法人税を計算するために知っておきたい5つのこと

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法人税 計算

法人税をどのように計算するのか理解されていますか?

多くの方は収益と費用の差額に税率を乗じて法人税を計算すると思っている方が多いのが現状ですが、その考え方は間違っています。正確に理解しておくことが大切になるので、今回の記事を読んで正確に理解するきっかけにしてみて下さい。

法人税がいくらかかるのかを理解しておかなければ与沢翼のように法人税の滞納で会社が破産状態になる可能性があります。

会社を破産状態にせずに安定的な経営をしていくには、法人税についてきちんと理解しておくことが重要です。今回の内容がご参考になれば幸いです。

目次

1、法人税とは

2、法人税の基本的な計算方法は?

3、法人の所得の種類と算出方法

4、法人税の税率について

5、参考に!法人税の計算事例

1、法人税とは

そもそも法人税とは、法人を一個人とみなして課税する税金のことでです。その為、会社の経営者は個人の給料(役員報酬)から税金(所得税)を支払い、自分が所有する会社でも税金(法人税)を支払うこととなります。

つまり、法人税とは、法人が得た利益(所得)に課せられる税金です。

会社では、この法人税が法人経営を難しくさせるポイントと言えるでしょう。会社経営を成功させるためには、会社にかかる税金(法人税)について詳しく把握しておくことが大切と言えます。

2、法人税の基本的な計算方法は?

法人税は会社が儲けた会計上の利益(収益-費用)に課税されるものではありません。

多くの方は、帳簿を付けて毎月の収益、費用を集計し、利益を求めているため、その利益に対して課税されると考えている方が多いです。

  • (収益-費用)×税率 = 法人税 ← この考え方は正確ではありません。

では、どのように法人税を計算するかと言いますと、

税法上の「課税所得金額(益金-損金)」に課税されます。つまり、

  • (益金-損金)×税率 = 法人税 ← この考え方で法人税を求める。

※なお、「課税所得金額(益金-損金)」の算出方法については「3、法人の所得の種類と算出方法」で、税率の算出方法については「4、法人税の税率について」でそれぞれ説明しているので参考にしてみて下さい。

上記の2つの算式で違う部分は、

『収益・費用』と『益金・損金』という言葉です。

『収益・費用』とは、会計上の金額です。

『益金・損金』とは、法人税法上の金額です。

会計上の収益・費用と法人税法上の益金・損金は大体同じですが、「別段の定め」がある部分だけが異なります。

つまり、会計上の収益・費用に「別段の定め」により調整すると法人税法上の益金・損金となります。

他の言い方をすれば、会計上の利益(収益-費用)に決算調整や申告調整などの税務調整を行ったものが法人税の課税所得金額(益金-損金)となります。

※会計上の『収益・費用』と税務上の『益金・損金』で一番イメージしやすい例をあげておくと、会計上は交際費は全額費用として処理されますが、税法上は交際費は全額損金となりません。

つまり、会計上は費用ですが、別段の定めで税務上は交際費を損金と認めない部分があります。

  • 会計上の費用 ⇒別段の定めで調整 ⇒ 法人税法上の損金
  • 会計上の収益 ⇒別段の定めで調整 ⇒ 法人税法上の益金

以上のような流れで損金・益金を求めます。

別段の定めがなければ、会計上の『収益・費用』も法人税法上の『益金・損金』も同じだと考えます。あくまで『別段の定め』がある場合にズレが生じます。

3、法人の所得の種類と算出方法

法人税は各事業年度に得た課税所得(益金-損金)に税率を乗じて計算します。ここでは法人所得の計算方法について説明していきます。

(1)法人の所得の種類とは?

法人税の対象となる所得は次の4つです。

  • ①会社が事業活動を行った毎期の事業年度の所得
  • ②会社が解散したときの清算所得
  • ③法人課税信託の所得(信託会社を対象とする法人税)
  • ④退職年金など積立金(退職年金業務等を営む信託会社や保険会社などを対象とする法人税)

(2)法人所得の算出方法は?

「①会社が事業活動を行った毎期の事業年度の所得」の算出方法は?

普通の会社が納める法人税は、上記(1)①の所得に対してかかるので、この数字を出しておくことは法人税の計算上非常に重要です。

具体的な算出方法としては、会計上の利益(収益-費用)に決算調整や申告調整などの税務調整を行ったもの(別段の定めを調整したもの)が法人税の課税所得金額(益金-損金)となります。

②~④の算出方法は今回は割愛しますが、普通の法人を設立する場合には②~④は必要ない情報なのでご安心下さい。

4、法人税の税率について

(1)法人税の税率は?

法人税の税率は、比例税率(固定税率)が適用されます。

ただし、法人税については各種の優遇措置があります。

【普通法人の税率】

資本金1億円以下の法人

  • 年間所得800万円以下の部分……15%
  • 年間所得800万円超の部分……25.5%

資本金1億円超の法人……25.5%

【協同組合など】

  • 年間所得800万円以下の部分……5%
  • 年間所得800万円超の部分……19%

【公益法人、公益社団法人、公益財団法人、一般社団、非営利型法人】

  • 年間所得800万円以下の部分……15%
  • 年間所得800万円超の部分……25.5%

【上記以外の公益法人】

  • 年間所得800万円以下の部分……15%
  • 年間所得800万円超の部分……19%

※いろいろな場合の法人税率を記載しましたが、普通の法人を設立する場合には「普通法人」の場合だけを理解しておけば問題ないでしょう。

(2)軽減税率を適用した場合の計算例

軽減税率は、以下の2つの条件を満たした場合に適用されます。

  • 資本金1億円以下
  • 年間所得800万円

資本金1億円以下の普通法人を例に、実際に法人税を計算してみましょう。

【ケース1】

資本金が3,000万円、課税所得(益金-損金)が500万円の場合

500万円×15%=75万円

【ケース2】

資本金が3,000万円、課税所得が1,000万円の場合

ケース2では、資本金1億円以下です。しかし、課税所得が800万円超であるため②の条件を満たしません。

この場合の法人税は1,000万円×25.5%ではなく、800万円以下の部分と800万円超の部分で税率が異なります。

800万円×15%=120万円

(1,000万円-800万円)×25.5%=51万円

よって、法人税額は120万円+51万円=171万円となります。

【ケース3】

資本金が2億円、課税所得が1,000万円の場合

ケース3では、資本金が一億円超なので、この場合の法人税は

1,000万円×25.5%=255万円となります。

5、参考に!法人税の計算事例

会計上の利益に税率を乗じた場合と法人税法上の所得(利益)に税率を乗じた場合の違いを、事例を使って説明していきます。
前述の通り、正しい計算は法人税法上の所得に税率を乗じたものなので注意して下さい。

(1)事例①

資本金500万円

収益-費用=500万円(会計上の利益)

益金-損金=600万円(法人税法上の所得)

もし会計上の利益に税率を乗じると

500万円×15%=75万円(資本金が一億円以下なので800万円以下は15%の税率を利用)

法人税法上の利益に税率を乗じると

600万円×15%=90万円(資本金が一億円以下なので800万円以下は15%の税率を利用)

(2)事例②

資本金500万円

収益-費用=5,000万円(会計上の利益)

益金-損金=5,500万円(法人税法上の所得)

もし会計上の利益に税率を乗じると

800万円×15%+(5,000万円-800万円)×25.5%=1,191万円(資本金が一億円以下なので800万円以下は15%の税率、800万円超は25.5%を利用)

法人税法上の利益に税率を乗じると

800万円×15%+(5,500万円-800万円)×25.5%=1318.5万円(資本金が一億円以下なので800万円以下は15%の税率、800万円超は25.5%を利用)

(3)事例③

資本金2億円

収益-費用=5,000万円(会計上の利益)

益金-損金=6,000万円(法人税法上の所得)

もし会計上の利益に税率を乗じると

5,000万円×25.5%=1,275万円(資本金が一億円超なので25.5%の税率を利用)

法人税法上の利益に税率を乗じると

6,000万円×25.5%=1,530万円(資本金が一億円超なので25.5%の税率を利用)

3つの事例からもわかるように会計上の収益と費用の差額である利益と、法人税法上の益金と損金の差額である利益(所得)に税率を乗じた場合には、金額が異なります。

別段の定めがあることでズレることをしっかりと理解して頂きたいです。

まとめ

法人税の計算の仕組みをご理解頂けましたでしょうか?今回の記事では、

「益金-損金」×税率=法人税

この算式の理解と

税率は、資本金1億円以下の場合と資本金1億円超の場合で大きく計算式が異なる、ということをご理解頂ければ幸いです。

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