家族が酔っ払って傷害事件を起こしてしまった!対処法と弁護士ができることとは?

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夫が酔っ払って喧嘩をして傷害事件で逮捕されたらしい…

傷害事件を起こして逮捕された息子に、警察署で面会できない…

等々、家族を逮捕したと警察から連絡が来ても、対処法が分からず不安になった経験をされた方もいるのではないでしょうか。

また、警察から連絡が来てすぐに会いに行こうとしたけれど、逮捕直後は面会できないと言われた家族の方もいるかもしれません。

ご自分や家族は大丈夫だと考えていても、いつ傷害事件に巻き込まれるか分かりません。

傷害事件に巻き込まれたり、家族が傷害事件で逮捕された場合には、できるだけ早く対応することが重要です。

今回は、家族が酔って傷害事件を起こした場合の逮捕の流れや、対処方法についてご説明しますので、万が一のときに役立ててください。

1.傷害事件で逮捕されるケースとは


今回は、傷害事件がテーマですが、どういう犯罪で、どのくらいの罪になるのでしょうか。

傷害罪は、次のように刑法で定められています。

(1)傷害

第二百四条 人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

傷害とは、「人の生理的機能に障害を加えること」をいいます。
具体的には、殴る蹴る、ナイフで切りつけるなどしてケガをさせた行為はもちろん、暴行によってPTSDを引き起こすような行為も含まれます。

一般的に、酔っ払った上で問題になる傷害のケースとしては、喧嘩して相手を殴るなどしてケガをさせたような場合が多いでしょう。

殴ったけれどケガをさせなかった場合は、暴行罪にとどまります。
暴行罪は、次のように刑法で定められた犯罪です。

(2)暴行

第二百八条 暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

つまり、暴行して傷害の結果を相手に負わせたかどうかが傷害事件と暴行事件の違いになります。

酔っ払った場合の典型例でいうと、殴るなどして相手にケガをさせた場合は傷害罪、殴ったけれどケガはしなかった場合に暴行罪が成立するということになるのです。

両者は似ていますが、ケガの有無によって、刑罰が大きく変わるので注意が必要です。

2.傷害事件で逮捕された場合の手続きの流れとは


酔っ払って上記のような傷害事件を起こして逮捕されたら、どうなるのでしょうか。
逮捕されたら前科がつくと思っている方もいますが、そのようなことはありません。

ここでは、逮捕からの手続きの流れを見ていきましょうと思います。

(1)逮捕

酔っ払って傷害事件を起こして逮捕されると、警察署内の留置場に入れられ、警察署内の取調室で警察官による取調べを受けることになります。

逮捕から48時間以内に身柄が検察庁に送られ(送検)、検察官との面談を受けます。
そして、送検から24時間以内、逮捕から72時間以内に、釈放されるか引き続き拘束されるかが決められます。

逮捕から最長72時間の拘束期間のことを逮捕期間といい、この間は家族も面会することはできません。
この間に面会できるのは弁護士だけです。

なお、逮捕された人を含め、犯罪の容疑をかけられた人のことを「被疑者」と言います。
よくテレビでは「容疑者」などといいますが、これはマスコミ用語です。

(2)勾留

勾留とは、逮捕に続く拘束のことをいい、法律で原則10日間、最長10日間延長することができると決められています。

つまり、一度逮捕されると、途中で釈放されない限りは、逮捕された日から最長で23日間、留置場で生活しなければならなくなるのです。

勾留期間中は、逮捕期間と同じように留置場で生活し、取調室に都度出向いて取調べに応じなければいけません。
逮捕と異なり、勾留期間中は、家族を含む一般の人も面会をすることができるのが原則です。

ただ、面会を許すと証拠隠滅をする恐れがあるなどと判断されると一般人との面会ができなくなることもあります(接見禁止処分)。

酔っ払って傷害事件を起こしたケースでは、家や仕事がある、初犯で反省もしている等の事情があれば勾留されずに釈放されるケースも少なくありません。

しかし、余罪や同種前科があったり、相手のケガが重く釈放すると証拠隠滅を図る恐れがあると考えられる場合等は、勾留されて会社に戻れないということもあります。

(3)処分決定

勾留中の10~20日の間に、検察官が今回の事件をどうするか処分を決定します。
処分には、起訴(公判請求)、略式起訴、不起訴処分の3つの異なる内容があります。

①起訴(公判請求)

事件を刑事裁判にかけることを起訴といいます。
その中でも、裁判官と検察官、弁護士が裁判所の法廷に立って行う刑事裁判を公判請求といいます。

②略式起訴

略式起訴は、罰金を払って事件を終了させる手続のことをいいます。

罰金を払えば釈放されるので、早く社会復帰できるというメリットは特に会社員の方にとっては大きいものがありますが、裁判で反論することができないので、無実を主張したいような場合は公判で争わなければいけません。

また、略式起訴とはいえ、罰金刑を払うと前科がつくので注意が必要です。
酔っ払って傷害事件を起こした場合、略式起訴で罰金刑を払って終了するケースが比較的多くみられます。

なお、公判請求でも、略式裁判でも、検察官が事件を起訴すると、いわゆる犯人の呼び名は「被疑者」から「被告人」に変わります。

③不起訴処分

不起訴とは、検察官が事件を起訴しないと決める処分を言います。
起訴されないということは、有罪の判決が下らないので、前科がつくことはありません。

酔っ払って起こした傷害事件で不起訴処分を獲得するためには、相手のケガの程度にも依りますが、謝罪と賠償を尽くして相手に示談に応じてもらうことが有効です。

(4)保釈

保釈とは、起訴された後に認められる、釈放手続きのひとつです。
逮捕直後に保釈してほしいという人がいますが、これは間違いです。

保釈で釈放してもらうためには、裁判所に保釈を請求して認めてもらい、保釈金を裁判所に納める必要があります。

保釈金は、勝手に引越しをしないなどの保釈条件に違反することなく、保釈期間を無事に過ごせば返金してもらえます。

(5)裁判

検察官が事件を起訴してから、だいたい1か月~2か月後くらいに、刑事裁判が開かれることになります。

裁判は、本人確認、起訴状朗読、黙秘権の告知、罪状認否等の冒頭陳述から始まり、証拠調べ手続、検察官の論告求刑、弁護人による弁論、被告人自身による最終陳述を経て、最後に裁判官が判決を言い渡して終了します。

(6)控訴・上告

裁判官が下した判決に不満がある場合は、再度の裁判をしてもらうことができます。
第一審の判決が納得できないときは控訴審に、二回目の控訴審の判決が納得できないときは上告を行います。

3.酔っ払って傷害事件を起こして逮捕された場合に行うべき3つの対応とは


ご家族が傷害事件を起こして逮捕された場合、気になるのは、前科がつくのか、早く釈放されるのか、被害者にどう謝って許してもらったらいいか、ということではないでしょうか。

ここでは、前科がつくことを避け、早期の釈放と示談を目指すために、ぜひ行ってほしい 3つの対処法を紹介します。

(1)弁護士を頼んで被害者と示談する

傷害事件は、相手がいる犯罪類型です。

このようなケースの場合、被害者に謝罪と賠償を尽くして示談をしてもらうことが、その後の刑事手続きの中で大きな意味を持ってきます。

傷害罪は親告罪(示談をして告訴の取り下げを得られれば起訴されない犯罪)ではないので、示談しても絶対に不起訴になるとは限りません。

ただし、被害者と示談をして許してもらえれば、不起訴処分にしてもらえる可能性が格段に高くなるのです。

また、示談することで、刑事処分を軽くしてもらうことが期待できると同時に、後になって民事上の損害賠償を請求されるなどのトラブルを防止することができます。

ただ、ご自身で直接交渉しようとすると、相手から高額な示談金を請求されて話がこじれたり、無理に示談に応じさせようとしたなどと強要罪が問題になるケースもあります。

そこで示談をする際には、間に弁護士を入れて、適切な内容で、効果的な内容の示談をすることをおすすめします。

酔っ払って傷害事件に発展したようなケースでは、事件の前後の記憶があいまいだったり、喧嘩の理由が相手にあったり、正当防衛だという言い分があることもあるかもしれません。

しかし、相手が実際にケガをして被害届が出されたり、逮捕されている以上は、ぜひ示談は検討に入れて対策を進めるべきポイントです。

(2)弁護士を接見に呼ぶ

警察は、逮捕された被疑者=犯人という前提で捜査を行います。
延々続く取調べに疲れ切ってやってもいないのに罪を認めたり、諦めて供述調書に署名することは避けなければいけません。

このような事態に対応するためには、少しでも早く弁護士を呼んで、接見に来てもらうことが有効です。
弁護士は、逮捕直後でも、警察官の立会いなく1対1で面会することができます。

そのため、取調べ対応のアドバイスを受けたり、黙秘権の適切な使い方を教えてもらうことができるのです。

弁護士事務所では、着手金などを払う本契約をする前に、一度留置場に面会をする「初回接見」をしてくれるところも多いので、是非利用してみてください。

また、弁護士を探せない場合は、都道府県の弁護士会に電話をして、最初の一度限り無料で派遣できる当番弁護士を依頼することも有効です。

(3)弁護士を依頼して釈放に向けた交渉を進める

これまで見てきたように、刑事事件の手続きにはいくつかのタイムリミットがあります。

すなわち、逮捕から48時間以内に事件を受け取った検察官が、それから24時間以内に勾留するかを決め、裁判官も認めると、10日間の勾留が続くことになります。

逮捕期間で釈放されれば、会社にばれずに職場復帰することも可能ですが、さすがに10日を超える勾留となると、会社に事情を知られずに済ませることは困難です。

そこで、弁護士を依頼して、検察官・裁判官と交渉してもらうことで、できるだけ早い釈放を目指すことをおすすめします。

具体的には、家族のサポートがあること、会社で普段まじめに仕事をしていること、事件を反省していること、示談ができていること、といった事情をあげて、逃亡したり証拠隠滅の危険がないことを主張していきます。

こうした活動は、家族などの一般の人が行うのは困難です。
最善のタイミングで、最も効果を出すために、刑事弁護の経験が豊富な弁護士に依頼することをおすすめします。

まとめ

今回は、酒に酔って傷害事件を起こした場合の対処方法についてお話ししましたが、如何だったでしょうか。

傷害事件では示談をすることが有効ですが、自分で示談をしようとすると、かえってトラブルになる可能性があることに驚いた方もいるかもしれません。

酒に酔っての傷害事件は、ご自身や家族が飲みすぎて起こしてしまう可能性もあれば、酔った人に絡まれて巻き込まれて発生すると言ったケースも考えられます。

つまり、絶対に自分は合わないとは言えないトラブルなのです。

万が一、酔っ払って傷害事件に巻き込まれ逮捕された場合には、少しでもはやく弁護士に相談をして、釈放や示談に向けた対策を検討して実行に移すことが重要になります。

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