企業や事業を経営している場合には、いろいろな法的問題に遭遇する可能性があります。
たとえば売掛金回収の問題や労働者問題、会社の経営状態が悪くなれば債務の支払方法などについても問題になります。
取引先と新たに契約書を作成したり、不動産購入や賃貸経営をすることもあるでしょう。
このような法的問題に対処するためには、弁護士に相談したり対応を依頼する必要があります。
法律問題への対処に際しては顧問弁護士をつけておくと便利ですが、どのくらいの費用がかかるのでしょうか?
顧問弁護士の顧問料を支払うとどこまでのサポートが受けられのかや顧問料を節約する方法などもあれば知っておきたいところです。
今回は、顧問弁護士の費用や料金の相場、節約のポイントについて解説します。
※この記事は2017年5月10日に加筆・修正しました。
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目次
1.顧問弁護士とは
会社や事業を経営している場合、顧問弁護士をつけることが多いです。
顧問弁護士とはそもそもどのような弁護士なのでしょうか?
顧問弁護士とは、ある企業や事業家の法律問題に継続的・専門的に対応してくれる弁護士のことです。
通常、顧問弁護士がいない状態で企業などが法的トラブルに巻き込まれて弁護士に対応を依頼する場合には、その時点で弁護士を探して個別に依頼する必要があります。
この場合には、弁護士を探す手間がかかりますし、依頼する弁護士はそのとき初めて会った弁護士になります。
よって、その弁護士がどのようなタイプの人なのかということもわかりませんし、弁護士の方も、その企業がどのような企業なのかと言うことはよくわからないままに事件処理をすすめることになります。
これに対して顧問弁護士がいる場合には、継続的に企業の法的サポートをしてくれます。
企業が法的な事件に巻き込まれた場合には、専門的に優先して対応してくれます。
また、日常の法的アドバイスをしてもらうことによって、法的な問題が起こる前に、事前に対処することも可能です。
顧問弁護士に事件対応を依頼する場合には、わざわざ新たに弁護士を探す必要はありません。
顧問関係があると企業側は弁護士がどのような人かを熟知していて安心ですし、弁護士側も企業の性質や考え方を理解しているので、企業の気に入るようにスムーズに事件処理をすすめやすいです。
このように、継続的に企業の相談に乗ってくれることによって、企業を法的トラブルからも守ってくれるのが顧問弁護士です。
2.顧問弁護士の業務
顧問弁護士は、具体的にはどのような法的サポートをしてくれるのでしょうか?
以下で見ておきましょう。
顧問弁護士は、企業が法的なトラブルに巻き込まれないように事前に予防してくれます。
具体的には、企業の日常的な悩みについての法律相談をしてくれて、企業が適切に行動できるようにアドバイスしてくれます。
また、企業が取引先と契約する場合などにも、契約書のチェックや作成業務をしてくれるので安心です。
さらに、企業と従業員などとの間で法的トラブル(解雇問題など)が起こった場合にも、顧問弁護士は対応してくれます。
取引先が買掛金を支払ってくれない場合にはその回収業務もしてくれますし、会社が賃貸経営をしている場合などにも、賃貸借契約書の作成管理や賃料不払いがあった場合の回収業務などもしてくれます。
このように、顧問弁護士の業務は非常に多岐に及びます。
企業経営する場合には、法的な問題に直面することが非常に多いので、顧問弁護士をつけていると安心感があります。
3.顧問弁護士の費用
顧問弁護士をつけていると企業経営を法的にサポートしてもらえるので非常に助かりますが、顧問弁護士をつける場合には、弁護士費用がかかります。
顧問弁護士の費用や料金の相場はどのくらいになるのでしょうか?
以下では、顧問弁護士の費用は、どのような費用がどれだけかかるのかについて説明します。
(1)月額顧問料
顧問弁護士をつける場合には、通常低額の顧問料がかかります。
顧問料は、通常月額計算になります。
月額顧問料の相場は、だいたい3万円~5万円程度です。
2009年における日本弁護士連合会による弁護士へのアンケート結果によると、回答をした弁護士のうち、45.7%の弁護士が月額5万円、40%が月額3万円と回答しています。
弁護士全体の80%が3万円か5万円を採用していることになります。
また、6.7%の弁護士が月額2万円、5.7%の弁護士は月額10万円と回答しています。
このことからすると、顧問弁護士の費用は、月額3万円以下の弁護士を探そうとするとかなり難しくなり、また、月額5万円を超える弁護士は顧問料が高い弁護士であると言えます。
(2)顧問料でカバーされる範囲
顧問弁護士をつける場合には、月額の顧問料を支払いますが、この月額顧問料だけですべての法的対応についたカバーしてもらえるわけではありません。
月額顧問料でカバーしてもらえる範囲は日常の法律相談や法的なアドバイスなどです。
これについては、どの弁護士に顧問を依頼しても月額顧問料の範囲に含まれることが普通です。
これ以外に簡単な事件処理であれば、月額の顧問料の範囲内でしてくれることもあります。
たとえば、簡単な契約書のチェックや内容証明郵便の作成、チェックなどであれば、月額顧問料の範囲でしてくれることが多いです。
反対に、裁判対応が必要になった場合などには、通常別途費用がかかります。
日常の法律相談やアドバイス以外の部分について、どこまでが顧問料の範囲でカバーされるかについて、各弁護士によって違いがあります。
よって、顧問契約をする場合には、月額の顧問料でどこまでの範囲がカバーされるのかについて、弁護士に確認しておくと良いでしょう。
(3)顧問料でカバーされない事件処理費用
月額の顧問料ではカバーされない事件処理費用がかかる場合、その費用はどのくらいかかり、どのような支払方法になるのでしょうか?
たとえば、企業が裁判を起こさなければならない場合などには月額顧問料でカバーされず、別途事件依頼費用がかかることが多いです。
この場合、着手金や報酬金などの弁護士費用がかかります。
その費用については、原則的には顧問弁護士の事務所の報酬基準に従うことになります。
今は、弁護士の報酬基準が自由化されているので、弁護士報酬についてはそれぞれの弁護士が自由に定めています。
よって、同じ事件でも依頼する弁護士によって、かかる費用が異なってきます。
顧問弁護士に事件対応を依頼する場合にも、その顧問弁護士の事務所の報酬規定に従った費用がかかるのです。
よって、はじめから事務所としての報酬基準の安い弁護士に顧問を依頼しておくと、全体の弁護士費用を安く抑えることにつながります。
また、弁護士の中には、顧問先からの事件依頼の場合には割安料金を定めている事務所もあります。
たとえば一般の依頼者から事件を受けた場合よりも1割~3割程度の料金を割り引いてもらうことなどができます。
このように、割引サービスがある弁護士事務所に顧問を依頼することも、全体の弁護士費用を安く抑えることにつながります。
4.顧問料節約の方法
顧問弁護士をつけると月額の顧問料や事件依頼費用がかかりますが、顧問料を節約する方法はあるのでしょうか?
以下で具体的に見てみましょう。
(1)安い弁護士の探し方
顧問料を節約するためには、まずは顧問料の安い弁護士を探すことが必要です。
顧問料の相場は3万円~5万円となっているので、なるべく3万円くらいの弁護士を探すと良いでしょう。
①紹介を受ける方法
顧問弁護士を探す方法はいくつかあります。
1つ目は、周囲のつきあいのある企業や事業経営者から良い顧問弁護士の紹介を受ける方法です。
事業経営などをしている場合には、取引先などのつきあいのある業者や社長がいるものです。
このようなつきあいのある他の経営者に良い弁護士であると紹介を受けると、始めから相手の弁護士に対しても親近感が持てますし、相手の弁護士も丁寧に接してくれて安心感があります。
このように紹介を受けた弁護士の顧問料が安くて気に入れば、そのまま自分も顧問を依頼すると良いでしょう。
②自分で探す方法
自分で1から顧問弁護士を探す方法もあります。
そのためには、インターネットのホームページ検索を利用する方法が効果的です。
今は、多くの弁護士事務所がホームページを作成しています。
そこで、「顧問弁護士 地名」などのワードで検索すると、たくさんの事務所の名前が出てきます。
これらのホームページの内容を確認、比較して、気になる事務所をいくつかピックアップしましょう。
弁護士事務所のホームページには、それぞれの法律事務所の特色が出ています。
たとえば企業の経営問題に強い弁護士事務所であれば企業関係の記載やコラムなどが充実しています。
インターネット取引問題や著作権問題、賃貸借経営の問題などに力を入れている事務所であれば、それぞれそのような記載があるものです。
労働者問題に力を入れている事務所などもあります。
また、弁護士の実績や経歴の紹介もされているのが普通です。
弁護士の本の執筆履歴なども掲載されています。
どのような分野の本を執筆しているかによって、その弁護士の得意分野を判断することができます。
このように、弁護士事務所のホームページの記載を確認することによって、的確に弁護士選びをすることができます。
いくつかの弁護士事務所をピックアップしたら、そのすべての弁護士に連絡をして1度面談してみましょう。
その上で、かかる顧問弁護士の費用や事件処理の報酬体系などを確認して、最も安く、対応の良い事務所に顧問弁護士を依頼する方法がおすすめです。
(2)弁護士事務所のサービスプランを利用する
顧問弁護士の費用を抑えるためには、弁護士事務所の用意しているさまざまなサービスプランを利用する方法もあります。
月額顧問料の相場はだいたい月3万円~5万円程度かかることが普通ですが、常日頃から弁護士に相談することが特にない企業もあります。
この場合、顧問料を支払ってもまったく弁護士を利用しない月なども出てくるので、企業にとっては損になってしまうおそれがあります。
このように、あまり弁護士を利用しない企業や事業経営者のために、通常の顧問契約とは別のプランを用意している弁護士事務所があります。
たとえば、月額4000円~5000円程度から弁護士サポートを受けられる契約方法を定めている弁護士事務所などがあります。
企業による弁護士の利用頻度によって、顧問料を安くしてくれる弁護士事務所もあります。
このように、弁護士事務所側がもうけているさまざまなプランを利用すると、顧問弁護士にかかる費用を安く抑えることができます。
顧問弁護士を探す場合には、その弁護士が顧問料の定め方についてどのようなサービスをしてくれるのかなどについても、比較検討すると良いでしょう。
5.自分に合った弁護士探しが大切
顧問弁護士を探す場合には、月額顧問料や事件依頼にかかる弁護士費用が安い弁護士を探すことが大切ですが、費用が安い弁護士が必ずしも良い弁護士だとは限りません。
顧問弁護士とは、継続的な長い付き合いになります。
また、企業の内情をさらけ出してすべてを知ってもらうことになりますし、しょっちゅうやり取りも必要になり、親密なつきあいになります。
よって、顧問弁護士を選ぶ際には、弁護士との相性が非常に重要になります。
弁護士の事件処理方法にも個性があるので、企業の方針に合った弁護士を顧問につけておくことがストレス軽減につながります。
顧問弁護士の能力が低いと、つけておく価値がないことも明らかです。
いくら顧問料が安くても、相性が合わなかったり弁護士の能力が低いと、顧問弁護士をつける意味がなくなります。
よって、顧問弁護士を探す場合には、顧問料などの費用だけではなく企業のニーズに応じた、自分に合った弁護士探しが大切になります。
このように、ニーズに合った弁護士の中でも、もっとも費用の安い良心的な弁護士を見つけることが賢い顧問弁護士の探し方です。
まとめ
今回は、顧問弁護士の費用について解説しました。
顧問弁護士とは、ある企業や事業経営者と契約して継続的に優先して法的問題に対処してくれる弁護士のことです。
顧問弁護士をつけると企業経営が安定しやすいですが、弁護士費用がかかります。
月額顧問料が月3万円~5万円くらいかかることが普通ですし、別途事件処理費用がかかることも多いです。
顧問料の安い弁護士を探すには、たとえば知り合いの経営者から紹介を受けたり、インターネットで自分で探す方法があります。
必ずしも顧問料が安い弁護士が良い弁護士とは限らないので、最終的には企業のニーズに応じた相性の良い弁護士を選びましょう。