離婚時財産分与で多額の支払いを受ける方法!注意点や請求手続きも解説!

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離婚をする際には、夫婦が共同で積み立てた夫婦共有財産について、財産分与を請求することができます。

財産分与請求をするなら、なるべく多くの支払いを受けたいところですが、そのためにはどのようなことに注意すれば良いのでしょうか?

夫婦共有財産とは言っても、具体的にどの財産がそれにあたるのかがわからないことが多いので、まずは財産分与の対象を明らかにする必要があります。

財産分与をする際に注意すべき点や、財産分与の手続き方法も抑えておきましょう。

そこで今回は、離婚時財産分与のことと、財産分与でなるべく多額の支払いを受ける方法や注意点についてご説明します。

1.離婚時には財産分与請求ができる!

夫婦が離婚する際には、相手に対して財産分与請求できるケースが多いです。

財産分与とは、夫婦が婚姻中に共同で積み立てた財産を分配する手続きのことです。

結婚中は、夫婦が家計を同一にして双方の財産を同じ場所で管理し、共有状態になっていますが、夫婦が離婚するなら、家計は別になりますし、財産管理方法も別々になるので、離婚の際には財産を分けなければなりません。

その分配手続きが財産分与です。

財産分与ができるのは、夫婦共有財産がある場合です。

長年連れ添っていても、共有財産がまったくない場合には財産分与請求はできません。

また、慰謝料などが発生する事案でも財産分与はできます。

慰謝料と財産分与は別個の項目なので、多額の慰謝料を受け取るからと言って、財産分与が受け取れなくなったり減額されたりすることは基本的にありません。(次の項目で説明する慰謝料的財産分与のケースをのぞきます)

2.財産分与には3種類ある

離婚時の財産分与は、夫婦の共有財産を分配することを意味することが普通ですが、細かく分けると以下の3種類があります。

(1)清算的財産分与

清算的財産分与とは、離婚する際に、夫婦が婚姻期間中共同で積み立てた財産を清算するための財産分与です。

いわゆる「財産分与」という場合には、この清算的財産分与のことを表すことが多いです。

(2)扶養的財産分与

財産分与には、扶養的財産分与があります。

扶養的財産分与とは、夫婦の一方が離婚後に生活不安を抱えている場合、他方がその生活を援助するために行う財産分与のことです。

たとえば、事情があって働けない専業主婦が離婚する場合などに、夫が離婚後しばらくの間生活費の援助をしたりします。

この場合、婚姻費用に準じた金額にしたり、夫が支払える範囲内で、夫婦で話し合って金額を決めたりします。

支払方法は、月ごとの支払になることが多いですが、離婚時に一括払いすることもあります。

(3)慰謝料的財産分与

離婚時財産分与の種類として、慰謝料的財産分与もあります。

慰謝料的財産分与とは、夫婦のどちらかに不貞などの離婚原因がある場合、他方がその有責配偶者に対して慰謝料を請求する意味合いを持つ財産分与のことです。

慰謝料と財産分与を合算して支払うようなイメージです。

慰謝料的財産分与を受ける場合には、別途慰謝料を請求することはできませんし、すでに慰謝料を受け取っている場合には、別途慰謝料的財産分与を請求することができなくなります。

以上のように、財産分与は厳密に言うと3種類がありますが、一般的に「財産分与」という場合にはほとんどのケースで(1)の清算的財産分与を意味します。

以下でも、それを前提に説明を続けます。

3.財産分与の対象財産

財産分与請求をする際には、まずはどのような財産が対象になるのかを明らかにする必要があります。

そこで、以下では財産分与の対象財産を見てみましょう。

(1)夫婦が結婚後に積み立てたお金

財産分与の対象になるのは、基本的に夫婦が結婚後に共同で積み立てた財産です。

共同で積み立てたものであれば、名義や財産の種類は問いません。

たとえば、夫婦のどちらかの名義の預貯金、生命保険、不動産、株券などの有価証券、投資信託、貴金属などが対象になります。

子どものための学資保険や子ども名義の預貯金であっても、お金(資金)の出所が夫婦の収入である場合には財産分与の対象になります。

夫婦の一方の退職時期が迫っていて退職金の給付が現実的になっているケースでは、退職金も財産分与の対象に含めることができます。

年金についても婚姻期間中に支払った保険料に該当する分は分割ができますが、財産分与としてではなく、離婚時年金分割制度という別の制度を使うことになります。

(2)独身時代の貯蓄は対象外

離婚時財産分与において対象になる財産は、夫婦が「婚姻中に」積み立てた財産のみです。

よって、夫婦のどちらかが独身時代に築いた財産は、対象から外されます。

たとえば、夫婦のどちらかが独身時代に貯めた預貯金や独身時代に購入したマンション、株券などがあっても、それらは財産分与の対象にすることができません。

独身時代から加入していた生命保険がある場合には、独身時代にかけた保険料に該当する分の解約返戻金額は財産分与対象から外されます。

反対に、結婚後にかけた保険料に該当する解約返戻金額を財産分与対象として計算します。

(3)遺産や贈与金は対象外

離婚時財産分与の対象になるのは、夫婦が「共同で」積み立てた財産のみです。

よって、夫婦の一方が特殊な事情で相手と無関係な事情で得た財産については、財産分与対象から外されます。

典型的なのが、親からの遺産です。これについては、受け取った本人の特有財産となるので、財産分与の対象にはなりません。

同様に親から生前贈与受けたお金や不動産などについても離婚時財産分与の対象にはならないので、注意が必要です。

相手の実家が資産家の場合などには、相手本人は多額の資産を持っていることがありますが、それが相手の実家から出たものであれば、夫婦共有財産としてはほとんど存在しないので、財産分与ができないケースもあります。

(4)借金は財産分与の対象外

離婚する夫婦に借金があるケースがあります。

たとえば消費者金融やクレジットカードなどのキャッシング利用分などもあります。

このような借金については、基本的に財産分与の対象にはなりません。

夫や妻に借金壁があって多額の借金があっても離婚によってその半分を自分が背負わされるなどのおそれはないので、安心しましょう。

(5)住宅ローンの考え方

夫婦が離婚する場合に良く問題になるのが、住宅ローンのある不動産の取り扱い方法です。

不動産については、基本的に時価での評価を行いますが、このとき、住宅ローンがあるとその残ローンの金額は住宅の価値から差し引くことによって住宅の価値を計算します。

たとえば、時価3000万円の家があり、残ローンが2000万円の場合には、その住宅の評価は(3000万円-2000万円=)1000万円となります。

残ローンの金額が住宅の時価を上回る場合(いわゆるオーバーローン状態)の場合には、その住宅の価値は0円と評価します。

この場合も、マイナスの財産分与は行いません。

たとえば、住宅の価値が3000万円で残ローンが4000万円なら、その家は価値がないと評価します。

この場合、住宅の処理方法としては、夫婦のどちらか(通常は住宅ローンを負担している方)が住み続けたり、人に賃貸したりする方法があります。

夫婦の双方とも家が不要な場合には、住宅を任意売却して、残ローンを他の財産から支払うなどの清算方法をとります。

他の財産から残ローンを払いきれない場合には、原則的に金融機関に対しては住宅ローンを負担していた方が残ローンを支払いますが、夫婦の話し合いによって、他方の当事者に半額の負担をさせるなどの方法もとることができます。

4.財産分与の割合

離婚時財産分与を行う場合、財産分与の割合も問題になります。

財産分与割合とは、夫婦のどちらがどれだけの割合で財産を受け取れるかということです。

以下では、それをどのようにして決定するのかを説明します。

(1)当事者で話し合う場合には自由に設定出来る

財産分与の割合については、夫婦が財産分与の話し合いをする際に自由に設定することができます。

財産分与について、法律上で「夫婦が何対何の割合にしなければならない」という基準や決まりはありません。

たとえば、夫と妻がわかりやすく半分ずつにしても良いですし、6:4や8:2などにすることも可能です。

場合によっては妻に全額分与してしまってもかまいません。

財産分与割合から先に決定する方法ではなく、たとえば「自宅は夫、それ以外の預貯金や株券などは妻、生命保険は各自の加入分をそのまま維持する」などと、財産の方から特定して分けていく方法もあります。

財産から特定して分けると、面倒な計算が不要になるので簡単に済むので、厳密に財産分与割合にこだわらないケースでは、よく採用されています。

(2)調停や裁判で決める場合の決め方

財産分与の割合や方法について自分たちで決めることができず、家庭裁判所での調停や裁判に持ちこまれるケースがあります。

このように、夫婦で財産分与割合について折り合いがつかず、家庭裁判所で判断される場合には、財産分与の割合は夫婦が1:1になります。

この問題について、過去には専業主婦の場合などには、財産分与割合を少なくする運用がなされていたことがあります。たとえば、夫:妻=6:4や7:3などとするのです。

しかし、実際には専業主婦とは言っても家事労働をしていますし、夫が外で働いて収入を得られるのは、妻が家を守ってくれているからです。

そのような意味で、妻にも夫婦の収入や共同財産の形成に対して貢献が認められます。

そこで、現在ではどのような場合でも、財産分与割合は一律で1:1となります。

専業主婦の場合でもパートなどの兼業主婦の場合でも同じですし、夫婦の収入に差がある共働きの夫婦でも、収入の低い方の財産分与割合が減らされることはありません。

男女による差もなく、たとえば夫が専業主夫をしていたケースであっても、やはり財産分与割合は1:1になります。

5.財産分与の基準時

財産分与を決定する場合、財産分与の基準時も重要です。

財産分与の基準時とは、いつの時点の財産を基準にして財産分与をするかという問題です。

たとえば、ある一定の時期には多額の財産があったけれども、その後一方当事者が離婚を見越してすべて使い込んでしまって残っていないというケースで、「残っていないから財産分与は請求できない」ということになると、相手の使い得を認めてしまうことになり、大変不合理です。

そこで、財産分与の基準時を定め、その後に一方当事者が使い込んだとしても、基準時に存在した分については請求出来るようにしておく必要があります。

財産分与の基準時は、原則的に離婚時ですが、離婚前に別居している場合には別居時になります。

よって、別居後離婚までの間に自分が管理している共有財産を使い込んでしまったとしても、その分は支払をしないといけなくなります。

6.財産分与を有利にすすめる方法

離婚の際に財産分与請求をするなら、なるべく多額の支払いを受けたいものです。

そこで、以下では財産分与を有利に進める方法を解説します。

(1)家計を管理して財産を把握する

財産分与を有利に進めるためには、自分が夫婦の共有財産を管理していることが重要です。

自分で管理をしていたら、どこにどのような財産がどれだけあるかがすぐにわかるので、相手に財産隠しされるおそれがありません。

相手が勝手に財産を使い込んで財産を目減りさせることも避けられます。

日頃から自分が財産の管理をしていることが望ましいですが、もしそれまで管理していなかった場合には、せめて別居前や財産分与の話し合いを始める前に、家の中のどこにどのような財産があるのかを調べて把握しておくべきです。

たとえば夫婦の名義の預貯金口座、生命保険、不動産などの財産内容を調べます。

別居前、自由にアクセスできる状態であるうちに、銀行通帳や保険証書、不動産登記簿、証券会社から届いた書類など財産関係を証明する書類については、すべてコピーをとっておくようにしましょう。

(2)財産隠しをさせない

財産分与を有利に進めるためには、相手に財産隠しをさせないことが重要です。

離婚時には、正直にすべての夫婦共有財産を開示する人ばかりではありません。

なるべく自分の支払を減らすために、財産隠しをするケースが多いです。

財産を隠されてしまってそのことに気づかないまま財産分与を計算して離婚してしまったら、本来得られるはずのお金が得られないことになって損をしてしまいます。

相手の財産隠しを防ぐには、日頃から夫婦の財産内容をしっかりと把握しておくことです。

夫婦の収入の金額とそのお金の振り込み先、支払内容や移動先(貯蓄や生命保険など)をしっかりと理解して抑えておきましょう。

このことによって、夫婦の資産の透明性が保たれて、相手が財産隠しできなくなります。

(3)財産調査方法

離婚時には、どうしても相手が財産隠しをする可能性があります。

そこで、相手の財産を調査する必要があります。

財産を調査する場合には、調査したい財産について特定する必要があります。

たとえば夫婦の銀行口座の銀行名・支店名や生命保険会社名、不動産の位置や証券会社名などの情報があります。

これらを特定できたら、不動産登記簿や固定資産評価証明書を取得して評価額を調査したり、弁護士照会を利用したり、裁判などの場になった際に裁判所から照会してもらうなどの方法で具体的な財産の内容や価値を調べることができます。

もし上記のような情報がなく、何のてがかりもない場合には、たとえ裁判になっても財産調査が困難になるケースが多いので、注意しましょう。

このことからしても、財産分与を有利にすすめるには、別居前に夫婦の財産内容を把握しておくことが何より重要になります。

7.財産分与手続きの進め方

夫婦で財産分与の決定をする際の手続きの進め方を解説します。

(1)話し合いをする

財産分与をする場合には、まずは夫婦で話し合いをします。

通常は離婚の話し合いと同時に、他の離婚条件などと一緒に決めていきます。

このとき、財産分与の割合、対象や評価、分け方などの上記の問題について、個別に話し合って順番に決定していきましょう。

(2)公正証書を作成する

財産分与の話し合いがついたら協議離婚合意書を作成して、できれば離婚公正証書にまとめておくと安心です。

公正証書にしていない、単なる離婚協議書であれば、相手方が支払をしなかった場合にすぐには差し押さえなどの取り立てができないので、あらためて財産分与調停をする必要があります。

これに対して、強制執行認諾条項つきの離婚公正証書を作成しておけば、相手が支払をしない場合にすぐに相手の財産を差し押さえることができます。

このとき、差し押さえができる相手の資産は、相手方名義の財産のすべてです。

相手の親からの遺産など、相手の特有財産でも差し押さえの対象になります。

相手の給料も差し押さえの対象になるので、勤務先がわかっているようなケースでは、とても効果的な取り立て方法になります。

(3)離婚調停、離婚裁判を利用する

離婚時の財産分与について、夫婦で話し合っても折り合いがつかないケースがあります。

この場合には、家庭裁判所で離婚調停(夫婦関係調整調停)を申し立てる必要があります。

離婚調停では、家庭裁判所の調停委員に間に入ってもらいながら、夫婦の離婚条件を決定していきます。

その中で財産分与についても話し合いがすすめられます。

調停が成立したら、裁判所で調停調書が作成されます。

調停調書には公正証書と同様、強制執行力があるので、相手方が不払いになったら、調停調書を使ってすぐに差し押さえができます。

調停でも話し合いができない場合には、調停は不成立となってしまいます。

この場合、財産分与をするには離婚裁判(訴訟)を起こす必要があります。

離婚裁判では、裁判官が当事者双方の主張と証拠にもとづいて、財産分与を含めた離婚条件を決めてしまいます。

訴訟内で有利に財産分与してもらうためには、やはり夫婦の財産内容を明らかにして相手の財産隠しを防ぐことが重要です。

事前にとっておいた財産の証拠となる書類のコピーや自分が所持している原本などを証拠として使いましょう。

離婚裁判では、相手の隠し財産について、銀行口座などを特定して裁判所から調査してもらうことも可能です。

(4)離婚後も財産分与調停が可能

離婚時にはきちんと財産分与の話し合いをしていないケースがあります。

離婚する場合、財産分与の条件を決めなくても届けを出して手続きできるからです。

このような場合には、離婚後に財産分与請求することができます。

方法としては、相手方に対して財産分与を求める内容の連絡をしたり、内容証明郵便を送ったりして話し合いをすすめます。

話し合いでは決定できない場合には、家庭裁判所での財産分与調停を利用して決定してもらいます。

財産分与調停でも、離婚調停と同様調停委員に間に入ってもらって財産分与の話し合いをすすめますが、話し合いがつかない場合には、審判官(裁判官)が審判によって財産分与方法を決定してくれます。

(5)離婚後財産分与の期間の制限に注意

離婚後に財産分与を行う場合、期間の制限があることに注意が必要です。

具体的には、離婚日から2年間の間しか財産分与請求ができません。

2年以内に財産分与調停を起こせば、調停成立や審判日自体は離婚後2年を経過していても大丈夫です。

そこで、財産分与を行いたい場合、離婚時から時間が経っている場合には、まずは財産分与調停を起こして権利を保全することが重要になります。

まとめ

今回は、離婚時財産分与の内容と対象財産、有利に進める方法や手続きの進め方について解説しました。

離婚する場合には、夫婦の共有財産を分配する手続きである財産分与ができます。

財産分与の対象になるのは、夫婦が婚姻中に積み立てたプラスの財産です。

財産分与割合は夫婦で自由に決められますが、裁判所などで決める場合には1:1になります。

財産分与を有利にすすめるには、自分が家計を管理したり家計の内容を把握したりして、どこにどのような財産があるのかを抑えておく必要があります。

財産分与を行う場合には、まずは相手と協議によって話し合い、話し合いができないなら調停、裁判へとステップをすすめていきます。

離婚後も2年間は財産分与請求ができます。

今回の記事を参考にして、上手に多くの財産分与を請求しましょう。

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