交通事故の弁護士費用の相場はどのくらい?費用内訳も分かりやすく解説

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交通事故の弁護士費用には相場があります。

交通事故に遭ったら、相手の保険会社と示談交渉をしたり後遺障害の等級認定手続きが必要なため、弁護士の助けを借りることが大切です。

しかし、弁護士というと、高額な費用が必要なイメージがあるので依頼を躊躇してしまうこともあります。

実際には、交通事故の弁護士費用は世間で思われているほど高額ではなく、リーズナブルな事務所もあります。
そこで今回は、交通事故の弁護士費用の相場についてご説明いたします。

1.交通事故の弁護士費用は事務所によって異なる

交通事故に遭ったら、怪我をして働けなくなることも多く、以前のように動けなくなるのでストレスになります。

そのような中でも、相手の保険会社との示談交渉をしなければならず、被害者にとっては大きな負担となります。

そこで、交通事故後の示談交渉は、弁護士に依頼するとメリットが大きいと言われています。
ただ、弁護士に示談交渉を依頼すると弁護士費用がかかってしまうので、その金額がどのくらいになるのかが問題です。

弁護士費用は、各弁護士事務所によって異なります。
それは、現在弁護士の報酬基準が自由化されていることにより、各法律事務所が自由に弁護士報酬を定めているからです。

そこで、交通事故で依頼する弁護士を選ぶときには、相場と比べてなるべく費用がリーズナブルな事務所を探す必要があります。
以下では、交通事故の弁護士費用の種類と相場を確認しましょう。

2.交通事故の弁護士費用の種類と相場

(1)法律相談料

交通事故問題を弁護士に依頼する際、まずは法律相談料がかかります。
これは、初めに弁護士に交通事故の相談をする際にかかる費用のことです。

法律相談料の相場は、多くの事務所で30分5000円(+税)です。
ただ、今は交通事故問題についての無料相談ができる弁護士事務所が増えていますので、そのようなサービスを利用すれば、法律相談料の負担はせずに済みます。

(2)着手金

交通事故で、相手保険会社との示談交渉や裁判を弁護士に依頼することになるとまずは着手金という費用が発生します。

着手金とは、事件を弁護士に依頼する際にかかる初期費用のようなイメージです。
着手金は、一括払いすることが原則ですが、分割払いを受け付けてくれる事務所もあります。
また、いったん支払った着手金は原則として返還されません。

示談交渉の場合には、着手金の相場はだいたい10万円~20万円程度になっています。
訴訟の場合には、その事件の経済的利益によって異なることが多く、具体的には以下の通りの金額が課される事務所が多数です。

経済的利益の額 割合
300万円以下の場合 8%
300万円を超え3000万円以下の場合 5%+9万円
3000万円を超え3億円以下の場合 3%+69万円
3億円を超える場合 2%+369万円

また、着手金には最低額があり10万円と定められている事務所がほとんどです。
したがって経済的利益が少なくても、最低10万円の着手金がかかるようになっています。

ここで言う「経済的利益」とは、相手に請求できる金額であると理解すると分かりやすいかと思います。

たとえば、相手に対して400万円の損害賠償請求をする場合、着手金の金額は、400万円×5%+9万円=29万円となります。
また、中には着手金を無料としている事務所もあります。

(3)成功報酬

弁護士に交通事故事件を依頼すると、成功報酬金も発生します。
成功報酬金とは、事件が解決した際に、解決内容に応じてかかる費用のことです。
相手から回収できた金額が高ければ高いほど、成功報酬金の金額も高くなります。

成功報酬金の相場についても着手金と同様、経済的利益を基準とした計算方法になっており、示談交渉と訴訟の場合で異なる基準が採用されている事務所が多数です。

示談交渉の場合には、多くの事務所で経済的利益の10%程度が相場となっています。
訴訟の場合には、経済的利益の金額に応じて、以下のとおりになっている事務所が多いです。

経済的利益の額 割合
300万円以下の場合 16%
300万円を超え3000万円以下の場合 10%+18万円
3000万円を超え3億円以下の場合 6%+138万円
3億円を超える場合 4%+738万円

成功報酬金の場合の「経済的利益」とは、示談交渉や訴訟を弁護士に依頼したことによって増額された分の金額を意味します。

たとえば、被害者自身が示談交渉をしていたときに相手の保険会社から300万円の示談金の提示を受けていた場合に、弁護士に依頼すると示談金が500万円に上がった場合には、経済的利益の金額は、差額の200万円となります。

この場合の成功報酬金は、200万円×16%=32万円となります。
このことからすると、交通事故事件を当初から依頼した場合、途中から依頼した場合よりも成功報酬金が高くなる可能性があるので、覚えておきましょう。

なお、これらの着手金と成功報酬金の訴訟における相場は、昔適用されていた旧弁護士報酬基準に従ったものです。

現在は、報酬基準が廃止されているので必ずしもこれに従う必要はないのですが、今でもその報酬基準に従っている事務所がたくさんあります。
もちろん、中にはこれとは異なる独自の基準を採用している事務所もあります。

(4)日当

交通事故の弁護士費用には、日当もあります。
日当とは、弁護士が遠方に出張をした場合などにかかる費用のことで、交通費などの実費とは別にかかってきます。

たとえば、遠方の裁判所で期日が開催される場合などには、日数分の日当と交通費の両方がかかるということです。
弁護士の日当の相場は、だいたい1日あたり3万円~5万円程度になります。

(5)実費

弁護士に交通事故事件を依頼する際には、実費も必要です。
実費とは、実際の手続きのためにかかる費用であり、弁護士に手続を依頼せずに自分ですすめた場合にも発生するものなので、必ずしも弁護士費用に含めるべきものではありません。

ただ、弁護士に事件を依頼した場合には、通常は実費も一緒に支払うので、実費を弁護士費用に含めて計算することが多いです。

交通事故の実費は、依頼する手続きが示談交渉なのか、裁判(損害賠償請求訴訟)なのかによって大きく異なります。

示談交渉の場合には、各種の書類取り寄せ費用や郵便の費用程度しかかからないので、数千円~で済むことが多いです。

これに対し、訴訟になると、請求金額に応じて裁判所の手数料(印紙代)がかかります。
裁判所の手数料は、請求金額が高額になるほど高くなります。

たとえば、300万円の請求をする場合には2万円の手数料が必要になりますし、500万円の請求をする場合には3万円の手数料がかかります。
交通事故事件の場合には、だいたい数万円程度かかると考えておくと良いでしょう。

また、裁判を起こす場合には裁判所に予納する郵便切手も必要です。
各地の裁判所によって具体的な金額は異なりますが、だいたい6千円程度が相場となっています。

(6)消費税

弁護士に事件の依頼をする場合、弁護士費用には消費税が加算されます。
ただし、実費には消費税はかかりません。

まとめ

交通事故の弁護士費用をなるべく安く抑えたいなら、まずは無料相談を利用することです。
まずはインターネットなどを利用して弁護士事務所のホームページをチェックして、交通事故の無料相談サービスを実施している事務所を探しましょう。

なるべく交通事故関係の記載が多く、交通事故事件の実績が高そうな事務所を選ぶと良いでしょう。
いくつかの事務所で無料相談を受けて、各事務所の費用とサービス内容を比較し、リーズナブルな事務所を選ぶ方法もおすすめです。

実際に弁護士に示談交渉や訴訟を依頼する際には、着手金無料・完全成功報酬制の事務所を利用すると、回収した金額に対してしか費用がかからないので足が出る心配がなく安心です。

また、弁護士に事件を依頼する場合、成功報酬金がどの部分に対して加算されるかについても注意が必要です。

多くの弁護士事務所では「弁護士の介入によって増額された金額」を基準に計算しますが、中には「回収できた金額」そのものを基準にする事務所があります。

回収できた金額そのものを基準にすると、弁護士費用が高額になってしまうおそれがあるので、そのような事務所には依頼すべきではありません。
今回の記事を参考に交通事故の弁護士費用の相場を正しく理解して、賢く弁護士を選びましょう。

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