交通事故の治療費、自己負担になるのでしょうか?
基本的に交通事故の被害に遭った場合、まずは病院に行って医師の治療を受けることになり、治療費がかかります。
しかし、自分は被害者なのにもかかわらず、治療費を自己負担しなくてはならないのでしょうか。
基本的に「加害者」や「保険会社」が支払いを行うのが当たり前なのではないでしょうか。
ですので、今回は本来治療費を負担するべきなのは誰なのか、また、治療費を加害者に対して請求を行える範囲などに関してご説明いたします。
ご参考になれば幸いです。
※この記事は2017年7月6日に加筆・修正しました。
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目次
1.交通事故に遭った際の治療費は誰が支払う?
交通事故に遭って治療費がかかった場合、病院は一般的に治療を行った本人に対して治療費を請求します。
ですが、治療費に関しては最終的に加害者(保険会社)などに請求を行うことが可能です。
殆どの場合、治療費は一度被害者が立て替えます。
ですが、立て替えることに納得がいかず、初めから加害者に対して治療費を請求したいのであれば、病院に対して「私は交通事故の被害者なので治療費の請求は直接加害者の保険会社にして欲しい」と相談をしてみましょう。
病院によっては加害者側の保険会社に直接請求してくれる場合もあります。
ただし、保険会社とやり取りすることが面倒なので対応してくれない病院もあります。
さらに、過失割合に関して争いが起こっているようであれば、保険会社は支払いを拒否する可能性があります。
2.請求できる治療費の範囲は?
交通事故の被害に遭ってしまい、治療費が必要になった場合、加害者に対していくら治療費を請求することが可能なのでしょうか。
結論から言いますと交通事故による治療費は、加害者側に全額請求することができます。
交通事故によって被害を受けて、その結果として治療費がかかっている以上、当然と言えるでしょう。
場合によりますが、必要になった治療費の全額を支払ってもらえない可能性があります。
3.支払いが拒否される可能性のある治療費とは?
上記でも説明したように、交通事故による治療費は全額請求できるのが原則です。
しかし、以下の治療費の場合には、相手方から支払いを拒否され場合によっては治療費全額の支払いが認められない場合があります。
持病の治療費 | 交通事故の前から罹患していた持病についての治療費 |
過剰診療 | 医学的に必ずしも必要のない診療 |
高額診療 | 特別な理由なく行われる診療で、一般の診療費の水準に比べて高額な診療 |
4.治療費が支払えない場合にはどうしたらいい?
治療が長引き治療費の立て替え払いが高額化してきて、このままでは治療費の支払いが難しくなってきた場合には、どのようにしたら良いでしょうか。
この場合には、以下の3つの方法を採ることができます。
(1)自分の人身傷害補償保険を使う
「人身傷害補償保険」に入っている場合「保険料」等が支払われます。
ですので、入っている保険を使いましょう。
人身傷害補償保険に関しては、交通事故が原因で本人が「死傷」された場合、過失割合など関係なく、契約してある保険金額内で金銭が支払われる制度のことを言います。
(2)相手の自賠責保険の仮渡金制度を利用する
仮渡金制度に関しては、賠償金額が決定する前でも、将来損害賠償として支払われるはずの金銭を当座資金の支払いのために「自賠責保険会社」に被害者自身が前もって請求を行うことが可能な制度です。
ただし、この制度はあくまで仮の支払いなので最終的な損害額よりも多くの金銭を受け取っていた場合には、その差額を返還する必要があります。
なお、仮渡金制度に類似する制度として以前は内払い制度がありましたが、現在は廃止されています。
(3)裁判所に対して仮払仮処分を申し立てる
その他にも、民事保全法による仮払仮処分を利用する方法も考えられます。
上記は、裁判所から「保険会社や加害者」に対して治療費の支払いを命じてもらう制度です。
ただし、この制度は裁判所を利用する制度ですので、裁判において、加害者の責任や損害の発生やこの制度を利用する必要性などを主張立証していかなくてはならないという煩わしさがあります。
5.治療費を本人が立替え払いする際に気をつけておきたいこと
保険会社が治療費の支払いを拒否した場合、被害者が立て替え払いを行います。
その際には、以下の3点に気を付けると良いでしょう。
(1)領収書を必ず保管する
治療費を立て替え払いした際には、治療にいくらかかったのかを明らかにするために「領収書」をしっかり保管しましょう。
領収書がないと後日請求が行えなくなる可能性があります。
(2)自分の健康保険を使う
自分は交通事故の被害者なのにもかかわらず、その治療に自分の健康保険を使うことに違和感を覚える方もいらっしゃるかもしれせん。
もちろん、被害者がご自身の健康保険を使う義務はありません。
しかし、健康保険を使うことが被害者のメリットになることもあります。
例えば、被害者に過失がある場合です。
完全なもらい事故なら関係ないのですが被害者にも過失がある場合には、その過失部分については被害者本人の負担になります。
簡単に言えば、被害者の過失割合が30%ならば、治療費の30%は被害者の自己負担になります。
そのため、健康保険を使った方が治療費の負担を軽減でき、結果として自己負担額も抑えることができます。
(3)加入している任意保険を確認する
前述のように、もし任意保険に加入している場合には、保険内容を確認するようにしましょう。
「人身傷害補償保険」に加入している場合、ご自身の保険から「治療費」等が受け取れます。
6.保険会社から治療費の支払いを打ち切られた場合の対処法
被害者の怪我が症状固定になるまでは、基本的に治療費に関しては全額を受け取ることが可能です。
ですが、突如保険会社から「治療費」の支払いを拒否される場合があります。
いわゆる、「治療費の打ち切り」です。
治療費を打ち切られた場合の対処法について詳しくは、「交通事故の治療期間はどれくらい?治療が打ち切られた場合の対処法」の記事をご参照下さい。
交通事故の治療費に関するまとめ
今回は交通事故の治療費についてご説明いたしました。
今回の話が交通事故の治療費について知りたい方のご参考になれば幸いです。