婚姻費用分担請求調停の申立書の書き方と調停の流れについて

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これを読んで下さっている方の中には、現在離婚に向けた話し合いの最中という方もいらっしゃるのではないでしょうか。

その中には既に相手との同居をやめて、別居生活を送っていて生活費に困っている方もおられると思います。

別居中など関係なく、夫婦はお互いに生活費を支払わなくてなりません。

これを「婚姻費用分担義務」と言います。

そのため、本来ならば別居をしていても婚姻費用を支払ってもらえるはずであるが、そうは言っても話し合いではなかなか婚姻費用を支払ってもらえない場合が多いはずです。

しかし、その場合においても、調停を起こして金銭を得ることが可能です。

今回は、婚姻費用分担請求調停についてご説明いたします。

ご参考になれば幸いです。

※この記事は2017年4月18日に加筆・修正しました。

1.まずはどのくらいの婚姻費用を請求できるか知っておく


婚姻費用の相場に関して、ご説明いたします。

(1)婚姻費用の金額は決まってる?

そもそも婚姻費用の金額は決まっているのだろうか?
実は婚姻費用は、夫婦の話し合いで自由に決めることができ決まっているわけではありません。

(2)婚姻費用の決定にあたっては婚姻費用算定表が利用されます

とはいえ、全く何の目安もないと夫婦も決められないと思いますので、実際には裁判所が用意した婚姻費用算定表というものを用いて婚姻費用の計算を行い決めることが多いです。

2.婚姻費用分担請求調停の申立てに必要な書類を揃える

(1)申立てに必要な書類

まず、婚姻費用分担請求調停の申立てに必要な書類は以下の通りです。

  • 婚姻費用分担請求調停の申立書
  • 夫婦の戸籍謄本
  • 申立人の収入関係の資料(源泉徴収票、確定申告書、給与明細等)
  • 相手方の収入関係の書類(もし持っていれば)

(2)申立てにかかる費用

本人自ら婚姻費用分担請求調停をする場合、申立てにかかる費用は以下の通りです。
総額2,000円程度で申立てすることができます。

①収入印紙代 1,200円

家庭裁判所に提出をする時に必須です。
郵便局やコンビニで収入印紙を購入することが可能です。

②切手代(家庭裁判所により異なる) 800円前後

相手方に書類を郵送する必要があるため切手代を家庭裁判所に提出することになります。

3.婚姻費用分担請求調停の申立書の書き方は?


申立書の書き方をご紹介いたします。

(1)まずは雛形をダウンロード!

まずは、申立書の作成に必要な雛形を用意して頂きたいです。
雛形は裁判所のホームページからダウンロードできるようになっています。

(2)記載例を参考にする

記載例も裁判所のホームページからダウンロードできるようになっています。

(3)作成の流れ

記載例を参考に、以下の通り順を追って具体的に申立書を作成してみましょう。

①申立先家庭裁判所と申立日の欄

申立先の家庭裁判所名と申立日を記載する。

②申立人の記名押印の欄

あなたの名前を記載し、押印する。

③申立人の氏名・住所の欄

裁判所の方から期日の指定書などが書面で届くことがあるので、住所を記入します。

④相手方の氏名・住所の欄

相手方に対して申立書のコピーなどが裁判所から送られるので、相手方の住所も記入します。

⑤未成年の子の欄

自身と相手方のどちらと現在同居しているのかを確認した上で名前と生年月日を全員分記載します。

⑥申立ての趣旨の欄

婚姻費用の請求額を記入します。
順に「申立人→相手方→調停」で確認をして、その上で1~3のうち1に毎月請求する金銭を記入します。

⑦申立ての理由の欄

なぜ婚姻費用を要求することになったのかについて事実関係を記入します。
最初に、同居を始めた日を記入します。

記憶が確かではない場合は、大体の日付でも大丈夫です。

そして、その隣に別居した日を書きます。
明確な日付が分からなければ分かる範囲で記載します。

次に、夫婦の間で事前に婚姻費用について決めていた場合は把握している範囲で良いので記入する。

4.婚姻費用分担請求調停の申立てからの流れは?


下記を順に見ていきましょう。

(1)申立てから1回目の調停まで

申立ての際、第1回の調停期日の日が記載してある呼出状が自身と相手方の住居に送られます。
呼出状が届くのは申立てから2週間程経過した頃です。

第1回の調停の期日は申立てから1ヶ月後あたりです。

(2)1回目の婚姻費用分担請求調停

1回目の調停では、源泉徴収票や直近3ヶ月分程度の給与明細を持参する必要があります。

提出を求められている時は絶対に持っていきましょう。
家庭裁判所に到着したら、調停は以下の流れで進むことになります。

①まずは待合室で待機

家庭裁判所に到着すると待合室で待機することになります。
なお、待機の際には、待合室で夫婦がばったり会わないように配慮されています。

②調停室へ呼び出し

待合室で待っていると、いよいよ調停室に呼び出されるが、基本的には申立人が先に呼び出されることになります。

調停室には、男女1名ずつの調停委員と場合によっては裁判官や書記官がいます。
そしてまずは、調停の進め方などについて説明があります。

その後はいよいよ本題である婚姻費用請求調停を申立てた経緯について聞かれることになります。
聞かれたことに対してはしっかりと事実を伝えましょう。

聞かれる時間は約30分で、質問が終わったら待合室に戻ります。

③次に相手方の番です

同じく約30分かかります。

相手方の場合、調停委員は聞く方に専念する場合が多いです。
さらに、最初に行った申立人の言い分も伝えられます。

調停委員は相手方の意見を聞くことが多く、その際に、申立人の主張も伝えられます。
相手方も終わり次第、待合室へ戻されます。

④再度調停室へ

両方への質問等が終わると、再度調停室へ呼ばれます。
この時、相手方の主張を聞かされた上で婚姻費用算定表を見せられて、適正な金額を提示されます。

その場合は、算定表に沿って合意の案を提示してもらえます。
これに要する時間は約30分程です。

⑤今度は相手方が再び調停室へ

再度相手方が調停室へ呼ばれます。
そこで、相手方も算定表に沿って合意の案を提示してもらえます。

⑥第1回の調停終了

両者提示金額に合意すれば調停は終了です。
しかし、両者合意が得られない場合は第2回目の調停が行われます。

(3)第2回目の調停以降の流れ

2回目の調停方法は1回目と同じです。

(4)調停が成立した場合

お互い合意した場合、調停案が作成されます。
内容を確認後、2週間以内に調停調書が届きます。

調停調書は、将来相手方が婚姻費用の支払いをしないという状況になっても、強制執行(貯金や給料を押さえる)が可能なので、婚姻費用の支払いをしてもらうことが可能です。

(5)調停が不成立の場合

不成立になると自動的に裁判に移行します。
裁判所が調停時に提出された資料などを含め総合的な判断をして婚姻費用を決めます。

まとめ

今回は、婚姻費用分担請求調停の申立書の書き方及び流れについてご説明致しました。
今回の話が皆さんのお力になれれば幸いです。

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