「遺産分割協議書のひな形を検索したら、いろんなサイトに違うパターンが載っていて、自分のケースにどれを使えばいいか分からない…」
「不動産がある場合と現金だけの場合、代償分割や換価分割では書き方が全然違うらしい。1ヶ所で全パターンを比較できないの?」
遺産分割協議書のひな形は、家族の状況によって7パターン以上あります。間違ったテンプレを選ぶと、書類を作り直すハメになったり、法務局・銀行で受け付けてもらえなかったりします。
結論からお伝えします。「あなたの状況にピッタリ合う1パターン」を選んで、そのままコピペして使うのが最も確実で効率的です。この記事では、相続実務でよく使われる7つの典型パターンすべての完全ひな形をコピペ可能な形で公開しました。
まずは冒頭の「あなたに合うひな形 診断フロー」で、自分のケースに該当するパターンを特定してから、該当箇所のひな形をそのまま使ってください。30分以内に法的に有効な協議書が完成します。
この記事では、相続専門の未来相続ナビゲーターが、状況別7パターンのひな形・選び方の診断フロー・使用時の注意点・組み合わせ方まで、実務目線で徹底解説します。
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目次
【診断フロー】あなたに合うひな形はどれ?
3つの質問に答えるだけで、自分に適したひな形が分かります。
| Q1 | Q2 | Q3 | おすすめパターン |
|---|---|---|---|
| 遺産は預貯金だけ | − | − | パターン1:基本(現金のみ) |
| 不動産あり | 誰か1人が単独で取得 | 他相続人への代償金なし | パターン2:不動産+預貯金 |
| 不動産あり | 1人が取得+他相続人に現金支払い | − | パターン3:代償分割 |
| 不動産あり | 売却して現金で分ける | − | パターン4:換価分割 |
| 遺産あり | 借金・債務もある | − | パターン5:負債を含む |
| 遺産あり | 後から財産が出てきそう | − | パターン6:後日発見財産対応 |
| 遺産あり | 相続人が亡くなった | その人の相続人が引き継ぐ | パターン7:数次相続 |
2つ以上該当する場合は、各パターンを組み合わせて使えます。具体的な組み合わせ方は最後の章で解説します。
ひな形を使う前に必ず確認すべき5つのポイント
どのパターンを使う場合も、以下は共通の必須事項です。
- 被相続人・相続人の氏名は戸籍通り(旧字体・新字体に注意)
- 不動産の表示は登記事項証明書を必ずコピー(1字でも違うと法務局で却下)
- 相続人全員が署名+実印(認印NG)
- 印鑑証明書は3ヶ月以内発行(金融機関の要件)
- 協議成立日を全員統一(記入忘れ・日付ズレに注意)
※ 作成手順の詳細は、別記事「遺産分割協議書を自分で作成する方法|7ステップとひな形で完成」を参照してください。
パターン1:基本(現金・預貯金のみ)
遺産が預貯金のみのシンプルなケース。配偶者と子で分ける典型例です。
────────────────────────────── 遺産分割協議書 被相続人 山田 太郎 最後の本籍 東京都新宿区西新宿1-2-3 最後の住所 東京都新宿区西新宿1-2-3 生年月日 昭和20年4月1日 死亡年月日 令和7年3月15日 上記被相続人の遺産について、共同相続人全員において 分割協議を行った結果、次のとおり合意した。 第1条 次の預貯金は、相続人 山田 花子 が相続する。 1. みずほ銀行 新宿支店 普通預金 口座番号 1234567 2. ゆうちょ銀行 通常貯金 記号10000 番号12345678 第2条 次の預貯金は、相続人 山田 一郎 が相続する。 1. 三井住友銀行 中野支店 普通預金 口座番号 7654321 第3条 被相続人の本協議書記載以外の財産(後日判明したものを含む)は、 すべて相続人 山田 花子 が相続する。 以上の合意を証するため、本協議書を3通作成し、 各自署名押印の上、各自1通ずつ所持する。 令和7年5月10日 住所 東京都新宿区西新宿1-2-3 氏名 山田 花子 ㊞(実印) 住所 東京都中野区中野1-2-3 氏名 山田 一郎 ㊞(実印) 住所 東京都世田谷区世田谷1-2-3 氏名 山田 二子 ㊞(実印) ──────────────────────────────
パターン2:不動産+預貯金
最も多いケース。実家不動産と預貯金を、家族で分ける典型パターンです。
────────────────────────────── 遺産分割協議書 被相続人 山田 太郎 最後の本籍 東京都新宿区西新宿1-2-3 最後の住所 東京都新宿区西新宿1-2-3 生年月日 昭和20年4月1日 死亡年月日 令和7年3月15日 上記被相続人の遺産について、共同相続人全員において 分割協議を行った結果、次のとおり合意した。 第1条 次の不動産は、相続人 山田 一郎 が相続する。 【土地】 所 在 東京都新宿区西新宿一丁目 地 番 2番3 地 目 宅地 地 積 125.50平方メートル 【建物】 所 在 東京都新宿区西新宿一丁目2番地3 家屋番号 2番3 種 類 居宅 構 造 木造瓦葺2階建 床面積 1階 60.00平方メートル 2階 55.00平方メートル 第2条 次の預貯金は、相続人 山田 花子 が相続する。 1. みずほ銀行 新宿支店 普通預金 口座番号 1234567 第3条 次の預貯金は、相続人 山田 二子 が相続する。 1. ゆうちょ銀行 通常貯金 記号10000 番号12345678 第4条 被相続人の本協議書記載以外の財産(後日判明したものを含む)は、 すべて相続人 山田 一郎 が相続する。 第5条 被相続人の債務及び葬儀費用は、相続人 山田 一郎 が負担する。 以上の合意を証するため、本協議書を3通作成し、 各自署名押印の上、各自1通ずつ所持する。 令和7年5月10日 (以下、相続人全員の住所・氏名・実印) ──────────────────────────────
使用ポイント:不動産の表示は法務局で取得する登記事項証明書から正確にコピーしてください。マンションの場合は「敷地権の表示」「専有部分の建物の表示」が追加で必要になります。
パターン3:代償分割(1人が不動産、他に現金支払い)
長男が実家を相続する代わりに、他の兄弟に現金を支払うケース。最近最も増えているパターンです。
────────────────────────────── (前略:被相続人の情報・第1条で不動産取得を明記) 第1条 次の不動産は、相続人 山田 一郎 が相続する。 (不動産の表示はパターン2を参照) 第2条 相続人 山田 一郎 は、第1条記載の不動産を取得する代償として、 以下のとおり代償金を支払う。 (1)相続人 山田 花子 に対し、金1,000万円を、 令和7年6月30日までに、下記口座に振り込む方法により支払う。 なお、振込手数料は支払者の負担とする。 【振込先】 みずほ銀行 新宿支店 普通預金 口座番号 1234567 名義 ヤマダ ハナコ (2)相続人 山田 二子 に対し、金500万円を、 令和7年6月30日までに、下記口座に振り込む方法により支払う。 なお、振込手数料は支払者の負担とする。 【振込先】 三井住友銀行 渋谷支店 普通預金 口座番号 9876543 名義 ヤマダ フタコ 第3条 被相続人のその他の預貯金は、相続人 山田 一郎 が相続する。 (以下、後日判明財産・債務・署名等) ──────────────────────────────
使用ポイント:「代償として」という文言を必ず入れます。これがないと、現金の授受が「贈与」扱いになって贈与税が課税されるリスクがあります。支払い期日・振込先・手数料負担まで明記するのが安全です。
パターン4:換価分割(不動産を売却して現金で分ける)
不動産を売却して、その代金を相続人で分けるパターン。実家に誰も住まない場合などに多く使われます。
────────────────────────────── (前略:被相続人の情報) 第1条 次の不動産は、相続人全員で換価分割するものとする。 (不動産の表示はパターン2を参照) 第2条 前条の不動産は、相続人 山田 一郎 が代表して売却し、 その売却代金から下記の費用を控除した残額を、相続人3名で 以下の割合により分割する。 【控除する費用】 ・仲介手数料 ・登記関係費用 ・売却に伴う税金(譲渡所得税等) ・その他売却に必要な実費 【分割割合】 山田 花子 3分の1 山田 一郎 3分の1 山田 二子 3分の1 第3条 売却代金は、相続人 山田 一郎 名義の口座でいったん受領し、 受領後1ヶ月以内に、第2条の割合に従い各相続人の口座へ 振り込む方法により分配する。 (以下、預貯金・債務・署名等) ──────────────────────────────
使用ポイント:換価分割は税務上の取り扱いが複雑です。譲渡所得税が発生する場合があり、その税負担をどう分担するかも明記しておくとトラブル防止になります。不動産売却から分配まで誰が代表で行うかを明確にするのが重要です。
パターン5:負債を含むケース
住宅ローンやその他の借金がある場合のパターン。
────────────────────────────── (前略:被相続人の情報・財産分割) 第○条 被相続人の以下の債務は、相続人 山田 一郎 が すべて承継し、負担するものとする。 1. みずほ銀行 新宿支店 住宅ローン 残高金1,500万円 (令和7年3月15日現在の残高) 2. ○○クレジット カード利用残高 金30万円 第○条 前条記載以外の被相続人の債務が後日判明した場合は、 相続人 山田 一郎 がこれを負担する。 第○条 被相続人の葬儀費用および埋葬費用は、相続人 山田 一郎 が 負担する。 (以下、署名等) ──────────────────────────────
重要:債務(マイナス財産)の分割は、相続人内部の合意であって、債権者(銀行など)に対抗するには別途債権者の同意が必要です。住宅ローンの場合、金融機関と「免責的債務引受」契約を結ぶ必要があります。
パターン6:後日発見財産あり
協議成立後に新たな預金口座や不動産が発見される可能性がある場合のパターン。実務でよく使われる安全策です。
────────────────────────────── (前略:被相続人の情報・財産分割) 第○条 本協議書作成後に、被相続人の本協議書記載以外の財産が 発見された場合、当該財産は次のとおり処理する。 【パターンA:特定の相続人が取得】 当該財産は、相続人 山田 一郎 が相続する。 【パターンB:相続人全員で再協議】 相続人全員にて改めて協議し、その帰属を決定する。 【パターンC:法定相続分で分割】 法定相続分に従い、各相続人が分割取得する。 ──────────────────────────────
使用ポイント:3つの選択肢のうち、家族の状況に合わせて1つを選んで記載します。パターンAが最もシンプルで揉めないので推奨。負債が発見される可能性も考慮するなら、財産取得者に負債負担もセットで負わせる方が公平です。
パターン7:数次相続(複雑ケース)
相続人の1人が、被相続人より後に亡くなった場合のパターン。この場合、亡くなった相続人の相続人(=配偶者や子)が遺産分割協議に参加します。
────────────────────────────── 遺産分割協議書 被相続人 山田 太郎 最後の本籍 東京都新宿区西新宿1-2-3 最後の住所 東京都新宿区西新宿1-2-3 生年月日 昭和20年4月1日 死亡年月日 令和7年3月15日 相続人 山田 一郎(被相続人の長男) 令和7年6月10日 死亡(死亡時の住所:東京都中野区中野1-2-3) 上記被相続人 山田 太郎 の遺産について、被相続人 山田 太郎 の 共同相続人(一郎を除く)および 山田 一郎 の相続人全員において 分割協議を行った結果、次のとおり合意した。 第1条 次の不動産は、山田 一郎 の相続人である 山田 まり子 が相続する。 (不動産の表示) 第2条 次の預貯金は、相続人 山田 花子 が相続する。 (預貯金の表示) (以下、署名等) 【署名者】 ・被相続人 山田 太郎 の相続人: 山田 花子(妻) 山田 二子(長女) ・被相続人 山田 一郎 の相続人: 山田 まり子(妻) 山田 健(長男・未成年の場合は特別代理人) ──────────────────────────────
使用ポイント:数次相続は戸籍関係が極めて複雑になります。被相続人 → 一次相続人 → 二次相続人の戸籍をすべて揃え、関係性を正確に記載する必要があります。このケースは司法書士への依頼を強く推奨します。
複数パターンの組み合わせ方
実際の相続では、複数のパターンが組み合わさることがよくあります。
例:不動産+預貯金+代償分割+負債
「実家を長男が取得し、代わりに他の兄弟に現金支払い、預金は妻が相続、住宅ローンは長男が負担」というケース。
- 第1条:不動産 → 長男(パターン2の不動産部分)
- 第2条:代償金支払い(パターン3)
- 第3条:預金 → 妻(パターン1)
- 第4条:住宅ローン → 長男(パターン5)
- 第5条:後日発見財産 → 長男(パターン6)
このように条文を組み合わせて1つの協議書にまとめます。条文番号を順番に付け直すのを忘れずに。
避けたいNGひな形の使い方
1. テンプレを丸ごとコピーして名前だけ変える
家族構成・財産内容・住所など、すべて自分のケースに置き換えてください。テンプレ通りの「山田太郎」のまま提出しないでください(笑い話のようですが実際にあります)。
2. 不動産表示を住居表示で書く
「東京都新宿区西新宿1丁目2番3号」(=住居表示)ではなく、登記事項証明書の地番・家屋番号で書く必要があります。
3. ひな形のサンプル金額をそのまま使う
「金1,000万円」「金500万円」など、サンプルの金額は必ず実際の金額に書き換えてください。
4. 「等」「など」を多用する
あいまいな表現は避け、すべて具体的に書きます。「みずほ銀行等の預貯金」ではなく、銀行名・支店名・口座番号まで明記。
よくある質問(FAQ)
Q1. ひな形はWord形式とPDF形式、どちらがいい?
編集して使うのでWord形式が便利です。テキストをコピーしてWordに貼り付ければ、自由に編集できます。提出時は印刷した紙の協議書になります。
Q2. ひな形に書いてある定型文は変えていい?
条文の表現は変えても構いませんが、「被相続人」「相続人」「相続する」「合意した」などの法律用語はそのまま使うのが安全です。
Q3. ひな形に署名欄は何人分用意すれば?
相続人全員分です。たとえ協議書の本文に名前が出てこなくても、放棄した相続人を除く全員の署名・押印が必要です。
Q4. 縦書きでも横書きでもいい?
どちらでも法的に有効です。近年は横書きが主流です。Word標準の横書きを使うのが無難。
Q5. ひな形に従って作ったけど、銀行で受け付けてもらえなかった
金融機関ごとに独自書式を求めるケースがあります。一般的なひな形で却下された場合は、その金融機関の所定の「相続届」用紙を取得して併用してください。
Q6. 公正証書にする必要はある?
遺産分割協議書は公正証書にする必要はありません。私文書のままで法的に有効です。ただし、紛争予防のため公正証書にすることも可能で、その場合は公証役場で作成します(手数料数万円)。
Q7. ひな形通りに作っても、後で揉めたら無効になる?
全員の合意があったことが証明できる協議書(実印+印鑑証明書)は、原則として有効です。「だまされた」「強迫された」など特別な事情があれば取消の余地がありますが、ひな形通りに作ったから無効になるわけではありません。
まとめ|「自分のケース=1パターン」を選んでコピペ
遺産分割協議書のひな形使い方のポイントを最後に整理します。
- 7パターンから自分のケースに合うものを1つ選ぶ(診断フロー参照)
- 複数パターンを組み合わせることもOK(条文を継ぎ足す)
- 不動産は登記事項証明書からコピー(住居表示NG)
- サンプル名・金額は必ず置き換える
- 相続人全員の実印+印鑑証明書(3ヶ月以内)が必須
- 数次相続・代襲相続・前妻の子がいる複雑ケースは司法書士へ
遺産分割協議書は、相続手続きのすべての出発点となる書類です。ひな形を正しく選んで使えば、自分で作成しても法的に有効な書類が完成し、司法書士費用10〜30万円を節約できます。
「自分のケースに該当するひな形がない」「ひな形を使ったけど不安なので最終チェックしてほしい」「不動産の記載が登記事項証明書と一致しているか確認したい」というときは、相続専門家への相談が確実です。
未来相続ナビゲーターでは、あなたの相続状況に応じて、自分で作れるかプロに頼むべきかを無料診断し、最適な専門家(司法書士・税理士・弁護士)をご紹介しています。お気軽にご相談ください。あなたとご家族の相続手続きが、ストレスなく完了することを心から願っています。





