ビジネスを進める際に、多様な場面において業務委託契約(委託者の仕事の全部または一部を受託者に委託する場合に締結する契約)を締結する場合があります。
例えば、経営の合理化を図る目的でアウトソーシングする場合やクラウドソーシングで仕事を発注・受注する場合などです。
こうした場合には、様々なトラブルを回避するためにも業務委託契約書を作成しておくことがベターといえます。
そこで今回は、委託する側に有利な業務委託契約書の書き方についてご説明いたします。
ご参考になれば幸いです。
※この記事は2017年3月30日に加筆・修正しました。
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1.まずは業務委託契約書の雛形をダウンロードしてみましょう
業務委託契約書を一から作るとなると面倒だと思われる方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、業務委託契約書の雛形(テンプレート)を無料でダウンロードできるようにいたしました。
是非活用していただきたいです。
2.業務委託契約書を作る手順
雛形をダウンロードして頂いたでしょうか。
ダウンロードして頂いただけでは実際に契約書として使うことはできません。
ご自身の契約用に修正して頂く必要があります。
まずは当事者で契約の内容を決めるため話し合うことが必要です。
具体的には、以下の通りです。
- 受託者(業務委託を受ける側)が行う業務の内容
- 委託者(業務委託をする側)が受託者に支払う金銭の額
- 契約期間
- 受託者の報告義務(いつ委託を受けた業務について委託者に報告するかなど)
- 成果の確認方法(受託者の業務によりどのような結果が発生したかについての受託者から委託者への報告の方法など)
- 業務の結果発生した成果物の権利(ホームページの所有権・著作権など)をどちらが取得するか
- 受託者が当該業務を他の者に再委託してもよいかどうか
- 業務遂行に必要となる費用(受託者の交通費など)をどちらが負担するか
- 契約を解除できる場合及びその方法
3.業務委託契約書の作成時に注意したい15個のポイント
いよいよ業務委託契約書を実際に作成することになるが、ここでは作成時に注意したい15個のポイントについてご説明いたします。
基本的には話し合った内容を文書化することになります。
(1)受託者が行う業務の内容
まずは、受託者が行う業務の内容をできるだけ細かく規定しておくことが必要となります。
例えば、受託者が行う業務がコンサルティングだった場合には、何のコンサルティングなのかまではっきり書いておく必要があります。
「プロモーションのコンサルティング」とか「マネージメントのコンサルティング」などのようにです。
また、制作業務をしている時には制作内容である「リスティング用ランディングページの作成」などと書いていきたいです。
(2)委託業務の遂行方法
受託者が善管注意義務を負うことを記載します。
なお、善管注意義務とは、受託者に期待される注意義務のことで受託者の職業や専門家としての能力、社会的地位などを考慮して判断されることになります。
(3)業務委託の遂行方法
委託者から受託者に支払う月額の業務委託料、支払日、支払方法を記載します。
また、業務遂行にかかる費用をどちらが負担するかについても書いておいた方がよいです。
(4)契約期間・契約更新
契約開始日と契約終了日を記載します。
もし、契約を更新するつもりがあれば、どのような場合に契約が更新されるかも書いておいた方がよいです。
例えば、「契約終了日の1ヶ月前までに当事者からの解約の申し込みがない時には以前の契約と同じ条件で1年間更新される」といった具合です。
(5)再委託の制限
話し合いで再委託はしないことを約束した場合には、その旨の条項を記載します。
(6)知的財産権の所在
任務遂行の過程で知的財産権が発生する時には、委託者と受託者のどちらが権利を取得するのかを記載します。
(7)受託者の報告義務
受託者は、委託者に対して現在の業務状況を報告する義務を負うことを記載します。
(8)通知義務
会社名や受託者の振込口座などの重要な部分に変更があった場合には、相手方に通知する義務があることを記載します。
(9)秘密保持義務
委託者がマイナスにならないように、受託者が仕事上で知り得た秘密を他の人に秘密を流さないよう義務を記載します。
ただし、受託者に過度な負担を負わせないように秘密保持義務の対象外となる事項についても併せて記載します。
場合により、受託者が持っている秘密を委託者に明かす必要性が出てくる時も考えられますので、その時には委託者にも秘密保持義務を負わせるようにしたいです。
(10)損害賠償義務
委託者受託者相互が、契約に違反して相手に損害を与えた場合に損害賠償義務を負うことを記載します。
(11)遅延損害金を支払う義務
もし、委託者が受託者に支払う業務委託料金の支払いが遅れた時には、合意により決めた利率での遅延損害金を支払う義務を負うことを記載します。
ただし、利息制限法に定められた利率を超えた約定は、その超過部分については無効となるので注意したいです。
(12)契約の解除
委託者と受託者が契約に違反したり、お互いの信頼関係を破壊するような行為があった場合に契約を解除できる旨を記載します。
(13)契約終了後の処理
契約の終了後に、受託者が処理すべき内容について記載します。
例えば、制作委託契約の場合は成果物がまだ制作中の場合に制作中の状態で委託者に納品するなどです。
(14)裁判管轄
もし、何らかの問題が発生して裁判になった場合にどこの裁判所で訴訟を行うのかを記載します。
(15)協議
契約書を作成した際に記載されていない事項について問題が発生した時には、話し合いをして解決することを記載します。
4.業務委託契約書を書面化する流れは?
(1)業務委託契約書はできればこちらで作成します!
次は実際に紙にする流れについて書いていきます。
まず、委託者と受託者のどちらが作成するかについてだが法律上はどちらが作成してもよいです。
ただ、契約の主導権を取って自己に有利な契約書を作成するためにも、ぜひ委託者側で作成した方がよいと思います。
(2)作成した契約書を相手方に確認してもらう
契約書を作成したら、次は契約書の内容に問題がないかを相手方に確認してもらうことになります。
そして、仮に相手方から修正を求められたら、もう一度修正を求められた部分について再度話し合って契約書の内容を確定させることになります。
(3)作成した契約書を製本化します!
契約書の内容の確認が終わった場合には、次は契約書を製本化です。
製本化にあたっては、以下の2つのポイントがあります。
①契約書は2通作成!
契約書は1通でも問題はないが、何かトラブルが起きた時のために当事者双方が持っていた方がよいので、契約書は2通作成することを勧めます。
また、2通作成しておくことで勝手に契約書を加筆修正されるという問題を回避できます。
そして、契約書が2枚以上になる場合には契印を押す必要があります。
契印とは、契約書が2枚以上になる時に各ページのつなぎ目に押印をすることを言います。
そうすることで、契約書が一連一体のものであると分かりますし、差し替えられたりしないようになります。
②収入印紙を貼りましょう!
契約書には4,000円分の収入印紙を貼りましょう。
貼るのは2通のうち1通のみでよいでしょう。
なお、収入印紙は郵便局やコンビニで購入できるので、店員さんなどに聞いてみるとよいです。
まとめ
今回は、自己に有利な業務委託契約書を作成するための手順についてご説明いたしました。
契約書の作成は億劫で面倒くさいと思われている方が多いと思います。
今回の話を参考にして、ぜひ自己に有利になるような契約書を作成して頂ければ幸いです。