契約書チェックのポイントとして知っておきたい3つのこと

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket

ビジネスを始める上で、重要な事は契約書を作ることです。

現在では、契約書の雛形をインターネットや本などから入手することができます。

しかし、巷に溢れている契約書が必ずしも自分のケースに適合しているとは限りません。

きちんと状況に合った契約書を用意しなければトラブルを回避できません。

そのため、もし既存の契約書を利用する場合には、契約書のチェックポイントをおさえた上で適宜修正するが必要あるでしょう。

今回は、契約書を確認する際に知っておくべき事柄に関してご説明いたします。
ご参考になれば幸いです。

1.杜撰な契約書を作ってしまうリスク

まずは杜撰な契約書を作ってしまうリスクについてご説明いたします。
具体的には以下の2つの点が挙げられます。

(1)様々なトラブルに事前に巻き込まれる

契約書は、何らかのビジネスを始めるとき等に作成することが多いが、きちんと作れば相手方からの苦情や契約の打切りなどのトラブルを事前に回避できます。

もちろん、ビジネスを継続することで、ある程度のトラブルは必然的に発生し、なかには避けて通れないものもあるかもしれません。

しかし、きちんとした契約書を準備してくことでトラブルを最小限に抑えることは可能です。

また、きちんとした契約書を作る段階でビジネス上のリスクを事前に想定することができます。
結果、事業の成功可能性も高くなります。

実際トラブルに巻き込まれてしまうと、その解決には多大な時間・労力が必要になり、本来の業務ができなくなったり、大切な取引先がなくなることもありえます。

ですので、チェックポイントをおさえた契約書を作成する大切さは高いです。

(2)トラブルが発生した後の処理に膨大な手間と時間がかかる

また、万が一トラブルが起きてしまった場合にも事前にきちんとした契約書を作っておいた場合には問題解決がスムーズに進みます。

具体的には、仮に訴訟等の紛争となった場合でも、契約書は重要な証拠となることから、裁判における主張の裏付けになります。
結果、主張の証明が容易となり、比較的早期の解決が可能になります。

トラブルが発生した場合にも、契約書が存在するということは非常に意味を持つのです。

2.どのような点を意識して契約書をチェックすべき?

では、実際に契約書をチェックする際には、どのような点を意識するべきでしょうか。

この点については、既存の契約書を利用する場合でも、自ら作成する場合でもあてはまるので、以下の点を参考に契約書をチェックして頂きたいです。

(1)そもそも契約書の体裁を備えているか

契約書においては、一般的には必ず含めるべき内容が存在します。
詳細は以下の通りです。

  • 契約期間
  • 支払条件
  • 解除の条件(解除できる場合)
  • 損害賠償
  • 秘密保持
  • 管轄裁判所の合意など

これらの条項は、トラブルが起こりやすい事柄なので記載されているか確認しましょう。

その他、

  • 契約書の作成通数や誰が所持するか
  • 契約締結日
  • 契約当事者の署名(又は記名)・押印等の形式

もきちんと明記しておくようにしましょう。

万が一訴訟になった場合、裁判所に対して証拠として契約書を提出する場合には、当該契約書が証拠としてそもそも価値があるのかも問題です。

そのため、契約書の形式面が整っていることは、証拠としての価値を裏付けることにも繋がるので、非常に重要です。

(2)契約書の内容が違法・無効なものでないか

既存の契約書を利用する場合であろうと、自ら作成した契約書を利用した場合であろうと、その内容が違法・無効なものであってはなりません。

違法か否かという判断は、法律の専門家である弁護士でないと正確に判断することは難しいでしょう。
なので、この点が気になる場合は弁護士に相談しておいた方が安心でしょう。

また、法律や判例は変更されることがあるので、新たな法律や判例が出ることで、以前は適法であった契約書の内容が違法・無効なものになってしまうこともあり得えます。

そのため、契約書の内容が最新の法律や判例に適合するものかもチェックしておく必要があります。

さらに、法律の中には、たとえ当事者が納得の上合意したとしても法律上は認められない規定(このような規定を、「強行法規」という)も存在します。

契約内容が強行法規に反するような場合には、いくら契約書を作成したとしても、当該条項自体が無効になります。
この点でも、契約書の内容が違法・無効かどうかを確認することは重要です。

(3)契約書の目的を把握する

契約は、あくまでビジネスの成功を目指すために行うので、その契約書の中心となる部分は、達成しようとしているビジネスの目的に合致したものである必要があります。

契約書の目的が契約当事者が話し合った(交渉した)内容に合致しているかは十分に確認しましょう。

(4)言葉が明確か

契約書に書かれている言葉の意味が様々に受け取られる可能性があると、当事者間で解釈の違いが生じる可能性があります。

そのため、専門用語を含め、解釈によって誤解が生じる余地がないようにしたいです。
また、契約書中に「等」という文言を使って当該契約において契約漏れを防ぐことを行うことが少なくありません。

しかし、「等」という文言は、含まれる範囲が曖昧になり、当事者間の認識が違っていた場合には、後々トラブルになる可能性があります。

そのため、ただ単に「等」という使い方はせず、含まれるものを例示するようにした方が解釈の違いが生じることが少ないでしょう。

さらには、文言が省略して使われていないかどうかも確認したいです。

日本語は、主語・述語・目的語・時・場所等が省略されても通じてしまうことが多いことから、日常会話では、一部が省略されている場合もあります。

しかし、当事者間で解釈の相違が起こらないように、最大限省略をしないように心掛けたいです。
加えて、同じ内容を表現するにあたっては、複数の表現を用いるのも避けるべきです。

なぜならば、わざわざ異なる表現を用いているということは、異なる事柄や意味を持たせているのではないかと相手方に疑わせることになってしまうためです。

(5)契約書の内容が不公平になっていないか

ビジネスの世界では、必ずしも対等な立場で契約が結ばれるとは限りません。
場合によっては、不利な内容でも条件を受け容れざるを得ないということもあります。

しかし、あまりにも不公平な条件が維持され続けてしまうと、ビジネスとして継続させていくことが難しくなります。

また、そもそも一方的に有利に立つ立場で契約を相手方に押しつけるようなことになれば、契約を締結できず、結果としてビジネスチャンスを逃すということもありえます。

そのような事態を回避するため、契約の内容が不公平になっていないかはチェックが必要です。

3.契約書のチェックは自分でやらない方がいい?契約書チェックを弁護士に依頼した場合のメリット・デメリット

契約書チェックは弁護士に依頼した方がいい場合もある。

(1)弁護士に依頼するメリット

①法律の知識を備えている

前述したように、契約書のチェックには法律知識が不可欠です。
もしご自身で契約書の内容が法律や判例に適合しているかどうかをチェックする場合、莫大な時間がかかる可能性が高いです。

しかし、「法律の知識」や「思考の要素」は、弁護士に依頼することで得ることができます。

さらに、契約書を確認した弁護士にも責任が発生するので、会社側は、争いが起こった場合のリスクの分散になります。

②紛争が生じた場合に備えることができる

弁護士は、法律の専門家であると同時に、紛争解決についての専門家でもあります。

準備万端だとしても、当事者同士で争いが行われる可能性が高いです。
万が一争いが行われた場合は、「交渉」や「裁判」などの争いを解決するための手続きをすること必要です。

基本的に、争い事の解決をするには弁護士が代行する場合が多いです。
書類の作成から代行していた弁護士ならば、問題の把握が容易になり、事務処理効率も上がる可能性が高いです。

③ビジネスのシチュエーションに適した契約書を作成してくれる

ヤフーやグーグルなどの検索エンジンで、「契約書 雛形」などと検索すれば、契約書の雛型を手に入れることは非常に容易です。

しかしながら、インターネット上に掲載されている契約書の雛形の全てが、現在の法律や判例に則しているかは不明です。

また、たとえ契約書の雛形が入手しやすいといっても、希望する内容が全て網羅されたピンポイントの契約書は入手できるはずがありません。

仮に、類似していそうな内容だったとしても、当事者が異なれば取引の目的や注意点等は異なることから、せいぜい見つけた契約書を流用する程度に止まるはずです。

その時でも、どのくらい自分で流用することができるのかを判断するのは、とても難しい場合がほとんどです。

そのような場合であっても、弁護士に依頼すれば、シチュエーションに最適な契約書を利用することができるのです。

(2)弁護士に依頼するデメリット

①費用がかかる

やはり、弁護士に依頼した場合の最大のデメリットは、費用がかかることです。

契約書の作成には弁護士が一切関与せず、作成された契約書の確認のみで必要な金銭は、約3万円が相場です。

もちろん料金設定自体は弁護士によるが、安いところであれば1万円から、高いところでも5万円程度で受任しているようです。

ただし、作成された内容によっては、契約書を再度作成する必要が生じる場合もあり、その場合には、あらためて契約書作成の費用がかかることがあります。

いずれにせよ、予算や時間とも相談しながら、上記メリットを最大限に生かせるよう、弁護士に依頼した方が良いでしょう。

②絶対に希望する内容にならないこともある

弁護士といえども、ビジネスに精通しているわけではありません。
そのような弁護士に依頼してしまった場合には、必ずしも希望した内容が全て盛り込まれた契約書にならない可能性があります。

このような事態を回避するため、弁護士に相談する段階で弁護士があなたのビジネスに対する理解があるかをチェックしておきましょう。

まとめ

今回は、契約書のチェックポイントに関してご説明致しました。
ご参考になれば幸いです。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket

Twitter・RSSでもご購読できます。