離婚を考えるなら知っておきたい離婚後の生活費と捻出方法

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夫の不倫や性格の不一致などで、これ以上、結婚生活を続けていけないと思っても、心配なのが、離婚後の生活費のことです。
あなたが専業主婦であったり、仕事をしていてもお子さんがいれば、なおのことでしょう。

実は、シングルマザー世帯への公的な手当は、いろいろあります。
しかし離婚してから調べるのでは、日々の生活に追われ、もらい損ねることもあります。

また、先に離婚するのではなく、まずは別居をするところから行動を起こしたいと思っている方も多いでしょう。
でも、夫に財布を握られていて経済力がないため、行動に移せないと苦しんでいる方は少なくありません。

離婚を新しい生活へのステップアップととらえて、その前に入念な下調べをしておけば、あなたの安心にもつながります。

そこで今回は離婚を考えた時に知っておきたい生活費のことについて解説いたします。

1.離婚後の生活費の相場

まずは、手始めに離婚後の生活費の相場を見ていきましょう。
今現在、家計簿をつけていらっしゃる方なら、それを参考になさるとよいでしょう。

(1)生活費の内訳

生活費の内訳は次のようになります。

・住居費

・食費

・水道光熱費

・雑費(消耗品費や被服費、交際費など)

・教育費

・貯金

(2)住居費と子供にかかる教育費は大きな金額になります

生活費の中でも、住居費は住んでいる地域や住まいの種類によって金額が大きく違ってくる費目です。
実家に同居したり、公営住宅に入居できれば、大きく減らすことができます。

しかし、お子さんが居る状況で民間アパートを借りる場合は、世帯向けの物件になりますし、家賃が4万円から7万円程度かかるとみておいた方がいいでしょう。

次に、大きな金額となるのは子供の教育費です。

公立の学校に通っていても、年間で30万円から50万円かかるでしょう。
子供の将来を考えて、塾や習い事を今まで通りにさせてあげたいと考えるならば、さらに多額の費用が必要となってきます。

(3)食費やその他の費用は工夫しだい

工夫しだいでやりくりが可能なのは食費や雑費です。
食費は手作りを心がけたり、外食を控えるなどすれば減らすことが可能でしょう。

また、被服費についてもおさがりやリサイクルショップを利用するといった工夫が図れます。
レジャーについては、一人親家庭だからこそ子供との時間は大事にしたいもの。

お金のかからない楽しみ方は色々あるので、子供のためにもぜひ調べてみてください。

(4)離婚後の生活費の相場は?

離婚後は毎月の生活費として15万円かかるとすると、

15万円×12か月+子供の教育費50万円=230万円

おおよそ、このくらいの生活費が必要となってきます。
離婚後の生活を成り立たせていくためには、この生活費をどうやって捻出するかがポイントとなります。

今現在、フルタイムの正社員でバリバリ働いていらっしゃる場合は大丈夫ですが、専業主婦の方は不安だと思います。
離婚を考えるならば、結婚期間中に仕事を見つけておくことが大事でしょう。

2.別居中と離婚後の生活費の違い

ここで、離婚に踏み切る前に、別居をする場合の生活費についてみてみましょう。

(1)別居期間中の生活費は夫に請求できます。

実際問題として、夫と一つ屋根の下で一緒に暮らしながら、離婚の話を進めることはなかなか難しいものです。

そこで、まずは別居を始めたいと考える方も多いでしょう。
または、夫の方が出て行ってしまい、生活費のことで途方に暮れている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

そこで、ぜひ知っておいていただきたいのが、「婚姻費用分担請求」と呼ばれるものです。
これにより、別居をしていても夫に対して生活費の請求ができます。

なぜかといいますと、夫婦は法律上お互いに助け合う義務があるからです。
この義務は、離婚届を出して受理される前ならば、たとえ別居中であっても、離婚調停中や裁判中であっても、夫婦である当事者に課せられています。

一般的に、夫の方の収入が多いケースが多いので、妻が夫に対して生活費を請求できることになります。

(2)請求は家庭裁判所に申立てをして行います

そもそも生活費を請求しても支払ってもらえない…とお悩みの場合でも心配はいりません。
夫婦間が冷め切っていれば珍しいことではありません。

そのような場合には、婚姻費用分担請求として家庭裁判所に対して申立てができます。
この場合は、調停という形で話し合いが行われます。

調停では、調停委員と裁判官が、夫婦の収入や資産の状況や、支出の内容及び双方の言い分を聞いて、話し合いがまとまるように進めてくれます。

(3)調停がまとまらない場合は裁判所が審判を下します

もし、調停での話し合いがまとまらなかった場合は、裁判所が審判を下します。

これにより、婚姻費用の分担金額が決定されます。
金額については、すでに相場が決まっており、裁判所は、「養育費・婚姻費用算定表」を用いて算出していきます。

この中では、例えば婚姻費用については、子供の有無や子供の数、及び年齢をベースにして、夫と妻、双方の収入によって金額が決められています。

未成年の子供がいない夫婦で、夫が年収700万円で、妻がパート収入程度の場合ですと、妻が受け取る婚姻費用は、8万円から10万円ほどになります。

なお、これは、婚姻期間中だけ受け取ることができるものです。
離婚が成立したら、請求する権利がなくなりますので、他の方法で収入を得なければなりません。

3.離婚後、意外にお金がかかるポイントはここです

離婚後は、生活費だけでなく、他にもお金がかかるポイントがあります。
もちろん、あなたの置かれている状況によって変わってきますが、その時になって慌てないように今のうちにチェックしておきましょう。

(1)新しい住まいにかかる費用

離婚後、民間のアパートを借りる場合は、家賃だけでなく初期費用が掛かってきます。
敷金や礼金、火災保険料、一か月分の前家賃などです。

その他、家具なども今まで使っていたものは、サイズが新居に合わないこともありますから、家財道具をそろえる費用も用意しておいた方がいいでしょう。

冷蔵庫、洗濯機といった電化製品、カーテンといったものや、引っ越し費用も必要です。
物件にもよりますが、これらの費用として、30万円から50万円は用意しておいた方が安心でしょう。

(2)職探しにかかる費用

今現在、仕事についていらっしゃらない場合は、職探しのための費用も用意しておかなければなりません。

まず、面接用のスーツや靴等が必要となってきます。
また、小さいお子さんがいらっしゃる場合は、託児所に預ける費用も見込んでおきましょう。

(3)子供の転校にかかる費用

離婚に際して、お子さんが転校したり、保育所や幼稚園を変わる場合は、そのための費用も必要となってきます。

入園金や、新しい学校での制服や体操服、学用品などです。
これらの費用も忘れずに準備しておかなくてはなりません。

こう見ていくと、離婚に踏み切るのは、最低でも100万円の貯金を作っておいてからの方が安心と言えるでしょう。

4.離婚後の生活費を確保する方法

離婚後の生活費を考えると不安が募る方もいらっしゃるでしょう。
今まで専業主婦であった方が、いきなり200万円以上稼ぐことは難しいかもしれません。

しかし、いろいろな公的な手当や支援も用意されていますので、それを活用することで、離婚後の生活を成り立たせることは十分可能です。

(1)児童手当

これは、0歳から中学校卒業までの子どもに対して支給されます。

・3歳未満は、一律15,000円

・3歳以上小学校修了前は、10,000円(第3子以降は15,000円)

・中学生は、 一律10,000円

(2)児童扶養手当

これは、18歳以下の児童を育てているひとり親家庭に対して支給されます。
なお、支給額は、所得によって決定される仕組みになっています。

また、離婚して実家に戻られる場合、祖父母やその他の同居者に収入がある場合は、支給されない可能性がありますから注意が必要です。

・子どもが1人の場合

全部支給:42,330円

一部支給:42,320円~9,990円

・子ども2人目の加算額

全部支給:10,000円

一部支給: 9,990円~5,000円

・子ども3人目以降の加算額(1人につき)

全部支給: 6,000円

一部支給: 5,990円~3,000円

(3)生活保護

生活に困窮している場合は、文化的で最低限度の生活が送れるよう、生活保護を受けることができます。

なお、児童手当と児童扶養手当、生活保護は国の制度ですから、どこに住んでいても至急要件さえ満たせば支給を受けることができます。

その他に、自治体独自の制度もあります。

(4)養育費

養育費のことを忘れてはいけません。
養育費は、子供が、離れて暮らす親から自分の養育に必要な費用を受け取ることができる権利です。

実際には、養育費を受け取っている母子家庭は多くはないのですが、子供のために、しっかりと養育費を受ける権利を守ってあげましょう。
これについては、離婚の際に、強制執行認諾文言付の離婚公正証書を作っておくことが役に立ちます。

詳しくは、離婚問題に詳しい弁護士に相談なさるとよいでしょう。

(5)公営住宅等、そのほかの様々な制度

母子家庭に対しては、自治体ごとに様々な助成制度が用意されています。
公営住宅への優先入居や家賃補助、医療費の助成、上下水道料の減免等がありますから、お住まいの市町村の役場に問い合わせてみてください。

5.まとめ

離婚は、新しい人生のスタート地点です。

新しい生活に必要なお金の知識を、事前に身につけておけば、様々な不安も解消されます。
特にお子さんをかかえている方は、不安も大きいものですが、そのぶん公的な支援も用意されています。

入念な準備をして、再出発を切ってください。

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