不倫で慰謝料請求された!その支払い本当に必要?対処法を解説

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不倫して慰謝料請求されてしまった・・・どのように対応したらいいのだろう・・・

この記事をお読みの方にはそのようにお悩みの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

不倫は良くないことですが、そうとわかっていても気持ちを止められず、ついつい不倫関係になってしまうことがあります。

また、相手が既婚者だとは知らないまま交際を始めてしまうケースもあるでしょう。

不倫をすると、不倫相手の奥さんやご主人から慰謝料請求されてしまう可能性があります。

いきなり何百万円もの慰謝料請求をされて戸惑うケースも多いです。

このように、不倫相手の奥さんなどから慰謝料請求された場合、慰謝料の支払いは必要なのでしょうか。

その場合、どのくらいの金額の支払が必要になるのか相場を知っておく必要もあります。

そこで今回は、不倫で慰謝料請求をされた場合の金額の相場や対処法についてご説明いたします。

※この記事は2017年4月25日に加筆・修正しました。

1.不倫で慰謝料は発生するのか?


そもそも、不倫したことによって慰謝料支払の必要はあるのでしょうか。
どのようなケースで慰謝料が発生するのかを正しく知っておく必要があります。

どのような場合でも必ずしも慰謝料請求をする必要があるわけではないからです。
そこで、以下では、不倫で慰謝料が発生する場合について確認しましょう。

(1)不倫で慰謝料が発生する理由

不倫で慰謝料が発生する場合について知るためには、なぜ不倫で慰謝料が発生するのかについて理解しておく必要があります。

不倫の慰謝料は「不法行為にもとづく損害賠償」です(民法709条)。
不倫は違法行為なので、それによって被った不倫相手の配偶者(たとえば不倫相手の奥さん)の精神的損害を賠償しなければならないのです。

そして、不倫が違法なのは、それが相手方の婚姻関係を破綻させる行為だからです。
よって、不倫で慰謝料が発生するためには、相手方の婚姻関係を破綻させるような違法な不倫が行われた場合に限られることになります。

(2)不倫で慰謝料が発生する場合は「男女関係がある場合」

不倫で慰謝料が発生するためには、相手方の婚姻関係を破綻させるような違法な不倫が行われた場合です。
そして、そのような違法な行為があったと言えるためには、不倫相手と男女関係(肉体関係)があったことが必要です。

不倫と言っても、単に手をつないだり一緒に食事をしたり、デートをしただけでは法律上違法な「不貞」にはならないのです。

不倫を根拠として慰謝料請求するためには、法律上違法となる「不貞」があったと言える必要があります。
そして、不貞とは婚姻相手以外の異性と肉体関係を持つことです。

そこで、不倫で慰謝料が発生するためには肉体関係が必要です。
相手の奥さんから慰謝料請求をされても相手との関係がプラトニックなものであれば、基本的に慰謝料請求に応じる必要はないということになります。

ただし、肉体関係が立証できない場合にも、あまりにも親密な関係があって、そのことが夫婦の婚姻関係破綻の原因になった場合には少額ではあっても慰謝料請求が認められるケースはあります。

(3)不倫で慰謝料が発生する場合は「相手方が既婚と知っている場合」

不倫で慰謝料が発生するには、その不倫が違法行為である必要があります。
そして、法律上責任が発生する違法行為と言えるためには、行為者がその行為を「故意」または「過失」にもとづいてしたことである必要があります。

よって、たとえ不倫をしていたとしても、不倫相手から一方的にだまされていて相手が既婚者とは知らずに交際をしていた場合などには慰謝料は発生しません。

たとえば、交際中に相手からずっと独身だと聞かされており、交際相手との結婚話なども具体的にすすめていたケースでは、交際相手が既婚者であると気づかなくてもやむを得ないと考えられるケースがあります。

このような場合には、慰謝料支払い義務が発生しない可能性が高いです。
ただ、交際当初は相手方が既婚者だと知らなかったとしても、後に気づいてその後も交際を続けていたケースや、相手方が既婚者だと気づかなかったことについて自分に過失がある場合には、慰謝料が発生します。

たとえば、交際相手と同じ職場である場合などには、「相手が既婚者だと知らなかった」とは言いがたいでしょう。
通常、職場が同じなら、相手方が既婚者かどうか知っているものですし、もし本当に知らなかったとしても、周囲に聞けばすぐにわかることですから知らないこと自体に過失があると言えるからです。

このように、不倫の慰謝料が発生する場合は、相手方が既婚者であると知っていた場合であることも必要になります。

2.証拠が無い場合には支払に応じる必要は無い


不倫で慰謝料が発生する場合は上記の通りですが、たとえ実際に不倫していたとしても、必ずしも相手の配偶者に慰謝料の支払いをしなくてよいケースがあります。

それはどのような場合なのでしょうか。
このことは、医者料を請求された場合の対処法とも関連します。

(1)まずは証拠の提示を求める

不倫をして慰謝料請求をされても、相手方(不貞相手の配偶者)が不倫の証拠をもっていない場合には慰謝料請求に応じる必要はありません。
こちらが任意に慰謝料請求に応じない場合、相手方は慰謝料請求の裁判をしなければなりませんが、裁判では証拠がないことは認められないからです。

よって、相手方が証拠をもっていない場合、慰謝料請求を拒絶し続けていれば、結局相手は慰謝料請求を諦めるしかなくなるのです。
そこで、相手方が内容証明郵便などで慰謝料請求をしてきたときには、まずは不倫の証拠の提示を求めましょう。

ここで、相手方が明確な不倫の証拠を出してこなかったり、不倫の証拠を持っている様子が無い場合には、慰謝料請求を拒絶しても問題が起こりません。
ただ、相手方は不倫の証拠を隠し持っていて「裁判になったら提示しよう」と考えているケースがあります。

相手も、先に手持ちの証拠を開示してしまって、それに対する対策を練られることを警戒していることがあるのです。
このような場合、必ずしも不貞の証拠を明確に提示してこないことがあります。

相手方が本当に不貞の証拠を持っているかどうかについては、相手方の言動、たとえば不貞内容についてどこまで具体的に把握しているかなどを聞き出して、推測していくことが重要になります。

(2)不倫の証拠は「男女関係があったこと」が必要

基本的に、相手方が不貞の証拠を持っていなければ、慰謝料の支払に応じる必要はありません。
この場合、不貞の証拠としては、先にも説明したとおり、「男女関係があったこと」の証拠が必要です。

法律上違法な不貞が成立するためには、男女関係があったことが必要だからです。
不貞の証拠の具体例としては、興信所(探偵者)の調査報告書が典型的です。

また、不倫相手と一緒にホテルに入ったときの写真や動画、一緒に旅行に行った際の写真や動画、ホテルの領収証、クレジットカード利用記録、肉体関係を具体的に示すようなメールやメモなどのやり取り記録などです。

また、もし相手に迫られて「不倫しました」などの確認書を作成してしまっている場合には、その確認書も不倫の証拠になります。

このように、不倫の証拠となるには、基本的に「肉体関係」があったことを示すものがある必要があります。

これに対して、同じメールであっても単に「今度の日曜日にディズニーランドに行こう」など、単にデートするだけの内容であったり、写真を撮られていても単にデパートや近所のコンビニ、スーパーなどで一緒に買い物をしているだけの場合には、不貞の証拠にはなりません。

これらは肉体関係を示すものだとまでは言えないからです。
このように、不倫の証拠と言えるためには、かなり限定された内容である必要があります。

その意味でも、不倫で慰謝料請求された場合に相手方が本当にどのような証拠を持っているかということは、非常に重要な問題になります。

3.不倫の慰謝料の相場は?


不倫で慰謝料請求をされる場合、突然何百万円もの高額な慰謝料請求をされることが多いです。
この点、慰謝料が発生する場合、その慰謝料の金額の相場は実際にはどのくらいになっているのでしょうか。

(1)不倫の慰謝料の金額が決まる要素

不倫の慰謝料が発生する場合、その慰謝料の金額はケースによって異なります。

不倫の慰謝料の金額に影響を与える要素は、以下のようなものになります。

  • 交際期間
  • 交際に至る経緯
  • 妊娠したかどうか
  • 婚姻期間
  • 相手の奥さんがうつ病などになったかどうか
  • 双方の資産収入状況
  • 婚姻関係が破綻したかどうか

そこで、以下では、それぞれについて見てみます。

①交際期間

まず、不倫相手との交際期間が問題になります。
交際期間は長ければ長いほど不倫の慰謝料の金額は高くなります。

交際期間が数ヶ月の場合と数年に及ぶ場合では、慰謝料の金額が全く異なってきます。

②交際に至る経緯

不倫相手との交際に至る経緯も慰謝料の金額に影響を与えます。
不倫相手が積極的に誘ってきた場合や、交際当初には既婚者である場合などには慰謝料の金額は低くなります。

反対に、こちら側が積極的に誘った場合には慰謝料の金額は高くなります。

③妊娠したかどうか

不倫関係をもったことにより、こちら側が妊娠した事実があれば慰謝料の金額は高くなります。

④婚姻期間

不倫相手と奥さんとの婚姻期間が長ければ長いほど慰謝料の金額は高くなります。
たとえば婚姻期間が1年の場合と10年以上の場合では、慰謝料の金額が相当異なってきます。

⑤相手の奥さんがうつ病などになったかどうか

不倫によって、相手方(不倫相手の奥さんなど)がうつ病などの精神疾患になったかどうかも慰謝料の金額に影響を与えます。

相手の奥さんがうつ病になったり、そのことで仕事を辞めなければならなくなった場合などには慰謝料の金額は高くなります。

⑥相手の夫婦に子どもがいるか

不倫相手と奥さんとの間に未成年の子どもがいるかどうかも、慰謝料の金額に影響を与えます。

未成年の子どもがいる場合には、慰謝料の金額が上がります。
子どもの数が増えると、さらに慰謝料が増額されることもあります。

⑦双方の資産収入状況

不倫の慰謝料の金額については、相手方(不倫相手の配偶者)とこちら側の収入や資産状況によっても影響を受けます。

相手方の収入が多かったり資産が多い場合には、慰謝料の金額は低くなりがちです。
逆に奥さんが専業主婦で資産もまったくない場合などには慰謝料の金額が上がります。

逆に、こちら側の収入や資産が少ない場合には、慰謝料の金額は下がります。
逆にこちら側の収入や資産が多かったり、社会的な地位が高い場合には慰謝料の金額は高額になります。

⑧婚姻関係が破綻したかどうか

不倫の慰謝料の金額算定に際しては、不倫によって婚姻関係が破綻したかどうかも重大な影響を持ちます。

不倫しても婚姻関係が破綻しなかった場合には、慰謝料の金額は相当減額されることになります。
このことは、次の(3)の項目で詳しく説明します。

(2)不倫の慰謝料の相場

以上をふまえて、不倫の慰謝料の相場を見てみましょう。
不倫の慰謝料の相場は、だいたい200万円程度です。

ただし、上記(1)に記載したそれぞれの事情によって、ケースによって異なってくることになります。

(3)不倫の慰謝料が減額出来る場合

不倫をして相手方が証拠を持っており、不倫の慰謝料を支払わなければならないとしても、その慰謝料の金額を減額出来ることがあります。

不倫の慰謝料を減額できる場合は、不倫をしても相手方らの夫婦関係が破綻しなかったことです。
要は、こちら側が不倫をした事実はあっても、夫婦がよりを戻した場合のことです。

先に説明したとおり、不倫で慰謝料が発生する理由は、その不貞関係によって婚姻関係が破綻したからです。

ということは、不貞があっても婚姻関係が破綻しなかった場合には、不貞の違法性は相当薄らぐことになるのです。

よって、不貞をしても婚姻関係が破綻しなかった場合には、慰謝料の金額を相当減額することが出来ます。
この場合、一般的に100万円以下の金額になります。

不貞をしても相手方の婚姻関係が破綻しなかった場合というのは、不貞が判明した後も結局相手方夫婦が同居を継続していて離婚する様子も無い場合や相手の奥さんが妊娠した場合などです。

よくある相手方の抗弁で「今は同居しているけれども家庭内別居である」とか「離婚協議中」「離婚調停を起こす予定である」などと言われることがあります。

しかし、これらの抗弁にはすべて証拠がないことが普通です。
このようなことを信じて高額な慰謝料を支払ってしまっても、結局は相手方夫婦が離婚をせず、当方だけが痛手を負うケースがあります。

やはり相手方夫婦の関係が破綻したと信用出来ない場合には、高額な慰謝料支払いをすることは控えるべきです。

(4)不倫しても慰謝料が発生しない場合

不倫は基本的に違法行為なので、慰謝料支払い義務が発生します。
しかし、不倫をしても、慰謝料が発生しないケースがあります。

それは、相手方夫婦の婚姻関係が破綻してから不倫関係になったケースです。

このことも、不倫で慰謝料が発生する仕組みと関わりがあります。
先に説明してきたとおり、不倫で慰謝料が発生する原因は不貞行為によって、相手方の婚姻関係を破綻させたからです。

ということは、不倫が相手方の婚姻関係の破綻原因になっている必要があるということです。
ところが、不倫前から既に相手方らの婚姻関係が破綻している場合には、不倫によって婚姻関係が破綻したとは言えません。

このような場合には、配偶者のいる人と男女関係になっても、そもそも違法とは言えないのです。
たとえば、典型的な例が夫婦の別居後の不倫です。

妻と不仲になって別居状態になっている男性と知り合って、その男性と男女関係になったとしてもすでにその頃にはその男性と妻の夫婦関係が破綻していたならば、不貞の慰謝料は発生しません。

同様の理由で同居をしている場合であってもすでに離婚協議中であって、家庭内別居状態になっているようなケースでは、慰謝料が発生しないか、発生したとしても相当減額される可能性があります。

ただ、夫婦が別居中と言っても婚姻関係が破綻していない場合もあるので注意が必要です。

たとえば、単に単身赴任しているだけで特に夫婦が不仲な場合ではないのに、不貞関係になってしまった場合などには慰謝料が発生することになります。

不倫の慰謝料が発生するかを決定する際には、夫婦関係の実情が問題になってきます。
ただ、一般的に「別居後の不貞」では慰謝料が発生しないことが多いので、そのことは覚えておくと良いでしょう。

4.慰謝料の減額交渉をする


不貞(不倫)によって慰謝料が発生しており、相手方の妻や夫に不貞の証拠を捕まれている場合には慰謝料を支払わなければなりません。

ただ、あまりに高額な請求をされても、支払が出来ない場合があります。
この場合、どのように対処すれば良いのでしょうか。

以下では、具体的な慰謝料支払いに関する交渉の方法をご説明いたします。

(1)減額交渉の方法

不倫によって慰謝料を支払わなければならないとしても、高額な支払が難しいことがあります。

いきなり200万円を一括で支払え等と言われても、応じられないことも多いでしょう。
また、相手方がこちらの足元を見て「1000万円支払え」などという法外な請求をしてくることもあります。

このような場合には、慰謝料の減額交渉をする必要があります。
以下では、その具体的な方法を見てみましょう。

①書面でやり取りする

減額交渉をする際には、基本的に当方の意思を書面に残る方法で伝えることが重要です。
相手からの慰謝料請求を受ける場合には、通常当初は内容証明郵便という郵便で請求書を送ってくることが多いです。

内容証明郵便とは、差し出した手紙の内容と同じものが郵便局と差し出し人の手元に控えが残る種類の郵便です。
郵便局によって出した手紙の内容が証明されるので、内容証明郵便と言います。

相手方の内容証明郵便による請求書に対しては、こちら側もまずは内容証明郵便で返答すると良いでしょう。

たとえば、500万円や1000万円などの法外に多額な請求などに対しては「そのような多額の支払い義務はない」ことを返答内容に記載しなければなりません。
「支払えるとしても50万円までです」などと返答することもあります。

相手方は、不貞慰謝料を求める請求書内に具体的な事実を記載していることが多い(たとえばいつどこで2人で会っていたなど)ので、それらの指摘に対して反論する必要もあります。

相手方が証拠を持っている様子がなかったり、こちら側に支払意思がなければ「支払の義務や必要が無い」と返答することもあります。

書面で回答する場合に、一点注意点があります。
それは、不貞を認めるような内容を記載しないことです。

そもそも交渉当初は相手方が明確に証拠を持っているかどうかわからないことが普通です。
このような場合には、まずは証拠開示を求めるべきであって、不貞を認めると後で不利になります。

また、相手方が証拠を持っているとしても、その証拠がどれほど確実なものかは裁判になってみないとわかりません。
よって、相手方に証拠があるとしても、やはり不用意に不倫を認めるような内容の書面を書くべきではありません。

たとえ減額してもらったら慰謝料支払に応じるつもりでも不用意に不倫を認める内容の書面を残すと何かと危険なので、このような書面は作成しないように注意しましょう。

②減額を提案する

不貞の慰謝料を請求される場合には、その慰謝料の金額を減額してもらうことが普通です。

もし潤沢にお金があって、相手方の言うとおりの慰謝料を支払ってもかまわないならば、減額せずに支払ってもかまいませんが通常は減額してもらわないと支払が難しいことが多いです。

また、相手方が「どうせ減額される」と思って、実際にほしい金額よりも多めに請求してきているケースも多いです。
そこで、慰謝料を請求された場合の交渉においては、減額を提案することが重要です。

③一括払いによる減額

不倫で慰謝料請求をされた場合の減額の交渉方法としては、一括払いによる減額を提案する方法があります。

一括払いによる減額とは、慰謝料の金額として、ある程度まとまった金額を支払うことの代わりに大きく請求金額を減額してもらうよう交渉することです。

たとえば、相手方が500万円などの多額の慰謝料請求をしてきているとします。
この場合、「500万円の支払い義務はないが、80万円であれば一括払いする」などと提案するのです。

このとき、なぜ慰謝料の金額を減額するのかという理由も書面に記載すべきです。
たとえば、そもそも不貞していないとか、相手方の婚姻関係が破綻していないとか相手方の主張する事実はないなど、いろいろな指摘があります。

それらの事情を踏まえた上で本件における解決金の金額は80万円が妥当であり、それなら何とか一括払いをすると言って提案をします。
なお、1回目の当方の返答に対して相手方がすんなり納得することはほとんどありません。

よって、1回目の提案をする際には、自分に可能なぎりぎりの提案をすると、それ以上話し合いの余地がなくなってしまう可能性があります。
1回目の提案では、実際にぎりぎりの限度よりも少し低いくらいの金額を提示すると良いでしょう。

④分割払いを提案する

不倫の慰謝料請求をされた場合の交渉方法としては、分割払いを提案する方法があります。
たとえば、150万円の支払をするとしても、月々3万円や月々10万円などの分割を申し出るのです。

相手方が、いきなり500万円などの請求をしてきても、そのような高額な支払には応じられないことがほとんどですし、支払が出来ないことも多いです。

よって、そのままの請求に応じる必要はありません。
ただ、交渉を重ねていくうちに、金額についてはだいたい定まってくることもあります。

たとえば150万円くらいの金額に落ち着いてくることもあります。

このような場合、当方に支払能力がなければ、毎月3万円などの分割払いを申し出でます。
すると、相手は「せめて5万円(10万円)」ずつ支払ってほしいなどと言ってくることがあります。

このような交渉を重ねて、慰謝料の支払い条件を詰めていきます。
分割払いの提案は、慰謝料の金額自体を下げることにも役立ちます。

たとえば、慰謝料の金額を決める際、相手方が「最低でも150万円支払ってほしい」と言っていて、それを絶対に譲らないとします。

このような場合、「150万円ならば、月々5万円の分割払いが限度です。ただ、もし100万円に減額してもらえるなら、親に借りて一括で支払うことが出来ます。それ以上の金額になると借りられなくなるので、支払いは出来ない」などと言って交渉する方法があります。

こうなると、相手は長期分割で150万円を受け取るか一括で100万円受け取るかを選択しなければなりません。

通常、不倫相手からの長期分割は受けたくないことも多いので、一括払いを選択することも多いです。
そうすると、こちら側としては、分割払いを条件交渉として利用することにより、結果的に慰謝料の金額を下げることが出来るのです。

⑤必ず示談書を作成する

不倫の慰謝料についての示談が成立したら、必ず示談書を作成します。
その慰謝料の支払いによって問題がすべて解決されたことを確認して、以後には何らの請求も受けないことを確認しておく必要があります。

このようにして、後の請求を封じておかないと、後になって「あのとき支払ってもらった慰謝料は一部だから、もっと支払ってほしい」などと言われてしまうおそれがあります。

よって、慰謝料支払いについて合意が出来たら、必ず示談書を作成して手元に残しましょう。
また、同じ理由で支払をした証拠も執っておく必要があります。現金で支払ったら領収証を発行してもらいます。

振込で支払った場合には、その振込証をきちんと手元に残しましょう。
このことによって、後日相手方から「まだ支払ってもらっていない」などと言われて二重請求されることを防止出来ます。

(2)不倫相手へ求償出来る

不倫が原因で慰謝料の支払いをした場合には、不倫相手(交際相手)に対して求償することが出来ます。
不倫の慰謝料については、自分と不倫相手の連帯債務の関係になります。

よって、自分が支払をした場合には、不倫相手の負担割合に応じて支払を求めることが出来るのです。
これを求償と言います。

たとえば、不倫相手の奥さんに200万円支払った場合には、100万円や150万円(事案によって異なる)を不倫相手に求償出来ることになります。

不倫慰謝料請求された場合に関するまとめ

今回は、不倫をして慰謝料請求された場合の慰謝料の金額の考え方や相場、対処方法を解説しました。
不倫をして慰謝料が発生するのは、不倫相手と男女関係があり、不倫によって相手方夫婦の婚姻関係が破綻した場合です。

不倫の慰謝料の金額の相場はだいたい200万円程度ですが、ケースに応じて増減することがあります。
不倫の慰謝料請求をされても、相手方が不倫の証拠を持っていなければ、支払の請求に応じる必要はありません。

もし相手方が不貞の証拠を持っていて慰謝料の支払いをしなければならない場合でも、慰謝料の減額の交渉が出来ます。

慰謝料の減額交渉をする場合には、書面でやり取りしましょう。
また、減額の提案をする場合には、一括払いによる減額を提案したり、分割払いを提案するなどして、なるべく自分の負担の少ない方向で話を進めます。

示談が出来たら必ず示談書を作成して、支払った証拠を手元に残しましょう。
今回の記事を参考にして、突然の不倫の慰謝料請求があった場合にも上手に対処して、思わぬ不利益を被らないようにしましょう。

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