「相続放棄をしたら『相続放棄申述受理通知書』が届いたから、これで安心…と思ったら、銀行に提出を求められたのは『相続放棄申述受理証明書』。何が違うの?」
「叔父が亡くなり、自分(甥)に話が回ってきた。子が放棄したらしいけど、本当かどうかを確認したい。他人の相続放棄って調べられる?」
「相続放棄申述受理証明書」は、似た名前の「通知書」と混同されがちですが、使い道がまったく違う書類です。さらに、自分の相続放棄を証明するために取る人だけでなく、「他人の相続放棄を確認する」ために取る人もいるという、二面性を持った書類です。
結論からお伝えします。相続放棄申述受理証明書は「第三者向けの公式証明書」。通知書は自分宛のお手紙、証明書は対外的に使える公印付き公文書、と覚えると分かりやすいです。150円で何通でも発行可能なので、必要なときに必要な分だけ取得できます。
この記事では、相続専門の未来相続ナビゲーターが、通知書との違い・申請者本人と利害関係人の両視点での取得方法・申請書の書き方・費用・何枚必要かまで、よくある混乱を一気に解消する形で徹底解説します。
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目次
【結論】相続放棄申述受理証明書が必要になる4つのシナリオ
まずは「自分はどのシナリオに該当するか」を確認してください。
| シナリオ | あなたの立場 | 必要枚数の目安 |
|---|---|---|
| ① 自分が放棄したことを金融機関に証明する | 申述人本人 | 銀行・証券会社ごとに1枚×取引数 |
| ② 自分が放棄したことを債権者に証明する | 申述人本人 | 債権者の数だけ |
| ③ 兄弟など先順位者の放棄を確認したい | 後順位の相続人(利害関係人) | 1〜2枚(自身の手続き用) |
| ④ 債権者として放棄の事実を確認したい | 被相続人の債権者(金融機関・サラ金など) | 1枚 |
①と②は「放棄した本人が自分の放棄を証明する」パターン、③と④は「他人の放棄を確認する」パターン。それぞれ申請者の資格や必要書類が変わるので、自分のシナリオを把握しておきましょう。
相続放棄申述受理証明書とは?基本
相続放棄申述受理証明書とは、家庭裁判所が「○○さんは相続放棄を確かに申述し、当裁判所が受理しました」と公式に証明する公文書です。家庭裁判所の公印が押されており、第三者(銀行・債権者・他の相続人など)に対して「この人は確かに相続放棄している」と証明する効力を持ちます。
主な利用シーン
- 銀行・証券会社で相続手続きをする際、「私は相続人ではない」ことを示す
- 債権者から督促を受けた時、「私は相続放棄したので支払い義務がない」と証明する
- 不動産の相続登記で、相続放棄した相続人がいることを証明する
- 遺産分割協議書を作成する際、「放棄者がいない」前提を裏付ける
- 後順位の相続人が自分の相続放棄手続きをする際の添付書類
【最重要】通知書と証明書の違い|似た名前で混同しがち
2つの書類は名前が似ていますが、性質も使い道もまったく違います。
| 項目 | 相続放棄申述受理通知書 | 相続放棄申述受理証明書 |
|---|---|---|
| 位置づけ | 申述人へのお手紙(通知) | 第三者向けの公式証明書 |
| 交付 | 受理後に自動的に郵送される | 申請しないと発行されない |
| 発行回数 | 原則1回限り(紛失しても再発行不可) | 申請すれば何度でも・何通でも |
| 申請できる人 | 申述人本人のみ | 申述人+利害関係人 |
| 費用 | 無料 | 1通150円(収入印紙) |
| 公印 | あり | あり |
| 対外証明力 | あり(一般には通用するが拒否されるケースあり) | 絶対的にあり |
銀行・債権者は「証明書」を求めるのが原則
通知書も公印付きなので、金融機関によっては通知書のコピーで対応してくれるケースもあります。しかし、大手金融機関・公的機関の多くは「証明書」を求めます。なぜなら:
- 通知書は1回限り発行なので、原本を提出させるとその後の手続きで困る
- 「証明書」の方が制度上明確に対外証明用と位置づけられている
- 申請後の取消(証明書発行後の放棄の取消等)にも対応できる
提出を求められた場合は、迷わず「証明書」を取得しましょう。
【ケース1】放棄した本人が証明書を取得する場合
申請に必要な書類
- 相続放棄申述受理証明申請書(家庭裁判所HPでDL可能)
- 収入印紙(150円×取得枚数)
- 申請人の本人確認書類のコピー(運転免許証など)
- 返信用封筒(郵送請求の場合、切手貼付済)
- 事件番号(受理通知書に記載されている「平成○年(家)第○○○○号」など)
申請先
相続放棄を受理した家庭裁判所に申請します。受理通知書の発行元と同じ家庭裁判所です。
申請方法
| 方法 | 所要時間 | 備考 |
|---|---|---|
| 窓口持参 | その場で即日発行(待ち時間30分〜1時間) | 本人確認書類を持参 |
| 郵送 | 申請から1週間程度で郵送返送 | 返信用封筒に必要分の切手 |
申請書の書き方
申請書には以下を記入します。
- 事件番号:受理通知書に記載(必須・正確に)
- 申述人氏名:相続放棄をした人の名前
- 申請人氏名・住所・連絡先:今回証明書を取りたい人(=本人)
- 必要通数:1〜10通程度(多めに取っておくのが無難)
- 申請理由:「金融機関に提出するため」など
【ケース2】利害関係人が他人の放棄を確認する場合
こちらは「他人の相続放棄の事実を確認したい人」が取るパターン。少し書類が多くなります。
利害関係人として認められる人
- 共同相続人(他の兄弟など、放棄した人と同じ立場の相続人)
- 後順位の相続人(先順位が放棄したため繰り上がった親、兄弟姉妹、甥姪など)
- 被相続人の債権者(金融機関、サラ金、貸し主など)
- 受遺者(遺贈を受ける人)
追加で必要な書類
申請人本人のケースに加えて、以下が必要になります。
| 申請人の立場 | 追加で必要な書類 |
|---|---|
| 共同相続人・後順位相続人 | 被相続人と自分の関係を示す戸籍謄本 |
| 被相続人の債権者 | 金銭消費貸借契約書のコピー、債権の存在を示す書類 |
| 受遺者 | 遺言書のコピー |
事件番号が分からない場合の対処
利害関係人として申請する場合、相手の事件番号を知らないのが普通です。その場合は「相続放棄申述の有無の照会」という別手続きを先に行います。
- 家庭裁判所に「相続放棄・限定承認の申述の有無についての照会書」を提出
- 家裁が該当の有無を回答(=事件番号が判明)
- 事件番号が分かった上で、改めて受理証明書を申請
費用と所要時間まとめ
| 項目 | 費用 |
|---|---|
| 相続放棄申述受理証明書(1通) | 150円(収入印紙) |
| 返信用切手(郵送請求) | 約100〜200円 |
| 戸籍謄本(利害関係人の場合) | 450円〜(人数分) |
| 申述の有無照会(利害関係人の場合) | 無料(切手代のみ) |
所要時間
- 窓口申請:即日〜30分
- 郵送申請:1〜2週間
- 申述の有無照会:2〜3週間
何枚必要?シーン別早見表
多めに取っておく方が安心ですが、目安は以下の通りです。
| 提出先 | 必要枚数 |
|---|---|
| 銀行(口座1つにつき) | 1枚(原本還付してもらえる場合は使い回し可) |
| 証券会社(口座1つにつき) | 1枚 |
| 債権者(1社につき) | 1枚 |
| 不動産登記(1物件につき) | 1枚 |
| 後順位の相続人に渡す | 1〜2枚 |
| 自分の手元保管用 | 1〜2枚 |
目安として、5〜10通取っておくと安心です。1通150円なので、10通でも1,500円とリーズナブル。
3つの注意点・落とし穴
1. 期限はないが、忘れる前に取得を
受理証明書の取得期限はありません。受理から数年後でも申請できます。ただし、家庭裁判所の保存期間(一般的に30年)を超えると取得不可になる可能性があるので、必要が見込まれるならお早めに。
2. 通知書の事件番号が必須
申請時に「事件番号」が必須なので、通知書は絶対に紛失しないでください。紛失した場合、自分が放棄した家庭裁判所に問い合わせれば事件番号を教えてもらえる可能性がありますが、手間が増えます。
3. 全国の家裁を回らされる可能性
申請先は「相続放棄を受理した家庭裁判所」=被相続人の最後の住所地の家庭裁判所です。自分の居住地と違うケースが多いので、郵送請求が現実的です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 通知書のコピーで代用できないですか?
提出先によります。一部の金融機関は通知書のコピーで対応してくれますが、大手金融機関や債権者の多くは「証明書原本」を要求します。150円なので、迷ったら証明書を取りましょう。
Q2. 何年前の相続放棄でも証明書を取れますか?
原則として家庭裁判所の保管期間内であれば可能です。一般的には30年保存。古いケースは事前に家裁に確認しましょう。
Q3. オンライン申請はできますか?
2025年現在、オンライン申請はできません。窓口持参または郵送のみです。
Q4. 兄弟全員で相続放棄した場合、誰の証明書をどう取る?
申述人ごとに1枚ずつ必要です。たとえば兄弟3人で放棄した場合、3人分(=3事件)それぞれ証明書を申請する必要があります。事件番号も3つそれぞれ別です。
Q5. 海外在住の場合の申請方法は?
郵送請求が可能です。本人確認書類は、在留証明書または日本のパスポートのコピーで対応できます。郵送代行は国際郵便で対応している家裁が多いです。
Q6. 取得した証明書に有効期限はありますか?
法律上の有効期限はありません。ただし、提出先(金融機関など)が「3ヶ月以内のもの」など独自ルールを設けているケースがあります。提出予定の機関に事前確認しましょう。
Q7. 利害関係人として申請する場合、相手に通知は届きますか?
原則として通知はいきません。利害関係人の立場で証明書を取得したことは、申述人本人には知らされないのが通常です。
まとめ|「通知書は自分宛、証明書は対外用」と覚える
相続放棄申述受理証明書のポイントを最後に整理します。
- 通知書 = 自分宛のお手紙、証明書 = 第三者向けの公式証明
- 1通150円、何通でも発行可能
- 申請できるのは申述人本人+利害関係人(他の相続人、債権者など)
- 銀行・債権者・登記など提出先ごとに1枚必要、5〜10通取得が無難
- 事件番号が必須なので、通知書は大切に保管
- 他人の放棄を確認したい場合は、まず「申述の有無の照会」から始める
相続放棄申述受理証明書は、相続放棄の手続きの「最後の仕上げ」とも言える書類です。せっかく相続放棄をしても、対外的に証明できなければ債権者からの督促が止まらなかったり、銀行手続きが進まなかったりします。
「相続放棄したのに銀行で受け付けてもらえない」「先順位の兄弟が放棄したらしいけど、本当か確認したい」「複数の債権者から催告が来ていて、証明書が何通必要か分からない」というときは、相続専門家への相談が確実です。
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