スマホ離婚とは?もしもに備えて知っておきたい4つのこと

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スマホ離婚

「スマホ離婚」ってご存じですか?

夫婦が離婚する原因はさまざまです。たとえば夫のDVやモラハラ、夫婦のどちらかの不貞や浪費、病気などが原因で離婚に至るケースもあります。

最近は、スマホが原因で離婚する「スマホ離婚」が急増していると言われています。テレビ番組「ノンストップ」でも取り上げられていました。いったいなぜスマホが原因で離婚になってしまうのでしょうか。

また、そもそも法律上の離婚原因になるのでしょうか。離婚する場合に、慰謝料などの支払いを受けられるかどうかも知っておく必要性が高いです。

そこで今回は、スマホ離婚について、事例も交えながらわかりやすく解説します。

1.スマホ離婚とは

(1)スマホ依存者が増えている

近年、スマホの普及がめざましいです。IPhoneなどもとても人気がありますし、携帯電話会社各社もしのぎを削って、スマホを販売しています。

スマホを利用している年齢層も性別も幅広いです。女性も男性も利用しますし、子どもからお年寄りまでスマホを持っています。

スマホは、確かにとても便利です。ゲームや音楽なども好きなものを楽しむことが出来ますし、インターネット検索が出来たり本が読めたり、地図が表示できたり、手軽にインターネット通販をすることもできます。

ラインなどを利用して、友人達とつながるサービスもとても流行していて、常にラインをチェックしてしまう人もいます。

このようにスマホは便利な反面、スマホ依存者が増えています。

(2)スマホが原因の離婚

スマホ依存が原因で離婚する「スマホ離婚」が増えていると言われています。

スマホ離婚とは、夫婦の一方や双方がスマホ依存状態になり、そのことが原因で夫婦にすれ違いが起こり、離婚することです。

たとえば、配偶者が一日中スマホで遊んでいるので、その様子を見ていて相手方が嫌気がさすことがあります。

食事中や移動中、旅行中などもスマホを離さないので、夫婦のコミュニケーションをとることも出来ません。

また、スマホで遊んでいるときには、配偶者に声をかけられても生返事しかせず、時間を忘れてスマホばかりで遊んでいるので、自分と配偶者との関係が疎遠になっていることにも気づきません。

気づいた頃には、配偶者はすっかり愛想を尽かしていて、離婚を申し渡されるのです。

また、配偶者のスマホの情報を見てしまい、配偶者の知らない一面を知ることで、嫌気がさして離婚することもあります。

たとえば、妻がラインなどでの友人の会話で話している内容を見て、妻の人間性が信じられなくなるのです。

このように、スマホが原因で離婚する夫婦が増えています。

人ごとだと思っていても、身近であったと言う声も多く、スマホを利用している以上は、いつなんどき自分の身に起こってもおかしくないのです。

(3)一日のスマホ利用時間

スマホ離婚の原因になっているスマホ依存ですが、具体的に、スマホを利用している人の一日のスマホ利用時間は平均どのくらいになっているのでしょうか。

平均よりも自分のスマホ利用時間が大幅に超過しているような場合には、配偶者にストレスを与えている可能性もあり、注意する必要があるので、参考のために確認しましょう。

2014年時点の東京地区のデータ(※)ですが、スマホ利用者の一日の平均的なスマホ利用時間は、だいたい70分程度です。

2010年には25分程度、2012年には40分程度だったので、ここ数年において大きくスマホ利用時間が延びてきていることがわかります。

もし自分の今のスマホ利用時間が2時間にも3時間にもなっているなら、知らず知らずの間にスマホ依存状態になっている可能性があります。

スマホ離婚に至らないためにも、スマホ利用を出来るだけ控えて、スマホ依存状態を改善していく努力をした方が良いでしょう。

※出典:博報堂DYメディアパートナーズ 「メディア定点調査2015」時系列分析より

2.スマホ離婚の事例紹介

具体的にスマホ離婚には、どのような事例があるのでしょうか。そこで、以下ではパターン別に、スマホ離婚の事例をご紹介します。

(1)夫がスマホ依存になり、嫌気がさしたAさん

まずは、夫がスマホ依存状態になってしまい、嫌気がさして離婚したAさんの事例です。

Aさんの夫は会社員でしたが、もともと新しいものが好きで、スマホについても早くから利用していました。

そして、スマホにはまってしまい、いつでもどこでもスマホを手放さなくなりました。

四六時中スマホを使って遊ぶようになり、Aさんと会話することがほとんどなくなりました。

食事中などにもスマホを手放しませんし、一緒にでかけてもしょっちゅうスマホをチェックしています。

Aさんが「いったい何をしているの?」と尋ねても「ゲームしているだけ。」と言うだけでした。

Aさんが、もう少しスマホで遊ぶ時間を減らしてほしいと言っても、「何も悪いことはしていない。」「日頃働いていてストレスが溜まるので、スマホのゲームでストレス解消しているだけ。」などと言われるだけで、スマホの利用時間などは減りませんでした。

Aさんが、一体何をしているのかと思って夫のスマホの中身を見ようとしたところ、暗証番号や指紋認証でロックがかけられていて、Aさんには見られないように設定されていました。

このようなことが続いて、Aさんは、もはや夫が何を考えているのか全くわからなくなってしまいました。

夫の人間性も信用することが出来なくなり、これ以上一緒にやっていくことはできないと考えて、夫に離婚を申し出て、離婚しました。

(2)夫婦双方がスマホにはまり、夫婦のコミュニケーションが減ったBさん

次に、夫婦の双方がスマホにはまってしまったBさんの事例を見てみましょう。

Bさん夫婦は、双方ともがスマホを利用していました。

Bさんも夫も一緒にスマホを購入して、それぞれがスマホを使って好きなことをしていました。

夫はゲームなどを好んでしていたようですし、Bさん自身は友人とつながるラインなどのサービスや、インターネット通販などを楽しんでいました。

いろいろなアプリがどんどん出来たり、たくさんのサイトを見ることが出来るので、そのような情報収集なども楽しかったのです。

ところが、スマホがとても楽しくてスマホで遊んでいる時間が長くなると、夫と接触する時間が減りました。

食事をするときとお風呂、寝ているとき以外はスマホを手放さなくなって、夫と会話することがほとんどなくなりました。

夫自身もスマホにはまっていたので、お互いに干渉することもなく、「もうちょっとスマホを控えよう」「夫婦の時間を増やそう」などの話し合いをする機会も全く持ちませんでした。

そうこうしているうちに、Bさん夫婦にはほとんど会話やコミュニケーションがなくなりました。

気づいたときには、夫婦の間のすれ違いや亀裂が大きくなりすぎていて、Bさんたち夫婦はなぜ一緒にいるのかがわからない状態になってしまいました。

そこで、夫婦で話し合って離婚に至りました。

(3)妻のスマホの情報を見て、信用出来なくなり離婚に至ったCさん

さらに、妻のスマホの情報を盗み見て、その内容が気になって妻を信用出来なくなり、離婚に至ったCさんの事例です。

Cさんは妻と結婚して子どもも生まれマイホームを購入して幸せに生活していました。

そして、最近スマホが普及してきたので、何の気なしに妻と相談して、携帯電話をスマホに変えました。

最初は特に問題が起こることもなく、妻との間で「どうやって使うのかな?」「こんなアプリがあるよ」などの他愛のない会話をしていました。

ところが、だんだんと妻がスマホにはまり始めました。

一日の間でもスマホを触っていることが増え、Cさんが帰宅してもスマホで遊んでいることが増えました。

「ただいま」と言っても、生返事をするだけで、話も聞いているのかどうかわからないような状態でした。

Cさんは、自分が仕事をしている間、いったい妻がどんな生活をしているのか心配になってきました。子どもの面倒などもきちんと見ているのかも不安でした。

そして、妻に対して「一体スマホで何をしているの?」と聞きましたが、妻は「インターネットを見たり、友達とラインしてるだけ」と言うだけで、生活態度は変わりませんでした。

そこで、Cさんは妻が一体何をしているのかが気になって、妻のスマホを盗み見てしまいました。

すると、そこにはCさんの知らない友人(男性も女性も含む)と楽しそうに一緒に写った写真などがたくさんあって、Cさんが知らない人との会話内容も大量にありました。

そこでの妻は、まるでいつもの妻とは違って、はしゃいでいたり、女っぽい一面を見せていたりしていました。

家庭のことを知っている友人には、Cさんについての文句を書いていたりしていましたし、家庭のことを知らない人には独身者として振る舞っている様子もありました。

この妻のスマホ利用履歴を見て、Cさんはとてもショックを受けました。

妻のことが完全に信用出来なくなって、もうこれ以上妻と一緒にやっていくことは出来ないと考えるようになりました。

子どものためにも離婚を思いとどまろうかとも思いましたが、スマホ依存状態になっている妻に子どもを任せておく方が危険だと考えて、子どもを自分が引き取ってでも離婚しようと決意しました。

そこで、Cさんは妻に離婚を切り出しました。妻は驚いて、「何で離婚するの?」「離婚するなら慰謝料払って!」「子どもは絶対に渡さない!」などと言っていましたが、Cさんは子どもを連れて家を出て、妻に対して離婚調停を起こして妻と争いました。

当初は離婚を拒絶していた妻も、だんだんと離婚を受け入れる気持ちになってきているようで、もうすぐ調停が成立しそうな状態です。

調停で話し合いがつけば、妻と正式に離婚して、子どもと2人で生活していく予定です。

3.スマホ離婚は離婚原因になる?

スマホ離婚は意外と身近にある問題です。実際に、周囲でもスマホ離婚したケースがある人もいるでしょう。

しかし、結婚相手がスマホにはまっていて、自分が離婚したい場合でも、当のスマホ依存の本人自身は離婚など全く身に覚えがないという態度で、離婚に応じてくれないことがあります。

スマホ依存している本人には、そもそもスマホ依存の自覚がありませんし、それを悪いとも思っていないので、まさか離婚を言われるなどとは考えてもみないからです。

このような場合、相手が離婚に応じてくれなければ、協議離婚することはできません。

調停を起こして、それでもダメなら離婚訴訟(裁判)で決着をつける必要があります。

離婚訴訟で離婚を認めてもらうには、法定の離婚原因があることが必要です。

では、スマホ離婚は法定の離婚原因に該当するのでしょうか。

以下では、スマホ離婚がそれぞれの法定離婚原因にあてはまる可能性があるのかを、確認しましょう。

(1)法定の離婚原因

法定の離婚事由は、民法770条1項の各号に規定されています。

具体的には、不貞(民法770条1項1号)、悪意の遺棄(同第2号)、3年以上の生死不明(同第3号)、回復しがたい精神病(同第4号)、その他婚姻を継続し難い重大な事由(同第5号)です。

スマホ離婚は、これらの法定離婚事由に該当するのでしょうか。

(2)不貞、悪意の遺棄など(民法770上項1号~4号に該当するか)

①不貞

法律上の離婚原因には、不貞があります。不貞とは、配偶者がありながら、別の異性と男女関係を持つことです。

この点、相手方がスマホ依存だというだけでは不貞になりません。ただし、相手方がスマホの出会い系サイトなどを利用して不倫相手と出会い、不貞をしている場合には不貞が成立します。

相手方が不貞している場合には、法定の離婚事由になりますので離婚が出来ます。

②悪意の遺棄

法律上の離婚原因として悪意の遺棄があります。悪意の遺棄とは、悪意を持って配偶者を見捨てることです。

この点、相手方がスマホ依存だというだけでは悪意の遺棄にはなりません。ただし、相手方がスマホに依存して仕事も辞めてしまい、生活費を一切入れなくなったなどの事情があれば、それは悪意の遺棄と評価される可能性があります。

③3年以上の生死不明

法律上の離婚原因には3年以上の生死不明がありますが、スマホ依存だからといってこれに該当することもありません。

④回復しがたい精神病

法律上の離婚原因として、回復しがたい精神病もあります。これについては、統合失調症や偏執病、強度の躁うつ病などが該当するのであってアルコール中毒や薬物中毒、ノイローゼなどは回復しがたい精神病にはなりません。このことからすると、スマホ依存も「回復しがたい精神病」とまでは言えません。

よって、この要件にあてはまることもありません。

以上のように、スマホ依存が法定の離婚事由である民法770条1項1号~4号に該当する可能性は低いです。

これらの離婚に関する規定によって、スマホ離婚が認められる可能性はあまりありません。

(3)その他婚姻を継続し難い事由に該当するのか(民法770条1項5号)

スマホ依存は、民法770条1項5号の「その他婚姻を継続し難い重大な事由」に該当するのでしょうか。

婚姻を継続し難い重大な事由とは、具体的にどのような事由なのかが問題になります。

この点、民法770条1項5号が、1号~4号までの事由と同列に並べられていることからすると、その他婚姻を継続しがたい重大な事由とは、1号~4号と同じくらい重大な事由である必要があると理解されています。

つまり、重大な事由があると言えるためには、不貞や悪意の遺棄、3年以上の生死不明や回復しがたい精神病と同程度に重大な問題が発生していることが必要だということです。

婚姻を継続し難い重大な事由があるかどうかについては、たとえばその夫婦の関係性、別居している場合には夫婦の別居期間や別居後の話し合いの経過、双方の離婚に対する考え方や未成年の子どもの有無、夫婦の問題行為の有無や内容などによって総合的に判断されます。

そして、裁判官が、その夫婦の関係が完全に破綻していて、もはややり直すことが不可能になっていると判断した場合には「婚姻を継続し難い重大な事由」が認められます。

ここで、スマホ離婚にあてはめて考えてみます。スマホ離婚は、夫婦の一方又は双方のスマホ依存を原因にした離婚です。

スマホ依存があるというだけでは、婚姻を継続し難い重大な事由があるとは言えないでしょう。よって、配偶者がスマホ依存しているという一事をもって、離婚裁判で争っても離婚が認められない可能性が高いです。

ただ、婚姻を継続し難い重大な事由については、上記のように、総合的に事案を判断されます。

夫婦の不仲のきっかけはスマホ依存であったけれども、その後そのことが原因で夫婦のすれ違いや喧嘩が増え、お互いがお互いに全く関心を払わなくなり、双方に婚姻継続の意思や希望が見られない場合があります。

また、スマホ依存が原因で夫婦が別居して、その後その夫婦が離婚協議を重ねてきている場合や、スマホ依存が原因で別居してその別居期間が長期に及んでおり、夫婦がお互いにやり直す努力をせず、まったく別々の生活を送っている場合などには、もはやその夫婦の関係は修復不可能な程度に破綻しているとみなされて、離婚が認められる可能性があります。

また、婚姻を継続し難い事由によって離婚が認められるためには、未成年の子どもがいない方が認められやすいです。

相手方のスマホ依存に嫌気がさして離婚したい場合、その夫婦に子どもがいなければ比較的離婚しやすいですが、未成年の子どもがいると、裁判を起こしてもなかなか離婚が認められないことがあります。

4.スマホ離婚での金銭請求

夫婦の一方又は双方のスマホ依存が原因で離婚するスマホ離婚をする場合、離婚に際してどのような金銭請求が出来るのでしょうか。慰謝料などの請求が出来るのかが知りたいところです。

そこで、以下ではスマホ離婚する場合の金銭請求について、順番に見てみましょう。

(1)養育費

スマホ離婚する場合にその夫婦に未成年の子どもがいれば、その子どものための養育費が問題になります。

通常子どもは親権者になった親が引き取りますが、親権者となった親は、ならなかった親に対して養育費の請求が出来ます。

養育費の金額については、家庭裁判所で採用されている基準がありますので、それを利用して決定することが多いです。養育費の金額は、夫婦のお互いの収入に応じて決まります。

支払う側の収入が高ければ養育費の金額は高くなりますし、受け取る側の収入が高ければ養育費の金額は低くなります。

そして、スマホ離婚の場合でも、養育費についての取り扱いは通常の離婚のケースと同じです。

スマホ依存された側が親権者になった場合でも、スマホ依存になった側が親権者になった場合でも、双方の収入状況に応じて、定められた計算式に従って同じように養育費の請求が出来ます。

スマホ依存状態になったからと言って、養育費が減額されることはありません。

(2)婚姻費用

スマホ離婚する場合、その夫婦が離婚前に別居することがあります。

夫婦が別居する場合、収入が多い方の配偶者は収入が少ない方の配偶者に対して婚姻費用を支払わなければなりません。

婚姻費用とは、夫婦の相互扶助義務にもとづいて認められる、夫婦間で支払の必要のある生活費のことです。

たとえば、夫が会社員で妻が専業主婦の場合など、離婚前にその夫婦が別居した場合などには夫は妻に対して月々数万円ずつの婚姻費用の支払いをしなければなりません。

婚姻費用の金額についても、養育費と同様家庭裁判所で採用されている基準があります。

同じように、夫婦それぞれの収入状況に応じて金額が異なります。

婚姻費用を支払う側の収入が高ければ高いほど婚姻費用の金額は高くなりますし、婚姻費用を受け取る側の収入が高ければ高いほど婚姻費用の金額は低くなります。

また、婚姻費用を受け取る側が夫婦の子どもを監護して育てていたり、その子どもの人数が増えると、その分婚姻費用の金額は高くなります。

スマホ離婚の場合にも、婚姻費用の考え方は通常の他の事件と同じです。スマホ依存が原因で別居した場合でも、収入が高い方の配偶者は相手方に対して婚姻費用の支払いの必要があります。

たとえば妻のスマホ依存が原因でやむなく別居に至った場合であっても、夫は妻に対して婚姻費用の支払い義務があります。この場合、「別居原因を作ったのは妻だから、婚姻費用は支払わない。」と主張しても、そのような主張が通ることはありません。

(3)財産分与

離婚する際の金銭支払いとしては、財産分与もあります。財産分与とは、夫婦が離婚する際に、夫婦が婚姻生活において積み立てた夫婦共有財産をお互いに分割する手続きのことです。

離婚の際の財産分与の割合は、基本的に2分の1になります。たとえ妻が専業主婦で収入がなかったとしても、妻は2分の1の財産分与を受ける権利があります。

それは、夫が外で働いてお金を稼ぐことが出来たのは、妻がしっかり家を守ってくれていたからという意味で、妻にも夫婦の共有財産の形成に寄与があったと考えられるからです。

スマホ離婚の場合も、この考え方は基本的に同じです。

スマホ依存状態になって離婚原因を作ったとしても、財産分与を2分の1もらえる権利がなくなることはありません。

ただ、スマホ依存によって、夫婦共有財産を目減りさせていたなどの事実がある場合には、財産分与割合において考慮される可能性はあります。

たとえばスマホ利用に際してアプリや利用料などがかさみ、長期にわたって毎月高額な支払を続けていたり、スマホ利用のために借金をして家計に負担をかけていたなどの場合には、財産分与に際して考慮される可能性がないとは言えません。

ただ、このような事例は限定された事例であると言えるでしょう。

(4)スマホ離婚で慰謝料が請求出来るのか?

スマホ離婚の場合、離婚にともなう慰謝料請求は出来るのでしょうか。

相手方のスマホ依存が原因で離婚する場合に慰謝料が発生するのかどうかが問題になります。

この点、離婚に際しての慰謝料が発生するのは、夫婦の一方が離婚原因を作り、その離婚原因に違法性が認められるほどの事由であることが必要です。

違法性がある場合、離婚原因を作った配偶者は有責配偶者となり、慰謝料支払いをしなければならなくなります。

離婚慰謝料が発生するのは、たとえばDVや不貞、悪意の遺棄(生活費不払いや家出)があった場合などです。

スマホ離婚で慰謝料が発生するかという問題は、スマホ依存が「有責配偶者」と言えるほどの違法性があるかということと関わります。

相手方のスマホ依存が原因で離婚する場合、単に相手がスマホで遊ぶばかりになっただけの場合と、相手方がスマホ依存のあげくに知り合った女性と不倫した場合などがあります。

そこで、以下では単純にスマホ依存状態になっただけのケースと、スマホ依存に他の問題行為が絡んでいる場合に分けて、慰謝料発生の有無を検討します。

①単にスマホ依存していただけの場合

スマホ離婚する場合、単に相手方がスマホにはまってしまっただけのケースがあります。夫がスマホにはまって食事中もスマホを見ている状態で、妻の声かけに対してもほとんど返答しない場合などです。

このような場合、妻は夫に慰謝料請求出来るのでしょうか。

この点、先ほど説明したように、離婚慰謝料が発生するには、その行為が違法性を有する必要があります。ここで単にスマホ依存状態になって配偶者とのコミュニケーションを怠ったというだけの場合には、慰謝料が発生するほどの違法性があるとは言えないでしょう。

よって、配偶者が単にスマホ依存状態になったというだけでは、たとえ離婚ができたとしても慰謝料請求は難しいと考えるべきです。

②不貞や悪意の遺棄などの問題があった場合

相手方のスマホ依存が原因でスマホ離婚する場合、相手方が単にスマホに依存しているだけではなく、スマホを通じて知り合った異性などと男女関係になって不貞しているケースがあります。

また、不貞相手との連絡に主にスマホを利用していて、そのことが原因で周囲からはスマホ依存のように見えている場合もあります。

この場合にはその配偶者には不貞があると認められますので、離婚慰謝料が発生します。慰謝料の金額算定の際に、スマホ依存状態になって妻に見向きもしなかったという事情は慰謝料を増額させる悪い事情として評価されることになるでしょう。

次に、スマホ依存状態になって、料金が高額にかかり、借金をしてその返済を妻に押しつけたり、スマホにはまってスマホ代がかかるなどの事情で、妻に対してお金を全く入れなくなってしまった場合などもあります。

スマホにはまって妻に文句を言われるのがうっとおしいため、一方的に家を出て行って生活費を支払わなかった場合もあるでしょう。

このような場合には、悪意の遺棄が成立しますので、悪意の遺棄にもとづいて慰謝料が発生することになります。

そして、この場合には、スマホ依存状態になって妻との離婚原因を作ったことは、慰謝料算定の際の考慮要素として、慰謝料を増額する方向にはたらくことになります。

スマホ離婚に関するまとめ

今回は、近年急増していると言われるスマホ離婚について解説しました。スマホ離婚とは、夫婦の一方又は双方がスマホ依存状態になることによって、夫婦のコミュニケーションがとれなくなって離婚に至ることです。

夫婦の一方がスマホ依存状態になって他方が嫌になるケース、夫婦の双方がスマホにはまって夫婦間のコミュニケーションがなくなり破綻するケース、配偶者のスマホの中身を見て配偶者のことを信用出来なくなり離婚に至るケースなどがあります。

スマホ離婚は、単独では法定の離婚事由に当たらないことが多いです。ただ、スマホ依存状態が原因で、夫婦の溝が深まり、夫婦の双方に婚姻継続の意思や希望が見られない場合や、スマホ依存が原因で長期間別居している場合などには、その他婚姻を継続しがたい重大な事由として、離婚原因が認められることもあります。

スマホ離婚の場合でも、養育費や婚姻費用、財産分与などの請求内容は通常の他の離婚原因による離婚のケースと同じです。

単にスマホ依存しているだけという理由では慰謝料請求は困難ですが、不貞によってスマホ依存状態になっている場合や、スマホ依存が度を超して生活費不払いなどに至っている場合には、慰謝料が認められる可能性があります。

自分や配偶者がスマホにはまって依存状態になっているかもしれないと思う人は、今回の記事を参考に、スマホ離婚にならないようスマホ利用時間を控えるなどの対処をとることをおすすめします。

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