少額訴訟債権執行とは?少額訴訟後に強制的にお金を回収する方法

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少額訴訟債権執行って何だろう・・・やり方など詳しく知りたい。

これをお読みの方にはそのようにお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか?

【訴状の雛形付き】少額訴訟とは?簡単にお金を払わせるための7つの手順」の記事で説明した通りの手順で進めて少額訴訟で勝っても、相手が支払日になってもお金を支払ってくれなければお金をもらうことはできません。

それでは、何のために裁判までして、判決を得たのか分かりません。

しかし、少額訴訟では「自分はお金を請求できる」という権利の確認のみなので、相手に自主的なお金の支払いをしてもらう必要があります。

このような不都合な事態にならないように、少額訴訟を起こして勝ったとしても返金がない場合は「少額訴訟債権執行」という制度があります。

そこで、今回は少額訴訟債権執行について説明していきます。

ご参考になれば幸いです。

1、少額訴訟債権執行とは?

(1)少額訴訟とは?

少額訴訟とは、「【訴状の雛形付き】少額訴訟とは?簡単にお金を払わせるための7つの手順」でも説明したように、60万円以下の少額のお金の回収を目的とする裁判のことをいいます。

(2)少額訴訟債権執行とは?

少額訴訟債権執行の説明の前に、差押えと強制執行について簡単に説明していきます。

①差押えとは?

差押えとは、国が物やお金を請求する権利(債権)を勝手に使うことを禁止し、国側が確保することをいいます。簡単に言えば、個人が持つ物や貯金や給料などを強制的に取り上げることです。

そして、その取り上げた貯金や給料から本来支払うべきお金を支払わせることになります。

②強制執行とは?

強制執行とは、先程の差押えのことをいいます。

③少額訴訟債権執行とは?

少額訴訟債権執行とは、少額訴訟の対象となった債権に対する強制執行のことをいいます。しかも、少額訴訟をした簡易裁判所と同じ裁判所でできるため便利な制度です。

④少額訴訟債権執行にかかる費用は?

少額訴訟債権執行を行うには、主に印紙代と郵便切手代がかかりますが、それらを合わせても1万円に満たない額で行うことができます。

2、少額訴訟債権執行で差し押さえることができる内容は?

では、実際に少額訴訟債権執行をするとどのような効果があるのでしょうか。効果としては、以下のようなものを差押えることができ、そこから本人が優先してお金をもらうことができます。

(1)貯金

まず、一般的に差押えの対象となるのは貯金です。法律用語では、「預貯金債権」といいます。

普通の銀行、ゆうちょ銀行、信用金庫などの貯金を差押えることができます。差押えに際しては、銀行の場合には口座がある支店名の特定が必要となり、ゆうちょ銀行の場合には貯金事務センター名を特定する必要があります。

(2)給料

次は、給料についてです。給料は、法律用語では、「給与債権」といいます。

給料をもらう本人よりも優先的に給料からお金をもらうことができます。ただし、差押えができるのは手取り額の4分の1まで(ただし、手取り額が44万円を超える場合には「手取り額―33万円」)となります。

3、少額訴訟債権執行の方法は?

いよいよ、本題である少額訴訟債権執行の方法について説明していきます。

(1)必要書類は?

必要書類は以下の通りです。

  • ①少額訴訟債権執行申立書
  • ②債務名義正本
  • ③送達証明書
  • ④(相手が法人の場合)資格証明書

では、以下でそれぞれについて詳しく説明します。

①少額訴訟債権執行申立書

まず、「少額訴訟債権執行申立書」が必要になります。

少額訴訟債権執行申立書とは、少額訴訟債権執行の開始を裁判所に対して依頼する書面のことをいいます。

作成方法については、後述の「(2)少額訴訟債権執行申立書の作成方法」を参考にしてください。

②債務名義正本

次に、債務名義正本として、「少額訴訟の確定判決書」が必要になります。

債務名義とは

債務名義とは、以下の内容を証明する公的な文書のことをいいます。

  • 強制執行の対象となる請求権の存在
  • お金を請求する権利がある者
  • お金を支払う義務がある者

■債務名義にあたる文書

具体的には、以下のような文書が債務名義となります。

  • 確定判決書→裁判の結論について書かれた書面
  • 仮執行宣言付判決書
  • 和解調書
  • 調停調書

少額訴訟債権執行の場合は、少額訴訟の確定判決書が債務名義として必要になります。

③送達証明書

さらに、少額訴訟債権執行をするには送達証明書も必要になります。

送達証明書とは、強制執行時に必要な書類で請求先に「責務名義」が届いているという証明書です。送達証明書は150円分の収入印紙を貼った送達証明申請書を裁判所に提出することでもらうことができます。

なお、送達証明申請書の提出の時期は、申立書や債務名義正本を提出する時期と同じで良いです。

裁判所に提出する送達証明申請書の雛形ダウンロードと書式例は以下のものを参考にして頂ければと思います。

送達証明申請書の雛形のダウンロードはこちら

送達証明申請書の書式例はこちら

④(相手が法人の場合)資格証明書

もし、請求先が個人ではなく、法人の場合には、少額債権訴訟執行の申立てから1ヶ月以内に取得した資格証明書(代表事項証明)が必要になります。

ここでいう資格証明書とは、会社の登記事項証明書のことをいいます。登記事項証明書は、法務局で受け取ることができる文書のことで、会社の資本金や取締役が誰であるかなどが書かれています。

(2)少額訴訟債権執行申立書の作成方法は?

次に、少額訴訟債権執行申立書の作成方法について説明します。少額訴訟債権執行申立書には様々な内容が含まれていますが、構成は大まかには以下の通りです。

  • ①申立書表紙
  • ②当事者目録
  • ③請求債権目録
  • ④差押債権目録

以上の順番で書面を上から並べて左側をホチキスなどで閉じることになります。それぞれ項目の書面の雛形と記載例は以下の通りです。

①申立書表紙の雛形と記載例

申立書表紙の雛形のダウンロードはこちら

申立書表紙の記載例はこちら

②当事者目録の雛形と記載例

当事者目録の雛形のダウンロードはこちら

当事者目録の記載例はこちら

③請求債権目録の雛形と記載例

請求債権目録の雛形のダウンロードはこちら

請求債権目録の記載例はこちら

④差押債権目録(差し押さえ先が銀行口座の場合)の雛形と記載例

差押債権目録の雛形のダウンロードはこちら(金融機関の銀行口座)

差押債権目録の雛形のダウンロードはこちら(ゆうちょ銀行の銀行口座)

差押債権目録の記載例はこちら

⑤各書面作成時の注意点

各書面を作成する際に注意すべきことは、それぞれの書面の上部に「捨印」を押すことです。

捨印とは、裁判所への提出書類や契約書などに押されるもので、訂正する場合に備えて書面の欄外に押すハンコのことです。これが押してあると訂正が有効になります。

そのため、書類を受け取った側が間違えに気付いた時にわざわざ作成者側に戻して再度訂正印を押してもらわなくても自分で訂正できるようになり、書類のやり取りがスムーズになります。

(3)少額訴訟債権執行に必要な費用は?

次は、少額訴訟債権執行に必要な費用について説明します。具体的な内訳は以下の通りです。

①収入印紙代 4,000円〜

まずは、印紙代として4,000円必要になります。少額訴訟債権執行の場合には、用意した印紙を債権執行申立書の表紙に貼ることになります。

印紙とは、国が税金や手数料などを回収するために発行するもので金額が記載された紙(証票)のことです。記載された金額通りのお金を出して郵便局やコンビニなどで買うことができます。

なお、4,000円という金額は支払いを求める方と支払う義務がある方が1対1の場合の時の金額です。もし、請求される側が複数になると金額も増えることになり。

②郵券代 5,000円前後

次に郵便切手代が必要になります。

簡易裁判所によっても異なりますが、おおよそ5,000円前後です。

③送達証明書取得費用 150円

金額は150円です。

④登記簿謄本取得費用 600円

相手が法人の場合には、登記簿謄本を取得するために600円分の収入印紙が必要になります。

(4)少額債権執行の申立先は?

少額訴訟の判決、または少額訴訟で和解をした簡易裁判所の裁判所書記官が少額訴訟債権執行の申立先になります。

4、何を差押えるかに注意!

せっかく手続きをしても、差押えの対象にお金がなければお金の回収はできません。

例えば、貯金を狙って差押えをしたとしても、その口座にお金が入っていなければお金の回収はできません。いわゆる「空振り」です。そのため、もし相手が個人でどこかの会社で働いているのであれば給与を差押えるのが良いでしょう。

他方、相手が会社で従業員を雇っているような場合には、口座にお金が入っている可能性が高い給料日の直前を狙うようにするのが良いでしょう。

少額訴訟債権執行に関するまとめ

今回は少額訴訟債権執行について説明しましたが、いかがだったでしょうか。今回の話が参考になれば幸いです。

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