交通事故の治療期間はどれくらい?治療が打ち切られた場合の対処法

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
shutterstock_86514115

交通事故の治療期間、どのくらいだろう?

これをお読みの方の中にはこの点が気になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

交通事故に遭われてしまった場合、それぞれの症状ごとにおおよその治療期間があります。

入通院によって症状が完治すればいいのですが、場合にはよってはなかなか完治しないこともあります。そのような時に、場合によっては、治療が打ち切られてしまうことがあるのです。

今回は、交通事故の治療期間についての説明を踏まえて、治療が打ち切られてしまった場合の対処法について説明していきたいと思います。ご参考になれば幸いです。

1、交通事故に遭った際の治療期間とは?

交通事故の治療期間とは、保険会社・医師・被害者が治療を終了したと判断した時までのことを指します。

本来は、医師のみが判断すべき事柄であるように思われるかもしれませんが、現実には、保険会社が治療の打ち切りを判断することで治療終了とすることが多いです。

2、交通事故でむち打ちになってしまった場合の治療期間はどれくらい?

(1)むち打ちとは?

むち打ちとは、「外傷性頸部症候群」や「頸椎捻挫」などと呼ばれる症状のことを言います。車で後ろから追突されるなどした際、体が前に押し出されて頭だけ残ると、むちがしなるようなS字の形に見えるため、「むち打ち」と呼ばれています。

なお、首の損傷でも、首の骨折や脱臼により脊髄や神経を痛めると、手足に不自由をきたし、最悪の場合、寝たきり状態になってしまうような場合もありますが、むち打ちは、そこまでの重症には至らず、首の筋肉や靭帯、関節などを痛めたことで、首や肩、背中に痛みが走り、持続する症状を指します。

要するに、むち打ちは、首の損傷のうちでも、比較的軽いものの総称ということになります。

(2)むち打ちの治療期間はどれくらい?

むち打ちの場合、治療期間は早ければ3ヶ月程度ですが、場合によっては6ヶ月程度かかることもあります。

(3)その他の症状の場合の治療期間はどれくらい?

むち打ち以外にも、交通事故の症状は様々あります。

例えば、捻挫や打撲があります。これらの場合には、むち打ち同様、治療期間は早ければ3ヶ月程度ですが、場合によっては6ヶ月程度かかることもあります。

また、骨折の場合は、年齢などによってもかなりの個人差がありますが、おおよそ6ヶ月程度かかるでしょう。

さらに、特に重症の場合、例えば、脳挫傷や頭蓋骨骨折のような場合には、もちろん個人差もありますが、おおよそ1年半から2年程かかるでしょう。

3、治療が打ち切られることがあるって本当?

(1)治療費の打ち切りとは?

そもそも治療費の打ち切りとはどのような状況を言うのでしょうか。

治療費の打ち切りとは、保険会社の判断による治療費の立替払いの打切りのことを言います。

本来、治療費の支払いは交通事故の被害者と病院との契約に基づいて支払われるものです。そのため、加害者(保険会社)が立替えて支払うべき法的な義務は無いことになります(つまり、確定した損害額を後から支払えばいいのです)。しかし、交通事故の被害の治療費は高額になってしまう場合も多く、モラルとして、加害者側の保険会社が立替えて支払うことが一般的に行われています。

しかし、保険会社も営利企業ですので、治療が長期にわたったりした場合に、保険会社側の判断によって、任意の立替払いを打ち切ると言われてしまうことがあります。これが、いわゆる「治療費の打ち切り」といわれる状況です。

(2)交通事故後の治療が終了する場合とは?

では、交通事故後、治療が終了する場合とはどのような場合を言うのでしょうか。

治療が終了する場合とは、

  • 完治
  • 症状固定

の2つの場合を言います。

「完治」とは、文字通り、被害が完全に回復したことを言います。

他方、「症状固定」とは、症状の回復・改善が期待できなくなった状態、つまり、これ以上治療しても良くならない状態を言います。

そのため、治療費の打ち切りを保険会社に再考させるためには、本当に上記2つの場合に該当し、治療が完了しているのかが鍵となります。

4、治療が打ち切られた場合の対処法

(1)治療中の場合

例えば、事故後5ヶ月程度で、保険会社から「治療費の支払いを打ち切る」と言われたが、担当の医師は「まだ治療が必要」と言っているような場合には、どのように対処したら良いでしょうか。

まず、知っておいて頂きたいことは、治療費の支払いを打ち切ると言われても、治療を止めなければならないわけではないということです。そもそも立替払いは保険会社側がモラルとして行っているものであり、その立替払い打切りの決定に治療自体が拘束されることはありません。要するに、打ち切られるのは費用の「支払い」であって、「治療」そのものではないのです。そのため、医師から「治療を継続すべき」と言われたのであれば、身体のために治療を継続すべきでしょう。

とは言うものの、治療費をどうするのかということが現実問題としてあります。その場合には、以下のような対応が考えられます。

①保険会社と交渉する

オーソドックスな方法ですが、まずは「立替払いを継続してほしい」と保険会社に要望する方法があります。

保険会社は、おそらく「完治」または「症状固定」を理由にして打ち切っているでしょうから、医師の見解を伝え、まだ治療が必要であることを説明する必要があります。

そして、説得の際には、どの程度の治療期間が必要なのか(例えばあと何ヶ月、というように)を具体的に示すと良いでしょう。なぜなら、保険会社の担当者としても、その方が社内決裁(要するに、上司のOKのことです)を取りやすいと思われるからです。

また、もし可能であれば、医師から直接話してもらうというのも一つの手でしょう。

②とりあえず自腹で支払い、事後請求を行う

保険会社の「完治」または「症状固定」したとの主張は、あくまでも保険会社の見解にすぎません。そのため、裁判所等によって、立替払いの打ち切りから、完治または症状固定(※一般に、医師の後遺障害診断書に基づき、損害保険料率算出機構が行う後遺障害等級認定によって認められます)と認定された日までの期間の治療費は、後日、示談交渉または訴訟によって請求することができます。

とは言っても、ご自身の費用負担で治療を継続するのは現実には厳しいことも多いです。そのため、治療には健康保険を利用するようにしましょう。

なお、病院から、「交通事故の場合、健康保険は利用できません」と言われることもありますが、そのようなことは無いのでご安心下さい

そして、ご自身が費用を負担した分の治療費は、きちんと領収書を保管しておいて下さい。

(2)医師が症状固定と判断した場合

例えば、保険会社から「症状固定と思われるので治療費の支払いを打ち切る」と言われ、担当医師に相談したところ、医師も「治療継続による改善の見込みはない」と言ったような場合には、どのように対処したら良いでしょうか。

この場合には、医師に後遺障害診断書を作成してもらい、後遺障害等級認定の手続きをする必要があります。そして、その上で、相手方保険会社に対して等級に応じた賠償の請求を行うことになります。

もっとも、ご自身が治療を継続したいというのであれば、継続すること自体は可能です。しかし、症状固定後の治療費は、一般に、後遺症慰謝料の中に含まれるとされているため、これを請求することはかなり難しいでしょう。例えば、重症の時などに、症状固定後も特に症状悪化を避けるために治療が必要といったような事情が無ければ認められないでしょう。

なお、後遺障害等級認定について詳しくは、「交通事故に遭った際に後遺障害等級認定を受けるための全手順」をご覧下さい。

5、治療が打ち切られた場合には弁護士に依頼すべき?メリット・デメリット

最後に、治療が打ち切られてしまった場合に弁護士に依頼すべきかどうかをご判断頂くために、弁護士に依頼するメリットとデメリットについてご紹介します。

(1)メリット

①交渉がスムーズに行きやすい

保険会社は、事故後3ヶ月から4ヶ月程度で治療費の打ち切りを通告することが多いです。こうした場合にはご自身で交渉することももちろん可能ですが、素人の方では保険会社が意見をあまり聞いてくれないことが少なくありません。

他方、弁護士が交渉した場合には、専門知識をもとに交渉することになるので、それだけで交渉がスムーズに行くことが多いです。

②全てを任せることができる

また、交渉はかなり煩わしいので、これを弁護士に一任することで、ご本人は面倒事から解放され、治療に専念できるというメリットもあります。

③最善の策が見つかる

さらに、治療打ち切りは様々なケースが考えられますので、事案毎の判断が大切になります。この点、交通事故案件の取扱い実績が豊富な弁護士に依頼することで、その人に合った適切な対処法を示してくれます。

(2)デメリット

①弁護士費用がかかる

弁護士に依頼した場合の最大のデメリットは、何と言っても弁護士費用がかかることです。依頼した場合にかかる弁護士費用の内訳としては、相談料や着手金、成功報酬があります。

相談料は、だいたい1時間1万円が相場です。

もっとも、初回の相談については無料としている法律事務所が多く、中には交通事故の相談料は一切かからないとしている事務所もあるようです。また、着手金については、多くの法律事務所では無料にしているところが多いようです。

さらに、成功報酬については、20万円に加えて実際に回収できた金額の10%としている法律事務所が多いようです。

もちろん、弁護士費用自体は法律事務所が自由に決めることができるので、各事務所によって異なります。しかし、費用がかかるといっても、通院が半年以上に及ぶ場合や、数ヶ月入院していた場合、さらには、後遺障害の認定がすでに下りているといった事情があるのであれば、弁護士に依頼した方が、最終的に受け取ることのできる金額は大きなものになる可能性が高いです。

また、ご自身が加入している自動車保険に「弁護士費用特約」が付いている場合には、費用の面についてのデメリットはかなり軽減されるはずです。かなり高い等級が認定されるような事故でなければ、弁護士費用の負担はあまり考える必要はないと言えます。

前述のように、法律事務所によっては、「初回相談無料」といった事務所が最近は多いです。そこで、一度弁護士にご相談され、加えて、弁護士費用についても直接問い合わせ、弁護士費用特約の範囲内に収まる見込みがあるかどうかについて聞いてみるのも一つの手でしょう。

また、仮にご自身の保険に弁護士費用特約が付いていなくても、同居の親族が加入している保険に特約が付いている場合など、家族の特約を使うことができる可能性もありますので、一度確認してみると良いでしょう。

②紛争が長期化するおそれがある

次に、弁護士に依頼した場合には、紛争がかえって長期化するおそれがあることがデメリットして挙げられます。

保険会社としては、弁護士が介入することで当初、任意保険基準額で示談しようとしていたものが、それよりもかなり高い裁判所基準額の示談を求められことになります。そうすると、少しでも支払額を少なくしたい保険会社としては、金額を低く抑えるために様々な主張をしてくることが予想されるため、結果として、示談交渉が長期化することがあります。

交通事故の治療期間に関するまとめ

今回は、交通事故の治療期間と治療が打ち切られてしまった場合の対処法について説明してきましたが、いかがだったでしょうか。今回の話がご参考になれば幸いです。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket

Twitter・RSSでもご購読できます。