離婚の際には、基本的に夫か妻の片方が親権者になります。
その際、親権を獲得できなかった親は離婚した後に「自分の子供に会いたい」と思っていても、親権者である元婚約相手に拒絶されてしまい子供に会えない問いった状況もよくあります。
ですが、親権を獲得できなかった配偶者は、子供と面会できる権利(面会交流権)があります。
元配偶者との話し合いで会える状況になればベストだが、前述のように会えないケースも少なくありません。
そのような場合、面会交流調停をすることで面会交流権がきちんと実現されるようにする必要があります。
今回は、離婚後に子供に会うための手続きとしての面会交流調停についてご説明いたします。
ご参考になれば幸いです。
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目次
1.面会交流調停とは?どのような場合に申立てすべきか
そもそも面会交流とは、離婚した後や別居期間中に「子供を養育・監護」していない「非監護親」が子供と面会をすることです。
基本的に、「面会交流」に関しての内容は夫と妻が協議をして決めます。
ですが、協議がまとまらない場合は家庭裁判所に調停の申立てを行って「面会交流」に関する取り決めをすることになります。
この調停が、面会交流調停です。
そしてこの手続き自体は、離婚の前後を問わず利用することができます。
現在、夫と妻が別居をしていて面会交流に関しての話し合いがまとまらない時にも利用することが可能です。
2.面会交流調停の流れ
次は面会交流調停を申立てた側から見た面会交流調停の流れに付いてご説明いたします。
(1)調停の流れ
面会交流調停は以下の流れで進むことになります。
①まずは待合室で待機
家庭裁判所に到着すると待合室で待機することになります。
なお、待機の際には、待合室で当事者双方がばったり会わないように配慮されています。
②調停室へ呼び出し
待合室で待っていると、いよいよ調停室に呼び出されますが、一般的に申立人から呼び出されることがあります。
調停室ににいるのは、男女各1名ずつの調停委員と場合によって裁判官や書記官がいることがあります。
まずは、調停の進め方などについてご説明いたします。
その後はいよいよ本題である面会交流調停を申立てた経緯について聞かれることになります。
質問に対しては事実を伝えましょう。
時間は約30分で、その後は調停室から待合室に戻ります。
③次に相手方が調停室へ呼び出される
調停室を出て待合室へ戻ります。
次は相手方が調停室に向かいます。
同じく約30分事情を聞かれます。
基本的に、調停委員は相手方の意見を聞き入れることがほとんどで、その時に、申立人の意見も伝えられます。
そして、一通り聞かれると調停室から待合室に戻ることになります。
④また調停室へ
相手方の番が終わると、また調停室へ呼ばれることになります。
⑤今度は相手方が再び調停室へ
基本的に、2回調停室へ呼ばれます。
⑥第1回目の調停終了
もし、合意に至れば調停は終了になります。
しかし、合意に至らなかった場合には2回目以降の調停が行われることになります。
⑦第2回目以降の調停
基本的な流れは、第1回目同じです。
(2)調停が成立した場合
調停成立後は、「調停案」が作成されます。
調停案の内容に関して何も問題がない場合、約1〜2週間で調停調書が送られてきます。
(3)調停が不成立となった場合
調停が不成立となった場合には自動的に審判に移行し、審判では裁判所が調停の過程や調査官の調査(面会交流が子供にとって良い影響を与えるかを判断するために、調査官が家庭や学校を訪問し子供から直接話を聞くこと)の結果をもとに面会交流の内容を決定し、審判をすることになります。
3.面会交流調停の手続きの内容
(1)申立人
申立人は、「父か母」になります。
(2)申立先
申立先に関しては、「相手方の住所地を管轄する家庭裁判所や当事者が合意で定めた家庭裁判所」となっています。
ただし、多くの場合は、非監護親が監護親の住所地を管轄する家庭裁判所に申立てます。
相手方の住所地の家庭裁判所を詳しくお知りになりたい方はこちらをご覧頂きたいです。
(3)申立てに必要な費用
申立てには、
- 収入印紙1,200円分(子供1人につき)
- 連絡用の郵便切手(各裁判所によって金額が異なるため、申立てる家庭裁判所への確認が必要。なお、東京家庭裁判所は100 円×2枚、82円×8枚、10円×10枚、5円×2枚で合計966円となる)
の費用が必要です。
(4)申立てに必要な書類
申立てに必要な書類は以下の通りです。
- 申立書3通
- 未成年者の戸籍謄本(全部事項証明書)1通
- 連絡先等の届出書1通
- 事情説明書1通
- 進行に関する照会回答書1通
なお、場合によっては、あなたの主張を根拠付けるため、必要に応じて追加で書類の提出をお願いされることもあるので、その際には裁判所の指示に従って書類を準備する必要があります。
(5)申立書の書式及び記載例のダウンロード
以下より、裁判所で利用できる面会交流申立書と記載例がダウンロードできます。
是非利用して頂きたいです。
4.面会交流調停で決めるべきことは?
面会交流をめぐるトラブルは少なくありません。
そこで、トラブルを防ぐために、事前に以下のような事柄を決めておくと良いでしょう。
- 面会交流の頻度(例えば、月に1回など)
- 面会交流の日時場所(例えば、毎月最終日曜日に、○○公園でなど)
- 面会交流の一回当たりの時間(例えば、午前10時から午後4時までなど)
- 面会交流の際の送迎や引渡しの方法(例えば、非監護親が行うなど)
- 面会交流の際に監護親は同席するのか否か
- 間接的な交流の方法(例えば、電話やメールをしていいかなど)
- 学校行事(参観日・運動会等)へ参加の可否
- お小遣いやプレゼントの可否(例えば、誕生日やクリスマスに限るなど)
- 取り決めに違反した場合にどうするか(例えば、面会交流を今後制限するなど)
など
5.面会交流調停を欠席するとどうなる?
(1)そもそも欠席できる?
面会交流調停を欠席することは大きく不利になってしまうイメージを持たれている方も多いと思われるが、1回程度の欠席であれば特に不利に扱われることはありません。
もっとも、何度も無断で欠席するとそのことが不利に働きかねません。
(2)欠席すると不利になる?
「面会交流調停」を欠席すると、調停で不利になるのでしょうか。
調停は平日に行われるので、急に仕事が入ってしまったりしてやむを得ず欠席しなければならない場合もあるでしょう。
結論としては、(1)でご説明したように、1回目の欠席であれば不利になることはありません。
調停は、あくまで「話し合い」なので、話し合う意思があることがきちんと伝わっていれば、欠席したからといってそのことが不利に扱われることはありません。
ですが、欠席したとしても、調停自体は進行するので注意しましょう。
(3)欠席し続けるとどうなる?
①調停不成立になる
当たり前ですが、調停を全て欠席、裁判所からの連絡も完全無視の場合は不成立になります。
②場合によっては過料を取られる
調停を全て欠席し、家庭裁判所の調査官からの呼び出しも完全無視すると5万円以下の過料を取られる場合があります。
過料を取られるか否かは、欠席の理由や次回の調停に関する意向調査(書面や電話で行われる)を踏まえて家庭裁判所が判断することになります。
もっとも、実際に過料を取られるケースはあまりないようです。
6.面会交流調停を有利に進める方法は?
(1)自分の希望を押し付けない
子供に会いたいという気持ちが強くなりすぎて、つい面会交流に関して自分の希望を主張しすぎてしまうことが少なくありません。
しかし、面会交流は子供の福祉が一番重要ですので、子供のためにどうするかといった観点から調停を試みる方がかえって調停を有利に進めることにつながります。
(2)子供との関係が良好であることをアピールする
やはり面会交流は子供を第一に考えることから子供との関係が良好である場合には、その旨を調停で主張するようにしたいです。
もし、離婚前に子供に対して暴力をふるっていたような場合には、面会交流を認めると再度暴力をふるう可能性があるということで面会交流が制限されてしまいます。
(3)弁護士に依頼する
面会交流に関してはやはり感情が先行しがちになり、調停委員が誤解して不利な内容で調停審判が進められる可能性があるので、冷静に手続きを進めるためにも法律の専門家でありかつ第三者の弁護士に依頼した方が良いでしょう。
また、弁護士に依頼すると弁護士費用がかかりますが、その費用を負担してでも弁護士を雇って面会交流調停に臨んでいる場合は、調停委員に「この人は本気で子供との面会交流を希望しているんだな」と印象付けることができ、結果として調停で有利な条件を獲得できる場合があります。
7.面会交流調停で決めた内容を相手が守らないと何ができる?
面会交流当日に子供に会おうとすると、「子供が会いたくないと言っている」とか「体調がよくない」などと言われて子供に会えないケースが少なくありません。
では、面会交流調停で決定した内容を相手が守らない場合、どういった方法をとることができるのでしょうか。
(1)履行勧告とは
調停で決定した内容に関して違反がある場合、内容を守るように家庭裁判所から「書面や口頭」で指導が入ります。
この指導に関しては強制力はありません。
相手が無視をしたら効果はないことになります。
(2)改めて面会交流調停を行う
面会交流できない理由が、例えば生活環境が変わったことで取り決めた方法や時間での面会交流が難しくなったといったものであれば、再度調停で「面会交流」の取り決めをすることが可能です。
ですが、基本的に監護親が面会交流を拒否した場合は調停をすることは無駄でしょう。
(3)強制執行の申立て
相手が取り決めを守らない場合、とりわけ子供に会わせてくれない場合には、相手に面会を強制する方法として、面会を拒むごとに一定額の罰金を支払わせ続けることができます。
上記を「間接強制」と言います。
「強制執行」の方法の一つです。
例えば、面会を一回拒むごとに5万円を相手に払わせるという命令(間接強制の金額は、1回あたりだいたい3万~5万円程度になることが多い)が裁判所から出ることになります。
そして、この命令をも無視してお金を支払わない場合には、相手の給料や預貯金を差し押さえができます。
そのため、罰金を支払わないようにするべく、監護親としては非監護親と子供の面会を認めるしかないということなります。
ただし、監護親がいくらお金を払っても面会させたくないと思っていたり、そもそもお金がないから支払いを命じられても構わないという場合には、この方法でも面会交流は実現できないこともあります。
そのような場合には、最終的には監護親が親として不適切であることを主張立証し、親権者の変更を求めるなどしなければならない場合もあるでしょう。
8.面会交流調停は弁護士に依頼した方がいい?依頼するメリットとデメリット
(1)メリット
面会交流調停は弁護士に依頼せずにご自身で行うこともできます。
では、弁護士に依頼するメリットとしては、3つ考えられます。
①書面を作成する手間が省ける
まず、書面作成の手間が省けることにあります。
ご自身で面会交流調停をする場合には、ご自身で書面の全てを作成する必要がありますが、弁護士に依頼すればこの手間が省けることになります。
②法律のプロによる適切なアドバイスを受けられる
アドバイスの他にも、弁護士がいることで、精神的にも楽になることができます。
③調停委員に対して有利な印象を与えることができる
さらに、調停委員に対して有利な印象を与えることができる可能性があります。
以下で説明するように、弁護士に依頼した場合には弁護士費用が必要です。
そうした費用を負担してでも弁護士をつけて面会交流調停に臨んでいる場合には、調停委員に「この人は本気で子供との面会交流を希望しているんだな」と印象付けることができ、調停で有利な結果を獲得することができる可能性があります。
(2)デメリット
他方、デメリットとして弁護士費用です。
弁護士費用としては、
- 相談料(弁護士に相談する際にかかる費用のこと)
- 着手金(弁護士に案件を依頼する際(委任契約時)に支払う費用のこと)
- 報酬金(案件終了後に、その具体的な成果に応じて支払う費用のこと)
- 実費
- 日当
などです。
では、実際にどのくらいの費用が必要なのでしょうか。
結論から言えば、弁護士費用は、特に明確な金額が定まってはおらず、法律事務所によって様々です。
近頃は、ネットに広告を掲載している事務所の弁護士費用がすごく安いです。
そのため、実際にどのくらいの費用が必要かに関しては、各法律事務所のHPを参考にしてみて、それでも分かりにくければ各法律事務所に直接問い合わせてみると良いでしょう。
まとめ
今回は、面会交流調停の手続きについてご説明いたしました。
離婚後の親権がない非監護親にとっては、何としても子どもと会う環境を整えたいでしょう。
今回の話が、面会交流調停の手続きについて知りたい方のご参考になれば幸いです。