離婚することが決まったら!離婚協議書の書き方と公正証書にする方法

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夫婦の話し合いで離婚することが決まった場合「離婚協議書」というものを必ず作成することをおすすめします。

なぜならば、例えばもし夫婦の協議で慰謝料の支払いを決めているのにもかかわらず、相手方から慰謝料が支払われない・滞るようなことが起こった場合、離婚時に作成した契約書「離婚協議書」があれば相手方から未払いの慰謝料を回収するために必要な手続きが簡単にできます。

こうした事後の問題を未然に防ぐために、しっかりと当事者で決めたことを明らかにするべく離婚協議書を作成すべきです。

とは言っても、今回初めて「離婚協議書」という言葉を聞いた人も多いと思います。

そこで、今回は離婚協議書の作成方法及びそれを公正証書にする方法についてご説明したいと思います。

そして、今回は離婚協議書の雛形及び作成例も記載してあるので、ぜひ参考にしてください。

※この記事は2017年4月11日に加筆・修正しました。

1.まずは離婚に向けた話し合い


離婚の際の夫婦が話し合うべき内容は以下の8つがメインになります。
なお、2〜4の内容は、子供がいる夫婦限定の内容です。

  1. 離婚の合意
  2. 親権者(監護権者)の指定
  3. 面会交流
  4. 養育費
  5. 慰謝料
  6. 財産分与
  7. 年金分割
  8. 話し合った内容について公正証書を作成するか否か

2.離婚協議書を作成!作り方は?

(1)離婚協議書の雛形ダウンロード

では、肝心の「離婚協議書」というものはどういうものなのでしょうか。
おそらく、皆さんの多くがあまり目にしたことがないと思います。

そんな目にしたことがないようなものを一から作成するのはあまりにも大変です。

そこで、今回は離婚協議書の雛形を皆さんのお手元に届けられるようにご用意したので、ぜひダウンロードをして、一度手に取っていただけると幸いです。

①第1条(離婚の合意)

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「離婚協議書」では、夫を「甲」、妻を「乙」とし、夫と妻の氏名と生年月日を記し、協議離婚の合意があったことを記します。

②第2条(親権者の定め)

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未成年の子どもの氏名と生年月日を記し、親権者を明記する。第一子を「丙」、第二子を「丁」とする。

③第3条(教育費等)

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養育費の支払い期間と金額、支払い方法について明記する。

④第4条(慰謝料)

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慰謝料として夫から妻に〇〇〇万円支払うことを記します。

⑤第5条(慰謝料の支払方法)

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慰謝料の支払方法を記します。

⑥第6条(清算条項)

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本協議書に書いてある内容以外の金銭・権利等の請求をお互いにしないことを記します。

(2)雛形を利用するポイント

雛形をダウンロードしたら、次は具体的に雛形を利用するポイントについてご説明していきます。
基本的に何を記載するべきかは添付の雛形内に記載してあります。

必要のない項目は適宜削除してください。
例えば、子どものいない夫婦には雛形内の第2条〜第4条は不要なので削除して詰めることになります。

3.離婚協議書の記載事例


離婚協議書のダウンロードはお済みでしょうか。

次に実際に離婚協議書を作成してみたいと思います。
離婚協議書は各条文がパーツとして成り立っています。

以下の例として、

  • 親権者
  • 面会交流
  • 慰謝料

に関する例文を記載したのでご参考にしてください。

なお、以下において、甲は妻、乙は夫、丙は子を意味しています。

(親権者)

第2条(親権者・監護者の定め)
甲乙間の未成年の子丙の親権者及び監護者を甲と定める。

(面会交流)

第3条(面会交流)
乙は毎月1回3時間丙と面会交流する権利を有するものとする。
具体的な毎回の日時、場所、方法等は、丙の福祉を尊重して事前に甲乙間で協議の上決定する。

(慰謝料)

第5条(慰謝料)

  1. 乙は、甲に対し、慰謝料として金300万円の支払義務があることを認める。
  2. 乙は、甲に対し、第4条の金員を、平成27年1月31日限り、○○銀行○○支店普通預金口座○○○○○○○に振り込む方法により支払います。なお、振り込み手数料は乙の負担とする。

4.離婚協議書を公正証書にする方法は?


最後に、作成した離婚協議書を公正証書にする方法についてご説明していきます。

(1)公正証書作成の手続きの流れ

離婚協議書を公正証書にすることが決まったら、法律の専門家である公証人に公正証書を作成してもらうことになります。

そこで、ここでは、離婚協議書を公正証書にするまでの手続きの流れについてご説明いたします。

①公証役場に行く前

まずは、事前の準備として、作成した離婚協議書と下記の(2)で記載している必要書類の用意が必要です。

②公証人との面談

次に、実際に公証人と面談をします。
面談の際には、夫婦の双方ではなく、一方のみが面談しても問題ありません。

また、①で用意したものを必ず持参してください。

ファックスや郵便、電子メール等によっての送付も問題はありません。
ただし、メールで送信する場合には、事前にメールで送信する旨を公証役場まで電話連絡することを忘れないようにしましょう。

③作成前の連絡・調整

いよいよ公証人が、夫婦の合意内容に従って公正証書の原案を作成します。
そして、夫婦が公正証書の原案の内容を確認します。

確認にあたっては電話やファックス、郵送、電子メール等の方法をとることができます。
確認が済めばあとは、実際に夫婦が公証役場に行く日時を決めます。

この段階で、手数料の詳細は公証役場からご説明があります。

④公正証書作成当日

夫婦が、公正証書案の内容を最終確認します。
作成当日には、印鑑を必ず持参しましょう。

用意する印鑑は、印鑑登録証明書を提出した者は実印(印鑑登録証明書と合致する印)、運連免許証(写し)を提出した者は認印(朱肉を使用しないスタンプ印は不適)です。

また、手数料は作成当日に「現金」で支払うことになります。
そして、夫婦に作成された公正証書の正本又は謄本が渡されます。

なお、公正証書の原本は、作成した公証役場に保存されることになっています。

(2)必要書類は?

次に、必要書類について確認したいです。

公正証書作成にあたって、必要な書類は以下のとおりです。
なお、3及び4は財産分与がある場合、年金分割関係の条項を設ける場合にのみ必要になります。

  1. 夫婦それぞれの印鑑登録証明書、運転免許証、住民基本台帳カード(顔写真入)のいずれか
  2. 夫婦の戸籍謄本(全部事項証明)
    ※離婚届け提出済みの場合には、離婚事実の記載された戸籍謄本、又は届出済証明書類も併せて必要
  3. 財産分与の対象となる財産を特定するための資料(例えば、不動産の登記簿謄本、固定資産評価証明、ローン関係資料、自動車の車検証等)
  4. 二人の年金手帳及び年金分割のための情報通知書

(3)公正証書にするためにかかる費用

最後に、離婚協議書を公正証書にするためにかかる費用について見ていきたいと思います。
以下に記した表を参考にしてください。

なお、費用については、原則として、その目的価額により定められており(公証人手数料令9条)、この目的価額は、公証人が証書の作成に着手した時を基準として算定することになっています。

目的の価額 手数料
100万円以下 5,000円
100万円を超え200万円以下 7,000円
200万円を超え500万円以下 11,000円
500万円を超え1000万円以下 17,000円
1000万円を超え3000万円以下 23,000円
3000万円を超え5000万円以下 29,000円
5000万円を超え1億円以下 43,000円
1億円を超え3億円以下 43,000円に、5000万円までごとに13,000円を加算
3億円を超え10億円以下 95,000円に、5000万円までごとに11,000円を加算
10億円を超える場合 249,000円に、5000万円までごとに8,000円を加算

まとめ

今回は離婚協議書にまつわる内容についてご説明致しましたが、ご参考になったでしょうか。

ぜひ、今回ご説明した内容を参考にして、離婚後のトラブルを未然に回避して頂けたら幸いです。

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