不動産を相続したら? ~相続登記の手続きとは〜

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遺産相続とは、被相続人(故人)の遺産を相続人が受け取ることを言います。

土地・建物といった不動産は、相続する遺産の中でも大きな割合を占めます。不動産を遺産相続するということは、実際には、相続した不動産の名義を、相続人の名義に変更することを指します。

日本では、この不動産登記を絶対にしなければならないという法律上の決まりはありません。被相続人の名義のまま、その不動産に住み続けることもできるのです。

しかし、不動産登記は、他人に対して「この不動産は自分のものである」と主張するときに必要になります。これを「対抗力」と言います。不動産登記をして対抗力を備えておかなければ、仮に他人がその土地を自分のものと偽って売り、事情を知らない第三者が買って不動産登記をした場合には、もうその土地を取り戻すことはできなくなるのです。

とはいえ、不動産登記をするには、様々な書類が必要で、決められた手続きを踏まなければいけません。今回は不動産を相続した場合に、後々のトラブルを防ぐための手続きについて、説明したいと思います。

目次

1.遺産に不動産があったなら~相続による不動産登記の名義変更の流れとは?

2.相続人全員で相続したいなら~不動産を共同相続する方法とは?

3.相続した不動産の価値が知りたいなら~不動産評価の仕組みとは

1.遺産に不動産があったなら~相続による不動産登記の名義変更の流れとは?

(1)遺産分割協議で話し合いを

相続財産の中に不動産が含まれていた場合、相続人全員で話し合いを行い、誰がその不動産を相続するかを決定する必要があります。遺産の分け方は、法定分割(遺産を法律に決められた通りに分ける方法)でも、協議分割(相続人で独自に分割を決める方法)でも構いません。

この相続人同士で行う話し合いを「遺産分割協議」と言います。遺産分割協議は、全員が一堂に会する必要はなく、手紙やメールなどでも構いません。

遺産分割に期限はありませんが、相続開始から10か月以内に相続税を納税しないと相続税の優遇措置が受けられなくなることがあるので、早めに行う方が良いでしょう。

相続人同士で話し合いがまとまらない場合は、調停や審判の制度を利用して合意に至るようにします。

(2)遺産分割協議書の作成の注意点とは

話し合いの結果、全員が同意した内容は、「遺産分割協議書」という書面にまとめます。遺産分割協議書の書き方に決まりはありませんが、A4の用紙にワードで横書きするのが通常です。

内容としては、次の点に注意しましょう。

  • 誰の遺産かを明らかにするため、被相続人の本籍、生年月日、死亡日を記載
  • 誰が相続人かを示し、相続人全員が参加して有効に協議したことを明らかに
  • 不動産なら登記事項証明書を書き写して特定し、遺産の内容を明確に記載
  • 相続人は、自分の住所氏名を自署し、実印を鮮明に押印
  • 遺産分割協議書が数ページになる場合は、各用紙の間に相続人全員の契印を押印
  • 遺産分割協議書は、相続人分作成し、各人が原本を保管
  • 遺産分割協議が成立した日を正確に記載

遺産分割協議書に不備があり、作り直すことになると、その都度相続分を巡って争いになる恐れがあります。遺産分割協議書はミスの無いように作成することが大切です。

(3)相続登記に必要な書類とは

相続登記には、以下のような書類が必要になります。

  • 遺産分割協議書
  • 被相続人の出生から死亡までの全ての戸籍謄本
  • 被相続人の住民票の除票
  • 相続人全員の印鑑証明書
  • 相続人全員の住民票
  • 不動産の固定資産評価証明書
  • 不動産の全部事項証明書(法務局)

不動産の全部事項証明書は、近所の法務局で取得したり、登記情報提供サービスを利用してインターネットで取得することもできます。反面、被相続人の戸籍謄本は、被相続人の生活地によって異なる市区町村の役所にある場合があるので、役所の戸籍担当者に相談してみるとよいでしょう。

(4)相続登記の申請書の作成方法とは

相続した不動産の名義変更を相続登記によって行うには、法務局に相続登記申請書を提出して行います。

相続登記申請書は、記入用紙があるわけではないので、相続した人が自分で作成しなければなりません。多くの場合、A4サイズの紙に、ワードで作成します。法務省のHPに、相続登記申請書のひな型が掲載されているので、ダウンロードして利用されるとよいでしょう。

(5)法務局で行う手続きとは

遺産分割協議書を作成し、必要書類を集め、相続登記申請書も作成したら、これらの書類を法務局に提出します。提出先の法務局は、相続する不動産の最も近くにある法務局です。

この時、登録免許税分の収入印紙を法務局で購入するための現金と、書類の記載に不備があった場合にその場で修正してもらうための申請人の実印を持っていくと手続きがスムーズです。

なお、登記申請書は、権利証を郵送してもらうための返信用封筒を同封して、郵送で提出することも可能です。

法務局に書類を提出すると、約2週間で新しい権利証が発行され、相続登記が完了します。

2.相続人全員で相続したいなら~不動産を共同相続する方法とは?

(1)相続人全員で相続する、共同相続登記とは

遺産に不動産が含まれていた場合、その不動産を一人の相続人が相続するのではなく、相続人全員で相続することもできます。具体的には、その不動産について、複数の相続人が法定相続分通りの割合で権利を有しているという状態になります。

そう考えると、共同相続登記は、相続人同士の話し合いを先延ばししただけで意味が無いように思われる方もいるかもしれません。しかし、共同相続登記は以下のような場合にメリットがあります。

①遺産分割協議がまとまらないが、不動産を売却したい場合

原則として、遺産は相続人全員で遺産分割協議を行い、その合意に基づいて分割しなければなりません。遺産分割協議がまとまらないが、相続財産を売却したい事情があり、不動産を売却することは合意しているというようなケースで有効です。ひとまずその不動産について共同相続登記をしておけば、すぐに売却することができるからです。

②遺言執行に対抗したい場合

相続人以外に財産を譲るというような遺言書があったような場合に、崎に共同相続登記をすることで遺言の執行を妨害する目的で、共同相続登記がされる場合があります。ただし、遺言が有効に作成されていたら、そのような共同相続登記は無効になるので、妨害する実益はあまりないでしょう。

(2)共同相続登記をする方法とは

①一人でもできる共同相続登記の仕組み

遺産の不動産を、複数の相続人が法定相続分どおりに相続する場合の共同相続登記は、共同相続人全員が共同して申請しても。共同相続人の一人が全員のために申請してもすることができます。一人で申請しても、法定相続分通りに登記されれば「共同相続登記」となります。

共同相続登記なのに、相続人一人で申請できるという点に違和感を持つ人もいるかもしれません。

日本の法律では、人が亡くなった瞬間は、その人の遺産は共同相続人が法定相続の割合で共有している状態になるとされています。この状態から、相続人同士で話し合いをして(遺産分割協議)、法定相続分とは違う遺産の分け方もできるという流れになっているのです。

そのため、共同相続登記は、法律で定められた状態をそのまま登記する行為なので、相続人の一人が全員分を相続登記してもいいとされています。この時に、他の相続人の了解は必要ありません。そのため、申請人以外の相続人にとっては、自分の知らない間に、自分の名前が入った相続登記がされているというケースも起こり得ます。

ただし、法定相続分とは異なる登記を相続人の一人が勝手にすることはできません。法定相続分と異なる共同相続登記の申請があった場合は、法務局の審査で却下されるので、不当に少ない持分で登記されるといった心配はありません。

②何度でもやり直しできる相続登記

遺産に含まれていた不動産について、いったん共同相続登記をした場合でも、遺産分割協議をすれば自由な割合で相続登記をし直すことができます。

具体的には、遺産の不動産を相続人のうちの一人が相続することになったような場合は、共同相続登記の状態から、一人の相続登記に変更することができるのです。

遺産分割登記の回数に制限はないので、遺産分割で持ち分が変わった場合には何度でも登記の持ち分を変えることができます。とはいえ、相続登記を申請するたびに、申請書を作成したり書類をそろえる必要がありますので、手間はかかります。

3.相続した不動産の価値が知りたいなら~不動産評価の仕組みとは

(1)相続不動産を評価する4つの方法とは

遺産に不動産が含まれる場合、その不動産がどのくらいの価値を持つかは、遺産分割する上で重要な問題です。不動産価値を算出するための不動産評価の方法には、評価の目的に応じて、次の4つがあります。

不動産を評価する際は、どの評価方法を使っても構いません。ただし、公的機関が算出した価格の方が相続人全員が納得しやすいので、相続不動産の評価では、固定資産税評価額や路線価が使用されるのが一般的です。

①固定資産税評価額

固定資産税評価額は、建物に関する評価です。固定資産税評価額は、固定資産税の税金額の評価や、相続登記をする際の登録免許税を算出する際にも利用されます。

固定資産税評価額は、現実的には売れないような土地についても発生し、評価の目安としては実勢価格の70%ぐらいです。そのため、不動産の状況に関わらず一定の価格の目安となるので、相続人同士で相続不動産の話し合いをするときは、固定資産税評価額を使用することをお勧めします。

②路線価

不動産を相続すると、相続税の支払いが大変だ、という話を耳にする方も多いかと思います。しかし、相続税は常に発生するわけではありません。相続税が発生するのは、基礎控除額3000万円+相続人の人数×600万円以上の相続財産がある場合に発生します。

相続税の金額は、路線価をもとに計算されるので、相続税が発生するケースでは、路線価を基準に不動産の価値を算出するのが通常です。逆に言うと、相続が発生しない場合は路線価に基づいて不動産を評価する必要はありません。

③地価公示価格

不動産が取引される際は、様々な事情で価格が左右されますが、取引時の個別の事情を取り除き、自由な取引で通常成立すると考えられる1平方メートル当たりの価格を算出したものが地価公示価格です。

地価公示価格は、土地の本来の価値を示すため、更地としての評価をしています。不動産鑑定士2名が別々に一地点の不動産の現地を調査し、最新の取引事例などを分析して評価します。加えて、地域間のバランスなどを踏まえて国土交通省の土地鑑定委員会が公示価格を決定します。

④実勢価格

実際の不動産取引が成立する価格、つまり不動産の時価のことを実勢価格といいます。

実際に取引があった場合は取引金額が実勢価格です。取引がない場合は、周辺の取引事例や公示価格、固定資産税評価額、路線価などから実勢価格を推定します。

(2)不動産を相続した場合にかかる税金とは

相続で不動産を取得したり売却したときには、相続不動産の税金がかかります。税金を考える際は、以下の3点の税金を考慮する必要があります。

①登録免許税

不動産の名義を相続登記で変更する場合にかかる税金です。相続登記の登録免許税は、固定資産税評価額の0.4%です。

②相続税

基礎控除額3000万円+相続人の人数×600万円以上の相続財産がある場合に発生します。相続税は、相続の開始から10か月以内に申告と納税をする必要があります。

③不動産譲渡税

不動産を売却したときにかかる税金です。不動産を売却して得た利益に対して、20%の税金がかかります。仮に、不動産の取得費用の方が売却費用より高かったような場合は、不動産譲渡税はかからないのが原則です。

まとめ

今回は、不動産を相続した場合の手続きの流れについて説明しましたが、如何だったでしょうか。不動産は、遺産の中でも大きな割合を占め、税金の支払いなどにも関わるため、しっかり準備することが必要です。

不動産の相続で、不要なトラブルや紛争を避けるために、ご不安がある場合は専門家に相談されることをお勧めします。

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