「親が亡くなって遺産分割が円満にまとまった。司法書士に頼むと10万円以上かかると聞いたけど、自分で作成すれば数千円で済むらしい。でも本当に大丈夫?失敗したら大変だし…」
「Wordでひな形を埋めるだけで作れるって聞いたけど、不動産の書き方や印鑑のルールが分からない。法的に有効な書類にするコツを知りたい」
遺産分割協議書は、相続手続きの中で最も「自分で作るかプロに頼むか」の判断に迷う書類です。司法書士に頼むと10〜30万円、自分で作れば3,000〜5,000円。差額は数十倍にもなります。
結論からお伝えします。遺産分割協議書は「7ステップ+ひな形」で確実にDIY可能。家族構成がシンプルで、相続人全員が分割内容に合意していれば、自分で作っても法的に何の問題もありません。
ただし、「自分で作るとやり直しになる5つのケース」を知らないと、せっかく作った協議書が銀行・法務局・税務署で受け付けられず、もう一度作り直し&全員の実印押印…という二度手間が発生します。
この記事では、相続専門の未来相続ナビゲーターが、DIY可否の判定基準・7ステップの作成手順・コピペで使える完全ひな形・状況別の文例集・失敗回避ポイントまで、初めての方でも安心して作れるよう徹底解説します。
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目次
【結論】遺産分割協議書を「自分で作れる人」と「プロに頼むべき人」
| 状況 | 判断 | 理由 |
|---|---|---|
| 相続人が3人以下+全員が合意済み | ✅ 自分で作れる | 協議の難航リスクなし |
| 遺産が預金・自宅のみのシンプル構成 | ✅ 自分で作れる | 記載項目が少ない |
| 相続税申告が不要(基礎控除内) | ✅ 自分で作れる | 税務署提出書類が減る |
| 相続人に前妻の子・養子・代襲相続人がいる | ⚠️ 司法書士に頼む | 戸籍関係が複雑、漏れ防止 |
| 遺産に未登記建物・私道持分・株式が含まれる | ⚠️ 司法書士に頼む | 記載ミスで登記不能リスク |
| 相続税申告が必要(基礎控除超) | ⚠️ 税理士に頼む | 税務署提出書類との整合が必要 |
| 相続人間で意見が割れている | ❌ 弁護士に頼む | 協議成立そのものが難航 |
遺産分割協議書とは?基本
遺産分割協議書とは、「相続人全員が、誰がどの遺産を相続するかを話し合って決めた結果を書面にまとめたもの」です。相続人全員の署名と実印が押された協議書は、法的に有効な合意書として機能します。
主な用途
- 不動産の相続登記(法務局に提出)
- 預貯金の払戻し・名義変更(銀行・証券会社)
- 相続税申告(税務署)
- 自動車の名義変更(運輸支局)
- 有価証券・株式の移管(証券会社)
遺産分割協議書が不要なケース
- 相続人が1人だけ(協議そのものが不要)
- 遺言書通りに分割する場合(遺言が優先)
- 法定相続分通りに分割する場合(一部の手続きでは不要)
自分で作る5つのメリット・3つのデメリット
メリット
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 1. 費用が圧倒的に安い | 司法書士10〜30万円 → 自分で3,000〜5,000円(用紙代・印鑑証明代) |
| 2. スケジュールを自分で決められる | 専門家の予約待ちなし、家族の都合で進められる |
| 3. 相続関係の理解が深まる | 自分で作ることで、家族の財産状況・法律知識が身につく |
| 4. 内容を細かく調整しやすい | 家族のニュアンスを反映した文言にできる |
| 5. プライバシー保護 | 第三者(士業)に家族の財産事情を見せずに済む |
デメリット
- 記載ミスで再作成リスク:不動産の表示ミス、相続人の漏れなど
- 提出先の独自ルールに対応が必要:銀行ごとに別書式を求められることも
- 税務署対応が自己責任:相続税申告が必要な場合、税理士の併用がおすすめ
必要なもの・準備するもの
作成段階で必要なもの
- パソコン(Word/Google Docsなど)またはペン+紙
- 被相続人・相続人全員の戸籍謄本
- 不動産がある場合:登記事項証明書(法務局で1通600円)
- 預貯金口座の通帳・残高証明書
- 有価証券・自動車などの資料
署名・押印段階で必要なもの
- 相続人全員の実印
- 相続人全員の印鑑証明書(3ヶ月以内発行のもの推奨)
- 本人確認書類(運転免許証など)
7ステップで完成する作成手順
STEP 1:相続人全員を確定する
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本をすべて集め、誰が相続人かを正確に確認します。前妻の子・認知された子・養子など、見落としがちな相続人がいないかチェック。
1人でも漏れがあると、その人の同意なしに作成された協議書は無効です。
STEP 2:全財産を洗い出す
被相続人の財産すべてをリスト化します。
- プラス財産:不動産、預貯金、有価証券、自動車、貴金属、保険金(みなし相続財産)など
- マイナス財産:借入金、住宅ローン、未払い税金、未払いの医療費など
STEP 3:評価額を決める
- 不動産:固定資産評価額(固定資産税納税通知書または評価証明書)
- 預貯金:残高証明書の金額
- 有価証券:相続発生日の終値
STEP 4:相続人全員で分割協議
「誰がどの財産を相続するか」を話し合います。法定相続分通りでなくてもOK、全員の合意があればどんな配分も可能です。
STEP 5:協議書をWord/Google Docsで作成
後述のひな形をベースに、家族の状況に合わせて記載していきます。A4用紙、12〜14ポイント、明朝体で作るのが標準です。
STEP 6:全員で署名・実印押印
協議書を必要部数(相続人の数+手続き先で使う分)プリントアウトし、相続人全員が同じ協議書すべてに署名・実印を押印します。
STEP 7:印鑑証明書を添付して完成
全員分の印鑑証明書(3ヶ月以内発行)を協議書と一緒に保管します。手続き先(法務局・銀行など)に提出する際は、協議書1部+全員分の印鑑証明書をセットで提出。
【完全ひな形】基本パターン(コピペOK)
以下のひな形をコピーして、Wordなどに貼り付けて使えます。
────────────────────────────── 遺産分割協議書 被相続人 山田 太郎(最後の本籍:東京都新宿区西新宿1-2-3) (最後の住所:東京都新宿区西新宿1-2-3) (生年月日:昭和20年4月1日) (死亡年月日:令和7年3月15日) 上記被相続人の遺産について、共同相続人全員において 分割協議を行った結果、次の通り合意した。 第1条 次の不動産は、相続人 山田 一郎 が相続する。 所 在 東京都新宿区西新宿一丁目 地 番 2番3 地 目 宅地 地 積 125.50平方メートル 所 在 東京都新宿区西新宿一丁目2番地3 家屋番号 2番3 種 類 居宅 構 造 木造瓦葺2階建 床面積 1階 60.00平方メートル 2階 55.00平方メートル 第2条 次の預貯金は、相続人 山田 花子 が相続する。 1. みずほ銀行 新宿支店 普通預金 口座番号 1234567 2. ゆうちょ銀行 通常貯金 記号10000 番号12345678 第3条 被相続人の上記以外の財産(後日判明したものを含む)は、 すべて相続人 山田 一郎 が相続する。 第4条 被相続人の債務及び葬儀費用は、相続人 山田 一郎 が負担する。 以上の合意を証するため、本協議書を3通作成し、 各自署名押印の上、各自1通ずつ所持する。 令和7年5月10日 住所 東京都新宿区西新宿1-2-3 氏名 山田 花子 ㊞(実印) 住所 東京都中野区中野1-2-3 氏名 山田 一郎 ㊞(実印) 住所 東京都世田谷区世田谷1-2-3 氏名 山田 二子 ㊞(実印) ──────────────────────────────
状況別の追加文例
代償分割の場合
1人が全不動産を相続する代わりに、他の相続人に現金を支払う方式です。
第○条 相続人 山田 一郎 は、第1条記載の不動産を相続する代償として、 相続人 山田 二子 に対して金500万円を支払うものとし、 令和7年6月30日までに、相続人 山田 二子 名義の以下の口座に 振り込む方法により支払う。なお、振込手数料は支払者の負担とする。 みずほ銀行 渋谷支店 普通預金 口座番号 9876543 名義 ヤマダ フタコ
換価分割の場合
不動産などを売却して、その代金を相続人で分ける方式です。
第○条 第1条記載の不動産は、相続人 山田 一郎 が代表して売却し、 売却代金から売却に要した費用(仲介手数料、登記費用、税金等)を 控除した残額を、相続人3名で各3分の1ずつの割合で分割する。
負債がある場合
第○条 被相続人の以下の債務は、相続人 山田 一郎 が負担する。 1. みずほ銀行 新宿支店 住宅ローン 残高金1,500万円 2. ○○クレジット 残高金30万円
※負債の分割は対外的には債権者の同意がないと認められない場合があるため、相続人内部での負担割合の取り決めにとどまることが多い。
後日発見される財産の取り扱い
第○条 本協議書作成後に被相続人の財産が新たに発見された場合、 当該財産は相続人○○○○が相続する。
または「相続人全員で別途協議する」と記載することも可能。
失敗してやり直しになる5つのケース
1. 不動産の表示が登記事項証明書と1字でも違う
「東京都新宿区西新宿1丁目2番3号」と書きたくなりますが、登記簿上は「東京都新宿区西新宿一丁目2番3」と地番表示です。登記事項証明書をコピペするのが最も安全。
2. 相続人の漏れ・死亡時に存在しない相続人を記載
被相続人の前妻との間の子、認知された非嫡出子など、戸籍を正しく追わないと見落とします。STEP 1の戸籍確認を念入りに。
3. 実印ではなく認印で押印
協議書は実印必須。認印では銀行・法務局で受け付けられません。各自の実印を必ず使用しましょう。
4. 印鑑証明書が古すぎる
金融機関の多くは「3〜6ヶ月以内発行」のものを求めます。古いと受付拒否で再取得が必要になり、手続きが止まります。
5. 契印・割印を忘れる
協議書が2枚以上になる場合、ページの綴じ目に「契印」を全員分押します。また、複数部作成する場合は「割印」もおすすめ。法的には必須ではありませんが、提出先の信頼性が高まります。
印鑑証明書・実印の取り扱い注意点
実印の登録がない人
市区町村役場で印鑑登録を済ませる必要があります。当日に印鑑登録→印鑑証明書発行も可能(地域により異なる)。
未成年者・認知症の方がいる場合
- 未成年者:親権者が代理(ただし親も相続人なら特別代理人選任が必要)
- 認知症の方:成年後見人を選任する必要あり
これらのケースは自分で進めるのが難しいので、司法書士・弁護士に相談しましょう。
海外在住の相続人
印鑑証明書がないため、在外公館で「サイン証明書」を取得して代用します。実印の代わりに署名でOK。
提出先と部数の目安
| 提出先 | 必要部数 | 備考 |
|---|---|---|
| 法務局(不動産登記) | 1部(原本還付可) | 相続関係説明図と一緒に提出 |
| 銀行(預金) | 1部(原本還付可) | 金融機関ごとに別書式が必要な場合あり |
| 証券会社 | 1部(原本還付可) | 移管手続きで必要 |
| 税務署(相続税) | コピーで可 | 申告書に添付 |
| 運輸支局(自動車) | 1部 | 名義変更で必要 |
協議書は相続人の人数+3〜5部作成しておくと安心。各自1部ずつ手元保管+手続き先用です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 遺産分割協議書の作成期限はありますか?
法律上の作成期限はありません。ただし、相続税申告(10ヶ月以内)・相続登記(2024年から3年以内)には間に合うように作成する必要があります。
Q2. 全員が同じ場所で集まる必要はある?
不要です。協議書を郵送して、各自が署名・実印を押印して回す「持ち回り形式」でも法的に有効です。
Q3. 1人だけ印鑑を押さない・連絡が取れない場合は?
その協議書は無効です。連絡が取れない相続人がいる場合は、家庭裁判所の「不在者財産管理人」選任を検討します。意見が割れる場合は遺産分割調停へ。
Q4. 一度作成した後に内容を変更できる?
相続人全員の合意があれば変更可能です。ただし、すでに登記・名義変更を済ませた財産については、改めて贈与税が発生する場合があるので注意。
Q5. 海外在住の相続人がいる場合、どうやって署名してもらう?
協議書を国際郵便で送り、現地公館でサイン証明書を取得してもらい、署名済みの協議書と一緒に返送してもらいます。時間がかかるので早めに動きましょう。
Q6. ひな形をそのまま使って大丈夫?
基本構成は問題ありませんが、必ず家族の状況に合わせて修正してください。特に不動産の表示は登記事項証明書通りに、相続人の住所は印鑑証明書通りに記載することが重要です。
Q7. 司法書士に作成だけ依頼することはできる?
可能です。「相続登記は自分でやるけど、協議書だけプロに作ってもらいたい」というスポット依頼にも対応してくれる事務所が多くあります。料金は2〜5万円程度。
まとめ|「ひな形+7ステップ」で安心DIY
遺産分割協議書のDIY作成のポイントを最後に整理します。
- 家族構成シンプル+全員合意なら自分で作成OK(5万円以上節約可能)
- 7ステップ:相続人確定→財産洗い出し→評価→協議→文書化→署名押印→印鑑証明添付
- 不動産は登記事項証明書を必ずコピペ(1字でも違うと法務局で却下)
- 実印+3ヶ月以内の印鑑証明書が必須
- 失敗パターン5つを事前に頭に入れて、二度手間を回避
- 代襲相続・前妻の子・認知症の相続人などがいる場合は迷わず司法書士へ
遺産分割協議書は、相続手続きの「核」となる書類です。これさえ正しく作れば、不動産登記・銀行手続き・相続税申告まで、すべての相続手続きをスムーズに進められます。
「自分で作れるか不安」「家族構成が少し複雑」「不動産の記載が心配」「税理士・司法書士のどちらに頼むべきか分からない」というときは、相続専門家への相談が確実です。
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