交通事故の示談をする際に知っておくべき6つのこと

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
shutterstock_286798478

交通事故に遭われてしまった場合、最終的には示談によって解決することになります。

しかし、「示談」といっても、何をどのようにしたらいいのか分からない方が大半ではないでしょうか。

そこで今回は、交通事故の示談をする際に気をつけたいことについてご説明させていただきます。
ご参考になれば幸いです。

1、交通事故における示談とは?

交通事故における示談とは、簡単にいえば、交通事故で損害を被ったときに、被害者と加害者の間で、被害者が加害者にお金を支払うことを前提に和解することをいいます。

通常は、加害者の任意保険会社が示談交渉を代行するので、被害者は保険会社と示談交渉をすることになります。

2、交通事故の示談金の相場は?

交通事故の際に、損害として相手方に請求できるのは、

  • 治療費、入院費、通院交通費など
  • 休業損害
  • 入通院慰謝料・後遺障害慰謝料
  • 逸失利益(後遺症による逸失利益)

です。

そして、示談は、前述したように、被害者・加害者双方がお互いに以後示談内容以外の金銭を請求しないという合意なのであるから、示談金の相場はお互いが納得した金額ということになります。
そのため、交通事故の示談金の相場は実際には存在しないことになります。

なお、参考までに各項目についての計算方法を以下で紹介したいです。

(1)治療費・入院費・通院交通費など

治療費、入院費、通院交通費などについては、実際に支払った金額を相手方に請求できます。

(2)休業損害

休業損害の計算方法は、以下の3つがあります。
保険会社側と直接交渉すると基本的に「①自賠責保険基準」で計算されます。
一方、弁護士に依頼した場合には「②裁判基準」で計算されることになります。
基本的に、保険会社と直接交渉するより弁護士に依頼した方が休業損害の金額が高くなります。

①自賠責保険基準

自賠責保険基準を用いた場合には、

  • 休業損害=5,700円×休業日数

となります。

もっとも、例外的に1日の収入が5,700円を超えると認められた場合には、1万9,000円を限度として、その実額が1日あたりの金額として算定することができます。

なお、「休業日数」は、交通事故による負傷によって現実に仕事を休んだ日数のことであり、自賠責保険基準の場合でも、後述の裁判基準の場合でも同じです。

②裁判基準

裁判基準を用いた場合には、

  • 休業損害=1日あたりの基礎収入×休業日数

となります。

なお、裁判基準の場合には、現実の収入をもとに「基礎収入」(休業損害算定の基礎とすべき収入金額のこと)を算出することになります。
その場合には、一般的には交通事故前の3ヶ月分の収入をもとに、1日あたりの基礎収入を算出することになります。

具体的には、雇用主に交通事故前3ヶ月間の給与額等を記載した休業損害証明書を作成してもらうことになります。

そして、雇用主に作成してもらった休業損害証明書をもとに、交通事故前3ヶ月分の合計収入を算出し、それを90で割って、1日あたりの基礎収入を算出することになります。

すなわち、

  • 1日あたりの基礎収入=交通事故前3ヶ月分の収入÷90

という計算式になります。

また、休業日数も休業損害の計算に関わります。
休業損害は前述の通り、交通事故が原因で仕事を休まざるを得なくなった日数のことです。
この日数についても休業損害証明書に記載してもらうことになります。

③任意保険基準

任意保険基準の場合には、各任意保険会社ごとに一定の限度額や基準が設けられています。

そのため、自賠責保険基準や裁判基準のような明確な計算式はないが、現実の収入に近い金額で支払いがなされるようです。

(3)入通院慰謝料・後遺障害慰謝料

入通院慰謝料や後遺傷害慰謝料は、治療費などとは異なり、精神的な損害を賠償するためのものであるため、本来的には、被害者ごとに実際にどのくらいの精神的な損害を被ったのかを個別に算定する必要があります。
しかし、それは極めて難しい。だからといって、同じような被害を受けた人たちの間で慰謝料額が大きく異なることも不公平です。
そこで、交通事故の慰謝料においては、一定の基準が存在します。

では、交通事故の慰謝料は、実際どのように計算するのでしょうか。

交通事故の慰謝料の計算方法には、以下のように3つの基準があります。
3つの基準のうち、任意保険基準は非公開であるため、その詳細は不明だが、裁判所基準及び自賠責基準は、以下のような計算方法となっています。

①裁判所基準

  • 入通院慰謝料の裁判所基準額

裁判所基準を用いて入通院慰謝料を計算する際、多くの場合以下のような表を用います(いわゆる「赤い本」基準)。

別表Ⅰ

入院慰謝料

別表Ⅱ

入院慰謝料2

上の表のうち、別表Ⅱは、「他覚的所見(主にMRIやレントゲン・CT等における画像所見)がないむち打ち症」の場合に利用され、それ以外の場合には別表Ⅰが利用されています。

表の見方について

では、以下で、表の見方について説明します。

まず、入院期間を、縦の列で決めることになります。
例えば、入院が全くなければ一番左の列、入院が3ヶ月であれば左から4番目の列になります。

そして、通院の期間に応じて、下にマス目をたどり、慰謝料額を計算することになります。
例えば、入院なし・通院3ヶ月であれば、最左列3月のマス=73万円となります。

ただし、入院、通院が「○ヶ月ちょうど」とならない場合もあれば、通院はしたが1ヶ月に1度のペースで、半年間で10回にも満たないような場合もあるでしょう。
こうした場合にはいくつかの修正を受けることがあるので、具体的な金額については、弁護士に相談することをお勧めします。

  • 後遺障害慰謝料の裁判所基準額

裁判所基準で後遺障害慰謝料を計算すると、以下の表の裁判所基準になります(いわゆる「赤い本」基準)。
自賠責基準の項目と比較頂けると裁判所基準の方が金額が大きいことが分かるでしょう。

後遺障害等級 後遺障害 自賠責基準 任意基準(推計) 裁判所基準
第1級 1.両眼が失明したもの 1,100万円 1,600万円 2,800万円
2.咀嚼及び言語の機能を廃したもの
3.両上肢をひじ関節以上で失ったもの
4.両上肢の用を全廃したもの
5.両下肢をひざ関節以上で失ったもの
6.両下肢の用を全廃したもの
第2級 1.1眼が失明し,他眼の視力が0.02以下になったもの 958万円 1,300万円 2,370万円
2.両眼の視力が0.02以下になったもの
3.両上肢を手関節以上で失ったもの
4.両下肢を足関節以上で失ったもの
第3級 1.1眼が失明し,他眼の視力が0.06以下になったもの 829万円 1,100万円 1,990万円
2.咀嚼又は言語の機能を廃したもの
3.神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し,終身労務に服することができないもの
4.胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し,終身労務に服することができないもの
5.両手の手指の全部を失ったもの
第4級 1.両眼の視力が0.06以下になったもの 712万円 9,00万円 1,670万円
2.咀嚼及び言語の機能に著しい障害を残すもの
3.両耳の聴力を全く失ったもの
4.1上肢をひじ関節以上で失ったもの
5.1下肢をひざ関節以上で失ったもの
6.両手の手指の全部の用を廃したもの
7.両足をリスフラン関節以上で失ったもの
第5級 1.1眼が失明し,他眼の視力が0.1以下になったもの 599万円 750万円 1,400万円
2.神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し,特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
3.胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し,特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
4.1上肢を手関節以上で失ったもの
5.1下肢を足関節以上で失ったもの
6.1上肢の用を全廃したもの
7.1下肢の用を全廃したもの
8.両足の足指の全部を失ったもの
第6級 1.両眼の視力が0.1以下になったもの 498万円 600万円 1,180万円
2.咀嚼又は言語の機能に著しい障害を残すもの
3.両耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの
4.1耳の聴力を全く失い,他耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
5.脊柱に著しい変形又は運動障害を残すもの
6.1上肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの
7.1下肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの
8.1手の5の手指又はおや指を含み4の手指を失ったもの
第7級 1.1眼が失明し,他眼の視力が0.6以下になったもの 409万円 500万円 1,000万円
2.両耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
3.1耳の聴力を全く失い,他耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
4.神経系統の機能又は精神に障害を残し,軽易な労務以外の労務に服することができないもの
5.胸腹部臓器の機能に障害を残し,軽易な労務以外の労務に服することができないもの
6.1手のおや指を含み3の手指を失ったもの又はおや指以外の4の手指を失ったもの
7.1手の5の手指又はおや指を含み4の手指の用を廃したもの
8.1足をリスフラン関節以上で失ったもの
9.1上肢に偽関節を残し,著しい運動障害を残すもの
10.1下肢に偽関節を残し,著しい運動障害を残すもの
11.両足の足指の全部の用を廃したもの
12.女子の外貌に著しい醜状を残すもの
13.両側の睾丸を失ったもの
第8級 1.1眼が失明し,又は1眼の視力が0.02以下になったもの 324万円 400万円 830万円
2.脊柱に運動障害を残すもの
3.1手のおや指を含み2の手指を失ったもの又はおや指以外の3の手指を失ったもの
4.1手のおや指を含み3の手指の用を廃したもの又はおや指以外の4の手指の用を廃したもの
5.1下肢を5センチメートル以上短縮したもの
6.1上肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの
7.1下肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの
8.1上肢に偽関節を残すもの
9.1下肢に偽関節を残すもの
10.1足の足指の全部を失ったもの
第9級 1.両眼の視力が0.6以下になったもの 245万円 300万円 690万円
2.1眼の視力が0.06以下になったもの
3.両眼に半盲症,視野狭窄又は視野変状を残すもの
4.両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
5.鼻を欠損し,その機能に著しい障害を残すもの
6.咀嚼及び言語の機能に障害を残すもの
7.両耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
8.1耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になり,他耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になったもの
9.1耳の聴力を全く失ったもの
10.神経系統の機能又は精神に障害を残し,服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
11.胸腹部臓器の機能に障害を残し,服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
12.1手のおや指又はおや指以外の2の手指を失ったもの
13.1手のおや指を含み2の手指の用を廃したもの又はおや指以外の3の手指の用を廃したもの
14.1足の第1の足指を含み2以上の足指を失ったもの
15.1足の足指の全部の用を廃したもの
16.生殖器に著しい障害を残すもの
第10級 1.1眼の視力が0.1以下になったもの 187万円 200万円 550万円
2.正面を見た場合に複視の症状を残すもの
3.咀嚼又は言語の機能に障害を残すもの
4.14歯以上に対し歯科補てつを加えたもの
5.両耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になったもの
6.1耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの
7.1手のおや指又はおや指以外の2の手指の用を廃したもの
8.1下肢を3センチメートル以上短縮したもの
9.1足の第1の足指又は他の4の足指を失ったもの
10.1上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの
11.1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの
第11級 1.両眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの 135万円 150万円 420万円
2.両眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの
3.1眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
4.10歯以上に対し歯科補てつを加えたもの
5.両耳の聴力が1メートル以上の距離では小声を解することができない程度になったもの
6.1耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
7.脊柱に変形を残すもの
8.1手のひとさし指,なか指又はくすり指を失ったもの
9.1足の第1の足指を含み2以上の足指の用を廃したもの
10.胸腹部臓器の機能に障害を残し,労務の遂行に相当な程度の支障があるもの
第12級 1.1眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの 93万円 100万円 290万円
2.1眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの
3.7歯以上に対し歯科補てつを加えたもの
4.1耳の耳殻の大部分を欠損したもの
5.鎖骨,胸骨,ろく骨,けんこう骨又は骨盤骨に著しい変形を残すもの
6.1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの
7.1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの
8.長管骨に変形を残すもの
9.1手のこ指を失ったもの
10.1手のひとさし指,なか指又はくすり指の用を廃したもの
11.1足の第2の足指を失ったもの,第2の足指を含み2の足指を失ったもの又は第3の足指以下の3の足指を失ったもの
12.1足の第1の足指又は他の4の足指の用を廃したもの
13.局部に頑固な神経症状を残すもの
14.男子の外貌に著しい醜状を残すもの
15.女子の外貌に醜状を残すもの
第13級 1.1眼の視力が0.6以下になったもの 57万円 60万円 180万円
2.正面以外を見た場合に複視の症状を残すもの
3.1眼に半盲症,視野狭窄又は視野変状を残すもの
4.両眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの
5.5歯以上に対し歯科補てつを加えたもの
6.1手のこ指の用を廃したもの
7.1手のおや指の指骨の一部を失ったもの
8.1下肢を1センチメートル以上短縮したもの
9.1足の第3の足指以下の1又は2の足指を失ったもの
10.1足の第2の足指の用を廃したもの,第2の足指を含み2の足指の用を廃したもの又は第3の足指以下の3の足指の用を廃したもの
11.胸腹部臓器の機能に障害を残すもの
第14級 1.1眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの 32万円 40万円 110万円
2.3歯以上に対し歯科補てつを加えたもの
3.1耳の聴力が1メートル以上の距離では小声を解することができない程度になったもの
4.上肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの
5.下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの
6.1手のおや指以外の手指の指骨の一部を失ったもの
7.1手のおや指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなったもの
8.1足の第3の足指以下の1又は2の足指の用を廃したもの
9.局部に神経症状を残すもの
10.男子の外貌に醜状を残すもの

②自賠責基準

自賠責保険基準を用いた場合には、治療日数と後遺障害等級を基に慰謝料を計算することになります。

①自賠責基準における入通院慰謝料

(「実治療日数×2」によって算出される期間又は「治療期間」のどちらか少ない方)×4,200円となります。

なお、ここで注意して頂きたいのは、自賠責保険は入通院につき120万円までしか保証されないということです。
そのため、例えば治療費で100万円かかっているとすれば、計算上多額の慰謝料が算出されるとしても、慰謝料が20万円以上自賠責保険から支払われることはありません。
この点において、任意保険基準はこの部分を補完する意味合いを持つのです。

②自賠責基準による後遺障害慰謝料(自賠責基準額)

自賠責基準による後遺障害慰謝料は上述した後遺障害慰謝料の裁判所基準額に掲載されている「自賠責基準」の項目の通りです。

(4)逸失利益

逸失利益の計算は、労働能力低下の程度、収入の変化、将来の昇進・転職・失業等の不利益の可能性、日常生活上の不便等を考慮して行うとされます。

基本的には、以下の計算式によって計算されます。

逸失利益=①基礎収入×②労働能力喪失率×③労働能力喪失期間×④中間利息控除

①基礎収入

逸失利益算定の基礎となる収入は、原則として、事故前の現実収入(年収)を基礎とします。
ただし、将来、現実収入額以上の収入を得られることを立証できれば、その金額が基礎収入になります。
また、現実収入が賃金センサスの平均賃金を下回っていても、将来、平均賃金程度を得られる蓋然性があれば、平均賃金を基礎にしてよいとされます。

例えば、会社員など給与所得者であれば事故前の現実収入が基礎とされることが多く、事業者は申告所得を基礎とすることが多いです。
他方、主婦や学生は賃金センサスを基礎とすることが多いとされます。

※賃金センサスとは…政府による「賃金構造基本統計調査」のことです。
これに基づく平均賃金が、信頼性の高い数字であるとして、逸失利益の算定等に用いられるのです。

②労働能力喪失率

労働能力喪失率とは、後遺症により失われた労働能力を割合にして表わしたものです。

被害者の性別、年齢、職種、障害の部位・程度、事故前後における具体的な稼働状況、生活状況等を総合的に考慮して、喪失割合が認定されます。

実務上は、自動車損害賠償保障法施行令2条別表(障害等級表)に記載された障害の程度に応じて定められた障害等級を基にした、労働能力喪失率表が利用されています。
以下のとおりです。

  • 自動車損害賠償保障法施行令別表第1の場合
障害等級 労働能力喪失率
第 1級 100/100
第 2級 100/100
  • 自動車損害賠償保障法施行令別表第2の場合
障害等級 労働能力喪失率
第 1級 100/100
第 2級 100/100
第 3級 100/100
第 4級 92/100
第 5級 79/100
第 6級 67/100
第 7級 56/100
第 8級 45/100
第 9級 35/100
第10級 27/100
第11級 20/100
第12級 14/100
第13級 9/100
第14級 5/100

③労働能力喪失期間

労働能力喪失期間の始期は、症状固定日(=後遺症の症状が確定した日)です。
未就労者の始期は原則18歳とされるが、大卒を前提にした場合は、大学卒業時とします。

終期は原則、67歳とされます。

以上要するに、症状固定日~67歳が、基本的な労働能力喪失期間です。

ただし、高齢者等の場合は例外とされます。

また、職種や地位、健康状態等によっても、終期について原則と異なる判断がされることがあります。

④中間利息控除

逸失利益は、将来得られたはずの利益を、事前に一括で貰えることから、その間の利息が控除されることになります。
これが中間利息の控除です。

この中間利息控除のための計算式として、実務上、「ライプニッツ係数」という計算式が用いられることが多いです。
ちなみに、このライプニッツ係数は、民法上定められた5%の利息が発生することを前提にしています。
ライプニッツ係数を表にすると、以下のとおりです。

労働能力喪失期間 ライプニッツ係数 労働能力喪失期間 ライプニッツ係数
1 0.9524 35 16.3742
2 1.8594 36 16.5469
3 2.7232 37 16.7113
4 3.5460 38 16.8679
5 4.3295 39 17.0170
6 5.0757 40 17.1591
7 5.7864 41 17.2944
8 6.4632 42 17.4232
9 7.1078 43 17.5459
10 7.7217 44 17.6628
11 8.3064 45 17.7741
12 8.8633 46 17.8801
13 9.3936 47 17.9810
14 9.8986 48 18.0772
15 10.3797 49 18.1687
16 10.8378 50 18.2559
17 11.2741 51 18.3390
18 11.6896 52 18.4181
19 12.0853 53 18.4934
20 12.4622 54 18.5651
21 12.8212 55 18.6335
22 13.1630 56 18.6985
23 13.4886 57 18.7605
24 13.7986 58 18.8195
25 14.0939 59 18.8758
26 14.3752 60 18.9293
27 14.6430 61 18.9803
28 14.8981 62 19.0288
29 15.1411 63 19.0751
30 15.3725 64 19.1191
31 15.5928 65 19.1611
32 15.8027 66 19.2010
33 16.0025 67 19.2391
34 16.1929

3、本人だけで示談交渉する場合の流れは?

本人だけで相手方と示談交渉をする場合には、おおまか以下のような流れになります。
保険会社とやり取りして進めることになります。

  1. 交通事故が発生
  2. 相手の身元を確認
  3. 警察への通報、実況見分調書の作成
  4. 保険会社への通知(被害者・加害者が保険に加入している場合)
  5. 治療開始
  6. 治療の完了または後遺障害認定によって損害賠償額が確定
  7. 示談交渉の開始
  8. 示談の成立

保険会社とのやり取りで疑問が生じた場合には、弁護士に相談されるのも一つの手段です。
実際に依頼をすればお金はかかってしまうが、相談は無料の事務所も増えています。

なお、弁護士に依頼するメリットとデメリットについては「6、示談交渉は弁護士に依頼した方がいい?弁護士に依頼するメリットとデメリット」を参考にしていただきたい。

4、本人だけで示談交渉する場合に気をつけたいこと

本人だけで示談交渉をする場合には、以下の点に気を付けるようにしましょう。

(1)冷静に対応する

交渉をする本人が被害者の場合には、被害に遭われた張本人ということもあり、相手に対して感情的になってしまうことも少なくありません。

被害者として感情的に交渉することは重要な面があることは否定できないが、過度に感情的になっても、それで保険会社の態度が変わることはあまりありません。
また、保険会社の担当者に対応が困難な人だと判断されてしまい、その結果、保険会社側が弁護士をつけてくることもあり、かえって交渉が難しくなる場合もあります。

(2)必ず根拠を示す

保険会社と交渉する場合、言葉でいくら言っても保険会社は交渉のプロであるので、保険会社の態度を変えることは困難です。

保険会社は、過去の実績や裁判例などを踏まえて、もし最終的に裁判になった場合には自らの主張がどれだけ認められる可能性があるかということを念頭に置いて対応しています。

こちらもきちんと準備して交渉しましょう。
具体的には根拠(証拠)を示しつつ主張することです。

なお、もし裁判になった場合には主張の根拠となる証拠が必要不可欠になります。

(3)場合によっては第三者機関を利用する

被害者自身が保険会社と交渉するとしても、両者間だけでは話が平行線となってしまい交渉が進まないということも少なくありません。

もしそのようになってしまった場合には、第三者を間に入れることで交渉が進展することが期待できます。

例えば、交通事故紛争処理センターなどの第三者機関を利用すれば、弁護士などが両者の間に立って公平な見地から示談のあっせんをしてくれるため、保険会社の提示額からの増額が期待できます。

5、実際に示談書を作成しよう

弁護士などの専門家に依頼しない場合において、話し合いで示談がまとまった場合には、当事者でまとまった内容を示談書にまとめておくことをお勧めします。

なぜならば、後日、示談した内容で揉めないようにするためです。

今回は、示談書の雛形をダウンロードできるようにしたので、ぜひご利用頂きたいです。

示談書の雛形はこちら

また、示談書の作成について、ソニー損保のホームページが詳しく説明しているので、こちらを参考にして頂きたいです。

ソニー損保のホームページはこちら

6、示談交渉は弁護士に依頼した方がいい?弁護士に依頼するメリットとデメリット

示談交渉を弁護士に依頼した場合には、以下のようなメリット・デメリットがある。

(1)メリット

①面倒事から解放される

もしも交通事故被害に遭ってしまった場合には、相手方(またはその保険会社)に対して、損害賠償請求をすることになります。
その請求内容は、物損であったり、怪我の治療費であったり、入通院の慰謝料など、様々です。
もし、怪我により後遺症が残ってしまった場合には、自賠責保険会社に後遺障害等級の認定を申請した上で、後遺症慰謝料を請求しなければなりません。

しかし、治療を受けたり、仕事をしたりする中で、場合によっては今までに見たこともないような書類のやり取りなどをするには、かなりの煩わしさを感じるはずです。
また、相手方や保険会社などが専門家であった場合には、中々こちらの意見を聞き入れてくれないことも多いです。
そのため、本人のみで交通事故を解決するのは、物理的にも、精神的にも、大きな困難を伴うことになります。

これに対して弁護士に依頼すれば、煩わしい手続をほとんど全て代わりに行ってもらえます。
弁護士が入ることによって相手方の態度が変わることも多く、早期の解決も期待できます。
また、示談交渉で解決が困難な場合には訴訟を提起することも可能になります。

②損害賠償額の増額が期待できる

「示談の代理」というだけであれば、完全な被害事故でない限り、任意保険会社が行ってくれます。
しかし、保険会社同士でのやり取りで終わらせるよりも、弁護士が入ることで賠償額の増額が期待できます。

具体的には以下の通りだ。

交通事故によって発生する賠償のうち、慰謝料には、①自賠責基準、②任意保険基準、③裁判基準の3つがあります。
①自賠責基準とは、法律上の強制保険である自賠責保険の支払基準であり、②任意保険基準とは、各損害保険会社が保険金支払いのために用いる内部基準であり、③裁判基準とは、これまでの交通事故裁判例の蓄積によって作成された基準です。
この3つの基準における賠償額は、①から③の順に高くなると言われています。

そして、保険会社同士のやり取りとなった場合には、自賠責基準または任意保険基準で解決されてしまうことが多いです。

他方、弁護士が介入すれば、保険会社はおおよそ、裁判基準に合わせた慰謝料額を提示することになります。
そのため、交通事故は、弁護士が介入することによって賠償額の増額が期待できるのです。

(2)デメリット

①時間がかかる

弁護士などの専門家に依頼しない場合には、ご自身で損害額を正確に計算し、法的な主張を組み立てて保険会社と交渉していくことが求められます。
法律に詳しくない者が一から示談交渉に向けて準備をすることになると、どうしてもそれなりの時間がかかることになります。

②弁護士費用

弁護士に依頼する場合の最大のデメリットは、弁護士費用がかかることです。

・任意保険に弁護士特約がある場合

多くの任意保険には、「弁護士特約」が付帯されています。
これは、交通事故被害に遭った場合の弁護士費用を一定額(多くは1回300万円)まで補償してくれる、というものです。
そのため、弁護士特約がある場合には、基本的には費用負担を心配せずに弁護士に依頼できるので、弁護士に依頼するデメリットはないと言えます。

なお、保険会社から弁護士を紹介してくれる場合もあるため、特約がある場合には、相談してみると良いでしょう。

・弁護士特約がない場合

弁護士特約がない場合には、自費で弁護士を依頼しなければなりません。

弁護士費用は弁護士事務所によって異なるが、現在は公には用いられなくなった弁護士会の旧報酬規程が、一応の参考になります(現在でも基準として利用する事務所が多いため)。

経済的利益 着手金 報酬金
300万円以下の部分 8% 16%
300万円~3000万円の部分 5% 10%
3000万円~3億円の部分 3% 6%
3億円を超える部分 2% 4%

ただし、現在では弁護士の料金体系は自由化されているため、弁護士によって、上記報酬規程より安いこともあれば、高いこともあります。
もっとも、最近では、着手金無料で完全成功報酬型としている事務所もあります。
具体的には以下のような報酬体系が相場と言えるでしょう。

  • 着手金 0円
  • 報酬金 経済的利益の10%+20万円

このような基準を設けている弁護士事務所では、依頼者が自らお金を用意して弁護士に支払うことは基本的にありません。
そのため、依頼しやすい報酬の体系と言ってよいでしょう。

いずれにせよ、まずは見積もりも含めて一度弁護士に相談するとよいでしょう。
前述の通り、最近では相談料無料の弁護士も多いので、気軽に相談できると思います。

まとめ

今回は、交通事故の示談をする際に気をつけたいことについてご説明いたしました。
いかがだったでしょうか。
今回の話が交通事故の示談交渉を弁護士依頼すべきか悩まれている方の参考になれば幸いです。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket

Twitter・RSSでもご購読できます。