最近、再婚禁止期間についてニュースで取り上げられることが増えています。
最高裁でも憲法違反だと判断されてきたが、いよいよ法改正に向けて議論が進んでいます。
再婚禁止期間に関してですが、基本的に離婚後すぐに次の結婚をすることはできません。
離婚後、結婚をすることを禁止する期間です。
今回は、この再婚禁止期間について、今後の動向も含めて説明したい。
ご参考になれば幸いです。
※この記事は2017年10月26日に加筆・修正しました。
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目次
1.再婚禁止期間とは?
(1)再婚禁止期間とは?
再婚禁止期間とは、文字通り再度結婚する場合に一定の期間、結婚を禁止することです。
法律では、女性についてだけ、「離婚や死別、婚姻取消し」から原則6ヶ月を経過しなければ再婚はできないと決められています。
(2)なぜ再婚禁止期間が定められている?
一言で言うと子供が生まれた際に「前の夫と後の夫のどちらの子なの?」という事態になることを事前に回避することを言います。
つまり、女性が離婚してからすぐに結婚できることにすると結婚してから1年以内に生まれた子供が前の夫の子供か現在の夫の子供か分からないという状況になります(ただ、あくまで民法が制定された100年以上前の時代の話で、現代ではDNA鑑定などによって判断は可能)。
それを回避するために設けられたのが再婚禁止期間です。
なお、生まれてきた子供の母親は、分娩の事実によって明らかであるので母親が誰であるかという点は問題になりません。
2.再婚禁止期間に関する判例は?
「1.再婚禁止期間とは?」で説明したように、現在の民法では女性は離婚後6ヶ月を経過しなければ原則再婚することができないとされています。
しかし、この規定が違憲(憲法違反)であると、過去に最高裁が判断しました。
具体的には、「女性は離婚後6カ月間再婚できない」とする民法733条1項について、100日間を超える部分を違憲だと判断しました。
この事件は、岡山県内に住む30代女性が、平成23年に「再婚禁止期間があるため再婚が遅れ精神的苦痛を受けた」として国に約165万円の国家賠償を求めて提訴したものです。
結局、1審、2審、そして本判決いずれにおいても国家賠償は認められなかったものの、最高裁は上記の通り、6ヶ月の再婚禁止期間中100日を超える部分については違憲です。
3.再婚禁止期間が短くなる?
女性の再婚禁止期間の100日超部分を憲法違反とした最高裁判決を受け、法務省は民法改正案をまとめました。
現行民法では女性の再婚禁止期間は「6ヶ月」とされているが、これを100日に改めることになりました。
政府は3月にこの改正案を国会に提出し、6月1日までの今国会で成立を図る予定です。
この法案が可決されれば、再婚禁止期間は現在の6ヶ月(約180日)から100日へと大幅に短くなることになります。
違憲判決が出た当日に、法務省は、離婚後100日を経過した女性に関しての婚姻届を受理するように、全国の自治体に対して通知を出しました。
4.再婚禁止期間を守らないとどうなる?
では、仮に再婚禁止期間を守らなった場合はどうなるのでしょうか。
再婚禁止期間を守らないと前述の通り法律上「生まれてきた子供が「現在の夫の子なのか、それとも前の夫の子なのか」分からないという状況が発生してしまいます。
5.再婚禁止期間に例外はある?
繰り返しになるが、再婚禁止期間は、父性が重複することで父子関係をめぐる紛争を未然に防ぐために定められています。
裏を返せば、子供の父親が前の夫と現在の夫のいずれであるかがはっきり確定するのであれば、再婚禁止期間を気にすることなく再婚することができます。
具体的には、以下のような場合です。
- 離婚する前から妊娠していた子を出産した場合
- 前婚の夫と再婚する場合
- 夫の生死が3年以上不明であることを理由に離婚判決を受けた場合
- 夫の失踪宣告により婚姻が解消した場合
- 離婚後女性が優生保護法に基づく優生手術を受けた旨の医師の証明書を提出した場合
- 女性が受胎能力のない年齢(67歳以上とされている)に達している場合
6.妊娠していない場合には即再婚が可能になる?
「3.再婚禁止期間が短くなる?」でご説明致しました。
法務省の民法改正案の内容は、再婚禁止期間を6ヶ月から100日に短縮することだけでなく、再婚禁止期間の例外規定も大幅に見直し、医師の証明によって離婚時に妊娠していないことが判明すれば直ちに再婚することを認めることにしています。
そのため、今回の法改正によって、離婚時に妊娠をしていない女性に関しては離婚後すぐに再婚することが可能です。
まとめ
今回は再婚禁止期間について説明してきたがいかがだったでしょうか。
長年この再婚禁止期間については合理性がなく憲法違反だと言われてきたが、昨年の最高裁判決を機にやっとのことで民法が改正されることになりました。
今国会での法改正の動向に注目したいところです。