家族が万引きで逮捕!どうなる?不起訴にする方法は?

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万引きは身近な犯罪です。

自分の子供がスーパーやコンビニで万引きをしてしまって、逮捕されてしまう場合があります。

万引きで逮捕されると、その先の手続はどのようになってしまうのでしょうか。

そもそも万引きとはどのような犯罪で、また、どのように対処すれば不起訴や無罪などの有利な結果を得ることができるのかも知りたいところです。

これらのことを正しく知って適切な対処をしないと、万引きで逮捕された家族を守ることができません。

そこで今回は、万引で逮捕された場合の対処法についてご説明致します。

※この記事は2017年4月7日に加筆・修正しました。

1.万引きはどのような犯罪か


身近に犯罪はいろいろとあるが、中でも万引きは頻繁に起こります。
息子や娘などの家族が万引きをしてしまうこともあります。

小学生でも万引きをする可能性があります。
自分の子どもや家族が万引きをした場合には、親などの家族に連絡が来るのが普通です。

親としては動転してしまってどのように対処すれば良いかわからなくなってしまう場合が多いです。

しかし、このようなときこそ親や家族がしっかりとしないといけません。
家族が万引きした場合、どのような対処を執れば良いのでしょうか。

万引きへの正しい対処をするには、まずは万引きという犯罪について正確な知識を持っておくことが必要です。
では、万引きとはどのような犯罪なのでしょう。

万引きは、窃盗罪の一種です。
窃盗罪とは、他人の財物を盗み取る犯罪であり、刑法235条に定められています。

ですので、以下では窃盗罪に関してご説明いたします。

2.窃盗罪の刑罰は?


万引きは窃盗罪であることが理解できたが、窃盗罪の具体的な刑罰内容はどのようになっているのでしょうか。

(1)窃盗罪の刑罰は?

「10年以下の懲役又は罰金50万円」です。

よって、もし家族が万引きで逮捕されて裁判になり、裁判所で判決が出て有罪になってしまう場合には、刑務所で10年以下の期間懲役をして過ごすか、50万円以下の罰金を支払う必要が出てくることになります。

(2)執行猶予になる場合もある

ただし、裁判で懲役刑となる場合でも、必ずしも刑務所に行かないといけないわけではありません。
執行猶予という制度があるからです。

執行猶予とは、懲役刑などが選択された場合に、その刑をすぐには科さずに一定期間の猶予を与える制度のことです。

執行猶予中は社会で自由に過ごせるが、執行猶予期間に別の犯罪を起こしたり問題行動を起こすことがあると刑務所に行かなければならなくなります。

反対に、執行猶予期間中に特に問題行動がなければ、言い渡された懲役刑が実行されることはありません。

万引きの場合、特に初犯の場合には、裁判になって有罪判決が出たとしてもたいていは執行猶予が付きます。

よって、仮に家族が万引きをして窃盗罪で有罪になり懲役刑が選択されたとしても、この執行猶予がついて刑務所に行かなくて済む可能性は高いです。

ただ、そうだとしても罰金刑が選択された場合には支払をしなければならないし、何より裁判になることの負担や前科がついてしまうことによる不利益は大きいです。

よって、万引きで逮捕された場合にはやはり裁判にならないように、不起訴処分を勝ち取る必要性が高いです。

3.万引きが見つかってから逮捕されるまで


万引きで裁判になった場合の窃盗罪の刑罰の内容は先ほどご説明致しました。
ですが、万引きで必ず逮捕や裁判沙汰になるわけではありません。

多くの万引き事案では、見つかったとしても警察に逮捕されることなくそのまま帰してもらっています。
それは一体どうしてなのでしょうか。

(1)万引きで逮捕される場合とは

万引きが見つかる場合には、まずは店主や店員に現行犯で発見されて店の奥などのスペースに連れて行かれる。

そこで、店主などが犯人に対し万引きについて問いただすことになります。

(2)必ずしも警察沙汰にならないことも

このとき、万引き犯が初めてであったり、きちんと反省している場合には2度としないことなどを約束したり、誓約書を書いたりして許してもらえることがあります。

また、この場合、犯人の家族が呼ばれて店主と犯人と家族が一緒に話し合うことも多いです。

このときに、家族がきちんと対応して謝罪し弁償金などを支払うことなども提案して誠意を見せれば、やはり店主が許してくれて警察沙汰にならないことも多いです。

たとえ万引きをしたとしても、しっかりと反省と誠意を見せることで警察沙汰にならない場合もあります。

ですが、万引きをした人が「常習犯や反省の色がない、家族も協力的ではない」場合は、警察沙汰になり逮捕されてしまう可能性があります。

ですので、逮捕されるかどうかは万引きが見つかった瞬間からの対応がとても大切です。

4.逮捕されてから起訴されるまで


万引きが見つかった後、店主に許してもらえず警察を呼ばれて逮捕されてしまうことがあります。
その場合、逮捕後の手続の流れをご説明いたします。

(1)警察で取り調べ

基本的に逮捕後は、警察署で取り調べが行われます。
ここで、微罪であったり送検(検察官に送られること)の必要性がないと判断されれば釈放されることもあります。

(2)送検される(検察による取り調べ)

警察からお許しが出なかった場合、「逮捕後48時間以内」に検察官に送検されてしまいます。
そして、送検後24時間以内に検察官により勾留処分が執られます。

そうなると、警察の留置所に留置されて、取り調べを受けることになります。

このときの取り調べの内容や、集めた証拠の内容などを見て、勾留後10日以内に検察官が、起訴するかどうかを決定します。

もし、10日で捜査が終了しない場合、追加で10日間勾留期間が長引く可能性があります。
ですので、逮捕後の身柄拘束期間は「最大で23日」です。

(3)検察官が起訴か不起訴を判断

起訴されない場合は、「不起訴処分」になり釈放されます。
ですが、起訴されると刑事裁判にかけられて判決が下されます。

判決が下される場合は「窃盗罪」になります。
ですので、「懲役刑」か「罰金刑」が下されます。

裁判の種類に「略式起訴」があります。
万引きの場合には、微罪であり、本人が認めていることも多いので略式起訴の処分が執られることがよくあります。

略式起訴とは、実際には裁判所での期日を開かない簡易な処分のことです。
略式起訴処分となった場合には、刑罰だけが裁判官によって下される事になります。

この場合には、罰金刑が選択されるが前科自体はついてしまうことになります。

刑事事件の流れについてはこちらで詳しく解説しています。

5.不起訴を勝ち取る方法は?


万引きで逮捕された場合、上記の通り、最終的に検察官が刑事裁判にかける起訴処分を行うかどうかの判断をすることになります。

「起訴されるか」「不起訴処分になるか」がとても大切です。
刑事裁判にかけられる場合、「99.9%以上」で有罪になります。

そこで、不起訴処分を勝ち取るには、どのような対処方法を執れば良いのかが問題になります。
以下では、不起訴処分を勝ち取る方法について、具体的にご説明致します。

(1)被害者に嘆願書を書いてもらう

不起訴処分を勝ち取るには、いくつかしなければならないことがあります。
もっとも効果的なのは、被害者に嘆願書を書いてもらうことです。

嘆願書とは、「不起訴にしてください」「刑を軽くしてください」「寛大な処分をお願いします」などのお願いをしてもらう書類です。

これを被害者に書いてもらって検察官に提出すれば、かなりの確率で不起訴処分にしてもらうことが出来ます

ですが、一般的に考えて被害者に「嘆願書」を書いてもらうことはとても難しいと考える方もいらっしゃいますよね。

被害者に嘆願書を書いてもらうにはどのような手続をとればよいのでしょうか。

被害者の被害感情を弱めて嘆願書などの書類を書いてもらうには、被害者と示談をすすめることが何より重要です。

示談を行う場合は、万引きで逮捕されたてすぐに被害者に連絡を入れて示談交渉をしなければいけません。

被害者の連絡先がわからなければ、弁護士に手続を依頼して調べてもらうなどの方法を利用しましょう。

そして、被害者の連絡先がわかったら万引き犯人本人に謝罪文を書かせて、これを被害者に送ることが必要です。

その上で、家族がお御見舞の品などをもって謝罪に伺うべきです。
その場で被害者に対して弁償金や慰謝料の支払を提案して、出来ればその場で示談書と嘆願書を書いてもらうことが良いでしょう。

(2)示談だけでも成立させる

「嘆願書」を書かずに示談だけで成立させる場合、「示談書」を作成することがとても重要です

検察官が不起訴処分を決定する場合、しっかりと示談が成立しているかどうかが判断材料です。

たとえ嘆願書がなくても示談が成立していることが明らかになれば、不起訴処分にしてもらえる可能性はかなり高くなります。

よって、被害者のところへ謝りに行って示談の話し合いが出来た時は、その場で嘆願書と示談書を書いてもらいましょう、もし嘆願書が無理でも示談書だけでも作成してしまうことが重要です。

(3)実際に示談金を支払った証拠を残す

基本的に、示談金を支払った証拠が必要です。

振込にするならその振込証を検察官に提出する必要があるし、その場で現金にて支払いをしたなら、領収証を発行してもらいましょう。

基本的に、「示談書や嘆願書、領収証」等の書類に関しては、示談の話し合いに向かう時に、用意してから行きましょう。

その場では、被害者に負担をかけないため、被害者は署名押印だけすれば手続が出来るように書類をそろえて手はずを整えておきましょう。

このように、示談書や嘆願書を容易することが出来れば、万引きで不起訴処分を勝ち取ることが出来る可能性は非常に高くなります。

(4)示談が難しい場合

不起訴処分を勝ち取るには示談が出来ることが好ましいが、万引きの場合、被害感情(被害者の犯人に対する刑罰を与えて欲しいという感情)が非常に強いことがあります。

ですので、どれだけ誠意を示したとしても、被害者が示談に応じないことがあります。
また、どうすれば不起訴処分を勝ち取ることが出来るのでしょうか。

被害者が示談に応じてくれない場合には、ともかく事件を起こした犯人が心から強く反省していることを検察官にわかってもらうことが大切です。

そして、家族がしっかりと監督するので、再度同じ過ちは起こらないということを説明する必要があります。

まずは万引き犯に反省文を書かせて検察官に提出すること、家族が今後具体的にどのようにして本人を監督していくのかなどについても、きちんと計画を立てて説明をすることが重要です。

このように、万引きの場合に不起訴処分にしてもらうには、家族がどれだけ監督できるかも重要です。
万一の場合にそなえて、しっかりと頭に入れておきましょう。

6.起訴されてしまっても無罪になることはあるのか?


万引きで逮捕された場合に不起訴処分を勝ち取るための対処方法は理解出来たが、もし起訴されて刑事裁判にかけられてしまった場合には、無罪にしてもらえる可能性はあるのでしょうか。

この問題については、残念ながら大変難しいということになります。
通常万引きで逮捕されているということは、現行犯で逮捕されているということです。

しかも、その後の捜査を重ねて証拠が十分だと判断されたからこそ起訴されているわけです。

よって、万引きで起訴された場合に無罪になる可能性はほとんどないと言って良いでしょう。

いったん起訴されたら無罪になる可能性は期待できないことからしても、起訴前に不起訴処分を勝ち取ることが重要です。

7.少年犯罪の場合は?


先ほどの不起訴処分にする方法は、成人が万引きをした場合の方法です。

少年事件の場合にはどのような対処方法を執れば良いのでしょうか。
以下では少年審判を有利にすすめる方法をご説明致します。

(1)保護観察処分をとることが重要

少年事件の場合には不起訴処分がないので、基本的にすべての事件が家庭裁判所に送致されます。

家庭裁判所に送致された後には少年審判が開かれるが、ここで重要なのは、保護観察処分を勝ち取ることです。

保護観察処分になればまた社会に戻って学校などに行くこともできるが、保護観察にならずに少年院送致になった場合には、「数ヶ月~数年間」少年院で過ごさなければならなくなるからです。

少年審判では、保護観察処分を受けることが極めて重要になります。

(2)保護観察処分を勝ち取る方法

少年事件の場合に保護観察をとるには、どのような対処法を執ればよいのでしょうか。

この場合にも、基本的には成人の場合の不起訴処分を勝ち取る方法と共通しています。

本人がどれだけ反省しているかや、被害者がどれくらい被害感情を持っているかなどが重要になります。

よって、本人にしっかりと自分のしたことを自覚させて、反省させる必要があります。
そして反省文なども書かせて裁判所に提出しましょう。

被害者との示談交渉をすすめたり、嘆願書を書いてもらう手続をすすめることも成人による万引きの場合と同じです。

そして、少年事件の場合には、家庭裁判所の調査官による調査が入ります。
少年審判の場合、調査官にどのような心証を持たれるかが非常に重要になってきます。

そこで、調査官と面談をして、少年が心から反省していることや、今後は家族がしっかり監督するので再度同じような過ちを犯すおそれはないことなどを説得的に説明する必要があります。

調査官や家庭裁判所は、家族による強力や監督を非常に重要視します。
家族が非協力的な場合には、それだけで少年院送致を決めてしまうこともあるくらいです。

子どもが万引きをして、その子どもを守りたい場合には、家族がいかに少年の監督や更正に積極的かをアピールする必要があります。

大変重要な点なので、よく覚えておきましょう。

8.未成年の場合には家庭裁判所に送られる


万引きの場合の手続の流れは理解できたところであるが、上記の手続は成人の場合の手続です。

万引き犯が少年(未成年)の場合には、上記とは手続の流れが異なってきます。

未成年の場合も、現行犯で見つかって店主に警察を呼ばれ、逮捕勾留されて取り調べが行われるところまでは同じです。

ですが、未成年の場合は起訴ではなく家庭裁判所に送致されます。

基本的に、未成年の場合は刑事裁判にかけられることはありません。
家庭裁判所での「少年審判」を受けます。

この場合には、少年は少年鑑別所にて身柄を拘束されることになる。大人のような警察の留置場とは異なります。

家庭裁判所に送られた場合、裁判所で少年審判が行われます。
「保護観察処分」になれば、少年は釈放されて社会生活が出来ます。

これに対し、裁判所が少年院送致を相当と判断すれば、少年院に行かないといけなくなってしまいます。
少年院への送致は長い場合で2年程度です。

なお、少年の場合には、少年院に行ったとしても前科扱いになりません。

9.再犯を防ぐことも重要


家族が万引きをして逮捕された場合の対処法は理解できたところですが、たとえ送検前に釈放されたり、不起訴処分になって身柄を解放されたとしても、再度万引きをしてしまう可能性もあります。

実際、万引き犯は非常に再犯率が高い犯罪です。
しかも、件数が重なると、取る方法が過激になったり、取る対象も高額になってくることもあります。

そして、万引きも、初犯の場合には許されることが多いが、回数がかさなって常習犯となると不起訴処分は難しくなって、裁判にかけられてしまうおそれも高まります。

度重なると、執行猶予がつかずに実刑になって刑務所に行かなければならなくなるリスクも高まります。

よって、家族が万引きで逮捕された場合、その後の生活で再犯に及ばないようにしっかり監督することが非常に重要になります。

家族が再犯に及ばないようにするには、ともかく本人に自分がしたことをしっかり見つめ直させて心から反省させましょう。

もしストレスなどが原因で万引きしている場合には、よく本人の話を聞いたりカウンセリングを受けるなどしてストレス原因を取り除きましょう。

また、本人が買い物に行かないようにしたり、家族が一緒に買い物に行くようにするなどの対処が有効です。

子どもが悪友と一緒になって万引きをしていた場合には、悪友との関わりを断たせることも重要です。

まとめ

今回は、家族が万引きで逮捕された場合にどのような手続きの進み方になるのかや、家族が早期に解放されるための対処方法についてご説明致しました。

万引きが発見されても必ずしも逮捕されるとは限らないし、逮捕されたからと言って必ずしも裁判になるわけではありません。

ただ、いったん起訴されてしまうと、ほとんど必ず有罪になってしまいます。
よって、被害者と示談交渉をすすめるなどして不起訴処分を勝ち取ることが非常に難しくなります。

万引き犯が未成年の場合には、調査官への説得も重要です。
事件後は、再犯に及ばないように本人をしっかり監督しましょう。

今回の記事を参考にして、もし家族が万引きに及んでしまった場合にも、適切な対応を取って家族を守って欲しいです。

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