詐欺罪で逮捕された場合に知っておきたい4つのこと

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自分は犯罪とは無関係だと思われている方が大半でしょう。

しかし、いつ自分が犯罪者になるかわかりません。

例えば、詐欺です。

オペレーターの仕事の割には割がいいと思って請負ってみたら、実は振り込め詐欺の電話の仕事だったりすることもあり得ます(もっとも、このように犯罪をする意図がない場合は必ずしも逮捕されるとは限りません)。

また、犯罪などしたくなくても経済的事情などで過ちを犯してしまうこともあります。

今回は詐欺罪で逮捕されてしまった場合に知っておきたい事柄についてご説明いたします。
ご参考になれば幸いです。

※この記事は2017年4月24日に加筆・修正しました。

1.詐欺罪とはどのような犯罪?


そもそも詐欺罪とはどのような犯罪でしょうか。

(1)詐欺罪は重大犯罪?

詐欺罪の法定刑は懲役10年以下であり、窃盗罪の法定刑(10年以下の懲役または50万円以下の罰金)とは異なって罰金刑がありません。

つまり、起訴されれば必ず正式な裁判になります。
そして、詐欺罪で起訴されて実刑判決(執行猶予が付かない判決)が出れば必ず刑務所に服役します。

この点で、詐欺罪は重大犯罪と言えます。

(2)典型的な詐欺行為とは?

典型的な詐欺行為としては下記です。

  • 振り込め詐欺・オレオレ詐欺
  • 保険金詐欺
  • 結婚詐欺
  • 無銭飲食
  • 無賃乗車(いわゆるキセル)
  • 募金詐欺
  • フィッシング詐欺
  • オークション詐欺

などです。

(3)具体的に詐欺罪が成立する場合とは?

詐欺罪が成立するには以下の4つの要件を満たし、かつそれらが関連している(因果関係で結ばれている)ことが必要になります。

①欺罔行為

「事実」や「評価」に関して、人の判断基準に間違いを起こす行為です。

例えば、オレオレの詐欺の場合では「会社のお金を使いこんで今日中に100万円返さないと会社をクビになってしまう」という息子を装った親への電話がこの欺罔行為にあたります。

②被害者が錯誤に陥る

①の欺罔行為によって告知された内容を真実だと勘違いすることが必要になります。

前述の例に即して言えば、息子を装った親への電話によって息子からの電話だと勘違いすることが、被害者が錯誤に陥るということがあります。

なお、欺罔行為の途中で被害者が虚偽であることに気付いた場合には、詐欺罪は未遂に終わります。

③被害者が財物を交付する

勘違いをした被害者が犯人に対して、金銭・物を交付しなくてはいけません。

前述の例に即して言えば、犯人にお金を振り込んでしまうことが被害者が財物を交付するということです。

なお、被害者が相手の欺罔行為に気づいたにもかかわらず財物を交付した場合には、詐欺罪は未遂に終わります。

④財物が移転する

実際に被害者が犯人に対して財物を交付することが必要になります。

前述の例に即して言えば、親が犯人の指定する口座に送金することで親のお金が犯人の口座に移動した、すなわち財物が移転したということになります。

2.詐欺罪で逮捕されてからの流れ


次は逮捕されてしまった場合の流れについてみていきます。

(1)逮捕されるとどうなる?

詐欺罪での逮捕に限らず、逮捕された時点から「最大で72時間」、警察署の留置場に滞在します。

そして、拘束されている間は警察から取り調べを受けます。
逮捕後「48時間以内」に事件が警察官から検察官に送られます。

送られてから、「24時間以内」に検察官が被疑者を引き続き身体拘束か、釈放するかを決定します。

逮捕時の間は、法律上身体拘束に対して異議申立てができません。

(2)勾留されるとどうなる?

検察官が被疑者を引き続き身体拘束すると決定した場合、検察官は裁判官に対して勾留請求をします。
勾留請求が認められたら、被疑者はさらに「10日間」留置場にいることになります。

さらに、検察官が勾留延長の請求をして認められたら、さらに「10日間留置場」滞在します。
逮捕後は、「最大で23日間」も留置場に滞在することになります。

(3)起訴されるとどうなる?

基本的に起訴後は、裁判が始まります。
ですので、裁判が終了するまで警察の「留置場」や「拘置所」に滞在することになります。

裁判が1回で約1カ月で裁判が4~5回続く場合は、約半年以上拘束が続く可能性もあります。

3.詐欺罪で逮捕された場合に釈放される場合とは?


詐欺罪で逮捕されてしまっても、以下の場合には釈放されます。
釈放されるために重要なポイントの一つが被害者と示談が成立しているか、という点です。

示談とは、お金等を支払うことを条件に、告訴(被害届)を取り下げたり、「被害者の処罰を望まない」旨記載された示談書に被害者が署名・押印することをいいます。

基本的に示談が成立いると、釈放がされやすくなります。
さらに、不起訴の可能性が高くなります。

なお、示談金の相場は被害額+30万円ほどです。

(1)検察官が勾留請求しない

基本的に、検察官が勾留請求をしなければ釈放されます。

ですが、事件の関係者が複数人いる場合、検察官は基本的に勾留請求をしてきます。
ですので、釈放は難しいです。

(2)勾留決定を取り消す

仮に検察官の勾留請求に対して勾留決定がされた場合でも不服申立てを行い、当該勾留決定が違法であると主張して勾留決定を取り消してもらうという方法があります。

この方法を「準抗告」と言います。

この準抗告は、勾留すべき理由がないのに勾留決定したことに対して、勾留決定をした裁判官以外の裁判官に対して勾留の当否を判断してもらう手続きです。

ただし、勾留決定が取り消されることは基本的には難しいのが現状です。

4.詐欺罪の保釈金の相場は?


保釈金の相場は、一般的には150万円から200万円前後と言われています(なお、保釈とは、被告人が保釈金を支払うことを条件に身柄拘束の状態から開放されることをいう)。

詐欺事件の場合、保釈金の金額は異なる場合があります。

例えば、被害の範囲が狭く、一度きりの詐欺事件の場合は「約150万円」です。
ですが、組織的で被害の範囲が広い詐欺事件の場合は「約500万円」です。

また、保釈金の金額は被告人の経済力も踏まえて決定されるので、上記の金額はあくまで目安です。

まとめ

今回は詐欺罪で逮捕された場合に知っておきたい事柄についてご説明致しました。
今回の話が読者の方の参考になれば幸いです。

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