過去に消費者金融やカード会社で「キャッシング」を利用していたら、過払い金が発生している可能性があります。
「自分にも過払い金があるかも」と考えておられる方もいるでしょう。
ただし、キャッシングで過払い金が発生するには、一定の条件がありますし過払い金には請求期限もあります。
今回は、キャッシングの利用者に今すぐ確認していただきたい、過払い金が発生する可能性と請求手順を解説します。
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目次
1.キャッシングとは
(1)そもそもキャッシングとは?
そもそも、キャッシングとはどのようなサービスなのでしょうか?
これは、あらかじめ限度額を定めて貸金業者と契約をしておいて、ATMやカードを使い上限金額まで自由に借入れをしたり、返済したりすることができるサービスです。
消費者金融にもクレジットカードにもキャッシングがあります。
キャッシングも、1種の借金なので期日までに返済をしなければなりませんが、一括払いと分割払い、リボ払いなどの方法を選択することができます。
一括払いにするとあまり利息がつきませんが、分割払いやリボ払いにすると借りている期間中の利息がかかり続けるので、支払い利息の金額が高額になります。
(2)キャッシングとショッピングの違い
キャッシングとショッピングの違いについても理解しておきましょう。
クレジットカードでは「キャッシング」と「ショッピング」の2種類のサービスを利用することができます。
キャッシングは、先ほどご説明した通り、カード会社から借金をすることができるサービスです。
これに対しショッピングは、カード会社が商品やサービスの代金を立替払いしてくれるサービスです。
ショッピングの場合にも、一括払いや二回払い、分割払い、リボ払いを選択することができます。
ただ、ショッピングの場合、カード会社に支払うのは「利息」ではなく「手数料」です。
ショッピングはあくまで立替であり、借金とは異なるという理解になるためです。
ショッピングでは、過払い金は発生しません。
2.キャッシングでも、過払い金が発生する
(1)過払い金が発生する仕組み
実際に、キャッシングによっても過払い金が発生する可能性があるのでしょうか?
その答えは、過払い金は、どのようにして発生するものなのかがわかると自然にわかりますから、まずは過払い金が発生する仕組みについて理解しましょう。
過払い金は「支払いすぎた利息」です。
貸金業者が消費者に貸付をするときの利率は、利息制限法という法律によって決められています。
しかし、過去には、その上限を超える金利で貸し付けても有効になる可能性がある、という法規定がありました。
その規定のことを、「みなし弁済」と言います。
そこで、多くの貸金業者が、利息制限法を超える利率で貸付をして「みなし弁済」を主張していたのです。
ところがその後、最高裁判所がみなし弁済の適用をほぼ認めない、という判断をしました(平成18年1月13日)。
そこで、利息制限法を超過して支払った利息はすべて「支払いすぎ」ということになり、取り戻すことができるようになったのです。
これが、「過払い金」です。
(2)キャッシングと過払い金の関係
キャッシングは、消費者金融やクレジットカード会社から借金をするための方法の1つです。
そして、過去には、消費者金融やクレジットカード会社は、キャッシング取引において、利息制限法を超える高い利率を適用していました。
そこで、過去に高い利率でのキャッシング取引をしていた方の場合、過払い金が発生しているかもしれないのです。
3.キャッシングで過払い金が発生する4つの条件
キャッシングの場合に過払い金請求ができるとは言っても必ずしも請求できるとは限りません。
以下で、キャッシングで過払い金が発生する条件を解説します。
(1)2008年以前の取引
1つには、2008年以前に消費者金融やクレジットカードを利用していた必要があります。
昔、消費者金融やクレジットカード会社が利息制限法を超える利率で貸付をしていたのは、2008年頃までだからです。
先にご紹介した最高裁判所の判決が出たのは、平成18年(2006年1月13日)のことでした。
これを受けて、国は利息制限法や出資法の改正手続きを進めて「みなし弁済」規定を廃止し利息制限法以内の利率でしか貸付ができないようにしました。
改正された利息制限法が施行されたのは、2010年6月のことです。
しかし、多くの貸金業者は、将来の利息制限法改正を見越して2007年や2008年頃には、利息制限法を超過した利率による貸付を停止していったのです。
そこで、実際に利息制限法を超過する金利が適用されていた期間は2008年頃までです。
それ以前にキャッシング取引を利用していたら、過払い金が発生しているかもしれないのですが、それ以後の場合、キャッシングをしていても過払い金は発生しません。
(2)利息制限法を超過した利率が適用していた業者
次に、キャッシングを利用していた業者が「利息制限法を超過した利率を適用していた」ことが必要です。
消費者金融やクレジットカード会社であっても、必ずしもキャッシングに利息制限法を超過する利率を適用していたわけではありません。
たとえば、モビットやアットローンなどは、もともと利息制限法以内で貸付をしていた業者です。
これらの会社のキャッシングをしていたとしても、過払い金請求をすることはできません。
そこで、過払い金請求できるかどうかについては、どのような利率が適用されていたかが重要です。
以下のような消費者金融やクレジットカード会社の場合、過払い金が発生している可能性が高くなります。
- プロミス
- アコム
- アイフル
- ポケットカード
- 三菱UFJニコス
- クレディセゾン
- ミリオンカード
- UCカード
- ライフカード
- イオンクレジット
- セディナ(セントラルファイナンス)
- OMCカード
- クオーク
- エポスカード
- オリエントコーポレーション
- JCB
- アプラス
他にもあるので、上記に記載の無い貸金業者を利用していた場合、個別に調べてみる必要があります。
(3)現在返済中の場合、一定期間の取引が必要
現在借金返済中の方が過払い金請求をするためには、まずは現在の借金を完済する必要があります。
そこで、借金の元本を超える払いすぎ利息が発生しないと、過払い金請求できません。
そのためには、ある程度長期にわたる取引期間が必要です。
ケースにもよりますが2008年以前に、だいたい5年以上の取引期間があれば、過払い金請求できる可能性が高くなります。
(4)完済している場合、完済後10年以内
既に借金を完済している方の場合にも、条件があります。
過払い金には「時効」があるからです。
過払い金の時効は「借金の完済後10年」です。
そこで、10年が経過してしまったら、もはや過払い金請求できなくなります。
過去にキャッシングを利用していて、過払い金請求が気になっているのであれば、一刻も早く手続きを開始すべきと言えます。
4.キャッシングで過払い金請求する方法
キャッシングをしていたので、過払い金請求をしたいとき、具体的にどのように進めたら良いのでしょうか?
(1)取引履歴を取り寄せる
まずは、相手業者から「取引履歴」を入手します。
取引履歴とは、契約したときから現在までの「すべての」入金と出金の記録です。
電話で依頼できる業者もありますし郵送による申請が必要な業者もあります。
(2)利息制限法に引き直し計算する
取引履歴が届いたら、それを「利息制限法に引き直して計算」します。
計算の際には、専用の計算ソフトがあるので利用しましょう。
(3)過払い金請求書を送って交渉する
こうして過払い金の金額を計算することができたら「過払い金請求書」を作成して、業者に送付します。
このとき、過払い金の計算書も一緒につけて、送りましょう。
すると、しばらくして相手業者から連絡があります。
通常「全額返す」と言ってくれることはないので交渉が必要になります。
返還金額や返還方法について合意ができれば合意書を作成します。
合意書を作ったら、後は入金を待つだけです。
(4)過払い金請求訴訟を起こす
話し合っても合意ができない場合いは、過払い金請求訴訟を起こして裁判によって過払い金を回収する必要があります。
ただ、裁判をしたときにも裁判の途中で「和解」することが多いです。
和解ができたら、裁判所で和解調書が作られて、その内容に従って支払いを受けることができます。
和解ができなければ、裁判所が相手業者に過払い金の支払い命令の判決を出してくれます。
通常、業者は判決に従うので、その後、命じられた内容での過払い金の支払をしてもらうことができます。
5.過払い金請求するデメリット
過払い金請求をしても、特にデメリットはありません。
ときどき「個人信用情報に事故情報を登録される」「ブラックになる」などと心配される方がいますが、実際にはそのようなことはありません。
間違って事故情報が登録された場合には、訂正の申立をすることも可能です。
安心して過払い金請求をしましょう。
また、必要に応じて「過払い金請求をするとブラックリスト状態になる?生活への不都合は?」も併せてご参照ください。
6.過払い金請求を弁護士に相談するメリット
過払い金請求を進めるのであれば、弁護士に依頼することをお勧めします。
理由はいくつかありますが、重要なのは過払い金回収金額の問題です。
消費者が自分で過払い金請求をするとどうしても業者との交渉で不利になってしまい、過払い金を減額されます。
結局支払いを受けられたのは「3割だけ」、などということもあります。
場合によっては「0円」にされてしまう可能性もあるので注意が必要です。
弁護士であれば、粘り強く交渉をしますし相手も無茶な減額を主張しないので、80%~100%の過払い金を回収することも可能です。
相手が強硬で、過払い金の返還に応じてくれない場合には、裁判を起こして強制的に100%プラス遅延損害金の過払い金を支払わせることもできます。
また、過払い金請求は結構面倒な作業です。
取引履歴を取り寄せたり、利息制限法に引き直し計算をしたり、相手業者としょっちゅう連絡をしてやり取りしなければならないからです。
余計なストレスもかかってしまうでしょう。
ここで弁護士に任せると、すべての手続きを任せられるので楽です。
また、必要に応じて「過払い金請求にかかる費用と弁護士に依頼した場合のメリットを解説」や「過払い金請求に強い弁護士の探し方!司法書士との違いも解説」も併せてご参照ください。
まとめ
このように、過払い金請求を弁護士に依頼するとたくさんのメリットがあります。
2008年頃にキャッシングを利用していたので、これから過払い金請求をされる方は是非とも一度、借金問題に熱心に取り組んでいる弁護士にご相談されてはいかがでしょうか?