 7 6 6 5 5
指定横断等禁止違反 7 6 6 5 5
車間距離不保持違反 7 6 6 5 5
進路変更禁止違反 7 6 6 5 5
追いつかれた車両の義務違反 7 6 6 5 5
乗合自動車発進妨害違反 7 6 6 5 5
割込み等違反 7 6 6 5 5
交差点右左折等合図車妨害違反 7 6 6 5 5
指定通行区分違反 7 6 6 5 5
交差点優先車妨害違反 7 6 6 5 5
無灯火違反 7 6 6 5 5
緊急車妨害等違反 7 6 6 5 5
減光等義務違反 7 6 6 5 5
合図不履行違反 7 6 6 5 5
合図制限違反 7 6 6 5 5
警音器吹鳴義務違反 7 6 6 5 5
乗車積載方法違反 7 6 6 5 5
定員外乗車違反 7 6 6 5 5
牽引違反 7 6 6 5 *
泥はね運転違反 7 6 6 5 5
転落等防止措置義務違反 7 6 6 5 5
転落積載物等危険防止措置義務違反 7 6 6 5 5
安全不確認ドア開放等違反 7 6 6 5 5
停止措置義務違反 7 6 6 5 5
騒音運転等違反 7 6 6 5 5
初心運転者等保護義務違反 7 6 6 5 *
携帯電話使用等(保持)違反 7 6 6 5 5
公安委員会遵守事項違反 7 6 6 5 5
消音器不備違反 7 6 6 5 5
交差点等進入禁止違反 7 6 6 5 5
大型自動二輪車等乗車方法違反 * * 12 * *
最低速度違反 7 6 6 5 *
本線車道通行車妨害違反 7 6 6 5 *
本線車道緊急車妨害違反 7 6 6 5 *
牽引自動車本線車道通行帯違反 7 6 * * *
故障車両表示義務違反 7 6 6 5 *
仮免許練習標識表示義務違反 7 6 * * *
通行許可条件違反 6 4 4 3 3
軌道敷内違反 6 4 4 3 3
道路外出右左折方法違反 6 4 4 3 3
交差点右左折方法違反 6 4 4 3 3
制限外許可条件違反 6 4 4 3 3
原付牽引違反 * * * * 3
運行記録計不備違反 6 4 * * *
初心運転者標識表示義務違反 * 4 * * *
聴覚障害者標識表示義務違反 * 4 * * *
本線車道出入方法違反 6 4 4 3 *
警音器使用制限違反 3 3 3 3 3
免許証不携帯 3 3 3 3 3

(3)刑事罰が科される場合の一覧表

道路交通法違反を犯した場合にも、その違反が重大な場合には刑事処分が科されます。
その刑事処分の罰則の内容は以下の表のとおりになります。

違反行為の種別 点数 酒気帯び点数 反則金額
0.25以上 0.25未満 大型車 普通車 二輪車 原付
酒酔い運転 35 罰則1 罰則1 罰則1 罰則1
麻薬等運転 35 罰則2 罰則2 罰則2 罰則2
共同危険行為等禁止違反 25 罰則3 罰則3 罰則3 罰則3
無免許運転 25 罰則5 罰則5 罰則5 罰則5
大型自動車等無資格運転 12 25 19 罰則7 罰則7 罰則7 罰則7
仮免許運転違反 12 25 19 罰則7 罰則7 罰則7 罰則7
酒気帯び運転 0.25以上 25 罰則2 罰則2 罰則2 罰則2
0.25未満 13 罰則2 罰則2 罰則2 罰則2
過労運転等 25 罰則5 罰則5 罰則5 罰則5
無車検運行等 6 25 16 罰則6 罰則6 罰則6 罰則6
無保険運行 6 25 16 罰則4 罰則4 罰則4 罰則4
速度超過 50以上 12 25 罰則8 罰則8 罰則8 罰則8
30(高速40)以上50未満 6 25 16 罰則8 罰則8 罰則8 罰則8
罰則1 5年以下の懲役又は100万円以下の罰金
罰則2 3年以下の懲役又は50万円以下の罰金
罰則3 2年以下の懲役又は50万円以下の罰金
罰則4 1年以下の懲役又は50万円以下の罰金
罰則5 1年以下の懲役又は30万円以下の罰金
罰則6 6月以下の懲役又は30万円以下の罰金
罰則7 6月以下の懲役又は10万円以下の罰金
罰則8 6月以下の懲役(過失の場合は3月以下の禁錮)又は10万円以下の罰金

たとえば、飲酒運転をすると、「5年以下の懲役又は100万円以下の罰金刑」を受ける可能性があります。

交通事故の点数に関するまとめ

今回は、交通違反や交通事故を起こした場合の点数について説明しました。
運転免許の点数に関しては、交通違反を行った場合に「免許の停止」や「取り消し」などの行政処分の制度です。

点数が加算されると累積されていき、一定の数値になると免許が停止されたり取り消されたりします。

交通違反の程度によって加算される点数が変わります。
また、処分前歴があると、同じ点数でも受ける行政処分が厳しくなってしまいます。

計算期間に関しては「過去3年以内」の点数の累積です。

「交通違反」や「交通事故」の点数は、「免許の停止」や「取り消し」に関する行政処分であり、反則金や罰金などの刑事処分に関する手続きとは異なります。

点数が加算されたからと言って反則金が課されるわけではありません。
また、刑事裁判になったからといって点数が加算されることもありません。

道路交通法違反の行為や交通事故を起こすと、刑事処分を科されることがあります。
その結果科されるのが罰金です。

刑事処分では、刑事裁判にかけられることがあります。
罰金だけではなく懲役刑が選択されることもあります。

反則金とは、軽微な道路交通法違反の場合に、支払うことによって刑事手続きを免れるためのお金です。

行政処分としての点数の加算と刑事処分としての反則金や罰金の適用は重なることも多いです。

車を運転する場合には、くれぐれも交通違反や交通事故を起こさないよう、慎重にする必要があります。

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