交通事故の被害者になってしまうと怪我の治療だけではなくて様々な問題に直面します。
その一つが保険会社との示談金の交渉です。
そして過失割合に関してもです。
交通事故は一方が100%悪いというわけではないケースも多いです。
そのような場合に、どちらがどのくらい悪いかを数字で示すのが過失割合です。
例えば、自動車事故の場合で、追突された場合でなければ双方に過失ありと判断されることが大抵です。
今回は、事例を踏まえて、どのような事故の場合に過失割合は具体的にどのようになるのかについてご説明いたします。
ご参考になれば幸いです。
※この記事は2017年4月27日に加筆・修正しました。
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目次
1.交通事故の過失割合は誰がどのように決める?
(1)誰が決める?
交通事故の過失割合というと、警察が決めると思われている方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、過失割合の決定には警察は一切関与しません。
警察は、事故の連絡を受けてから事故現場に向かい、事故現場の確認と当事者からの事情を聴き、それを記録するだけです。
過失割合に関しては、保険会社が決定します。
(2)どのように決める?
この点については、基本的に当事者の保険会社が過失割合を決定します。
過失割合を決める基準として、過去の裁判例を用います。
裁判例と実際の事故を考慮しながら割合を決定します。
そのため、どの保険会社と契約しているかによって過失割合の算定に当たって有利不利になるということはありません。
2.歩行者対車・バイクの過失割合
(1)横断歩道がある場所の場合
①信号機付きの横断歩道上の場合
- 歩行者側が青信号で、車などが赤信号の場合:0対100
- 歩行者が黄色で横断を開始し、車などが赤で進入した場合:10対90
- 歩行者が赤で横断を開始し、車などが赤で進入した場合:20対80
- 歩行者が赤で横断を開始し、車などが黄色で進入した場合:50対50
- 歩行者が赤で横断を開始し、車などが青で進入した場合:70対30
- 歩行者が青で横断を開始し、横断中に赤に変わり、車などが赤で進入した場合:0対100
- 歩行者が赤で横断を開始し、横断中に青に変わり、車などが赤で進入した場合:10対90
- 歩行者が青で横断を開始し、横断中に赤に変わり、車などが青で進入した場合:20対80
- 歩行者が黄色で横断を開始し、横断中に赤に変わり、車などが青で進入した場合:30対70
②信号機がない横断歩道上の場合
- 歩行者が横断歩道を横断中で、車などが衝突した場合:0対100
(2)横断歩道がない場所の場合
- 歩行者が広い道路を横断し、車などが直進して衝突した場合:20対80
- 歩行者が広い道路を横断し、車などが右左折してきて衝突した場合:10対90
- 歩行者が狭い道路を横断し、車などと衝突した場合:10対90
- 歩行者が優先関係のない道路を横断し、車と衝突した場合:15対85
3.自転車対車・バイクの過失割合
(1)信号機のある交差点
①双方が直進の場合
- 自転車が青、車などが赤の場合:0対100
- 自転車が赤、車などが青の場合:80対20
- 自転車が黄色、車などが赤の場合:10対90
- 自転車が赤、車などが黄色の場合:60対40
- 双方赤の場合:30対70
②車などが右折の場合
- 自転車が青進入、車などが青で右折の場合:10対90
- 自転車が黄色進入、車などが青進入、黄色右折の場合:40対60
- 自転車が黄色進入、車などが黄色進入、右折の場合:30対70
- 自転車が赤進入、車などが赤で進入後右折の場合:30対70
- 自転車が赤進入、車などが青で進入後、赤で右折の場合:70対30
- 自転車が赤進入、車などが黄色で進入後、赤で右折の場合:50対50
- 自転車が赤進入、車などが右折車用矢印信号青で右折の場合:80対20
③自転車が右折の場合
- 自転車が青で右折、車などが青進入の場合:50対50
- 自転車が青進入、黄色右折、車などが黄色進入の場合:20対80
- 自転車が黄色進入後右折、車などが黄色進入の場合:30対70
- 自転車が赤進入後右折、車などが赤で進入の場合:30対70
④車などが左折の場合
- 自転車が直進、車などが左折の場合:10対90
- 自転車が直進、車などが追い越し左折の場合:0対100
- 自転車が対向、車などが左折の場合:15対85
(2)信号機のない交差点
①双方が直進の場合
- 同幅員で自転車と車などが衝突の場合:20対80
- 自転車が明らかに広い道路で明らかに車などが狭い道路で衝突の場合:10対90
- 自転車が狭い道路で車などが広い道路で衝突の場合:30対70
②車などが右折の場合
- 自転車が直進、車などが右折の場合:10対90
③自転車が右折の場合
- 自転車が右折、車などが直進の場合:50対50
④車などが左折の場合
- 自転車が直進、車などが左折の場合:10対90
- 自転車が直進、車などが追い越し左折の場合:0対100
- 自転車が対向、車などが左折の場合:15対85
4.車同士の過失割合
(1)信号機のある交差点
①双方が直進の場合
- 青信号の車と赤信号の車の場合:0対100
- 黄色信号の車と赤信号の車の場合:20対80
- 双方が赤信号の場合:50対50
②一方が直進、他方が右折の場合
- 直進車と右折車双方が青の場合:20対80
- 直進車が黄色で進入し、右折車が青で進入後黄色で右折開始した場合:70対30
- 直進車と右折車双方が黄色で交差点に侵入した場合:40対60
- 直進車と右折車双方が赤で交差点に侵入した場合:50対50
- 直進車が赤で進入し、右折車が青で進入後赤で右折開始した場合:90対10
- 直進車が赤で進入し、右折車が黄色で進入後赤で右折開始した場合:70対30
- 直進車が赤で進入し、右折車が右折車用矢印信号青で右折開始した場合:100対0
(2)信号機のない交差点
①双方が直進の場合
- 優先関係にある一方と優先関係にない他方が同程度の速度の場合:40対60
- 優先関係にある一方が減速せず優先関係にない他方が減速した場合:60対40
- 優先関係にある一方が減速して優先関係にない方が減速しない場合:20対80
②一方が直進、他方が右折の場合
- 直進車と右折車:20対80
5.バイク対車の過失割合
(1)信号機のある交差点
①バイクが直進、車が右折の場合
- バイクが青進入、車が青で右折の場合:15対85
- バイクが黄色進入、車が青進入、黄色右折の場合:60対40
- バイクが黄色進入、車が黄色進入、右折の場合:30対70
- バイクが赤進入、車が赤で進入後右折の場合:40対60
- バイクが赤進入、車が青で進入後赤で右折の場合:80対20
- バイクが赤進入、車が黄色で進入後赤で右折の場合:60対40
- バイクが赤進入、車が矢印信号青で右折の場合:100対0
②バイクが右折、車が直進の場合
- バイクが青で右折、車が青進入の場合:70対30
- バイクが青進入、黄色右折、車が黄色進入の場合:25対75
- バイクが黄色進入後右折、車が黄色進入の場合:50対50
- バイクが赤進入後右折、車が赤で進入の場合:40対60
- バイクが青進入後赤で右折、車が赤で進入の場合:10対90
- バイクが黄色進入後赤で右折、車が赤で進入の場合:20対80
- バイクが矢印信号青で右折、車が赤進入の場合:0対100
③バイクが左折、車が直進の場合
- バイクが先行して左折、車が直進の場合:60対40
- バイクが追い越し左折、車が直進の場合:80対20
(2)信号機のない交差点
①バイクが直進、車が右折の場合
- バイクが直進、車が右折の場合:15対85
②バイクが右折、車が直進の場合
- バイクが右折、車が直進の場合:70対30
③バイクが左折、車が直進の場合
- バイクが先行して左折、車が直進の場合:60対40
- バイクが追い越し左折、車が直進の場合:80対20
6.歩行者対自転車の過失割合
(1)横断歩道上の場合
①信号機がある場合
- 歩行者側の信号が青で自転車側が赤の場合:0対100
- 歩行者が黄色で横断を開始し、自転車が赤で進入した場合:15対85
- 歩行者が赤で横断を開始し、自転車が赤で進入した場合:25対75
- 歩行者が赤で横断を開始し、自転車が黄色で進入した場合:60対40
- 歩行者が赤で横断を開始し、自転車が青で進入した場合:80対20
- 歩行者が青で横断を開始し、横断中に赤に変わり、自転車が赤で進入した場合:0対100
- 歩行者が赤で横断を開始し、横断中に青に変わり、自転車が赤で進入した場合:15対85
- 歩行者が青で横断を開始し、横断中に赤に変わり、自転車が青で進入した場合:20対80
- 歩行者が黄色で横断を開始し、横断中に赤に変わり、自転車が青で進入した場合:35対65
②信号機がない場合
横断歩道を横断中で、信号機がない場合:0対100
(2)横断歩道が無い場合
①交差点またはその直近
交差点付近の場合:15対85
②交差点以外
横断歩道や交差点から離れている場所の場合は:20対80
7.過失割合は示談金にどのように影響する?示談金の計算方法について
(1)交通事故における示談金とは?
交通事故における示談とは、交通事故時に加害者が被害者に示談金を支払うことで和解することです。
基本的に、加害者側の保険会社と被害者が示談交渉をします。
(2)交通事故の示談金の中身と相場は?
交通事故の際に、損害として相手方に請求できるのは、
- 治療費、入院費、通院交通費など
- 休業損害
- 入通院慰謝料・後遺障害慰謝料
- 逸失利益(後遺症による逸失利益)
です。
示談金の金額は両者が納得した金額であれば和解が可能です。
ですので、交通事故時の示談金の相場はありません。
(3)過失割合と示談金の関係
交通事故の状況によっては、被害者側にも過失があるような場合があります。
上記で様々な事例の過失割合を紹介してきたが、0対100の関係が出てきたのはわずかであったことはお分かりでしょうか。
被害者側にも過失があった場合、加害者が支払う金額から被害者の過失分が減額されます。
これを、「過失相殺」と言います。
具体的には、被害者の損害が100万円だった場合、過失割合が加害者80、被害者20ならば、実際に加害者が支払うお金の金額は100万円の80%の80万円です。
8.過失割合の数字を有利にする方法は?
では、交通事故の過失割合を自己に有利にするための方法はあるのでしょうか。
この点については、以下の2点が重要です。
(1)事実がカギを握る!
当然のことではあるが、交通事故の事実をどのように評価するかが重要なカギです。
この際には、実況見分調書その他の刑事記録が特に重要です。
事故発生時に、例えば相手が謝ってきたから相手が悪いんだと主張したい方もいらっしゃいますよね。
もちろん、相手が全面的に非を認めれば問題ないが、賠償の問題、すなわちお金の問題が絡んでくるので簡単ではありません。
本当は事故時に相手が非を認めていたとしても、後日相手が非を認めたことはないという場合も多数存在します。
この場合には、正直、言った言わないをいくら主張しても全く効果はありません。
書面がないとダメです。
やはり、刑事記録に基づく主張をしないと相手も納得しません。
そのため、実況見分調書などの刑事記録を取り寄せた上で、事実をいかに評価するかがまずは大切です。
なお、製品によっても異なるが、事故時の状況を映像として記録するものとしてドライブレコーダーがあります。
ドライブレコーダーは、過失割合を決める認定で証拠になります。
ですので、もしもの時のために自分の車に搭載することをお勧めいたします。
(2)法律知識
法律知識もまた重要です。
この点については、裁判例の知識がカギです。
もちろん過失の構造なども知っておく必要があります。
交通事故で起きた事実をどれだけ主張しようとも、その主張がどう金銭に結びついていくかは、法律の知識が必要です。
これらの主張をきちんとすることで、初めて相手方保険会社と対等の立場に立つことができます。
しかし、保険会社とのやり取りでは、交渉の相手はプロであり、しかも内容も法律的な知識が必要不可欠なため、法律知識に詳しくない方にとっては非常に困難が伴うでしょう。
やはり、この点については、法律の専門家である弁護士に依頼することをお勧めしたい。
まとめ
今回は、具体的な事例を示しつつ交通事故の過失割合についてご説明いたします。
今回の話が、交通事故の過失割合について知りたい方のご参考になれば幸いです。