自賠責保険の慰謝料|金額の相場と交通事故で正当な補償を受ける方法

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
shutterstock_114332665
  • 「交通事故にあったが、加害者にきちんと慰謝料を払ってほしい…」
  • 「車を運転しているが、お金がなくて保険に入っていないが大丈夫だろうか…」

クルマ社会の今、交通事故の被害者側にも加害者側にもなる可能性があります。

バイクや自動車を運転する方は、「自賠責保険」という名前の保険を聞いたことがあると思います。自賠責保険は、バイクや自動車を運転する人が必ず入らなければならない保険(強制保険)のことです。事故加害者にお金がない場合でも、被害者が補償を受けられるように、必要最低限の補償が定められています。

必要最低限の補償しか定められていないために、交通事故にあった被害者が、「とにかく早く賠償金が欲しい」と、自賠責基準慰謝料で満足していると、正当な補償が受けられなくなる恐れがあります。

交通事故では、たとえ命が助かっても、辛い後遺症がのこったり、長期間の治療を要したり、目に見えない不調が続く場合があります。交通事故にあった場合に、適正な慰謝料をきちんと受け取るためには、慰謝料と保険の仕組みを知っておくことが有効です。

今回は、自賠責保険慰謝料の仕組みについて説明していきます。

1、入っていないと逮捕される!?自賠責保険と任意保険の違いとは?

(1)絶対加入の自賠責保険、入ったほうが良い任意保険

「自賠責保険」の正式名称は、「自動車損害賠償責任保険」と言います。自賠責保険と同様に「任意保険」もよく聞く名称でしょう。両者は、どちらも自動車保険の種類でありますが、加入が義務かどうか、またカバーできる損害の範囲や慰謝料の額の点で異なります。

①自賠責保険とは

バイクや自動車を運転する人の中には、「マイカーローンで手一杯だから、保険には入っていない」という方もいるかもしれません。任意保険に入るかどうかは自由ですが、自賠責保険は、バイク(原付)や自動車の所有者と運転者の加入が義務付けられた強制保険です。自賠責保険に加入せずにバイクや車を運転していると、逮捕されてしまいます。

自賠責保険は、交通事故の加害者にお金がない場合でも、被害者が最低限の補償は受けられるように、国が定めた保険です。最低限しか補償されないので、カバーできる被害の範囲は、人に関する損害に限られます(対人賠償)。また、保険金の額(被害者から見ると慰謝料の金額)も上限が決められています。

つまり、自賠責保険では、交通事故の相手の運転者や同乗者、歩行者などが、亡くなったり怪我をしたことについては、一定の保険金がおります。他方で、車が壊れたことなどの損害には、保険金はおりません。また、加害者側の怪我についても保険はおりません。

②任意保険とは

任意保険の加入は自由ですが、任意保険に入らずに人身事故を起こすと、一生払いきれないような高額の賠償金を背負うこともあり得ます。

任意保険では、物損事故を含めた幅広い自動車事故をカバーできます。任意保険は、保険会社がいろいろな保険契約を作っています。加入する保険の内容によって、上限額や支払い基準が異なります。

(2)自賠責と任意保険の関係とは

このように、自賠責保険と任意保険はどちらも自動車保険という点で同じですが、自賠責保険は強制保険、任意保険は加入自由な保険という違いがあります。

自賠責保険の上限を超える損害を、任意保険から支払うというように、自賠責の不足分を任意保険がカバーする関係にあります。交通事故の被害者は、自賠責保険分だけ先に請求することもできますし、任意保険に自賠責保険の負担分も含めた一括払で支払いを受けることもできます。

2、慰謝料金額が大きく変わる、知っておくべき慰謝料を決める3つの基準とは?

(1)基準が変われば慰謝料が変わる、慰謝料金額の3つの基準

交通事故の被害にあった場合に請求できる慰謝料金額は、どうやって決まるかご存知でしょうか?

被害者側は、慰謝料として支払ってほしいと思う金額を自由に請求して構わないのですが、実際に認められるとは限りません。

慰謝料の金額には、3つの基準があります。具体的には、①自賠責保険による基準、②任意保険による基準、③裁判になった場合の裁判所の判断基準、です。どの基準に基づいて慰謝料を算定するかで、認められる金額に差があります。

もし、高額の慰謝料を希望されるなら③弁護士基準(裁判所基準)で示談交渉をします。もっとも、この基準で交渉するには弁護士に依頼しない限り難しいです。

①自賠責基準

自動車損害賠償保障法で定められた、自賠責保険制度による基準です。治療や入院を要した場合、後遺症が残った場合など、状況に応じて上限や計算方法が決められています。

②任意保険基準

保険会社が独自に決めている支払基準です。自賠責保険では補償できない損害をカバーするので、自賠責保険基準より慰謝料の額は増えますが、多くの場合は裁判所の基準より少額になります。

③弁護士基準(裁判所基準)

裁判で、裁判所が下すと思われる損害賠償額の基準です。都道府県によって差はありますが、通称「青い本」「赤い本」と呼ばれる賠償額の目安をまとめた本を基準になっていると言われています。通常、自賠責・任意保険の基準より高額になります。

(2)自賠責基準の慰謝料の上限金額とは

上記のように、自賠責保険による基準は、慰謝料基準の中でも最も少ない金額です。これは、自賠責保険が、交通事故の加害者にお金がなく、任意保険に入っていない場合でも、被害者側が受け取ることができるように決められた、必要最低限の補償だからです。

実際に自賠責保険で認められる慰謝料の上限金額は以下のように決められています。

①交通事故で怪我をした~傷害による損害

  • 支払限度額:120万円
  • 損害の内容:治療関係費(入通院に要した費用)、休業損害(怪我のために仕事ができなかった損害)、慰謝料(怪我で入通院したことによる精神的損害)

②交通事故で後遺症が残った~後遺障害による損害

  • 支払限度額:程度に応じて 75万円〜3000万円、常に介護が必要な場合は 4000万円
  • 損害の内容:逸失利益(後遺障害によって将来得られなくなった損害)、慰謝料(後遺障害が残ったことによる精神的損害)

③交通事故で被害者が亡くなった~死亡による損害

  • 支払限度額:3000万円
  • 損害の内容:逸失利益(死亡したことで将来得られなくなった損害)、慰謝料(死亡したことによる精神的損害)、葬儀費用

3、自賠責保険から支払われる慰謝料の金額は?慰謝料額の計算方法とは

(1)何でも請求できるわけではない、請求できる慰謝料の内容3つとは

交通事故の被害にあった場合に請求できる慰謝料には、3つの内容が含まれます。具体的には、交通事故で怪我をした場合の「傷害慰謝料」、交通事故で後遺障害が残った場合の「後遺障害慰謝料」、交通事故で被害者が亡くなった場合の「死亡慰謝料」の3つです。

自賠責保険では、慰謝料の内容ごとに基準が決められているので、多く請求してもそれが認められる訳ではありません。

(2)自賠責保険の慰謝料金額の計算方法とは

自賠責保険でいくら請求できるかは、以下のような計算方法で求めます。

①傷害慰謝料

交通事故で怪我をした場合、「傷害慰謝料」を請求できます。

  • 内容

交通事故で入院・通院せざるを得なかった精神的苦痛に対する「入通院慰謝料」が主な内容です。

  • 算定方法

原則として入院・通院した期間をもとに計算されますが、例外的に、交通事故の態様や、怪我の程度や部位に応じて増額されることもあります。

  • 計算方法

1日4200円×入通院日数×2で計算します。入通院日数×2が総治療日数(初診日から治療終了日までの総日数)を超える場合は、総治療日数が上限になります。

②後遺障害慰謝料

交通事故にあって後遺障害が残った場合、後遺障害を負ったことによる「後遺症慰謝料」が請求できます。

  • 内容

後遺症のうち、自動車損害賠償保障法施行令(自賠法施行令)で定められた等級に該当する症状を「後遺障害」といいます。具体的には、怪我が治った後に残った、機能障害、運動障害、神経症状などのことをいいます。

  • 算定方法

後遺障害の等級に応じた一定額が決められています。

  • 計算方法

【神経系統機能や精神に著しい障害を残し常に介護を要する後遺障害に適用される自賠責金額(自賠法施行令別表1)】

第1級:1600万円

第2級:1163万円

【上記以外の後遺障害に適用される自賠責金額(自賠法施行令別表2:1級~14級)】

第1級:1100万円

第3級:829万円

第5級:599万円

第8級:324万円

第11級:135万円

第14級:32万円

③死亡慰謝料

交通事故で被害者が亡くなった場合、死亡慰謝料を請求できます。

  • 内容

亡くなった被害者本人の慰謝料と、近親者の慰謝料の2種類があります。

  • 算定方法

死亡事故の場合の慰謝料額は、被害者本人に加えて、遺族の精神的な苦痛の大きさも考慮した上で算出されます。

  • 計算方法

自賠責保険会社の基準では、死亡した本人分の慰謝料350万円に、遺族の慰謝料(被害者の父母・配偶者・子ども)が加算されます。遺族の慰謝料については、遺族1人の場合は550万円、2人の場合は650万円、3人以上の場合は750万円、被扶養者がいる場合はプラス200万円です。

まとめ

いかがだっただでしょうか?自賠責基準で受け取ることができる慰謝料の額が、思っていたより少ないと驚かれた方も多いのではないでしょうか。実際、自賠責基準では、裁判所基準に比べて少ない額しか支払われません。受け取る慰謝料が適正な額かどうか、ご心配な場合はまずは専門家に相談されることをお勧めします。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket

Twitter・RSSでもご購読できます。