高速道路の交通事故!一般道との違いや過失割合は?

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket

自動車を運転している場合、高速道路を走行することがあります。
高速道路は一般道と異なり信号もなく直進道路が多く、速い速度で自動車が走行しているなどの特徴がありますし、歩行者も基本的に通行していません。

このような高速道路で事故が起こった場合、一般道とは取り扱いが異なる点があります。
その場合の過失割合の考え方も知っておく必要があります。

また、高速道路でときどき起こっている逆走問題がありますが、逆走が原因で交通事故が起こるとどのような扱いになるのかや、逆走に遭遇した場合の対処方法も抑えておくと役立ちます。
そこで今回は、高速道路上の交通事故の特徴や過失割合、逆走問題などについて解説します。

1.高速道路と一般道の違い

高速道路上の交通事故には一般道と比べて異なる特徴があります。
この問題を考えるとき、高速道路と一般道にはどのような違いがあるのかを理解しておくと役立ちます。

そこで、以下ではまず高速道路と一般道の違いを明らかにしましょう。

(1)車が高速で走行している

高速道路では、一般道と比べて自動車が高速で走行しています。
一般道では時速20キロメートル~30キロメートル以下に定められている道路が多いですが、高速道路では通常時速80キロメートル以上で走行しなければなりません。

このことによって、一般道よりも追突事故の危険性が高まります。高速道路の走行中は、車間距離を充分にとることが求められます。

(2)信号や交差点がない

高速道路には信号や交差点がありません。
一般道で交通事故が起こる場合、交差点での事故が非常に多いです。

この点、交差点のない高速道路では一般道よりも交通事故が起こりにくい環境であると言えます。
ただし、高速道路ではジャンクションや進入路から本線への進入の際などに交差点類似の現象が起こることがあり、注意が必要です。

(3)道路が整備されている

高速道路では、自動車が高速で走行しているので、少しでも道路が傷んでいると自動車への衝撃が大きくなり、危険度が増します。

よって、高速道路では一般道よりも比較的道路がきれいに整備されていることが多いです。
この意味でも、高速道路では一般道より交通事故が起こりにくい環境があると言えるでしょう。

ただし、その分自動車が高速で走行しているという問題があり、少しのハンドル操作のミスも命取りになるリスクもあるので注意が必要です。

2.高速道路の交通事故の特徴

高速道路上の交通事故には、以下のような特徴があります。
まず、高速道路には交差点がなく、交差点での事故はありませんが、高速道路の本線へ進入する場合には交差点と類似の状況が起こります。

よって、高速道路上で交通事故が起こる場所は、進入路から本線に入るところで衝突するケースなどが多いです。

また、サービスエリアへ入るところやサービスエリアから出るところ、ジャンクションなどでも事故が起こりやすいです。
自動車が高速で走行しているので、前方の車が急ブレーキをかけた場合の追突事故などもよく起こります。

3.高速道路の過失割合と一般道との違い

高速道路上で交通事故が起こった場合、過失割合の考え方にも一般道と異なる点があります。
基本的には同じですが、上記のように高速道路には一般道と違いがあるので、一定の修正が必要になるからです。

以下で、高速道路の過失割合を考える場合の修正要素について説明します。

(1)駐停車が禁止されている

高速道路上では駐停車が禁止されています。
よって、理由なく高速道路上に駐停車していた場合などには、駐停車車両の過失が大きくなる可能性があります。

(2)後続車両への安全配慮が必要

高速道路上では、自動車は高速で走行しているので、追突事故が起こる可能性が高いです。

そこで、高速道路を走行する場合には充分に後方車両への安全配慮が必要になります。この場合に必要とされる安全配慮の程度は一般道よりも高くなります。

(3)単車修正について

交通事故の過失割合には単車修正があります。
単車修正とは、交通事故の一報当事者が単車の場合、基本的な過失割合を修正することです。

具体的には単車の過失割合が軽くなる方向で修正します。
一般道の場合には、自動車同士のケースと比べて一方が単車の場合、単車の過失割合が10%程度軽くなることが普通です。

しかし高速道路では、単車が交通事故に遭うと単車の側は死亡したり重大な傷害を負うリスクが非常に高いです。
また、高速で走行している高速道路上では、単車の側に交通事故の回避可能性が極めて低くなります。

このようなことがあるので、高速道路上では単車修正を一般道よりも大きくしています。場合によっては単車の過失割合を20%程度軽くすることがあります。

4.具体的な高速道路の過失割合


高速道路での過失割合は一般道とは異なる考え方や異なる場面があります。

以下では、高速道路で具体的に問題になる過失割合について解説します。

(1)進入路から本線へ入るケース

高速道路で交通事故が起こりやすい場面は、車両が進入路から本線へ入る場合に本線を走行していた車両と衝突するケースです。
この場合、車両が自動車同士か、進入路が単車か、本線通行車が単車かによって異なります。

そこで、以下ではその3ケースにわけて説明します。

①自動車同士の場合

まずは、自動車同士のケースです。
この場合、基本の過失割合は、進入路を走行していた車両が70%、本線を走行していた車両が30%の過失割合になります。

②進入車が単車の場合

次に、進入車が単車で、本線を自動車が走行していたケースです。
この場合、基本の過失割合は、進入路を走行していた単車が60%、本線を走行していた自動車が40%になります。

③本線通行車が単車の場合

本線走行車が単車で進入路から自動車が入ってくるケースもあります。
この場合、基本の過失割合は、進入路を走行していた自動車が80%、本線を走行していた単車が20%になります。

以上のように、①に比べて②③では単車側に有利に過失割合が修正されていることがわかります。これが単車修正です。

(2)駐停車車両との衝突

高速道路上では、駐停車車両と衝突する交通事故も起こります。

この場合、駐停車していた理由によって過失割合の考え方が異なってきます。
ガス欠やエンジントラブルなどで、駐車車両側に問題がある場合と、事故などが減でやむなく駐停車しているケースがあります。

以下では、その2パターンに分けて説明します。

①ガス欠、エンジントラブルなどの理由の場合

まず、前方の駐停車車両がガス欠やエンジントラブルなどを起こして、駐停車車両の側に落ち度があるケースです。

この場合に追突事故が起こると、過失割合は、前方の駐停車していた車両が40%、後方の追突した車両が60%となります。

②事故などが原因で駐停車していた場合

前方の車両の駐停車の理由が、事故などが原因でやむなく停車していたケースがあります。

このように、駐停車車両において落ち度がなく、側方への待避の可能性などもなかったケースでは、追突された前方の車両の過失割合は0%になり、後方の追突した車両の過失割合が100%になります。

(3)急ブレーキ事故

高速道路上で追突事故が起こるケースとしては、前方車両が急ブレーキを踏むパターンもあります。

これについても、自動車同士か一方が単車かによって異なりますので、わけて説明します。

①自動車同士の場合

まず、自動車同士のケースです。
この場合、基本の過失割合は、前方の追突された車両50%、後方の追突した車両が50%になります。

②単車が急ブレーキした場合

次に、前方の単車が急ブレーキをしたために後方から自動車が追突したケースです。

この場合、基本の過失割合は、前方の単車が30%、後方の自動車が70%となります。
このことから、単車修正が20%になっていることがわかります。一般道と比べて単車修正を大きく認める高速道路の過失割合の特徴が現れている場面です。

③自動車が急ブレーキした場合

前方の自動車が急ブレーキをかけた場合に後方から単車が追突したケースもあります。
この場合、前方の自動車の過失割合が70%、後方の単車の過失が30%になります。

この場合も、自動車同士の事故と比べると単車修正が20%となっており、一般道(通常は10%の単車修正)よりも単車に有利に修正がなされていることがわかります。

(4)落下物がある場合の事故

高速道路上に落下物があり、それが原因で交通事故が起こるケースがあります。
前方車両が物を道路上に落下させたために、それを避けられようとしたり避けられなかった後方の車両が追突してしまうケースです。高速道路の過失割合では、このような場面についても基準が定められています。

通常の感覚であれば、物を落下させた前方車両に過失があるので後方車両には過失を認めるべきではないとも考えられます。

しかし、高速道路上では十分な車間距離をとることが求められており、たとえ落下物があっても追突を避けられる程度の安全配慮も求められます。よって、この場合にも後方の追突車両にも過失が認められます。

落下物がある場合の過失割合は、前方の車両が60%、後方の車両が40%となります。
このように、前方車両が物を落下したことが原因であっても後方車両にも大きく過失割合が認められてしまいます。

このことから考えても、高速道路を走行する場合には前方車両との間に十分な車間距離をとることが極めて重要になることがわかります。

(5)歩行者との事故

高速道路上には通常歩行者はいません。
しかし、ときには勝手に進入していることがありますし、故障車などの対処のために人が自動車外に出ていることがあります。

工事のために高速道路上に人が立ち入っている場合もあります。
このように高速道路上の歩行者を相手に交通事故を起こした場合の過失割合は、歩行者が高速道路に侵入している理由によって異なります。

そこで、以下ではケース別に分けて過失割合を説明します。

①理由なく進入しているケース

まず、歩行者が特に理由もなく高速道路上に進入しているケースです。
この場合、歩行者相手に交通事故を起こすと、基本の過失割合は歩行者が80%、自動車が20%になります。

②故障車等の理由があるケース

次に、前方車両が故障をしたなどの理由で、自動車外に人が出ているときに、その人(歩行者)相手に事故を起こしてしまうケースがあります。
この場合には、歩行者の過失割合が50%、自動車側の過失割合が50%になります。

③工事現場などで作業中の場合

高速道路上に歩行者がいるケースとしては、工事などの作業のために人が立ち入っているケースがあります。
この場合に自動車が歩行者相手に交通事故を起こすと、その基本の過失割合は、歩行者が30%、自動車が70%となります。

5.逆走問題

高速道路でときどき起こるトラブルとして逆走があります。
逆走とは、高速道路の進行方向と反対の方向に自動車が走行してくることです。

高速道路では互いが非常に速度を出して走行しているので、逆走があると極めて危険です。
逆走はどのような場所で起こりやすく、その場合の過失割合はどうなるのでしょうか?以下で順番に見てみましょう。

(1)逆走が起こりやすい場所やパターン

逆走が起こりやすい場所やパターンがあります。
まず、逆走が起こる場所は、その大半がインターチェンジやジャンクションです。

これらの場所でどちらに進行するかを間違って逆走してしまいます。
また、逆走する場合、運転者の7割は65歳以上となっており、さらに認知症の疑いや飲酒運転などのケースが4割程度あります。

そして、逆走事件の6割程度は昼間に起こっているとも言われています。

(2)逆走にもとづく事故の過失割合

逆走が起こると交通事故が起こりやすいです。
前方から突然自分の方に向かって車が高速で突っ込んでくるのですから、被害は大きくなりがちです。

この場合、過失割合はどうなるのでしょうか? 高速道路で逆走してはいけないことは当然です。

よって、この場合には逆走した側に完全な過失が認められます。
基本的には逆走した側が100%、通常の走行車側の過失割合は0%になるでしょう。

ただし、通常の走行車が早くから逆走車に気づいており、側方に退避できる可能性があった場合などには、通常の走行車両にも過失が問われる可能性はあります。

(3)逆走すると刑事罰も適用される

高速道路上で逆走をすると極めて危険です。
逆走すると重大な被害が発生し、過失割合も大きくなるので高額な損害賠償金を負担しなければなりません。

そればかりか、高速道路を逆走すると、刑事罰を受けることも覚悟する必要があります。
この場合、危険運転罪が適用されるので、その刑罰は非常に重くなり、刑事裁判になって裁判官から有罪の判決が下されることになります。

危険運転致死傷罪が適用されると、事故の相手方が傷害を負った場合には15年以下の懲役刑となりますし、死亡した場合には最高20年の懲役刑となります。
このように、逆走をすると自分も相手も大変な目に遭ってしまうので、くれぐれも逆送はしないように注意が必要です。

(4)逆走に遭った場合の対処方法

最後に、高速道路上で逆走に遭遇した場合の対処方法について見てみましょう。
逆走に遭遇した場合、通常は目の前にいきなり相手方車両が現れるので、退避が困難なことが多いです。

しかし、目の前に突然逆走車両が現れたからといって、突然大きくハンドルを切ると、自分の車がスピンしたり転倒するなどして大きな被害が生じることがあります。
よって逆走車両に遭ったとしても、あせって無理なハンドル操作をしないように気をつけましょう。

また、逆走車両による被害を避けるためには、そもそも逆走車両に遭わないようにすることが重要です。
いったん遭遇すると事故が発生することを避けにくいからです。

そこで、逆走が起こりやすいジャンクションやインターチェンジなどでは特に注意して運転したり、追い越し車線の利用は追い越しをする場合だけ利用するなどの基本ルールを守るようにしましょう。

まとめ

今回は、高速道路の交通事故の特徴や過失割合、逆走問題などについて解説しました。
高速道路は一般道とは異なり交差点も信号もありませんし、自動車は高速で走行しているなどの特徴があります。

高速道路上での交通事故の類型では、一般道と異なる過失割合が定められていることもあります。
高速道路上では進入路と本線で事故が起こりやすく、前方車両からの落下物による事故なども多いです。

逆走車に遭遇すると極めて危険なので、なるべく逆走車に遭わないように高速道路上の運転の基本ルールをしっかり守りましょう。

今回の記事を参考にして、高速道路上でも交通事故に遭わないように、安全運転を心がけましょう。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket

Twitter・RSSでもご購読できます。