日常生活を送っている場合でも家族や友人、知人などが突然逮捕されてしまうことがあります。
家族などの周囲の人が逮捕された場合、どのような形でその事実を知ることになるのでしょうか。
また、家族などが逮捕されてしまったら、逮捕された本人がどのような運命をたどることになるのかも知っておきたいところです。
さらに、家族が早期に釈放されるためにはどのような弁護士を選ぶかが重要ですが、弁護士はどのようにして選べば良いのでしょうか?
これらのことを正しく理解しておかないと周囲の人が逮捕されたときに適切に対処できず、不利益を受ける可能性があります。
そこで今回は、家族や友人、知人などが逮捕された場合の対処方法についてご説明いたします。
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目次
1.家族が逮捕された場合は誰が知らせてくれる?
(1)家族が逮捕されても当然には知らされない
家族や友人、知人などが突然警察に逮捕されることがあります。
このような場合、家族はどうやってその事実を知ることになるのでしょうか。
逮捕された本人や警察などから家族に電話がかかってくることはあるのでしょうか。
一般的なイメージとしては、本人や警察がすぐに連絡をしてくるようなイメージがあります。
しかし、実際にはそのようなことはありません。
まず、逮捕された本人は電話を一切利用することはできません。
接見禁止(弁護士以外の人との面会が禁止される処分)がついていない場合には手紙や電報を利用出来ますが、それ以外の通信手段は利用出来ないのです。
また、警察もわざわざ家族に連絡してくれることはありません。
よって、家族は本人が逮捕されたことを何も知らないまま、そのまま日常生活を続けることになります。
(2)弁護士が知らせてくれることが多い
家族が逮捕された場合にその事実を知らせてくれるのは、その多くが弁護士です。
逮捕された場合、1度だけ無料で弁護士を呼ぶことができます。
この弁護士のことを当番弁護士といいます。
当番弁護士は、被疑者(逮捕された本人)と面会して、その希望などを聞いて家族に連絡してくれることが多いです。
また、被疑者が裁判所に勾留されたタイミングで裁判所から家族に通知が来ることもあります。
また、必要に応じて「逮捕から勾留の流れと残された身内や家族が弁護士を呼ぶタイミングを解説」も併せてご参照ください。
2.逮捕された家族はどうなるのか?
家族が逮捕されてしまった場合、その家族はその後どうなるのでしょうか。
裁判になって刑務所に行かなければならないのかなどが心配です。
この点、逮捕されたからと言っても必ずしも裁判になるとは限りません。
微罪なら早期釈放されることもあります。
しかし、微罪ではない場合や被害者の被害感情が強いケースなどでは、早期釈放は難しくなります。
この場合、逮捕後勾留手続きがとられて、最大20日間身柄が勾留されます。
その間に警察から厳しい取り調べを受けて、犯罪の証拠がそろったら裁判にかけられてしまいます。
裁判で有罪になったら、その判決に従った刑罰を受けることになります。
刑罰の内容は、罰金刑であることもありますし、懲役刑や禁固刑であることもあります。
起訴されて刑事裁判になった場合には、手続きには非常に時間がかかりますし、何より有罪のリスクが高くなるので注意が必要です。
有罪になると、刑務所に行かなければならない可能性もありますし、一生消えない前科がついてしまいます。
また、必要に応じて「前科と前歴の違いは?その後の生活にはどんな影響がある?」や「勾留から裁判までの流れと起訴された際の対処法を解説」も併せてご参照ください。
3.家族が早期に釈放されるための方法
家族が逮捕された場合に、刑事裁判にならないで早期に釈放されるにはどのような対処方法があるのでしょうか。
以下でご説明いたします。
(1)微罪の場合
家族が逮捕されたとは言っても、それが微罪であることがあります。
たとえばちょっとした喧嘩であったり、はじめてちょっとしたものを万引きしてしまったようなケースです。
このような場合には、警察が被疑者を送検(検察官に事件を送ること)せず、そのまま釈放してくれることがあります。
この場合には、警察から家族に連絡が来るので、家族が警察に迎えに行って、身元引受人になれば被疑者は釈放されます。
よく、ドラマなどで酔っ払いが喧嘩をして「留置所で一泊二日してきた」などと言っていますが、それはこのような微罪による早期釈放のパターンです。
(2)微罪ではない場合
①裁判になって有罪になる可能性がある
警察に逮捕された場合、それが微罪ではない場合には、自然に早期釈放されることはありません。
この場合、放置していると上記のように勾留請求されて長期間身柄拘束を受けて、最終的に刑事裁判にかけられてしまいます。
そこで、早期釈放してもらうためには検察官が起訴しないように取りはからうことが重要です。
被疑者が逮捕勾留されて取り調べを受けたあと、20日間の勾留期間が切れると、検察官はその被疑者を起訴するかどうかを決定します。
このとき不起訴処分となり、裁判が起こらなければ、被疑者はそのまま釈放されるのです。
また、起訴されなければ有罪判決を受けることもなく、前科がついてしまうこともありませんし、刑罰を受けることもありません。
よって、家族が逮捕されたら、なんとしても不起訴処分に持ち込む必要があるのです。
②不起訴処分で早期釈放してもらう方法
勾留後不起訴処分にしてもらうためには、いくつかの要素がありますが、まずは被疑者本人がしっかり反省していることが大切です。
よって、被疑者本人に反省文などを書いてもらいましょう。
また、窃盗などの被害者がいる犯罪の場合には、被害者との示談交渉が非常に重要です。
被害者と示談が成立して被害金の支払いをしていて、民事的な問題が解決している場合には、検察官も起訴を見送ってくれるケースが多いです。
特に、被害者から嘆願書を提出してもらうことができたら、不起訴になる可能性はより高くなります。
嘆願書とは「この被疑者については寛大な処分をお願いします」という内容の文書です。
被害者からこのような嘆願書を提出してくれているということは、被害者は被疑者を完全に許していることになるので、検察官の判断に重大な影響を及ぼすのです。
また、必要に応じて「家族や友人、知人が逮捕されたら?釈放のためにできること」や「刑事事件での示談|メリットと具体的な方法まとめ」も併せてご参照ください。
4.弁護士選びが重要
家族が逮捕された場合、それが微罪でなければ、早期に釈放してもらうためには検察官に不起訴処分にしてもらわないといけません。
しかし、そのためには被疑者本人に反省文を書かせたり被害者と示談交渉するなどいろいろな手続きが必要になります。
このようなことを、素人である家族がすすめていくことには困難を伴います。
特に被害者との示談交渉など、家族が自分でするとお互いが感情的になって失敗してしまうことも多いです。
そこで、これらの活動については、法律のプロである弁護士に依頼する方法が効果的です。
弁護士は、刑事被疑者や被告人の弁護人として、被疑者や被告人の権利を守るための活動もします。
ただ、弁護士にも得手不得手があります。
弁護士の中には、刑事事件をほとんど取り扱っていない弁護士もいます。
よって、家族が逮捕された場合に弁護人になってくれる弁護士を探すためには、刑事事件を得意とする良い弁護士を探す必要があります。
5.刑事事件の弁護士の種類
家族が逮捕された場合、弁護士選びが非常に重要になりますが、刑事事件に関する弁護士には、いくつかの種類があります。
(1)当番弁護士
1つ目は当番弁護士です。
これは、被疑者が逮捕勾留された場合に、1度だけ無料で呼んで面会できる弁護士のことです。
この当番弁護士が被疑者から家族の連絡先を聞いて、家族に連絡をしてくれることもあります。
ただ、当番弁護士は、基本的に一回きりの弁護士です。
継続的に依頼するためには、当番弁護士にそのまま国選弁護人になってもらうか、私選弁護人として依頼する必要があります。
(2)国選弁護人
刑事弁護を依頼する弁護士として、国選弁護人があります。
国選弁護人とは、被疑者や被告人に弁護士を雇う資力がない場合に、国が無償でつけてくれる弁護人です。
ただ、国選弁護人は被疑者や家族が選ぶことができないので、どのような人が就任するかはまったくわかりません。
また、国選弁護人は、人によってはあまり熱心に弁護活動をしてくれないケースもあります。
それは、国選弁護人の報酬が低いことなどが関係しています。
もちろん国選弁護人でも熱心に弁護活動をしてくれる人はいるので一概には言えませんが、どのような弁護士にあたるかは運次第という面はあります。
(3)私選弁護人
刑事弁護を依頼できる弁護士としては、私選弁護人もあります。
私選弁護人とは、被疑者自身が選んで依頼する弁護人のことです。
私選弁護人を雇うと、当然その費用がかかります。
ただ、自分の好みに応じて、刑事事件に強い弁護士を選ぶことができますし、報酬もきちんと支払う分熱心にしっかり弁護活動をしてくれることが多いです。
よって、家族が逮捕された場合に早期に釈放してもらいたい場合には、なるべく良い弁護士を探して私選弁護人として選任することが大切になります。
6.弁護士の選び方
家族が逮捕された場合に良い私選弁護人を探すには、どのような方法があるのでしょうか?
(1)刑事事件に強い弁護士を探す
刑事事件に強い弁護士を探すことが必須です。
そこで、インターネットなどで弁護士事務所を検索してみましょう。
「刑事事件 弁護士」「刑事弁護人 地名」などの検索ワードで検索すると、多くのホームページが表示されます。
その中でよさそうな事務所を見繕って、法律相談に行くと良いでしょう。
ホームページ内には、弁護士事務所の特色が記載されています。
刑事事件に精力的に取り組んでいる事務所なら、刑事事件に関するブログやコラム、刑事手続きについての説明などの刑事事件関係の記載が多いものです。
また、刑事事件関係の書籍を執筆している弁護士がいる場合にも、刑事事件に力を入れていることが多いです。
このようにしてよさそうな事務所を見繕ったら、法律相談に行って実際に弁護士と面談します。
そして、その弁護士のアドバイスを聞いて、良さそうであれば1度本人に面会に行ってもらいましょう。
本人も了承をすれば、その弁護士に私選弁護人として弁護人に就任してもらうことができます。
(2)費用がかかることに注意!
私選弁護人を依頼する場合には、弁護士費用がかかります。
弁護士費用については、各法律事務所によって大きく異なる金額になることがあります。
弁護士費用には着手金と報酬金があり、着手金の相場はだいたい30万円~40万円くらいですが、それ以上かかる事務所もありますし、報酬金については事務所によってかなり差があります。
よって、私選弁護人を選ぶ際には、事前にかかる費用についてもしっかり確認しておく必要があります。
いくらよさそうな弁護士であっても法外な費用がかかる弁護士は良い弁護士ではありません。
また、費用が高い弁護士だからと言って必ずしもよい弁護士であるとは限りません。
支払ができる範囲で良い弁護士を選ぶことが、結果的に良い弁護士探しにつながります。
また、必要に応じて「刑事事件に強い弁護士の探し方と見分け方のポイント」や「刑事事件の弁護士費用の相場|国選弁護人&私選弁護人」も併せてご参照ください。
まとめ
今回は、家族や友人、知人などが逮捕された場合の対処方法や弁護士探しの方法についてご説明いたしました。
家族が逮捕されたからと言って、当然に通知が来ることはありません。
また、家族が逮捕された場合、早期に釈放されるためには良い弁護士を探すことが非常に重要です。
弁護士には国選弁護人と私選弁護人がありますが、熱心に弁護活動をしてもらいたい場合には私選弁護人を依頼した方が安心です。
私選弁護人を選ぶときには、刑事事件に強い良い弁護士を探しましょう。
今回の記事を参考にして、家族などの周囲の人が逮捕された場合にも慌てず適切な対処をしましょう。