年金分割とは?離婚時の年金分割制度の手続きについて一から教えます!

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
shutterstock_3145749

近年、熟年離婚が増えており、平成26年には36,770組が熟年離婚している。この熟年離婚を後押ししているのが平成19年から始まった年金分割制度である。

特に専業主婦であった方の場合には、この年金分割によって年金を獲得することで、離婚後の生活が保障される。しかし、そもそも年金分割制度はどういうものか分からなかったり、具体的にどのように請求するのか知りたいという方もいらっしゃるのではないだろうか。

そこで今回は年金分割の手続きについて一からご説明したい。ご参考になれば幸いだ。

目次

1、年金分割制度とは?

2、年金分割の種類

3、年金分割の手続きの方法

4、年金分割の割合の相場は?

5、年金分割の請求はいつまでできる?年金分割の時効について

1、年金分割制度とは?

年金分割制度とは、平成19年4月以降に離婚した夫婦を対象として、婚姻期間中の一方配偶者が支払った年金保険料の一部を分割し、それを他方配偶者が受け取ることができるようにする制度のことを言う。

なお、詳細については後述するが、年金分割の対象は厚生年金や共済年金に限られ、国民年金部分はその対象とならない。そのため、例えば一方配偶者(多くの場合は夫)が自営業者や自由業、農業従事者等であった場合で、厚生年金や共済年金に全く加入していないような場合には、年金分割を請求することができない。

2、年金分割の種類

年金分割には、以下の2種類がある。詳しくは以下の通りだ。

(1)合意分割

合意分割とは、夫婦間の合意または裁判所の決定による厚生年金や共済年金の分割制度のことを言う。

なお、合意分割は平成19年4月以降に離婚した夫婦が対象である。

①分割の対象

分割の対象は、婚姻期間中に夫婦双方が支払った厚生年金・共済年金保険料の納付記録の合算である。

②分割の割合

分割の割合は、最大で2分の1である。

(2)3号分割

3号分割とは、婚姻中に第3号被保険者だった者が、相手方配偶者の合意なしに年金分割を請求できる制度のことを言う。

なお、3号分割は平成20年4月以降に離婚した夫婦が対象であるが、合意分割制度の場合とは異なり、3号分割制度は事実婚の場合でも利用することができる。

①分割の対象

分割の対象となるのは、平成20年4月以降に相手が支払った厚生年金保険料の納付記録の合算である。

②分割の割合

分割の割合は、必ず2分の1である。

(3)あなたはどちらの年金分割制度を利用すべき?合意分割と3号分割の関係

平成20年4月以降の期間については、合意分割、3号分割いずれも対象になり得る。この場合には、どちらか一方の利用を申請すれば、他方も申請したことになる。

他方、3号分割では、前述のように平成20年4月以降しか分割対象にならないため、それ以前の期間の年金分割が利用できる場合には、合意分割を申請することになる。そして、その場合でも、平成20年4月以降については3号分割扱いとなり、2分の1の分割割合に決定する。

3、年金分割の手続きの方法

この項目では、合意分割と3号分割、それぞれの年金分割の手続きの方法を説明していきたい。

(1)合意分割の場合

合意分割の場合には、以下の手続きを経ることになる。

①まずは、情報通知書を入手!

まずは、「年金分割のための情報通知書」を入手することになる。この情報通知書には年金に関する情報が盛り込まれているので、年金分割をするにあたって必要になる。

この情報通知書を入手する方法は以下の通りである。

1.年金分割のための情報提供請求書を作成

2.年金事務所で書類提出

3.情報通知書が届き、確認

②話し合いで分割割合を決定

まずは話し合いによって分割割合を決めることになる。その際には、最終的に裁判によって分割割合が決定された場合には分割割合が2分の1とされていることを根拠にして、2分の1で話し合いがまとまるようにしたい。

なお、分割割合は、情報通知書に記載されている按分割合の範囲で決定することとなり、最大で2分の1である。

③調停で分割割合を決定

話し合いで分割割合が決まらない場合には、家庭裁判所の調停で分割割合を決定することになる。

当事者が調停の申立てをすると、裁判所が当事者双方を呼び出した上で調停期日が開かれ、分割割合について話し合いを行う。

調停に関して知っておくべき内容は、以下の通りである。

・必要書類

必要書類は以下の通りである。

  • 年金分割の割合を定める調停の申立書
  • 年金分割のための情報提供通知書
  • 夫婦の戸籍謄本

なお、年金分割の割合を定める調停の申立書の雛形と記載例を用意したので、ぜひ利用して頂きたい。

申立書のダウンロードはこちら

http://www.courts.go.jp/vcms_lf/20151001nenkinbunkatumousitatesyo.pdf

記載例のダウンロードはこちら

http://www.courts.go.jp/vcms_lf/20151001nenkinbunkatukisairei-tyoutei.pdf

・費用

申立てにかかる費用は以下の通りである。

・収入印紙 1,200円分

・連絡用の郵便切手 約800円分(ただし、申立て先の家庭裁判所によって異なる)

・申立て先

原則、相手方の住所を管轄する家庭裁判所である

・調停の流れ

調停は以下の流れで行われる。

1.家庭裁判所への調停の申立て

2.調停期日の決定

3.1回目の調停

4.(1回で決まらなければ)2回目以降の調停

5.調停の終了

④審判で分割割合を決定

調停を行っても分割割合が決まらない場合には、家庭裁判所の審判で決定することになる。

当事者が調停を申立てると、裁判官が書面照会等により相手方の意見も聴いた上、分割割合を決定する審判を行うことになる。

審判に関して知っておくべく内容は、以下の通りである。

・必要書類

必要書類は以下の通りである。

  • 年金分割の割合を定める審判の申立書
  • 年金分割のための情報提供通知書
  • 夫婦の戸籍謄本

なお、年金分割の割合を定める審判の申立書の雛形と記載例を用意したので、ぜひ利用して頂きたい。

申立書のダウンロードはこちら

http://www.courts.go.jp/vcms_lf/20151001nenkinbunkatumousitatesyo.pdf

記載例のダウンロードはこちら

http://www.courts.go.jp/vcms_lf/20151001nekinbunkatukisairei-sinpan.pdf

・費用

申立てにかかる費用は以下の通りである。

・収入印紙 1,350円分(確定証明申請手数料としての収入印紙150円分を含む)

・郵便切手 約3,400円

・申立て先

原則、相手方の住所を管轄する家庭裁判所である。

・審判の流れ

審判は以下の流れで行われる。

1.家庭裁判所への審判の申立て

2.審判期日の決定

3.期日における審判

4.決定

⑤裁判で分割割合を決定

審判を行っても分割割合が決定しない場合には、離婚訴訟で分割割合を決定することになる。

(2)3号分割の場合

3号分割の場合には、以下の手続きを経ることになる。

①請求者

第3号被保険者が年金事務所に行って請求することで、当然に2分の1の割合で分割される。

②必要書類

必要書類は以下の通りである。

・年金手帳

・離婚後の戸籍謄本

なお、3号分割の分割割合は当然に2分の1なので、情報通知書は不要である。

4、年金分割の割合の相場は?

(1)合意分割の場合

合意分割の場合には、基本的に当事者の話し合いで分割の割合が決まる。多くの裁判例では2分の1とされることから、話し合いによって分割割合を決める場合も基本的には2分の1が相場と言えるだろう。

(2)3号分割の場合

前述のように、3号分割の場合には、必ず2分の1となる。

5、年金分割の請求はいつまでできる?年金分割の時効について

分割請求は、合意分割・3号分割を問わず、原則として、以下のどれかに該当した日の翌日から起算して2年以内に請求しないともらうことができなくなる。

①離婚をしたとき

②婚姻の取り消しをしたとき

③事実婚関係にある者が国民年金第3号被保険者資格を喪失し、事実婚関係が解消したと認められるとき

なお、事実婚関係にある当事者が婚姻の届出を行い引き続き婚姻関係にあったが、その後上記①または②の状態に該当した場合には、①または②に該当した日の翌日から起算して2年を過ぎると請求できなくなる。

まとめ

今回は離婚時の年金分割について説明してきたがいかがだっただろうか。離婚後の生活保障のためにも、年金分割は非常に重要な制度である。今回の話が、離婚分割を考えている方のご参考になれば幸いだ。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket

Twitter・RSSでもご購読できます。