歩行中に自転車との事故被害!慰謝料の計算方法や示談の進め方を解説

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket

交通事故は、自動車やバイクが関わるものに限られません。

歩行中に危険な運転をしている自転車に衝突されるケースもあります。

この場合、自転車側にも歩行者側にも保険会社がつかないので、示談交渉や賠償金の請求手続が難航してしまうことが多いです。

今回は、歩行中に自転車と事故になった場合の慰謝料の計算方法、示談の進め方について解説します。

1.自転車事故で請求できる慰謝料


歩行者が自転車相手に事故に遭った場合、大きなケガをしたり死亡したりすることがあります。
その場合、被害者は大きな精神的苦痛を受けるので、相手に対して慰謝料を請求できます。

この場合の慰謝料には、入通院慰謝料と後遺障害慰謝料、死亡慰謝料の3種類があるので、以下でその内容と計算方法を説明します。

(1)入通院慰謝料

入通院慰謝料とは、交通事故でケガをして、入通院治療をしたことによる慰謝料です。
自転車事故の中でも、傷害結果が起こったときに発生します。

入通院慰謝料は、入院期間や通院期間が長くなると金額が上がります。
同じ治療期間であれば、通院期間よりも入院期間の方が入通院慰謝料は高額になります。

通常程度のケガの場合の入通院慰謝料は、以下のとおりです。

入院1ヶ月2ヶ月3ヶ月4ヶ月5ヶ月6ヶ月7ヶ月8ヶ月9ヶ月10ヶ月
通院53101145184217244266284297306
1ヶ月2877122162199228252274291303311
2ヶ月5298139177210236260281297308315
3ヶ月73115154188218244267287302312319
4ヶ月90130165196226251273292306326323
5ヶ月105141173204233257278296310320325
6ヶ月116149181211239262282300314322327
7ヶ月124157188217244266286301316324329
8ヶ月132164194222248270290306318326331
9ヶ月139170199226252274292308320328333
10ヶ月145175203230256276294310322330335

ケガの程度が軽く、打撲や自覚症状のないむちうちなどの場合には、入通院慰謝料の金額が3分の2程度に下がります。

具体的な金額は、以下の通りです。

入院1ヶ月2ヶ月3ヶ月4ヶ月5ヶ月6ヶ月7ヶ月8ヶ月9ヶ月10ヶ月
通院356692116135152165176186195
1ヶ月195283106128145160171182190199
2ヶ月366997118138153166177186194201
3ヶ月5383109128146159172181190196202
4ヶ月67955119136152165176185192197203
5ヶ月79105127142158169180187193198204
6ヶ月89113133148162173182188194199205
7ヶ月97119139152166175183189195200206
8ヶ月103125143156168176184190196201207
9ヶ月109129147158169177185191197202208
10ヶ月113133149159170178186192198203209

(2)後遺障害慰謝料

自転車に衝突されて大きなケガをすると、後遺障害が残ってしまうケースがあります。
後遺障害とは、治療をしても完全に回復せずに残ってしまった症状です。

後遺障害が残ると、内容や程度に応じて後遺障害慰謝料が発生します。
そして、後遺障害の慰謝料は14段階となっています。

自転車相手の事故の場合、後遺障害の等級認定制度はありませんが自動車保険の後遺障害の等級に準じて後遺障害慰謝料を計算します。

1級から14級までの後遺障害慰謝料の金額は、以下の通りです。

  • 1級 2800万円
  • 2級 2370万円
  • 3級 1990万円
  • 4級 1670万円
  • 5級 1400万円
  • 6級 1180万円
  • 7級 1000万円
  • 8級 830万円
  • 9級 690万円
  • 10級 550万円
  • 11級 420万円
  • 12級 290万円
  • 13級 180万円
  • 14級 110万円

たとえば、遷延性意識障害(植物状態)になった場合や高度な高次脳機能障害になった場合、神経系統に大きな損傷を受けて不随になった場合などには、1級~3級などの高い後遺障害と認められる可能性があり高額な後遺障害慰謝料を請求することができます。

顔面に傷害を受けて眼が見えなくなった場合、耳が聞こえなくなった場合、外貌に醜状が残った場合などにも、それぞれ内容と程度に応じた後遺障害が認められます。

自転車相手の事故の場合には、自賠責保険の後遺障害の等級認定制度がないため自分たちで話合いをして後遺障害の認定を行い、それに従って後遺障害慰謝料を計算する必要があります。

(3)死亡慰謝料

歩行者が自転車と事故に遭ったとき、最悪のケースでは歩行者が死亡してしまうことがあります。
その場合、被害者には死亡慰謝料が発生します。

死亡慰謝料とは、被害者が死亡したことに対する慰謝料です。
被害者は、死亡の瞬間に大きな精神的苦痛を受けます。

そして、死亡と共にその慰謝料請求権が遺族に相続されるので、遺族は相手に死亡慰謝料を請求することができます。

死亡慰謝料の金額は、被害者に扶養されていた人や遺族がいたかどうかにより、異なります。

  • 被害者が一家の大黒柱だったケース…2800万円程度
  • 被害者が母親や配偶者であったケース…2400万円程度
  • その他のケース(独身の男女や子どもなど)…2000万円~2200万円程度

2.自転車事故で請求できる賠償金


自転車に轢かれて被害に遭った場合、慰謝料以外にもいろいろと請求できる賠償金があります。

具体的には、以下の通りです。

  • 治療費や入院付添費用、入院雑費、通院交通費などの積極損害
  • 休業損害、後遺障害逸失利益、死亡逸失利益などの消極損害
  • スマホなどの所持品や衣類が破損した場合の物的損害

そこで、被害に遭ったら、上記のような賠償金もすべて計算して慰謝料と合算して請求する必要があります。
特に、逸失利益は非常に高額になることが多いです。

後遺障害逸失利益は、後遺障害の程度によって異なる数字になる(労働能力喪失率が異なるため)ので、ここでも後遺障害の認定が問題になってくる可能性があります。

3.自転車事故の示談交渉の進め方


自転車事故で被害に遭った場合の示談交渉の進め方を説明します。

(1)相手の自転車保険に示談交渉サービスがついているケース

加害者が自転車保険に加入している場合、自転車保険に示談代行サービスがついていることがあります。

示談代行サービスとは、保険会社が加入者に代わって被害者と示談をするサービスのことです。
自動車保険の対人対物賠償責任保険についているものと同じです。

この場合には、相手の自転車保険会社が加害者の代わりに示談交渉を行うので、相手の保険会社と示談を進めることになります。

話し合いの方法や内容は、以下で説明する加害者本人と示談交渉を進める場合と同じです。

(2)相手が自転車保険に入っていないケース、示談代行サービスがついていないケース

自転車事故の加害者が自転車保険に加入していないケースや相手の自転車保険に示談代行サービスをつけていない場合には、相手本人と直接示談交渉を進める必要があります。

この場合、被害者が主となって慰謝料やその他の賠償金を計算し積極的に相手に提示していく必要があります。
相手が自分から積極的に支払いを提示してくることは考えにくいからです。

上記で紹介した慰謝料の計算方法をもとに自分で慰謝料を計算して、相手に支払い請求しましょう。

相手と連絡がとりにくい場合などには、内容証明郵便で請求書を送ってプレッシャーをかけるのも良いでしょう。

相手と話し合いをして賠償金を確定することができたら、その内容で合意書を作成します。

合意書には、交通事故の表示と賠償金額の表示、支払い方法、支払期限等の必要事項を書き込んで加害者と被害者の双方が署名押印をします。

合意書は2通作成して双方が1通ずつ保管しましょう。
その後、期限内に約束した示談金が実際に支払われるか確認することが必要です。

約束通りに支払いが行われない場合には、訴訟を起こして相手に支払い請求を続行する必要があるためです。

4.自転車事故の示談交渉は困難になりやすい


自転車が相手の事故の場合、示談交渉が困難になりやすいです。以下で、その理由を説明します。

(1)双方とも保険に加入していない

最近では、自転車保険の普及が少しずつ進んでおり、自治体によっては自転車保険への加入を義務づけているところなどもありますが、まだまだ自動車保険ほど加入状況が広いとは言えません。

そこで、自転車の加害者と歩行者の被害者が、直接話し合って示談交渉をするしかありません。

この場合、通常、どちらも素人なので損害賠償金の計算方法なども知りませんし、示談の進め方などもわからないため示談交渉が難航してしまいがちです。

相手によっては、示談交渉に応じず、被害者側が賠償金の請求をしても無視されてしまうこともあります。

(2)相手が子どもで責任を問いにくい

自転車には、車やバイクと異なり、免許制度がありません。
そこで、小学生や中学生などの子どもでも自転車を運転します。

こうした子どもには、資力がないために損害賠償を請求しても補償を受けることができません。

加害者本人に責任能力がない場合には、親に損害賠償請求ができるケースもありますが、子どもが12~13歳以上になってくると親が監督者責任を負うことも基本的にはありません。

自転車事故の相手が子どもの場合には、誰からも賠償金を支払ってもらえなくなるおそれがあります。

(3)相手に資力がない

自転車事故で相手が自転車保険に加入していない場合、賠償金を支払うべき義務を負うのは加害者本人です。

ところが、自転車事故で、歩行者に重大な後遺障害が残った事例や死亡した事例などでは、1億円や2億円を超える賠償金が発生することもあります。

通常、このような多額の賠償金を支払う能力は個人にはないことが多いです。

相手に対して裁判を起こし、財産を強制執行しようとしても、相手が自己破産すると、免責されて誰にも請求ができなくなってしまいます。

(4)過失割合の算定が困難

交通事故では「過失割合」の評価が重要です。
過失割合とは、交通事故で発生した結果に対する当事者双方の責任の割合のことです。

被害者側に過失割合があると、その分相手に請求できる賠償金から差し引かれてしまいます。

自転車と歩行者が事故に遭った場合にも、歩行者の過失が完全に0になるとは限らず、一定の過失が認められることが多いです。

自動車やバイクが関与する事故の場合、法的な過失割合の基準が定められているために定型的に判断ができますが、自転車と歩行者の事故の場合、そうした基準がないために、話合いで決着をつけるしかありません。

このように、過失割合の算定が困難なことも、自転車事故の示談が難しくなる要因となっています。

5.示談が決裂したら、訴訟を行う必要がある


自転車が相手の場合、特に相手が保険に加入していない場合には、示談交渉が決裂してしまうことが多いです。
慰謝料を請求しても無視されてしまうこともあるでしょう。

この場合、裁判所で損害賠償請求を起こして解決するしかありません。

裁判をしたら、裁判所が過失割合の判定や後遺障害の認定もしてくれますし、適正な慰謝料その他の賠償金の計算をしてくれます。

その上で、相手に対して支払い命令の判決が下されます。
判決が出ても相手が支払をしない場合には、相手の財産を差し押さえることも可能です。

損害額が小さい場合には、弁護士を使わずに少額訴訟を利用することで、効果的に賠償金を支払わせることができるケースもあります。

まとめ

自転車事故では、自動車相手の事故とは異なる特有の問題があり、それに応じた対応方法が必要です。

自分ではどう対応したら良いおか、判断しにくいことが多いので、一度、交通事故に強い弁護士に対応方法を相談してみることをお勧めします。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket

Twitter・RSSでもご購読できます。