刑事事件で作成される供述調書とは?作成方法や注意点を解説!

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供述調書ってよく聞くけど何のことだろう・・・

この記事をお読みの方の中にはそのようにお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

犯罪事件の容疑者(被疑者)ではないかと疑われて、警察に逮捕されてしまったら、その後は警察で取り調べを受けることになります。このとき、担当の警察官や検察官(検察庁で取り調べを受ける場合)によって供述調書が作成されますが、供述調書とはいったいどのような書類なのでしょうか?誰が何のために作成するもので、どのような場面で利用されるのかについて知っておく必要があります。また、供述調書を作成する場合には、被疑者に署名と拇印が求められますが、これらの署名拇印をする前に確かめておかなければならない注意点があります。

そこで今回は、供述調書とは何かということと作成に際しての注意点について解説します。

1.供述調書とは

犯罪の容疑者(被疑者)となって警察に逮捕された場合には、警察官や検察官などの捜査官から取り調べを受けます。この取り調べの手続きにおいて、供述調書という書類が作成されることがあります。供述調書とは、いったいどのような書類なのでしょうか?

供述調書とは、被疑者が警察官や検察官などの捜査官に話した内容を捜査官がまとめた書類です。

取り調べを行う場合には、その内容をすべて録音しているわけではありません。よって、被疑者が捜査官に話した内容は何らかの記録に残しておく必要があります。

そこで、捜査官が供述調書という書類にまとめて、被疑者の供述を証拠化しておくのです。このように供述調書は、被疑者の取り調べ時の供述の記録です。

2.後に刑事裁判の証拠になる

取り調べにおいて供述調書が作成された場合、その供述調書はどのような目的で利用されるのでしょうか?

供述調書は、被疑者が話した内容が記載されています。そして、その内容は大部分が事件に関するものとなっています。被疑者が事件に関与しているのかどうか、関与しているとすればどの程度、どのような態様で関与しているのかなどが、供述調書には書かれているのです。

よって、被疑者の供述調書は、その事件における重要な証拠になります。そこで、供述調書は刑事裁判における証拠として採用されます。

供述調書のすべてが刑事裁判で証拠にできるわけではありませんが、特に信用性が高いと考えられている検察官の取り調べにもとづく供述調書については、多くが裁判所によって証拠採用されて、裁判の証拠になってしまいます。

もし、供述調書に被疑者にとって不利益な内容が書かれていると、裁判官はその不利益な事実を信じてしまうことがあります。そうなると、裁判の結果も被疑者(被告人)の不利益なものになってしまいます。

その典型例が虚偽の自白です。

虚偽の自白とは、実際にはやっていない犯罪について、やったと自白してしまうことです。

虚偽の自白をして供述調書が作成されてしまったら、その供述調書が裁判所に提出される可能性が非常に高いです。そして、この場合には裁判所が有罪判決を出す可能性が非常に高まります。

もちろん、刑事裁判が始まってから「やっぱりやっていない」と主張することも可能ですが、そうだとすると、なぜ捜査段階では自白をしたのかということが問題になり、合理的な説明ができない限りは自白調書を信用されて有罪判決が出てしまうのです。

よって、供述調書を作成する場合には、絶対に虚偽の内容のものを作成されないように注意する必要があります。

3.供述調書作成の方法

裁判の行方を左右する可能性がある重要な供述調書ですが、これは誰がどのような方法で作成するのでしょうか?以下で具体的に見てみましょう。

(1)誰が作成するのか

供述調書が作成されるのは、警察官や検察官による取り調べ時です。そして、供述調書を作成するのは、警察官や検察官自身です。取り調べを受けた被疑者ではありません。

取り調べが終了すると、警察官などの捜査官はその際の被疑者の話の内容をまとめます。このとき、パソコンなどで文書作成することが多いですが、たまに手書きの捜査官もいます。

(2)読み聞かせが行われる

捜査官が供述調書を作成しても、被疑者の言った内容が正確にまとめられていないことがあります。間違った内容のまま供述調書が作成されてしまったら、被疑者にとって大きな不利益になってしまいます。

そこで、そのようなことのないよう、捜査官は供述調書を作成したら、完成した供述調書の内容を被疑者に対して読み聞かせてきます。

被疑者はその内容を聞いて、間違っていたら訂正を求めることができます。

(3)被疑者が署名押印(拇印)をしないと完成しない

捜査官によって供述調書が作成されたとしても、それだけで供述調書が完成するわけではありません。供述調書には、被疑者も署名押印する必要があるからです。被疑者が印鑑を持ち合わせていない場合には、拇印をします。一般的に供述調書には被疑者は拇印を押すことがほとんどです。

供述調書が作成されたら、捜査官が日付を入れて署名押印しますが、被疑者としても「この内容に間違いはありません。」と書かれた後に署名拇印する必要があるのです。これがないと、単なる捜査官の創作である可能性があるので、その供述調書は証拠として利用出来ず、無意味なものになります。

よって、供述調書が完成するためには、必ず被疑者本人の署名拇印が必要になります。

もし捜査官の作成した供述調書の内容が間違っていて納得ができない場合には、被疑者は署名と拇印を拒絶し続ければ、その供述調書が完成することはありません。

よって、自分に不利な内容が書かれていて納得ができない場合には、絶対に署名押印(拇印)してはいけません。

4.供述調書作成の際の注意点

供述調書を作成する際の注意点はどのようなものがあるのでしょうか?以下で解説します。

(1)虚偽の自白をしない

供述調書は、後の刑事裁判の重要な証拠になります。よって、取り調べ時に虚偽の自白をしてその内容が供述調書にまとめられてしまうと、その調書をもとに有罪判決が出てしまうおそれが非常に高まります。

よって、供述調書を作成する場合には、虚偽の自白をしてはいけません。もし取り調べにおいて虚偽の自白をしてしまったとしても、そのような内容が記載されている供述調書には絶対に署名押印(拇印)しないことが重要です。

(2)言いたくないことは言わない(黙秘権)

供述調書を作成するために取り調べが行われる場合、自分では罪を認める気がなくても、捜査官からうまく誘導されてしまうことがあります。被疑者が「違う。~だ。」などと説明しても、捜査官が「それは実際にはこういうことではないか。」「~だということは、実際にはわかっていたということではないか」などと巧みに言いくるめられて、被疑者としても「言われてみたらそうかもしれない」などと思い始めることがあります。

このとき、捜査官に言われるがままに「そうだと思います」などと言ってしまうと、その内容で供述調書が作成されてしまいます。しかし、後から考えてみると、やはり間違っていたということも多いです。

1度供述調書が作成されてしまったら、後に撤回することが困難です。

そこで、取調官の不当な誘導を受けてしまいそうな場合には、黙秘権を行使することも有効です。

黙秘権とは、答えたくないことは答えなくても良い権利のことです。黙秘権を行使したからと言って、そのことが不利益に評価されることもありません。

捜査官の誘導に乗って不利益な供述をしてしまうくらいなら、はじめからずっと黙っている方が良いのです。取り調べ中ずっと被疑者が黙秘していた場合には、供述調書を作成することはできません。

勾留期間中に一切話をしなければ、供述調書は一通も作成されないことになります。このことを完全黙秘と言います。

完全黙秘をした場合には、検察官側は供述調書以外の証拠をもって、すべての犯罪事実を立証しなければなりません。また、被疑者の供述については、刑事裁判になった後で裁判官に話した内容がすべてになります。

勾留期間中完全黙秘を続けることは、普通の精神力では難しい点もありますが、必要に応じて弁護人と相談してみると良いでしょう。

(3)納得できないなら署名拇印を押さない

供述調書を作成する場合、大変重要な注意点があります。それは、供述調書の内容に納得できないなら、絶対に署名拇印をしないということです。

先にも少し触れましたが、取り調べ終了時に捜査官が供述調書を作成しても、それに被疑者本人が署名押印(拇印)しないと供述調書は完成しません。被疑者の署名押印がない供述調書は、何の意味も無いので破棄されるだけの書類です。

逆に、被疑者が署名押印してしまうと、その供述調書は重要な刑事裁判の証拠になってしまいます。

よって、被疑者の立場としては、自分にとって不利益な内容が記載されている供述調書には絶対に署名拇印しないことが重要になるのです。

内容が明らかに間違っている場合ではなくても、何となくニュアンスが異なると感じる場合などにも、署名押印することは危険です。

被疑者としては「ニュアンスが異なる」という程度にしか感じなくても、裁判官などの法律の専門家が見ると、有罪か無罪かの分水嶺になることがあるからです。

また、細かい事実の間違いであっても、必ず指摘すべきです。間違いがある限り、署名拇印してはいけません。

たとえ小さな事実の違いでも、それが後に大きな影響を持ってくることもあるからです。

このように、供述調書を作成する際には、納得できない点が少しでもあったり、間違っている点があれば、絶対に署名押印(拇印)しない姿勢で臨みましょう。

(4)訂正を求めることも可能

供述調書を作成して読み聞かせが行われた場合、間違いに気づくことがあります。また、細かいニュアンスの違いがあったり、表現を変えてほしい場合などもあります。このような場合には、捜査官に言って供述調書の訂正を求めることができます。

たとえば「~という表現に変えてほしい」と言ったり、「~とは言っていない。そこは削除してほしい」などと言えば、通常は捜査官はこれに応じてくれます。もし訂正に応じてくれない場合には、署名拇印をしないことです。

もし捜査官からの読み聞かせが行われた場合に、1度ではその内容が把握しきれないときには、供述調書そのものを見せてもらったり、何度でも読み聞かせてもらいましょう。供述調書は、後に刑事裁判になったときに重要な証拠になるものなので、被疑者側としても内容に妥協すべきではないのです。

(5)弁護士にアドバイスを求める

捜査官によって供述調書が作成された場合、細かいニュアンスの違いや細かい事実の違いがあって訂正を求めても、捜査官がこれに応じなかったりしぶったりすることがあります。「これでいいではないか」「署名しないと取り調べを終われない」などと言ってくることもあります。すると、捜査官との間で「署名押印しろ」「いやです」の押し問答になってしまうこともあります。このような場合には、いったん時間をおいて、1度弁護士にアドバイスを求めてみましょう。弁護士としても問題がないということであれば、署名拇印しても問題にはなりにくいでしょうし、もし「それは重要なことだから妥協してはいけない」とアドバイスされたら、捜査官になんと言われようとも供述調書に署名拇印しないことです。

(6)最大20日間我慢すれば取り調べは終わる

捜査官から供述調書に署名押印するように迫られてもそれに納得ができず捜査官と険悪になってしまった場合や、黙秘権を行使して一切の供述を拒否した場合などには、連日の取り調べがかなり苦痛になってしまうことが多いです。

この場合、捜査官からは「署名押印しないと一生終わらないぞ」とか「しゃべらないと一生取り調べが続くぞ」などと脅されるケースがあります。

しかし、取り調べが一生続くことはありません。刑事事件での身柄拘束期間は逮捕時の72時間とその後の勾留10日間、さらに勾留を10日間延長したとしても合計で23日間にしかなりません(3日間+10日間+10日間)。よって、この23日を何とかがんばって耐えたら、取り調べからは解放されます。よって、供述調書に署名押印するのを拒んで苦しい思いをするのも23日間だけのことです。もし捜査官から意に沿わない供述調書への署名押印を求められて苦しい状況におかれた場合にも、23日間だけの我慢だと思って何とか拒絶し続けて乗り切りましょう。

供述調書に関するまとめ

今回は、供述調書について解説しました。供述調書とは、警察官や検察官によって取り調べが行われた際に、被疑者の供述内容を記録しておくための書類です。供述調書が作成されると、後の刑事裁判の際に証拠として利用されます。よって、意に沿わない不利益な内容が記載された供述調書は作成してはいけません。

供述調書は捜査官が作成しますが、被疑者が署名押印(拇印)しないと完成しません。よって、意に沿わない内容が記載されている場合には、絶対に署名押印しないことが重要です。

供述調書の内容が間違っていたり、ニュアンスが異なっている場合などには、捜査官に対して訂正を求めることもできます。対応方法に迷った場合には、弁護士に相談してみましょう。

今回の記事を参考にして、後に不利益を被ることのないよう、供述調書作成の際には適切に対処しましょう。

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