過払い金請求を自分でしたいけど出来るのだろうか・・・?
やはり弁護士に依頼した方が良いのだろうか・・・?
この記事をお読みの方はそのようにお考えではないでしょうか。
実際に過払い金を請求することになるタイミングで迷うことの一つに、自身で請求をするか、それともプロ(弁護士・司法書士)に依頼しようか、という点があるでしょう。
そこで今回は、自分で過払い金請求するための全手順についてご説明させていただきます。
※この記事は2017年2月27日に加筆・修正させていただきました。
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目次
1.そもそも過払い金請求は自分でできる?
そもそも過払い金請求はプロ(弁護士・司法書士)に依頼しなければならないとお考えの方もいらっしゃいますが、結論から言うと、過払い金請求はプロに依頼せずに自分で行うことができます。
もし、少しでも不安がある場合や、貸金業者との交渉の時間が取れない場合は、下記のような過払い金請求のプロに依頼することも1つの手です。
参考:過払い・過払い金請求するなら、弁護士法人ベリーベスト法律事務所
必ずしも自身で請求することが最善策とは限りませんので、自分に合った方法を検討してみてください。
それでは、具体的に自分で過払い金請求をする方法についてご説明いたします。
2.自分で過払い金請求をする方法は?
基本的に、過払い金請求は個人で行うことが可能です。
具体的には、以下の手順で請求することになります。
(1)まずは、取引履歴を取得しよう
まずは、取引履歴を取得しましょう。
方法としては、取引履歴請求書を作成してFAXまたは郵便で貸金業者に送付することになります。
そして、請求してからおおよそ2週間から1ヶ月程度で手元に取引履歴が届くでしょう。
なお、今回は、取引履歴請求書の請求先一覧と取引履歴開示請求書の雛形を用意したのでぜひご利用頂きたいと思います。
貸金業者連絡先一覧のダウンロードはこちら【エクセルシート】
※こちらの一覧表は2015年11月末現在のものです。
取引履歴請求書のダウンロードはこちら【ワード】
なお、貸金業者に取引履歴を請求したら脅かされるのではないかと不安になる方もいらっしゃるかもしれませんが、そのようなことはまずないのでご安心頂きたいと思います。
(2)引き直し計算をするための準備をしよう
ご自身で過払い金を計算する場合には、
- 取引履歴
- Excelが使えるパソコン
- 過払い金計算ソフト
が必要になります。
今回は、「過払い金計算ソフト」をご準備いたしました。
ぜひ、ご活用ください。
過払い金計算ソフトはこちら【エクセルシート】
(3)実際に引き直し計算をしてみよう
①まずは、取引履歴の中身を確認
実際にデータを入力する前に、まずは、取引履歴に記載されている内容を確認しましょう。
②取引(借入れまたは返済)があった日付の入力
最初に「B列」に日付を入力しましょう。
入力にあたっては、西暦で入力する必要があります。
例えば、平成11年4月25日の場合には、「99/4/25」と入力することになります。
なお、入力にあたっては、西暦の下2桁の入力で足りるため、「1999/4/25」と入力せず、上記のように、「99/4/25」と入力すれば済みます。
③当該取引日の取引金額(借入れ金額または返済金額)の入力
借入れの場合には、C列の借入金額に借り入れた金額を入力します。
他方、返済の場合には、D列の弁済額に返済した金額を入力します。
④最後の取引まで、①から③の流れで入力を繰り返す
以後、古い取引日から一つずつ①から③の流れで入力作業を続けることになります。
⑤当該取引日の時点での利率(法定利息)の入力
法定利息は借入残高によって決まる。
詳細は下記の通りです。
- 借入残高が10万円未満 20%
- 借入残高が10万円以上100万円未満 18%
- 借入残高が100万円以上 15%
一度、利息が下がった時には、下がった利息がそのまま維持されます。
ですので、一度借入金額が100万円以上になった場合には、その後返済を繰り返すことによって借入金額が100万円未満となっても利息は18%にはならず、15%のまま維持されます。
⑥入力が終わったら?
すべての入力が完了したら、残元金がマイナスかどうかを確認しましょう。
マイナス(数字の色が赤色)になっていれば過払い金が発生していることを意味します。
その上で、計算をした日付の、「残元金」と「過払利息残額」を加えたもの(いずれもマイナスになっているはずである)がご自身の過払い金の金額です。
なお、実際に過払い金を貸金業者に請求する際には、B3の「債務者」、B4の「会員番号」、B5の「貸金業者」、H5「作成者」の入力もしてきましょう。
(4)実際に貸金業者へ請求する
実際に計算をして、過払い金が発生していることが確認できたら賃金業者に対して請求することになります。
その際には、貸金業者へ過払い金請求書を送付します。
今回は、過払い金請求書の雛形を用意したので、ぜひご利用頂きたいと思います。
(5)貸金業者と電話等で交渉する
過払い金を請求した後は、直接電話などで賃金業者と和解交渉をします。
和解交渉を行うと、ほとんどの賃金業者は実際の過払い金よりも低額で和解を求めてきます。
ですが、過払い金請求は正当な権利の主張ですので、しっかりとした対応をする必要があります。
和解交渉で十分な回答をもらえた時点で、和解成立となりますので過払い金が入金されます。
(6)交渉が決裂したら訴訟で回収
もし、和解交渉で十分な回答がもらえない場合は、過払い金返還請求訴訟を提起する必要があります。
以下では、訴訟をする方法について説明します。
①必要書類は?
- 訴状
訴訟をするには訴状が必要です。
訴状は、正本・副本として同じものが2通必要になります。
なお、作成方法については後述の「②訴状の作成方法」で説明します。
- 証拠説明書
提出する証拠に関して、どういう事実を証明するものなのかを裁判所や貸金業者に伝えるために提出します。
証拠説明書についても、正本・副本として同じものが2通必要になります。
- 取引履歴
どのような取引が行われていたのかを証明するため、取引履歴を証拠として提出する必要があります。
取引履歴についても、正本・副本として同じものが2通必要になります。
- 引き直し計算書
過払い金がいくら発生しているかを証明するための証拠として、引き直し計算書が必要です。
ご自身で過払い金を計算したエクセルシートをプリントアウトして裁判所に提出することになります。
引き直し計算書に関しても、正本と副本として同じものが2通必要です。
- 代表者事項証明書(資格証明書)
代表者事項証明書とは、会社の登記簿謄本の一種で、会社の商号や代表者の氏名・住所が記載された書面のことです。
裁判の当事者が法人(会社)の場合には、訴状に当該法人の代表者事項証明書を添付する必要があります。
基本的に、過払い金返還請求訴訟の場合は、訴訟側は個人ですが、相手は会社ですので、会社の代表者事項証明書の提出が必要です。
この代表者事項証明書は1通必要で、法務局やインターネットで取得することが可能です。
②訴状の作成方法
前述のように、過払い金返還請求訴訟をする場合は、「訴状」を作成しなくてはいけません。
しかし、過払い金請求訴訟の訴状を一から作るのは大変です。
そこで今回は、訴状の雛形と証拠説明書の雛形を用意したのでぜひご利用頂きたいと思います。
訴状の雛形のダウンロードはこちら【ワード】
証拠説明書の雛形のダウンロードはこちら【ワード】
③費用はどれくらいかかる?
自分で過払い金請求訴訟をする場合、下記で述べる金銭が必要です。
- 印紙代
過払い金の請求額によって印紙代は異なります。
印紙代を金額を決定する場合、「過払い金請求額=訴額」です。
金額の詳細は下記の「裁判所のサイト」をご確認ください。
- 郵券
「郵券=郵便切手」です。
相手方に裁判に関する書類などを郵送する場合に必要です。
相手方に郵送される書類は以下の通りです。
- 訴状
- 呼出状
- 判決書
なお、郵券の金額は裁判所によって異なるので、詳しくは各裁判所に問い合わせて頂きたいと思います。
ちなみに、東京地方裁判所は6,400円です。
- 代表者事項証明書(資格証明書)
代表者事項証明書の取得にあたり、法務局で直接受け取る場は1通につき600円かかります。
これに対してインターネットで請求し郵送で受け取る場合は1通につき500円かかります(法務局で受け取る場合は480円で済む)。
- その他
その他として、裁判所までの交通費等もかかることになります。
④訴状の提出先
必要書類を管轄裁判所に提出することになります。
管轄裁判所については、貸金業者と契約した際に交わした契約書に「○○裁判所を管轄裁判所とする」との記載があるのではないでしょうか。
もし契約書が無ければ直接貸金業者に連絡して「過払い金請求訴訟をしたいのですが裁判所を教えてもらえませんか?」と管轄裁判所を確認すると良いでしょう。
⑤訴訟が始まったら?
裁判所に訴状が受理されて裁判が始まった場合、解決までの道筋として最終的に裁判所に判決を出してもらうことにはなるのですが、訴訟と併行して交渉を行い、場合によっては途中で和解に至ることもあります。
なかには、訴えた時点で訴訟前より好条件での和解に応じるようになる貸金業者もあります。
もし 訴訟提起後電話等でやり取りをして、相手方から満足する和解案が提示された場合には、和解に応じても良いかもしれません。
この点に関しては、ご自身の判断で良いと思います。
(7)過払い金の入金
和解交渉か裁判での判決どちらかで、過払い金を獲得できたら賃金業者から過払い金が入金されます。
3.やはり弁護士に依頼した方がいい?弁護士に過払い金請求を依頼する場合のデメリットは?
ここまで読んで下さった方の中には、過払い金の請求を一から全てやると大変そうだから弁護士に依頼しようとお考えになった方もいらっしゃるのではないでしょうか。
もちろん、過払い金請求を弁護士に依頼した場合にはデメリットがあります。
デメリットとは、下記で述べる弁護士費用です。
具体的には下記でご説明いたします。
(1)相談料
弁護士に相談する際に必要な金銭です。
相談料は、相場として「30分5000円(税抜)」です。
ですが、現在たくさんの弁護士事務所が無料で対応しています。
(2)着手金
依頼を受けた時点で必要になる金銭のことです。
結果に関係なく、返金はされません。
着手金は、1社ごとに金銭が必要です。
1社につき約4万円が相場です。
弁護士事務所によっては着手金が無料の事務所もあります。
(3)基本報酬
業務終了後に必要な金銭です。
着手金が無料の事務所でも、基本報酬として1社ごとに金銭が必要です。
約4万円が相場です。
ほとんどの場合が、着手金と基本報酬のどちらか一方だけが必要です。
(4)成功報酬
過払い金を回収できた時に必要になる金銭です。
回収した過払い金の額によって金額は異なります。
回収額の約20%が相場です。
裁判で過払い金を回収した場合は、回収できた金額の約25%が相場です。
(5)減額報酬
減額報酬とは、引き直し計算をしてもまだ借金が残っていた場合に、減額できた金額によって必要になる金銭です。
減額報酬の相場は、実際に減額できた金額の10%ほどです。
4.過払い金返還請求を自分でする方法まとめ
今回は自分で過払い金請求をするための手順についてご説明致しました。
今回の話が過払い金請求をご自身でしたいとお考えの方の参考になれば幸いです。